艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
深海が運転するキャンピングカーは会場を出発した翌日、草木が生い茂る山道を走っていた。キャンピングカーの車体を草木が打ちながら、ガタガタと揺れる車内では相も変わらず空母水鬼主催のトランプ大会が行われていた。しかし、ほぼ1日中続いていたこのトランプ大会に主催者である空母水鬼と、とにかく乗り気だった白以外の全員は飽きが来ていて、ある意味で車内は地獄絵図だった。すると、運転席から深海の声が響いてきた。
「もうすぐ到着するぞ。そろそろ、トランプをしまってくれ」
「はーい!」
と、元気よく子供のような返事をする空母水鬼はせっせとトランプを片付け始めた。ようやくトランプ大会から解放された時雨と夕立は、揺れる車内を運転席まで歩き深海に尋ねた。
「そう言えば、夕立たち何処に向かってるっぽい?」
「俺の鎮守府だ。まあ、時雨は予想出来ていたんじゃないか?」
「まあ、ね……うっ…」
「大丈夫か?少し顔色が悪そうだぞ」
「ごめん。トランプのやりすぎでちょっと気分悪い、かも……」
「時雨、とりあえず一回座るっぽい」
「うん。ありがとう」
時雨は夕立に連れられて近くの椅子に座った。そしてそれから3分もしない内に、キャンピングカーは舗装されたトンネル内を走っていた。
「あれ?こんな所からトンネルになってる」
車窓から顔を覗かせながら夕立が言った。すると、秋雨が答えるように言った。
「私たちの
「そうなんだー!」
「かなり僻地に存在している、と言うわけか」
すると、駆逐棲姫が話に割り込んできた。若干驚いた秋雨だったが、すぐに駆逐棲姫に答えた。
「はい!だから、買い物に出かけたりするの大変なんですよ…あはは…」
「そうか…」
やがて車はトンネルを抜け下り坂を降りていった。すると、車は鎮守府の門を抜けて開けた場所に出た。夕立たちの座る右側の車窓からはレンガ造りの工廠や倉庫、その奥には山が見えた。
「わっ!本当に鎮守府に来ちゃったっぽい!」
突然、昔見慣れた物が現れて驚く夕立。しばらくして車は止まり深海は、着いたぞ。と言って運転席から降りていった。それに続くようにして、乗っていた全員が降りた。車は鎮守府の本庁舎前に止まっていて、正面入り口の前には2人の女性が立っていた。1人は裾や縫い目に山吹色のラインが入っている黒いロングコートを羽織り、白地に黒いラインの入ったスカートと焦げ茶色のストッキングと同じ色の靴を履いた、腰まであるロングストレートの黒髪と深紅の瞳が特徴の女性で、もう1人は両側に突起が付いた白と黒のラインが入ったドイツ将校の帽子を被り、首には錨の輪部分を首に通した首輪のようなものをつけ、肩口から背中までを切り取ったような黒い前留式のボディースーツの様なシャツと腹部にポケットの付いた軍服のようなものを胸下から下だけを切り取って着て、灰色の地に黒縁のニーソックスと同じ色のブーツを履いた金髪ロングストレートと碧眼が特徴の女性だった。深海は2人の前に歩み寄り口を開いた。
「長い間、ここを開けてすまなかったな。長門、ビスマルク」
「まったくだ。何が、すぐに戻る。だ…1年間も戻らなかったこと、しっかり反省するんだぞ」
「それは本当にすまなかった…」
黒いロングストレートの髪の女性、長門が小さく口元に笑みを浮かべながら言った。深海は少しだけ頭を下げて謝罪をする。
「長門さん長門さん長門さん!おとーさんをそんなに怒らないでよ!」
「場合によっては、私たちも怒る」
「………!!」
「ちょ、ちょっと!そんなに熱くならないでよ3人とも!」
「ははは!すまないすまない。お前たちも全員無事に帰ってきたんだ。お説教はこれくらいにしておくか!」
と、長門は笑って秋雨と梅雨葉、雨葉と白の頭を優しく撫でてやった。
「本当よ!この私に連絡寄こさないなんて、どういうつもりよ!」
すると今度は金髪ロングストレートの女性、ビスマルクが両腰に手を当てて深海に物申した。
「いや連絡しただろ。2日前」
「毎日連絡しなさい!」
「まあまあ、ビスマルクさん。落ち着いてよ」
呆れた表情の深海の隣で時雨がビスマルクをなだめていた。すると長門が、車の前に立っていた空母水鬼に気が付いた。
「む?提督よ、そこにおられる空母水鬼、まさかと思うが…」
「ああ。前に話した俺の母さんだ。紹介するよ」
「初めましてね!私は空母水鬼、この子…深海の母親をやっている者よ!よろしくね!」
「
「悪かったな……」
深海は小さく舌打ちをした。そして長門は、続いて電を担いだ時雨と夕立、そして駆逐棲姫に目を向けた。
「そしてこっちの4人が、昨日話してくれた電、時雨、夕立、そして駆逐棲姫だな。初めまして…ではないかもしれないが、長門だ。提督が不在の時はビスマルクと共に、この鎮守府を任されている」
「ビスマルクよ。まあ、私の邪魔はしなければ何でもいいわ」
「うん。いつまでかはわからないけど、お世話になるよ」
「よろしくお願いしますっぽい!」
「………よろしく」
「まあ、こんな堅物な奴だが…仲良くしてやってくれ」
「
そして深海の放った言葉に、ビスマルクは少しだけ頬を赤くしたのだった。すると深海は突然、本庁舎から少しだけ離れると本庁舎の屋根の上を見上げて言った。
「いつまで隠れているつもりだ?早く出て来い!」
深海の突然の行動に驚く全員。すると、深海が声をあげた数秒後、深海の真正面に白いフード被った人物が降り立った。
「え!?い、一体何処から!」
「気配を完全に消していた。となれば、かなりの腕の立つ奴だぞ!」
突然現れた白いフードの人物に警戒する長門とビスマルク。しかし―――
「そうかな?結構気配はあったし、殺気は感じないから、大丈夫じゃないかな?」
ええぇ……
空母水鬼の言葉に深海と気絶したままの電以外、全員がそう思った。すると深海の目の前に立った白いフードの人物はフードに手を掛け、そのままフードをとった。
「!!」
そしてその場にいたほとんどの人物が驚いた。そしてその人物。額に2本の黒い角をはやした真っ白な2つ括りにしたセミロングの髪と蒼白い目の少女は言った。
「深海指令。私も、貴方の戦列に加えていただけますか?」
「………白雪か」
白いフードの人物の正体は、吹雪の妹「白雪」だった。
続く