艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP67 真実への扉(後編)

牢屋の中で横たわる梅雨葉を見つけた時雨と夕立。2人はそこにいた梅雨葉に驚き、夕立は慌てて牢屋の扉を叩き、名前を呼んだ。

「梅雨葉ちゃん!梅雨葉ちゃん!」

「………ぅ?」

夕立の声と扉を叩く音に、梅雨葉が少し反応を示した。しかしまだ、ハッキリと意思を取り戻せていない梅雨葉は体をもぞもぞさせていた。

「反応はしてるけど、起きないっぽい……」

「うーん……そうだ。ライトを点滅させれば起きるかもしれない」

時雨はそう言うと、ボールペンを覗き穴に入れて何度もコッキングした。ペン先のライトが点灯と消灯を繰り返し、梅雨葉の顔を照らす。その間も、夕立は扉を叩き名前を呼び続けていた。そしてしばらくすると、梅雨葉の赤い右目がゆっくりと開いた。

「……んぁ?」

「あ、起きたっぽい!」

「梅雨葉!大丈夫かい!」

「この声は……お母さん?」

未だ寝ぼけている梅雨葉は、目をゴシゴシと擦りながら体を起こした。

「梅雨葉ちゃん!大丈夫っぽい!」

「あれ?夕立お姉ちゃんの声もする………て、ん?」

そこで梅雨葉はようやく意識を取り戻した。そして自身の目の前の壁、もとい扉の覗き穴から時雨と夕立が目だけを覗かせているのに気がついた。すると―――

「ひぃっ!四つ目のオバケッ!」

一目散の部屋の奥へと引っ込んでいった。

「「え?」」

梅雨葉の言葉と行動を目にした時雨と夕立は、互いに顔を見合わせて不思議な顔をした。そしてもう一度覗き穴に目を当てると―――

「やだっ!オバケ嫌い!あっち行ってよ!」

「「………」」

余計に怖がる始末。仕方なく2人は、困惑しながらも声をかけることにした。

「あ、あの…梅雨葉ちゃん?どうしてそんなに怖がってるっぽい?」

「ゆゆゆ、夕立お姉ちゃんの真似しても!だだだ、ダメなんだからね!つつつ、梅雨葉の目は、ごまごまごま、誤魔化せないんだから!」

「ちょっと落ち着くんだ梅雨葉!僕だよ、暁学園ガンプラ部の時雨だよ!」

「おおお、お母さんの真似で騙せるとおおお、思わないでよね!つつつ、梅雨葉は!ぜぜぜ、絶対、そそそ、そっちに、いいい、行ったり、ししし、しないんだから!」

梅雨葉は涙目になりながら、必死に強がっていた。そして時雨と夕立の2人は同じことを思った。

((これは説得に時間がかかるなぁっぽい

結果、梅雨葉を説得するのに10分かかったのだった。

 

「ご、ごめんなさい……おか―――時雨さん、夕立さん」

「ま、まあ、誰にでも苦手な物はあるから……」

「う、うん。出来れば忘れてほしいよ……」

「努力はするっぽい……」

何とか落ち着きを取り戻した梅雨葉は、顔を真っ赤にして扉越しに会話をしていた。

「ところで、ここは何処なんですか?」

「僕たちにもわからないんだ。何処かの研究所みたいなんだけど」

「そうですか。うーん、扉も開かないみたい」

「鍵はここまでに見つけてないっぽい……」

「探すしかないか……ごめん梅雨葉、少し待っててくれるかい?」

「うん。わかったよ。おか―――時雨さん、夕立さん」

「待っててね(お母さんがいないから寂しいんだろうなぁ……僕にはお母さんいないからわからないけど……)」

そう言って2人は独房を出て行った。

 

独房の扉を閉め、廊下へと戻った時雨と夕立。しかし、残った場所は最後の分かれ道の先のみとなった為、2人は迷わず廊下を分かれ道のところまで戻り最後の道を歩き出した。

「きっとこの先に資料室がある筈だ。急ごう夕立」

「ぽい!」

2人は急ぎ足で廊下を歩いていった。するとすぐに行き止まりへと辿り着き、扉を見つけた。

「扉だ!……よし、ここが資料室で間違いない!」

「じゃあ、鍵を使うっぽい!」

「………よし、開いた!」

2人は足早に資料室へと足を踏み入れた。

 

室内に入るとそこには幾つもの背の高い棚が置かれ、そこに数え切れない程のファイルや本が置かれていた。

「うわぁ……凄い量の資料だ」

「時雨、これ全部調べるっぽい?」

「きっと題名がそれぞれ振られてる筈だ。それで内容を判断しよう」

「了解っぽい」

そして時雨と夕立は手分けして資料室を調べ始めた。棚から棚へ次々目を通していく時雨と夕立。すると時雨があるファイルが目に入った。

「えっと、「再建計画概要資料」?何だこれ……」

時雨はそう言うと、そのファイルを開いた。

 

「壱 再建計画とは 再建計画は前海軍元帥、山本玄蔵閣下や、前海軍首脳部の人物主導の元、先の大戦の終結の折に失墜した前海軍首脳の権力を復活させるべく、計画された計画である」

 

「弐 主目的 本計画の主目的は前海軍首脳が再び我が国の主権を掴むことにある。しかし、以前の様に表立った行動が取れなくなってしまった今日において、大規模なクーデターなどを起こすことは不可能に近くなっている。そこで発案されたのが「GPB計画」である」

 

「参 GPB計画とは GPB計画とは現在世界中で熱狂を呼んでいる「ガンプラバトル」なる遊びを利用しようと言う物だ。まずガンプラバトル日本協会をこちら側の物とし、背後で実権を握る。その後に本計画の為に開発されたガンプラバトルに特化した人間「強化兵士」がその頂点に君臨することで、我が国のあらゆる産業体を我が物とすることで我々の規模を拡大し、最終的に主権を奪還し、かつての大戦を再び再発動させるのだ」

 

「肆 強化兵士研究 ガンプラバトルに特化させた人間「強化兵士」を開発するため、研究所を設けることとする。早急に開発を完了すること」

 

「伍 注意事項 本計画最大の敵は言うまでもなく、黒野深海だ。奴の行動力と人脈はもはや我が国全土に広がっていると言っても過言ではない。その為、本計画は隠密に行うこと」

 

「………」

ファイルを読み終えた時雨は、無言でファイルを閉じた。そして、しばらく考えを巡らせていた。

(これが深海提督が言っていたことで間違いないだろう。内容もピタリと一致してる。これは持ち帰る価値はある筈だ。でもまさか、元海軍元帥の名前をこんな所で見るなんて思わなかったよ………ん、あれ?山本玄蔵って名前、つい最近何処かで見たような……駄目だ。思い出せない。仕方ない、探索を再開しよう)

しかしそこで時雨は考えることを止め、更に資料室を探索した。そしてしばらく時間が経った時だった。

「時雨、これ何かな?」

不意に夕立が時雨を呼んだ。時雨は夕立の元に向かうと、夕立の指さす方へ顔を向けた。そこには1から9までの数字が書かれた金色の突起と、取っ手、そして数字が表示された小窓が付いた小さな黒い箱が置いてあった。

「これは…金庫かな?あ、もしかして会議室の書類にあった金庫ってこれかな?」

「時雨、開け方わかるっぽい?」

「数字が表示された小窓が4つ……あれ?4桁の数字ってどこかで……」

時雨が腕を組んで考えていると、夕立が思い出した。

「時雨、寄宿舎で拾った数字が書かれた紙は?」

「っ!」

時雨はハッとした表情になって、ポケットから紙を取り出した。「1739」と書かれた紙を見た時雨は、お手柄だよ夕立!と言って、突起を回し始めた。小窓に表示された数字が回転し、やがて全ての数字が揃うと、金庫はカチリと音をたてた。

「やった!開いたよ」

「中身は何っぽい!」

「これは、カードキー……あ、きっとあの部屋に入る為の鍵だ!」

「やったっぽい!これで電ちゃんを助けられるっぽい!」

カードキーを手に入れ喜ぶ夕立。しかし、時雨は未だ気になることがあったのか、夕立に尋ねた。

「夕立、もう少しここを探索させてもらっていいかい?」

「え?いいけど、でも少しだけにしてよね」

「わかったよ」

ご機嫌な夕立は時雨の提案を受けたが、一刻も早く電を助けたいという本心に突き動かされてしまっていた。それを感じ取った時雨は、急ぎ足で棚に目を通していった。そしてしばらくすると、時雨の目にあるファイルが止まった。

「ん?「実験体記録」か……」

時雨は早速そのファイルを開いた。そこには幾つもの英語と数字が表記され、そのことごとくに「廃棄」と書かれていた。そのページは何ページにも渡って続き、そこに書かれている内容は延々と同じことが書かれていた。

「………どうやらこのナンバーは実験で使われた被検体のナンバーか…そしてその結果は……」

そこから更にページを進めた時雨。そしてファイルのあるページに差し掛かった時、ふと時雨の手が止まった。そこに書かれていたのは今までの内容とは違うが書かれていた。今までの様な淡々とした記録ではなかった。

「他のページと違う……っ!これは!」

 

「被検体ナンバー INDM053729 被検体名 電 製造方法 艦娘建造システムを流用 評価ステータス 社会性 甲 操縦技術 甲 反応速度 乙 製作技術 甲 認知力 乙 精神安定 丙 深海細胞同調率 乙 記憶操作完成度 甲 備考 上層部の要求性能を満たす被検体として完成したが、2017年3月31日に逃亡。以降行方不明」

 

そして記録の横に金色の右目と深紅の左目をした茶色の長髪をアップヘアーにして束ねている少女の写真が付いていた。その写真に描かれている電の姿は「電がぷらづまと意識を共有している状態」そのものだった。写真を見た時雨は衝撃を受け、その場に立ち尽くしてしまった。

「いな……づま……」

「時雨?」

ファイルを見たままその場に立ち尽くす時雨の声を聴いた夕立。不思議に思った夕立は、時雨の元に駆け寄って声をかけた。

「時雨、何か見つけたっぽい?」

「………」

「時雨?」

時雨は無言で夕立にそのファイルを見せた。夕立はそのファイルを受け取り、ページに目を通した。夕立は所狭しと書かれた漢字に戸惑いながらも読み進め、そして、電の写真が目に映った。

「え―――これ、って…電、ちゃん……」

夕立もまたそこにあった電の写真に衝撃を受けた。そして時雨が言った。

「これが……犯人が言ってた「電の秘密」……」

「で、でも電ちゃんには暁ちゃんたちがいるっぽい!もし、ここで生まれたなら姉妹なんている筈ないっぽい!」

夕立が慌てて目の前にある事実(・・)を否定した。しかし―――

「……夕立の言ってることは正しいと思うよ。僕も最初はそう思った……でも、ここを見て」

時雨はページの文書の中からある一点を指さした。そこに書かれていた言葉は――――

「記憶操作完成度、甲……」

夕立はゆっくりとその言葉を口にした。そしてそこに書いてあった文章の内容が理解できない程、夕立は子供ではなかった。

「記憶操作……つまりはそういう事なんだろう。姉妹が「いない」ってことを「いる」って事に操作した。きっとそれ以外の記憶も……だから電は……」

「………」

黙り込んで項垂れる夕立。先程までの明るい表情は完全に失われていた。そんな夕立を見ていた時雨は、その隣のページにふと目を向けた。そこには電と同じような文書が書かれていた。

 

「被検体ナンバー INDM053730 被検体名 レ級 製造方法 艦娘建造システムを流用 評価ステータス 社会性 甲 操縦技術 甲 反応速度 甲 製作技術 甲 認知力 甲 精神安定 甲 深海細胞同調率 甲 記憶操作完成度 甲 備考 上層部の要求性能を満たす被検体として完成し、全てにおいて最高の性能を有している。完成当時は艦娘に似た姿をしていたが、翌日には深海棲艦の姿となったが特に問題なし」

 

そしてそこには、白いショートヘアーに血の様に赤い目をした少女の写真が貼られていた。時雨はこの写真の人物が、あのレ級であることはすぐに分かった。しかし、時雨は表情を変えることはせず、ページをめくった。

 

「被検体ナンバー INDM-CP01 被検体名 01 製造方法 クローン製造法 備考 性能を満たすも深海細胞に対する耐性が低い」

 

「被検体ナンバー INDM-CP02 被検体名 02 製造方法 クローン製造法 備考 性能を満たすも深海細胞に対する耐性が低い」

 

「被検体ナンバー INDM-CP03 被検体名 03 製造方法 クローン製造法 備考 廃棄」

 

「被検体ナンバー INDM-CP04 被検体名 04 製造方法 クローン製造法 備考 廃棄」

 

ここでファイルは終わっていた。時雨はこの表記を見ても表情を変えずただ黙っていた。そしてファイルを閉じ、言った。

 

 

答えを聞きに行こう……

 

 

それを見ていた黒いフードは笑っていた。

 

続く




いつも「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」を読んでいただきありがとうございます。

誠に申し訳ありませんが、来週の投稿はお休みさせていただきます。何卒、ご理解のほどお願いいたします。
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