艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
ようやくタ級を現実世界に引き戻すことが出来たネ級たち。まだ、叩き起こされた(?)ことに対する苛立ちを持ったままの上下ジャージ姿のタ級は少し怒りの混じった口調で話し始めた。
「クソ、折角いい出来に仕上がりそうだったのに…全く、私を起こすならもう少し落ち着いた起こし方は出来んのか…ブツブツ…」
未だ現状に納得がいっていないタ級、しかし本人の私情のことなど気にする様子もないネ級は淡々と本題を話し始めた。
「早速なんだけど姉さま。この子のガンプラを見てあげてください」
「おいネ級。私の話くらい聞け――」
「電ちゃん。ほら?」
「なのです!」
(ネ級め…覚えてろおけよ)
ネ級へのちょっとした復讐心的なものを心の中に閉まったタ級は、電が取り出したイナヅマガンダムに目を向けた。それをジーっとしばらく見るタ級。一通り見終わったタ級は率直な感想を話し始めた。
「ふむ、悪くはない出来だな。素組を生かしつつ胸部上方にマシンキャノン、肩アーマーにはスラスターを内蔵、両腰のサイドアーマーにビームサーベル、シールドの展開機能に機動性も申し分ない…ふむ…ところで貴様」
「は、はい!」
突然指摘され電はビクッと背筋を伸ばした。するとタ級の白い顔が電に急接近した。青白い両目が電を睨みつける。ジーっと見つめられる電は恐怖で震えが止まらなかった。そして、タ級が口を開く。
「何故バックパックを装備していない?バックパックはガンプラの出来栄えを左右するほどに重要なものなのだぞ?」
「あ、えと、その…」
真剣な表情で睨みつけられる電の目には既に涙が溜まってきていた。慌ててネ級が助けに入る。
「姉さま電ちゃんが怖がってますよ!そんなに睨みつけないで―――」
「ここは退けん。退くわけにはいかないんだよ…こいつはバックパックを蔑ろにした愚か者だ。この私が処断する!」
「「しょ!?」」
「姉さま!電ちゃんはそのバックパックのことで姉さまを訪ねてきたんですよ!処断しちゃったら駄目ですよ!」
「!?」
その言葉を聞いた瞬間、え!嘘!?ホント!!と顔で言っているかのような表情でネ級に振り向いた。ネ級は額に汗を流しながら苦笑いで頷く。
「そうだったのか!?そんなこととはつゆ知らず!任せておけ!このネリタ模型店のバックパック神がこの機体にピッタリのバックパックを見つけてやろうではないか!」
「へ?…へ?」
「そうと決まれば早速探すとしようじゃないか!おい貴様、このタ級にしっかりついて来い!」
「え?はにゃぁぁー!」
電の手を掴んだタ級はそこまで広くない店内を走り回り始めた。流石「高速戦艦タ級」と言われただけあってかなりの速度だ。
「しかし、何がいいだろうか!やはり高機動性に特化させるべきか、いや単純な火力強化も捨てきれん、いやいや、ここはあえて敵を捕獲できるような…んー!一撃必殺の火力を持たせることも可能なはず!いや待てよ、オールレンジ攻撃もいいんじゃ……」
「「「…………」」」
その光景を眺めるネ級と時雨と夕立。三人はただただ、その光景を呆然と眺めるしか出来なかった。すると時雨がポツリと呟いた。
「流石タ級さん…」
その言葉にネ級がため息交じりに返答する。
「はぁ…全く、タ級姉さまは…」
「バックパックのことになるとヤバイっぽい…あ、電ちゃんが目ぇ回してるっぽい…」
夕立もその光景に飛び込む勇気は持ち合わせていないようで、ただ眺めて実況(?)をしている。そして今もタ級は走り続けていた。
「はにゃぁぁ……と、止めてぇなのでしゅ~」
電は完全に目を回して、タ級に引きずられていた。
それから数時間後、ようやく足を止めたタ級は電を掴んだまま腕組をして真剣な表情で考え込んでいた。電はもはや干物寸前のようにペラペラになっていた。
「うーむ、こいつにピッタリのバックパックはなかなか見つからないものだな…」
「いやいや、姉さま。まず先に電ちゃんを放してあげて?」
ネ級はマンガにでも出てきそうなほどの大粒の汗を流してタ級に声をかけた。
「おお。すまなかったな」
タ級の手から落ちた電はそのまま床に倒れ、目は渦巻、頭にはひよことお星さまがクルクルと回って気絶した。
「ふぇぇぇ~電…(判読不可能)なのです~」
電に駆け寄る時雨と夕立。
「電、大丈夫…じゃないね…」
「これで大丈夫だったら電ちゃんは無敵だと思うっぽい…」
「同感だよ夕立…」
結果、電は大破。本日はお開きとなったのだった。幸い、イナヅマガンダムは無傷だった。
続く