艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
電の返答に思わず疑問の声をあげる綾波。しかし疑問に思ったのは、綾波だけではなくその場に居た時雨や夕立、陽炎と不知火も同じだった。
「い、電。暁たちに会いたくないってどういうことなの?」
陽炎が思わず電に切りだした。電はしばらく黙り込んでいたが、やがて必死に作ったような引きつった笑顔で陽炎に答えた。
「電は、本当の姉妹じゃない…のですっ」
そして電はその場から走り去ってしまった。時雨が電の名前を呼んで呼び止めようとしたが、電は振り返ることなく走って行ってしまった。
「…俺が追う。お前たちは、好きに行動していろ」
「深海提督!」
深海は速足で電を追ってその場を後にした。
「行っちゃった…」
「ね、ねえ、電が言ってたさっきの言葉。あれってどういう―――」
「陽炎。普段から笑顔の電さんがあんな引きつった笑顔をしたんです。きっと、辛いことがあったんでしょう。私たちが無理に聞くことは、やめた方がいいですよ」
「……そうね」
「電さん…」
陽炎たちと別れた時雨と夕立は、そのまましばらく対人戦専用エリアを歩いていた。すると、バトルの終了した台から、川内とヲ級、そしてオレンジと白のノースリーブシャツと白地に黒の三角線が入ったスカートを穿いた前髪の跳ねた長い茶髪に緑のリボンを巻いた髪と同じ色をした少女が出て来た。
「あ、川内さんに神通さんだ!」
「対戦相手は…あ、リ級さんたち―――」
「だぁー!!夜戦なのに負けたぁー!」
時雨がリ級たちに声を掛けようとした瞬間、川内が頭を抱えながら叫んだ。どうやら、先程のバトルはヲ級が勝利したようである。
「あんな単純な攻め方では、負けてしまいますよ川内姉さん」
「ハイパージャマーに頼り過ぎの部分があるみたいだな。神通の言う通り、基礎戦闘力を上げた方がいいんじゃないか?」
「う…観戦してたリ級にまで言われるとちょっとへこむ…」
そして川内はガクリと項垂れた。すると、対戦相手だったヲ級が川内に近づいて言った。
「川内!さっきのバトルでその機体の弱点を見つけたヲ!今から一緒に、直しに行くヲ!」
「え?ちょっ!」
そう言ったヲ級は川内の手を引いて、そのまま製作ブースへ向かって走って行ってしまった。その2人を残された神通とリ級、ル級が眺めていた。
「リ級さん、ル級さん、神通さん!こんにちはっぽい!」
「時雨ちゃん、夕立ちゃん。こんにちは」
「おお、時雨に夕立じゃないか。こんなところで会うとはな」
「久しぶり…と言っても数日ぶり程度か」
「リ級さんたちも来ていたんだね。深海提督に声を掛けられたの?」
「まあそんなところだ。そう言えば、神通。お前もそうなのか?」
「そうですね。川内姉さんが声を掛けられたみたいで、私は姉さんの機体の整備を手伝おうと思いまして…那珂ちゃんはアイドルの試験があるから、来れなかったみたいね」
「そうだったんですね…」
すると、リ級がヲ級が走っていった方を向いて思わず呟いた。
「それにしてもヲ級の奴、随分と変わったものだ」
「ああ。私としても、少し嬉しい事だ。何もかも、加賀と深海のおかげだな」
「本当なら、直接あってお礼を言いたいが…時雨、知らないか?」
「あ、さっきまで一緒に居たんだけど…電がどっか行っちゃって、それを追いかけていったよ」
「そうか…ありがとう。じゃあ、また後でな」
「うん」
そう言ってリ級とル級はその場を後にした。
「じゃあ私も川内姉さんを追いますね」
「うん。じゃあね神通さん」
そして神通も製作ブースの方へと歩いていった。すると神通とすれ違いながら伊勢と日向が歩いてきた。
「あ、伊勢さん日向さん!」
「おお、時雨に夕立じゃないか。お前たちもここに来ていたんだな」
「伊勢さんと日向さんも深海提督に声を掛けられたっぽい?」
「まあね!2回戦で負けた私たちにも声をかけてくれるとは思わなかったけどね」
「これも瑞雲への信仰のおかげだな…」
「そ、そうなんだ(それはたぶん、日向さんだけだと思うよ…)」「ぽ、ぽい…」
時雨と夕立は苦笑いをするしか出来なかった。
「さて、行くとしよう伊勢。もっと瑞雲を広めるぞ」
「そうね!じゃあ、またね!」
「う、うん」
そう言って伊勢と日向は去っていった。
「嵐のように去っていったっぽい…」
「そ、そうだね…」
2人は完全に呆気取られていた。すると伊勢と日向とすれ違いながら、肩が露出した紅白の巫女風の桜吹雪の入った着物に京和傘のような金糸模様が施されている赤いスカートを着用した腰まで在る黒髪ロングに緋色の目をした背の高い女性と、その女性と同じ服装をした軽いウェーブのかかった黒いボブカットの髪に緋色の目をした女性が歩いてきた。そしてその2人に気づいた時雨は、それぞれの名前を呼びながら走っていった。
「扶桑ぉー!山城ぉー!」
「時雨!久しぶりね」
「元気そうね時雨。また一緒に戦えるなんて、私は嬉しいわ」
「僕もだよ!2人とまた一緒に戦えるなんて…思ってもみなかったよ!」
するとようやく、夕立が時雨に追いついてきた。
「時雨ぇ…ちょっとはしゃぎ過ぎじゃないっぽい?」
「ああ…ごめんよ夕立。僕としたことが…ついはしゃいじゃったよ」
「あはは…時雨ってばこういう所も変わってないわね」
「そうねぇ、嬉しいときはすぐにはしゃいでしまっていたものね」
「う……ちょっと、恥ずかしいな」
時雨は少しだけ俯いて顔を赤くしていた。それを見て扶桑は優しい笑みを浮かべ、時雨の頭を撫でた。
「でも、あの頃と変わっていないことは嬉しい事よ…ありがとうね時雨」
「扶桑…」
「そんな暗い顔しない!シャキッとしないと勝ちが逃げてしまうわよ!」
「…うん!ありがとう山城!」
「それじゃあ、私たちは行くわね。また後で会いましょ」
「うん!またね扶桑、山城!」
そう言って扶桑と山城は歩いていった。すると、夕立のお腹が「グルルルゥ~」と鳴った。
「時雨ぇ、夕立お腹すいたっぽい~」
「そう?なら、深海提督の言ってた食堂に行く?」
「行くっぽーい!」
そう言って夕立は出口目指して走っていった。それを見た時雨が慌てて後を追いかけていったが、入り口近くですぐに追いついてしまった。
「夕立?どうしたの、いきなり止まって」
「時雨…あそこ……」
夕立が入り口の所を指さした。時雨が指さした方に目を向けるとそこには――――
「い、電…」
暁たちと対峙する電と深海の姿があった。
続く