艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
「早速だが、この施設について教える。まずこの施設は、4つの区画に分類してある」
そう言って深海は入り口近くにあった簡易的な地図を電たちに見せた。深海はまず地図の右上。電たちのいる場所から右奥に当たる場所を指さした。
「このエリアは対人戦専用のバトルエリアだ。ガンプラが壊れないようにダメージレベルはCに固定してあるから、好きなだけ腕を磨け」
「いろんな人とのバトル。楽しみっぽい!」
深海はそのまま地図の左上へ指を動かした。
「こっちは対CPU戦専用のバトルエリアだ。通常のバトルから、難易度の異なるミッション、ある程度なら自作のミッションも出来るようにしてある。通常のミッションの方にはパーツデータの報酬もある。まあ、いろいろ試すといい」
「いろんな状況に慣れることも大切だもんね」
深海は指をそのまま左下へと降ろした。
「ここは製作ブースだ、大それた説明はいらないだろう。ある程度の設備は揃ってるが、乱雑に使うことは許さんからな」
「電たちは乱雑に使ったりしないのです!」
そして深海は最後のエリアを指さした。
「ここが射出成形機とガンプラショップのエリアになる。品揃えの方は保証できるから安心しろ。それと射出成形機についてだが―――」
「あ!深海提督、帰ってらしたんですね!」
深海が少し口篭もりしそうになった時、入り口から少し緑がかった銀髪をセミロングのポニーテールにした、へそ出し半袖の黒いセーラー服にオレンジのリボンと緑のミニスカートを着て白のハーフブーツを履いた橙色の眼をした少女が入ってきた。
「ああ。そっちの方はどうだ?夕張」
「ええ!明石と2人でやってますから、もう少しで完成しますよ!」
夕張と呼ばれた少女は元気よく答えた。
「助かる。夕張、ここに来たという事は…」
「あ、はい!射出成形機の調子を見に来たんです」
「なら丁度良い。この3人に成形機の事を教えてやってくれ」
「こんにちはなのです!」「こんにちは夕張さん」「こんにちはっぽい!」
「電ちゃんに時雨ちゃん、夕立ちゃんね。話は聞いてるわ!しばらくの間、よろしくね!それじゃ、射出成形機を見に行きましょうか!」
そう言った夕張はスタスタと射出成形機のあるエリアへと歩いていった。どういう意味なのか、夕張はかなり嬉しそうに足早に歩いていった。やがて、5人は射出成形機の前まで来た。そこにあった射出成形機は「ガンダムビルドダイバーズ」に登場していた物とほぼ瓜二つだった。
「す、凄い…ビルドダイバーズにあった物とそっくりだ。なんか、右横に変わった台があるけど…」
「ここまで再現するの大変だったんだよね~と、説明しなくちゃね。この機械は、対CPU戦のミッションで手に入れたパーツデータから、パーツを成形するの!ここら辺はまあ普通なんだけど、私と明石が作ったこの射出成形機は特別な性能を持たせてあるの!」
「と、特別な性能なのです?」
「ふっふっふ…それはね……」
夕張は得意げな表情を作って言った。
「ある程度なら、自分で考えたオリジナルパーツを成形できるの!」
「ええ!?」
「相変わらず、こういう時は得意げだな」
「当り前じゃないですか!これにしかない機能なんですよ!」
「あ、あの~」
得意げに話す夕張とそれをからかう深海。するとそこに背の高い肩の露出した巫女風の着物に赤いミニスカートとロングブーツを履き、腰まで伸びる灰色がかった黒髪ロングの女性が声をかけてきた。
「あ、榛名さん。射出成形機、お使いになりますか?」
夕張に声を掛けた女性は、金剛四姉妹の三女である榛名だった。
「はい!あの、このパーツって成形出来ますか?」
夕張に対しスケッチブックを見せる榛名。そのスケッチブックをジィ~、と凝視する夕張。2人の間にしばらくの静寂があったが、やがて夕張が右手でオッケーサインを作ってニッと笑ってみせた。
「なるほど!狙撃用のスコープですね!やってみましょう!」
「はい!お願いします!」
夕張は榛名からそのスケッチブックを受け取ると、射出成形機の右手にある台の上にそれを置いた。すると、緑色の光がスケッチブックの表面を何周も往復した。すると夕張は、だけど注意して。と言って話し始めた。
「自分オリジナルのパーツは成形に時間がかかるし、それに成形に必要な形状データ…つまりスケッチがしっかり出来てないと正確には作れないから注意して。あと、オリジナルパーツを成形したいときは、私か明石を呼んでね」
夕張は成形機の隣にある赤色の「呼び出し」と書かれたボタンを指さしていった。
「はい!しっかり覚えておくのです!」
電はコクリと頷いた。すると夕立が何かを思い出したのか声をあげた。
「あ!榛名さんに挨拶するの忘れてたっぽい!こんにちはっぽい!」
「え?あ、ごめんなさい。榛名の方こそ、挨拶が遅れました!こんにちは電ちゃん、時雨ちゃん、夕立ちゃん」
夕立の元気いっぱいの挨拶に精一杯の言葉で挨拶を返す榛名。
「うん。こんにちは榛名さん!」
「こんにちはなのです!」
それに続いて挨拶を返す電と時雨。
「お話は出来ませんでしたけど、地区予選の時ぶりですね!」
「そうだね。榛名さんが居るってことは…」
「はい!金剛お姉さまに比叡お姉さま、霧島もみんなここに来ています!」
「それは凄いっぽい!」
「おーい榛名ー」
すると今度は榛名の名前を呼びながら、榛名と同じ巫女風の服を着て袴風のチェック柄の緑のミニスカートの上から茶色の帯を締めた茶色のショートヘアーの女性が走ってきて―――
「金剛お姉さまが呼んでますょ―――だあっ!!」
盛大のこけた。
「ひ、比叡お姉さま!」
榛名は慌てて、こけた女性もとい姉の比叡に駆け寄った。比叡はこけた拍子に顔面を床に強打した様で、顔面を手で抑えながらよろよろと起き上がった。
「ひえぇ……」
「慌てて走るからですよ、大丈夫ですか?比叡お姉さま」
「ううう……結構、痛い―――」
「比叡!さっき盛大にこけてましたガ、大丈夫デスカ?」
そして比叡の後ろから今度は金剛がゆっくり歩いてやってきた。
「はい!こんなのかすり傷です!!」
すると比叡はスクッと立ち上がって、真っ赤になった顔面のままニッと笑ってみせた。
(さっきまでめっちゃ痛がってたじゃねえか…)
「比叡お姉さまは走るとこける確率50%なんですから、気を付けてくださいね!」
「う…頭のいい霧島に言われると説得力あり過ぎ…」
そして金剛の後ろから黒髪のボブカットに、巫女服風の服を着用し藍色のスカートを穿いたフレームが緑色の楕円型の眼鏡を掛けている女性、霧島が眼鏡をクイッと上げながら言った。
(走ると半分の確率でこけるって…とっても大変そうなのです!)
(五月雨といい勝負してるっぽい!)
(いや、五月雨の方がもっとこけてた気がするけど…)
と、電たちは4人に聞こえない声でコソコソと話していた。
「Hey!時雨ぇー久しぶりネー!」
「うん!久しぶりだね金剛さん」
「地区予選以来ですね。お久しぶりなのです!」
「久しぶりっぽい!」
金剛との再会を喜び合う電たち、すると霧島が電の姿を見て驚いていた。
「深海指令から聞いてましたけど、まさか本当に髪も肌も真っ白だとは…」
「はい…榛名もびっくりしました」
「まあ、俺か俺の母さんが一緒に付いて回るから心配はするな」
「いてて…そ、それなら金剛お姉さまに被害は及ばないですね!私、安心しました!」
少しだけ暗い雰囲気になるその場だったが、金剛は電の頭にポンと手を置いて優しく撫でた。
「No problem!きっと大丈夫、何とかなる筈デース!」
「こ、金剛さん…」
電は頭を撫でられながら、少しだけ目に涙を溜めていた。すると、射出成型機から「ピー!」という音が鳴った。
「榛名さん!パーツの成形終わりましたよ!はい、どうぞ」
「はい、ありがとうございます!」
夕張は榛名に真ん中で分割されたスナイパーライフルのスコープの様な形状をしたパーツがくっついた灰色のランナーとスケッチブックを渡した。榛名はペコリと頭を下げて感謝した。そしてそのパーツを見た時雨が言った。
「榛名さんも狙撃が主体のガンプラを使ってるの?」
「ええ!榛名のガンプラ「ガンダムEz-AS」は近、中、遠どの距離でも攻撃が出来る射撃戦が持ち味なんです!」
「榛名の狙撃はとっても頼りになるのデース!」
「ええ!!お、お姉さま~比叡の「ガーディーフォビドゥンガンダム」だってお姉さまの力になれるのに~!」
「はいはい、そこまでですよ比叡お姉さま。榛名のパーツも出来たんですし、製作ブースに行きますよ」
「ええ~まだ私の話、終わってないのにぃー!」
(いや歩きながら話せばいいだろ…)
深海がそう思った時には既に金剛四姉妹はその場を離れていた。
「やっぱり仲いいですよね。金剛さんたち」
「………ああ」
深海と夕張がそんな会話をしていると、今度はCPU戦エリアから加賀と瑞鶴、赤城が歩いてきた。
「あら、電たちじゃない!貴女たちも来たんだ」
「あ、加賀さんに瑞鶴さん、赤城さんも。こんにちは、久しぶりだね」
「そうね。久しぶりね時雨、電、夕立」
「私は初めましてかしら?百年記高校ガンプラ部の部長をやっている赤城よ。これからよろしくね。電さん、時雨さん、夕立さん」
「こちらこそ、よろしくお願いするっぽい!」
「よろしくお願いしますなのです!」
「よろしくお願いするよ赤城さん」
笑顔で自己紹介する赤城に、電たちも笑ってそれに答えた。すると加賀が夕張に尋ねた。
「夕張さん。さっきミッションで手に入れたパーツを成形したのだけど、いいかしら?」
「あ、はい!どうぞ!」
「ありがとう」
そう言って加賀はGPベースを取り出すと、それを射出成形機の上にセットしパーツが出てくる場所の隣にあるパネルを操作した。「ピコン!」という音が鳴り、射出成形機が動き出す。しばらくすると、射出成形機から長い砲身を持つビームキャノンのパーツが付いたランナーが3つ出て来た。加賀はそのランナーを取り眺めていた。
「加賀さん、同じパーツを3つも作ってどうするの?」
その光景を見た時雨が不思議に思って尋ねた。
「飛龍と蒼龍に頼まれたのよ。ビームキャノンを3つ用意してほしいって」
「ビームキャノン3つ……きっととっても強い後方支援機体が出来るっぽい!」
「後方支援…その点においては合っていると思うわ。じゃあ私は2人にこれを渡しに行ってくるわ」
そう言って加賀は建物を出て行った。それを見送った瑞鶴は電に振り返ると、突然頭を下げた。
「電。この前は疑ってごめん」
「え!?ず、瑞鶴さん。いきなりどうしたのです!?」
瑞鶴は顔を上げると言った。
「私たちが大会を棄権した次の日の事よ。電は私たちを助けようとしてくれたのに私ったら、黒フードの仲間かもしれない。なんて言ってしまったんだもん」
「あ……」
「だから、ちゃんと謝っておきたかったの…ごめんなさい」
瑞鶴はもう1度、電に頭を下げた。電はそんな瑞鶴を見てあたふたとしていた。
「はわわ!!ず、瑞鶴さん!あ、頭を上げてくださいなのです!」
しかし瑞鶴は依然として頭を上げようとしなかった。電は更に慌て―――
「い、電も、いきなり変なこと聞いちゃったのです!い、電の方こそ、ご、ごめんなさいなのです!」
と言って頭を下げた。
「おいおい……2人して頭下げてどうするんだよ」
「「え?」」
深海の言葉に頭を下げたまま深海に顔を向ける電と瑞鶴。2人は互いに、驚きと困惑の混じった様な表情をしていた。それを見て夕立が笑った。
「あはは!電ちゃん変な顔!」
「た、確かに…ふふっ……」
「ゆ、夕立さん!時雨さんも、や、やめてください!」
「プッ…ず、瑞鶴さんも変な顔…」
「あ、ちょ!あ、赤城さん!」
赤城が小さく笑ったのを見た瑞鶴は赤面しながら慌てて顔を上げた。
(こんな楽しそうなこいつらを見たのは久しぶりだな…)
深海はその光景を見て、心の底で小さく笑っていた。
続く