艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP75 再始動

白雪の言葉を聞いた深海。しかし深海は、すぐに返事を返すことはなく白雪に聞き返した。

「それは、吹雪を止めたいからか?」

「はい」

白雪の返事にためらいはなく、覚悟が纏われていた。白雪は更に続ける。

「私も吹雪ちゃんと同じ、あの研究所で作られたクローン。私もこの体に埋め込まれた深海細胞の影響でもうあまり未来はありません。私は、この定めを受け入れました。でも吹雪ちゃんは―――」

「その定めを呪って、全てを壊そうとしている。だから、吹雪を止めたい……だな?」

深海の言葉にハッキリと首を縦に振った白雪は言った。

「それが私……ううん。一緒に生きることの出来なかった2人と私の…最初で最後の姉への孝行なんです」

「………」

白雪の覚悟は並大抵のことでは折れることのない物だった。その場にいた全員が、白雪の言葉に衝撃の様な物を受けていた。そして深海は言った。

「わかった。お前の力、当てにさせてもらう」

「ありがとうございます!」

「長門、4人を部屋に案内してきてくれ」

長門は、わかったと言って時雨と夕立、駆逐棲姫と白雪を呼んだ。すると時雨は、あることに気づいた。

「あれ?深海提督、電が抜けてるみたいだけど?」

「電は俺の部屋に連れていかせてもらう。不満はあるだろうが、お前たちの安全を考えての事だ。すまないが従ってくれ」

「………わかったよ」

「………ぽい」

時雨と夕立は、背負っていた電をビスマルクに預けた。ビスマルクが、電の小さな体を持ち上げたことを確認した長門は、行くぞ。と言って歩き出し、時雨たち4人は長門の後を追ってその場を後にした。

 

本庁舎から少し離れた山の麓にある寮の一室に案内された時雨と夕立。部屋は2人が昔、艦娘だった頃に住んでいた寮とよく似た、壁に埋め込まれた二段ベットと床から一段高くなって3畳分の畳が敷かれている湯呑と茶葉の入った缶が置かれたちゃぶ台とポットが置かれた生活スペースがある部屋だった。時雨と夕立は、荷物を部屋の隅に片付けるとちゃぶ台を挟んで座っていた。室内は壁に掛けられた時計の秒針の音だけが鳴る静寂に包まれていた。すると夕立が時雨に尋ねた。

「時雨。電ちゃんの事……」

「……わかってるよ夕立」

その言葉を聞いた夕立は声を張り上げて言った。

「じゃあ何で―――」

「僕たちにどうにか出来ることじゃないだろ!!」

「っ!」

時雨もまた、夕立の言葉に対して声を張り上げ言い返した。

「電の身体を治すことは、深海提督でも無理なんだよ!なら僕たちに出来る事なんて何にもないじゃないか!」

「………」

「あっ…ごめんよ夕立。いきなり声上げて」

「ううん。夕立も、ちょっと軽率だったっぽい」

そして再び、室内が静寂に包まれた。そしてそのまま時間が過ぎた時だった。唐突にドアをノックする音が室内に響いた。

「ん?だ、誰だろう」

「僕が出てくるよ」

時雨はそう言ってドアを開けた。するとドアの向こうには――――

「おっ!久しぶりだね時雨姉ぇ!」

「す、涼風!?」

「し、時雨姉ぇ…久しぶり」

「山風!」

涼風と山風の2人が立っていた。部屋の中で時雨の声を聴いた夕立は急いで扉へ向かった。時雨の隣からひょこりと顔を覗かせた夕立を見て涼風はニッと笑って言った。

「夕立姉ぇも元気そうで良かった!」

「夕立姉ぇ。久しぶり…」

「涼風に山風!元気だったっぽい!?」

「勿論さぁ!この通り元気いっぱいでい!」

「うん。私も、深海提督に良くしてもらってるから、大丈夫」

「良かった。2人共…」

時雨はうっすらと目に涙を浮かべたが、すぐにそれを拭きとった。すると廊下に誰かが駆けてくる音がした。その音に気づいた4人が音のする方に顔を向けると、秋雨が走ってきているのが見えた。

「時雨さーん!夕立さーん!」

走ってくる秋雨を見た山風は、ビクッとして涼風の裏に隠れた。涼風は、ちょっ!と驚くが山風にとってはいつもの事なので数秒後には気にしていなかった。

「秋雨ちゃん。どうしたのそんなに慌てて?」

「はぁ…はぁ…」

部屋の前まで来た秋雨は息を整えると、笑顔を作って言った。

「い、電さんが、目を覚ましたんです!」

「「本当かい!?」っぽい!?」

それを聞いた時雨と夕立は、扉を思い切り開けた。

「ギャッ!」

そして扉は涼風の顔面に直撃し、涼風は両手で顔を必死に抑えていた。

 

あ……

 

涼風以外の全員が口を揃えて呟いた。

 

それからしばらく時間が経ち、時雨と夕立は深海の部屋。もとい、旧執務室にいた。時雨と夕立の2人は、目を覚ました電とハグしあって喜び合っていた。

「大丈夫そうで安心したよ電!」

「ご心配をお掛けしてごめんなさいなのです。時雨さん」

「心配し過ぎて昨日寝れなかったんだから!」

「夕立さんも、本当にごめんなさいです」

「夕立、嘘はよくないよ?昨日1番寝てたの君じゃないか」

「ぽ、ぽい!?」

「寝言がバッチリ聞こえてたよ?夕立、こんな大きなパフェ食べれないっぽい~って」

「あははは!夕立さんらしいですね!」

「全くだよ…あはは!」

「もう!2人とも笑い過ぎっぽい!……プッ、あははは!」

そして3人は笑いあった。その穏やかな時間を、3人は心の底から楽しんでいた。3人の笑顔を見ていた深海は、口元に少しだけ笑みを浮かべたが隣で今にも飛び込んでしまいそうな空母水鬼を見て慌てて彼女を制止するのだった。空母水鬼は子どもの様に頬を膨らませて残念がっていたが、深海は気にせず目の前で笑う3人に声を掛けた。

「あー…盛り上がってるところ悪いんだが、少しいいか?」

「あっ!ご、ごめんなさいなのです深海提督さん」

「あはは…ついはしゃいじゃったよ」

「深海提督さんに声をかけられたら、はしゃいでたのがちょっと恥ずかしいっぽい…」

深海は、気にすることはない。と言うと、一呼吸おいて話し始めた。

「電。今から俺の言うことは、お前のここでの生活についてだ。2人も聞いてくれ」

3人はそれぞれ、首を縦に振って答えた。

「まず電が寝泊まりと基本的な生活をする部屋だが、この部屋に隣接してるあの部屋を使ってくれ。俺の個人的な寝室だ」

深海は旧執務室にある入り口とは別の部屋を指さした。電は、はい!とハッキリと答えた。

「そしてこの部屋から出る時は、俺の母さんを呼ぶように。これは絶対守ってくれ。いいな?寝る時と入浴の時も、母さんと一緒にいてくれ。流石に俺がいるのは不味いからな。それでいいよな?母さん」

「深海と寝れないのは残念だけど…深海の頼みだもの、私に任せて」

「サラッと怖いこと言わないでくれよ……あと、出来るだけ電を夜更かしさせないでくれよ」

「わかってるわよ」

「それじゃあ、この鎮守府を案内する。ついてきてくれ」

そう言って深海は部屋を出て行き、電たちも後に続いた。

 

深海は本庁舎から外に出ると、まず庁舎の東を指さした。

「あそこが旧艦娘寮。説明は……まあいらないか」

「うん。大丈夫っぽい!」

「電。僕と夕立の部屋は107号室だから。覚えておいて」

「なのです!」

「次に行くぞ」

深海はゆっくりと歩き出していった。電たちも深海の後を追って歩いていく。海を左手に見ながら、3人はしばらく歩き大きな建物に着いた。

「ここがこの鎮守府のちょうど真ん中、旧出撃ドックだ。と言っても、もうここは風呂場としてしか機能してないけどな」

「出撃ドックと入渠ドックが隣接していた。ってこと?」

「まあ、そんなところだ。中には間宮の甘味処と食堂もある。お代はかからないから自由に使ってくれ」

「お金無しで間宮のスイーツが食べれるっぽい!?ふはぁー!まるで天国っぽい~」

「夕立、お前だけお代有りにしてもいいんだぞ?」

「夕立、全力で自重させてもらうっぽい!」

ならよし。と深海は言って、その奥に見える山に沿って並ぶレンガ造りの建物を指さした。

「あっちの倉庫と工廠には行っても意味ないぞ。もう使ってないし、埃まみれになってるかもな」

「ほ、埃まみれの所には行きたくないのです…」

「そうしておけ。と、あれが最後の建物だ」

そして深海が最後に訪れた建物。その建物は旧艦娘寮と旧出撃ドック、本庁舎の丁度中間の場所に位置する半円の屋根を持つ建物だった。

「うわぁーおっきぃー!」

「深海提督。ここは体育館か何かなの?」

「まあ、そんな所だ。中に入るぞ」

深海はその体育館のような建物の入り口の扉を開けて、中に入った。そしてそこには―――

「わあー!人がいっぱいいるっぽい!」

大勢の人間の姿があった。

「皆ガンプラを持ってる…深海提督、これって……」

「ああ。俺の話を聞いて、集まってくれた奴らだ。お前たちも知ってるだろうが、暁に響や月華団のメンバー、加賀たちもいる。会ったら挨拶しておけ」

「深海提督さん。という事は……」

深海はコクリと頷き、言った。

吹雪たち(奴ら)が行動を起こすまで、ここで戦力強化を図る!」

 

続く

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