艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP66 真実への扉(中編)

時間は少しばかり遡る。

 

何とかデパートから出ることが出来た深海たち。しかし、深海の表情はとても暗く、そしてとてつもない怒りに満ちていた。

「………」

「お、お父さん……」

「………なんだ」

深海の事を心配した表情で秋雨が声をかけるが、深海の発した憤怒の黒い炎を纏ったような低い声に思わずたじろぐ。

「っ!……つ、梅雨葉。み、見つかるか…な?」

「……見つけるさ。俺の全てにかけて、なっ」

「っ!おとーさん!」

深海がそう言ったその瞬間、雨葉が深海の額から黒い角が現れ、右目を隠していた前髪を持ち上げた。そして前髪の後ろから、真っ赤に染まった右目が姿を現した。

「必ず見つける……そして、誰であろうが梅雨葉を攫った奴は――――」

 

 

 

殺すッ

 

 

 

真っ赤に染まった右目はより一層赤みを増し、額の角は青白い炎が灯りだしていた。

「た、た、た、大変だよ秋雨おねーちゃん!!」

「ど、ど、ど、どうしよー!!」

「………!!」

深海の様子に慌てふためく秋雨たち。深海がここまでの怒りを発したのは彼女たちの知る限り、母親である時雨が何者かよって攫われた時のみだ。そしてその時は、たった1人で時雨を攫った犯人たちのアジトに殴り込み、残虐かつ惨たらしい方法で犯人全員を殺し、血まみれの姿で時雨を抱えて鎮守府に帰ってきたのだ。そしてこの状態になってしまった深海はもはや誰にも止められない「復讐の悪鬼」となってしまう。そんな時だった。

「きゃっ!」「ひゃあっ!」「………!?」

不意に深海のスマホが鳴り出した。深海の怒りからいきなりスマホの着信が来たことに秋雨たちは驚いたが、深海は気にする素振りを見せずスマホを取った。

「何だ…青葉」

電話の相手は青葉だった。深海はしばらく黙ってスマホを耳に当てていたが、やがて、わかった。と言って電話を切った。そして、秋雨たちの方へ振り返って言った。

「梅雨葉を取り返してくる。お前たちは先に車に戻っておけ」

そして猛スピードでその場を後にした。秋雨たちはただ立ち尽くすしか出来なかった。

 

階段を降り、1つ下の階へと辿り着いた時雨と夕立。階段に続きは無く、この階が1番下の階となっていた。しかし、その光景が変わることはなく今まで2人が見てきた廊下がそこには広がっていた。

「1つ下の階でも廊下は同じ造りっぽい」

「そうだね。とりあえず、道は1本しかないみたいだし進んでみよう」

時雨の言葉に夕立は頷き、階段から右に向かって伸びる道をゆっくりと歩いていった。そしてしばらくして、3本の分かれ道が2人の前に現れた。1つは真っ直ぐ、もう1つは右へ、最後の1つは左へと続いていた。

「今回は左に行ってみよう」

「ぽい」

そう言って2人は左の道へ歩いていった。しばらく歩いた2人の正面に再び扉が姿を現した。時雨は早速扉の近くにあったプレートを確認した。

「「寄宿舎」か……こう言う物はこういう場所は外に造ると思ったけど……」

「なんか、今までの中でマシな部屋っぽい!」

「そうだね。よし、入ってみよう」

2人はゆっくりと扉を開けて寄宿舎へと入っていった。すると、扉の先にも更に通路が続いていて通路の途中途中に向かいあった扉がいくつも存在していた。

「部屋がいくつもあるね時雨」

「寄宿舎だからね。さて、何処から調べてこうか」

「なら一番近い部屋にするっぽい!」

「わかったよ」

夕立の言葉に同意した時雨は、自分たちに1番近い部屋「101号室」の取っ手に手を掛けた。鍵はかかっておらず、2人は早速室内へ入った。

「結構こじんまりした部屋っぽい」

「部屋の殆どがベットで埋められてる。その前には机……まるでビジネスホテルみたいだ」

「ん~」

夕立は部屋の中をキョロキョロと見ていた。そして、何かに気づいた。

「あ!時雨、これってこの部屋の人が書いた日記じゃない?」

机の上に置いてあった1冊の本を拾い上げた夕立は、それを早速時雨に見せた。

「本当だ。さっそく読んでみよう」

 

「2017年 ×月30日 脱走した×××は依然とし×××かっていない。××から××月以上経っても××××れない所を見るに、××××××の××体に諦めを付けた××××れない。この計画×××なってしまうのだろうか」

 

「2017年 5月×× 今日、××××イプの実験体が××した。何でも、脱走×××功体の××胞から作××された×××ンらしい。これで、成功体に××性××持つ×間を安定×××産できるだろう」

 

「2017年 5月2日 ク××××性能は××らしいもの××成×××××に近い性能×××、それでいて簡単×××出せる。しかし、問×××残っている。それは×××胞への耐×××い事だ。ク××ン××の欠陥の×××××××、これ×××××かしていけるだろう。」

 

「2017年 ×月3日 ×××3体の××××が作られたが、×海××に耐えられず××が廃棄となった。もう1×××功体は成果を×××は×るが、や×××ローンの深××胞への耐×××は解×××ていない。これを×××るため明日××を開くことになった。そう言えば、1×4号室の××が薬品×××の鍵を××××とか言っていたが、どうせ自×の××かに落としたのだろう」

 

「あ、日記が終わってるっぽい」

「日記の日付は5月3日……となると、ここの人たちが会議室で何かに襲われたのは恐らく5月4日?」

「でも時雨、その襲った奴っていったい誰っぽい?」

「……わからない。情報が足りないからね……でも、日記の最後の記述から寄宿舎の何処かの部屋に鍵があるかもしれないってことはわかった」

「本当!」

「うん。もう少しこの部屋を調べたら、その部屋に行ってみよう」

「ぽい!」

その後、時雨と夕立は室内を細かく調べたがこれと言った物は出てこず諦めて部屋を出て行き、寄宿舎の廊下へと戻ってきた。

「じゃあ、鍵があるかもしれない部屋に行ってみよう」

「でも時雨、その部屋何処かわかるっぽい?」

「部屋番号の部分が途切れていたけど、おおよその予測は出来てる。さっきまでいたのは101号室で、あの日記の記述は「1×4号室」だった。部屋の数は全部で20部屋だし、鍵があると考えられる部屋は「104号室」か「114号室」のどっちかの筈だ」

「なら、近いところから当たってみるっぽい!」

「そうだね。寄宿舎の部屋全部を調べるには時間がないし、手掛かりがあるかもしれない部屋を調べて行こう」

2人は廊下を進み、104号室へ向かった。時雨は向かい合った反対側の部屋番号を確認しながら進んでいた。

「あった。104号室だ」

「じゃあ入ってみるっぽい!」

そう言って夕立は104号室の扉を開けた。そして中に入り、2人は早速部屋の探索を始めた。しかし、これといった情報が書かれたものは見つからなかった。

「うーん。この部屋じゃないみたいだ」

時雨がそう言って小さな溜息を吐いた時、夕立が時雨の元に1枚の紙切れを持ってきた。

「時雨、こんなもの見つけたっぽい」

「どれどれ……1739?」

夕立が持ってきたのは「1739」と書かれた紙切れだった。時雨と夕立はその紙をしばらく凝視していたが、お互い意味が分からず仕舞いだった。

「時雨にもわからないっぽい?」

「うん。何の数字なのか全くわからないよ」

「なら、次の部屋に行くっぽい!この部屋調べ終わっちゃったし!」

「うん。一応この紙は取っておくね」

「了解っぽい!」

そのまま104号室を出た時雨と夕立は、次に114号室へ向かった。すぐに114号室は見つかり、時雨は部屋の扉に手を掛けそのまま室内へ入ろうとした。しかし扉を開けた瞬間、2人は室内から漂ってくる匂いに気づいた。

「っ!!これは、血の匂いっぽい!」

「何でこの部屋から……っ!」

そして時雨は、室内が血塗れになっていることに気づいた。ベットと机、部屋の至る所に血が飛び散っていた。

「し、時雨……」

「……この部屋で何が起こったかはわからないけど、鍵があるのは恐らくこの部屋だ。手早く見つけて、この部屋を出よう」

「ぽ、ぽい!」

2人は扉を開けたまま部屋に入り、早速鍵を探し始めた。その間、2人は終始無言で出来る限り呼吸を抑えて探索をしていた。

「時雨!ベットの下に何か光る物があるっぽい!」

しばらくして、夕立がベッドの下に光る何かを見つけた。時雨は、本当かい!と言い返し夕立の隣からベットの下を覗き込んだ。

「おそらく日記にあったどこかの鍵だ。夕立、届きそう?」

「むううう!っ!届いたっぽい!」

そして夕立はとの下から鍵を1つ引っ張り出した。プレートには「資料室」と書かれていた。

「やったね夕立!資料室の鍵だ!」

「えへへ!夕立ったらお手柄っぽい!」

「よし、もうこの部屋に用はない。急いでここから―――ん?」

そして部屋を出ようとした時雨だったが、ふと視線を向けた先の壁に目が留まった。

「……ん?時雨、どうしたっぽい?」

「いや、あそこの壁。なんか、文字みたいなのが書かれてるような……なんだろう」

時雨は壁の元へと歩を進め、そこに書かれた文字の様な物を凝視した。

「………バラバラだけど…これは「ヲ」「雨」「ケ」「ロ」「人」って読めそうだけど……」

「?意味が分からないっぽい」

「うん。共通点も無さそうだし……一応メモしておこうかな。何かのヒントかもしれないし」

時雨はそう言って最初に拾ったペンと紙を取り出し、先程の5文字を紙に書きこんだ。そして書き終わった時雨は、待たせたね。と夕立に行って部屋を出て行った。

「じゃあ、さっき鍵を手に入れた資料室に行ってみようか」

「でも、何処にあるのかわからないっぽい時雨?」

「う~ん。ごめん、まだ見当はついてない」

「そっか……なら、さっきの分かれ道まで戻ってみるっぽい!」

「そうだね。もしかしたら、その先にあるかもしれないしね」

夕立の提案を受け、時雨と夕立は寄宿舎を後にした。そして先程の分かれ道まで戻ってきた。時雨はそこでほんの少しだけ行き先を考え、左へ行こうと時雨が言った。夕立も時雨の言葉に同意し、2人は左の道へと進んでいった。すると不意に夕立が時雨に話しかけた。

「時雨」

「ん?なんだい」

少し弱気な口調で夕立は言った。

「夕立たち、本当に帰れるのかな……」

「……夕立」

「本当に、電ちゃんの秘密を解き明かしたら帰れるの…ううん。そもそも、夕立たちは電ちゃんの秘密を知って―――」

「何の意味があるの?かい?」

夕立は時雨の言葉にただ一言、うん。とだけ答えた。時雨は少し考えてから口を開いた。

「それは僕にもわからない。でも今は、前へ進むしかないよ。帰るにしても、電は今犯人の手中だ。なら、今僕と夕立が電を助けるしかないんだ」

「時雨ぇ」

(艦娘での戦闘とはまた違う緊張感。それに今はこんな状況。流石の夕立も、弱気になってしまうのも無理ないよね)

覇気が消え、脅えた表情をした夕立を見た時雨の心は強く締め付けられていた。しかし時雨は、今は自分を維持しなければきっと夕立は倒れてしまうと思い、自らの心と体を奮い立たせた。

「大丈夫、きっと何とかなる筈だ。だからもう少し頑張ろう、夕立!」

「う、うん。夕立、頑張るっぽい!」

「その意気だよ!……と、行き止まりと扉だ」

そうこうしている内に、時雨と夕立の2人は通路の行き止まりへと辿り着いていた。曲がり道もなくただ直進するだけの道だったが、その先にはやはり扉があった。

「今度は何の部屋っぽい?」

「えっと……右が倉庫。左が……独房…か」

「ど、独房っ」

「鍵は……倉庫の方はかかってる」

「入るしかないっぽい?」

「そう…だね……行こう夕立」

「うん」

そして時雨は独房の扉を開けた。

 

独房へと足を踏み入れた時雨と夕立。部屋の正面には6つの扉があるだけの横に長い部屋だった。

「部屋が6つ…さて、どこから―――」

「しっ!時雨、静かにするっぽい!」

「!?」

部屋を調べようとした時雨を、咄嗟に夕立が制止した。夕立の言葉を聞き、口を閉じた時雨。室内が一気に静まり返り、やがて何処からか音が聞こえてきた。

「………すー………」

「なんだ?」

「時雨、音をたてないでほしいっぽい」

「あ、ごめん」

「………」

夕立の表情は先程までの脅えた表情から一変、神経を研ぎ澄ませた険しい表情になっていた。しばらくして、夕立は音をたてないように静かに1歩踏み出した。2歩目、3歩目とゆっくりと歩みを進める夕立。すると夕立は、ある扉の前で足を止め時雨にこっちに来るように手招きをした。時雨も音をたてないように、ゆっくりと夕立の元へ歩いていった。そして扉をジッと凝視する夕立に時雨が問いかけた。

「夕立、どうしたんだい?」

「この部屋から、呼吸音が聞こえるっぽい」

「え!?それって……」

「扉に覗き穴があるから確かめてみるっぽい」

「う、うん」

そう言った時雨と夕立は独房の扉にある覗き穴から中を覗いてみた。独房の中は暗く、全く中を見ることは出来なかった。

「うーん。見えないっぽい…」

「どうしようか……あれ?」

その時、時雨が手に持っていたボールペンを見てあることに気づいた。

「このボールペン。ライトに使えるっ」

「ぽい?」

「まさかこんな所で見るなんてね……これは使えそうだ」

時雨が手にしていたボールペンは、ライトとしても使えるボールペンだった。2回コッキングすると、ペン先付近が光るボールペンだったのだ。時雨は早速そのボールペンを覗き穴に通した。そしてライトが照らした先には――――

 

「「っ!!梅雨葉っ!!」ちゃん!」

 

床に横たわった梅雨葉がそこにいた。

 

続く

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