艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP64 真実への道

電球が1つだけ灯る部屋に2人の少女が倒れていた。天井からは水滴が少し滴っていて、その水滴が地面に何度も地面に向かって落ちていた。

「………」

そしてその内の一滴が1人の少女の頬を濡らした。

 

 

「……ぅ?」

水滴によって緩やかに意識を取り戻す時雨。薄れていた感覚が徐々に回復し、目が開いていく。

「……ぁ…あれ?」

やがて完全に目が開き、青い目が隣で倒れているもう1人の少女「夕立」を捉えた。時雨は慌てて体を起こし、夕立を揺さぶった。

「夕立!夕立!」

「……んぁ?」

時雨に揺すられた夕立も、やがて意識を取り戻していった。

「……し、時雨?」

「夕立、早く起きるんだ!」

「どうしたの時雨?何か、凄く慌ててるっぽい?」

ゆっくりと回復していく夕立の感覚を一刻も早く取り戻そうと、時雨は更に声をかけ揺さぶった。

「とにかく早く起きて!」

「うわわわ!お、起きるから!あんまり激しく揺さぶらないで!」

こうして夕立も完全に意識と感覚を取り戻した。その場に立ち上がった2人は、周囲を見渡した。コンクリート造りの部屋を1つだけある電球が照らし、近くには家具と呼べるものは何一つなかった。

「ここは何処なんだろう?」

「夕立たち、深海提督さんたちとガンプラバトルをしてて、終わったら突然真っ白な煙が出てきて……」

「意識を失ったんだ…」

夕立が時雨の言葉に無言で頷く。

「あれ?電ちゃんは?」

夕立が電がいないことに気づく、しかし時雨は首を横に振って言った。

「ここにはいないみたいだ。恐らくは別の何処かに……」

「そ、そっか……」

時雨は更に周囲を見渡し、この部屋を調べた。そして、壁の一角に1つの扉を見つけた。

「あれは…扉?」

「どうしたの時雨?」

「夕立、あそこのあるのは扉じゃないかな?」

時雨が指さした方向に目を向ける夕立。そこにはとても重そうな鉄扉があった。

「ホントだ。時雨、早く行ってみるっぽい」

「そうだね。ここにいても仕方ないし」

時雨と夕立は鉄扉へと歩いていった。そして鉄扉の前まで来た時、時雨は鉄扉に1枚の紙とボールペンが張り付けてあるの見つけた。

「紙とボールペン?」

「何でこんな所にこんな物があるんだろ?」

「何かに使えるかもしれない。持って行こう」

時雨は紙を綺麗に折り畳み、ボールペンを折り目に挿してポケットに入れた。

「よし!この扉を開けるよ夕立!」

「了解っぽい!」

時雨と夕立は鉄扉の取っ手に手を掛けると、声を掛け合ってその扉を引いた。すると扉は鈍い金属の音をたてて開き始めた。

「よし、もう少しだ!」

しばらくしてその鉄扉は完全に開いた。時雨がゆっくりと扉の先を確かめる。

「……廊下、か」

扉の先は廊下だった。今いた部屋にあった同じ小さな電球がそれなりの感覚を開けて天井から吊り下がったコンクリート造りの廊下が左右に続いていた。

「…時雨?」

廊下を確認していた時雨に続いて夕立も顔を出し、廊下を見渡した。

「これって廊下?」

「うん。どうやら、僕たちは何処かの大きな建物にいるみたいだ」

「し、時雨。どうするっぽい?」

「……右に行ってみよう。どっちにしてもここから抜け出せる場所を見つけないとだし…」

「そっちに出口があるっぽい?」

「わからない。でも、ここにいるよりは出口を見つけられる可能性があるしね」

「ぽい!」

廊下に出た時雨と夕立は、早速右へと続く廊下を歩いていった。電球のおかげで視界は良好で何も心配することは無かった。やがて、先程と同じ鉄扉が廊下の右側に現れた。

「扉だ」

「とりあえず近づいてみるっぽい」

「そうだね」

2人はゆっくりと扉まで歩いていき、扉の前に辿り着いた。

「さっきのと同じ扉っぽい」

「こんな部屋が何個もあるってことなのか……あ、横にプレートがある」

扉のすぐ横にプレートが張られていた。時雨はプレート覗き込み、書かれていた文字に驚愕した。

「なっ…」

「どうしたの時雨?」

時雨の表情の変化に気づいた夕立も、時雨の見ていたプレートに目をやった。そして、そこに書かれている文字を読んでいく夕立。

「えっと…なになに、死体…廃棄室っ!?」

夕立もまたそこに書いてあった言葉に驚愕した。

「し、時雨…し、死体廃棄室って」

「うん。もし言葉の意味のままだったとしたらこの中は……」

「ど、どうするの時雨ぇ…」

時雨は額に汗を流しながら考えた。なぜ死体廃棄室(こんな部屋)が存在するのか。しかし、時雨はすぐに答えを出した

「夕立、今は出口を見つける方が先だ。だから、とりあえず先に進もう」

「う、うん」

きっと出口はある筈だから、と夕立を励ます時雨。2人は死体廃棄室の前を通り過ぎ先へ進んでいった。途中で現れた左への曲がり角を曲がり2人はヒンヤリとした空間をさらに奥へと進んだ。

「時雨…」

「ん?」

突然夕立が時雨に少し脅えた表情で声をかけた

「夕立たち、もしかしてとんでもない所に連れてこられたんじゃ……」

「………」

夕立の言葉を聞き黙り込む時雨。

(恐らく夕立の言う通りだろう。でも、そうだと断定するにはまだ情報が少なすぎる…)

「時雨?」

「あ、ごめん。考え事をしてて…」

「この場所の事?」

時雨はゆっくりと首を縦に振った。すると再び、通路に扉が現れた。

「また扉だ」

「今度は何の部屋っぽい?」

「右と左に1つずつあるみたいだ。夕立は左のプレートを確認して」

「ぽい」

そう言って2人は扉のプレートを確認した。時雨は右の扉のプレートを確認し、夕立は左の扉のプレートを確認した。

「えっと…培養室?かな…ちょっと掠れてて読み取りにくい。夕立、そっちは?」

「こっちは薬品投与室って書いてあるっぽい」

「聞くだけで悍ましい部屋の名前だね……」

「時雨?」

「ううん、何でもないよ。まだ先がありそうだ。調べるのは後にしよう」

そう言って2人は部屋の前を通過していった。更に先へと進み再び左への曲がり角を曲がった。すると2人の正面に壁が現れた。

「あれ?行き止まりっぽい?」

「え?ここまで来て行き止まり―――いや、違う。これ壁じゃなくて扉だ!」

「え、扉?」

「恐らく上に開くタイプの自動ドアなんだ。この部屋にも……あった。プレートだ」

時雨は扉の周囲を見渡してプレートを見つけた。

「実験観察室…またこんな名前の部屋……」

「時雨?」

「これじゃまるで…何処かのけん―――」

「そ!ここはとある研究所だよ!」

「「っ!?」」

時雨がまさに発しようとした言葉を、何処からともなく聞こえてきた少女のような高い声が告げた。突然聞こえてきた声に驚きつつも、時雨と夕立はそれぞれ身構えた。するとその声が言葉を続けた。

「あ、身構えなくても2人の近くにはいないから大丈夫だよ!」

しかし時雨も夕立も、この程度の言葉に油断する筈もなく聞こえてくる声に聞き返した。

「お前が僕たちを攫った犯人なのか!」

「早くここから出してよ!」

2人の声が廊下に響いた。しばらくその場は静寂に包まれていたが、やがて―――

「クッ、クスクスクス」

と、小さな笑い声が響いてきて、次に声は言った。

「確かに私が2人を攫った犯人だよ時雨ちゃん。あ、それとね夕立ちゃん。それはまだ無理だよ。2人にはこれからやってもらいたい事があるからね!」

「やってもらいたい事?」

「2人も知りたいって思ってるんじゃないかな?」

「………何をだい?」

時雨がそう聞き返すと、間を開けてその声はニヤけた様な口調で言った。

 

 

電ちゃんの事だよ

 

 

「「っ!!」」

「2人もたまに思ったことあるんじゃない?電ちゃんのガンプラの操縦技術の向上がなんであんなに早いのか、とか。何で電ちゃんに裏人格があるのか、とか。って」

「「………」」

声が発した言葉に時雨と夕立は沈黙してしまった。すると声は笑った口調で、やっぱり!と言い、更に続けた。

「ここはそれらを知ることの出来る場所なんだよ!だからね、2人とも頑張って探って見なよ!電ちゃんの秘密をさ!」

時雨と夕立は声が発する言葉にただ耳を傾けることしか出来なかった。額からは汗が流れ落ちていた。

「それじゃあ、頑張ってね!あ、それと出口は封鎖してないけど、帰ろうなんて思わないことだよ!電ちゃんは私の所にいるしね!」

「「っ!!」」

その言葉に2人は更に衝撃を受けた。そして時雨が大声で聞き返した。

「電は無事なのかい!?」

「………」

しかし、時雨の声は廊下に響いただけで、その後声からの返答は無かった。

「くそっ!」

「し、時雨。どうするの?」

「………」

時雨は再び黙り込んで考え始めた。

(くそ…犯人の思惑が全くわからない。電の秘密を探せ?それを僕たちにさせて何をしようと言うんだ……出口は開いてるって言ってたけど、どれも罠の可能性もあるし……何より電を置いていく訳には……)

「――れ――――時雨!」

「あ。ゆ、夕立」

「しっかりするっぽい!夕立、難しいことわからないし無暗に突っ込みかねないっぽい!だから時雨はしっかりするっぽい!」

「あ、ああ……うん。ありがとう夕立!」

時雨はそう言うと元来た道の方へ振り返った。

「急ごう夕立!」

「ぽい!」

2人は元来た道を引き返していった。

 

「………」

そして電灯に照らされた部屋の中にいた黒いフードの人物は、部屋の中央にある椅子に座る1人の少女を見た。椅子に意識を失って座る少女、電は穏やかな表情で眠っていた。そして―――

 

 

 

こっちも始めよっか。電ちゃん

 

 

 

黒フードの人物は笑ってそう言った。

 

続く

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