艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
少しだけ時間は遡る。
足早に去っていった電にやがて深海は追いついた。そして深海は電に声を掛けた。
「電。何処へ行くんだ?」
「深海提督さん…」
「お前の言いたいことはわかる。お前はあそこ…研究所で生まれた電だから、今いる暁たちの本当の姉妹じゃない。そうだろ?」
「………」
黙り込んだしまった電に深海は一言、図星か。と言った。そして―――
「なら、行くぞ」
「え?はわっ!」
電の手を引いて歩き出した。足早に歩みを進める深海に引っ張られる電は、少し声を荒げて言った。
「離してください深海提督!電は―――」
「駄目だ。そんな未練を持ったまま、作戦に参加される方が迷惑だ」
「迷惑って!なら電を作戦からはず―――」
「それも駄目だ。お前は俺たちの貴重な戦力だ、無駄には出来ん」
「なら―――」
電は咄嗟に深海から手を放し、叫んだ。
「なら何で電を―――」
「いつまで逃げるつもりだ?」
しかしその叫びを深海が遮った。その言葉を聞いた電は肩をビクつかせ、口を噤んでしまった。深海は更に続ける。
「今のお前は目の前の恐怖から逃げようとしているだけだ」
「っ!?」
「その恐怖に打ち勝たない限り、お前は永遠に前へは進めない。その恐怖を抱えて後悔したまま、自分が消えていくのを待つだけだ…」
「………」
「自分が消えてしまったら、もう謝れない。残された者たちに罪滅ぼしも出来ない。お前はそれで良いのか?」
深海は黙り込む電をよそに言った。
「それが嫌なら、俺の手を握り返してみせろ」
そう言って深海は左手を前へ差し出した。
「………っ」
電は恐る恐る右手を前へ伸ばしていった。やがてその手は深海の手に触れ、ゆっくりと握りしめた。そして深海はその手をギュッと握り返す。
「よくやったな電」
「……電は」
「ん?」
「電は、ちゃんと暁ちゃんたちとお話…出来るのかな」
「それはお前次第だな………もっとも…あいつらはきっとお前を姉妹だと思ってるだろうがな」
「え?深海提督さん、何か言いましたか?」
「何でもない。さ、行くぞ」
深海に連れられて歩き出す電。電の心中は未だに少し曇ってはいたが、それでもほんの少しの勇気が湧いていた。そしてそれは、すぐに訪れた。
「あ、電じゃない!やっと来たのね!」
「やあ電。随分と遅かったみたいだね」
「まったく!一人前のレディである暁を待たせるなんて、困った妹だわ!」
「あ――」
建物の玄関で、入ってきた暁たちとバッタリ鉢合わせたのだ。電は驚くあまり、つい黙り込んでしまった。すると雷が、電が元気のない事に気づき声を掛けた。
「どうしたの電?元気ないわね」
「い、雷ちゃん…」
「もう!前に言ったでしょ?そんなんじゃダメよって!」
「そうよ電!雷の言う通り、いつも笑顔でいなきゃレディ失格よ?」
「あ、暁ちゃん…」
「………」
暁と雷が電をいつも通りの調子で話しかけたが、響だけは何も言わず電を見つめていた。そして横目で深海を見た。すると深海は小さく頷いた。それを見た響はゆっくりと電に歩み寄っていった。
「電。知ってしまったんだね」
「「え?」」
響の言葉に驚きの声をあげる暁と雷。そして電は――――
「うん」
と頷いた。響は一言、そっか。と言い電を見つめたまま黙り込んでしまった。
「ひ、響……」
「そ、そんなこと、あ、ある訳ないじゃない!電とは、戦時中からずっと一緒に―――」
雷が暗くなった周囲をどうにか明るくしようと声を張り上げるが、しかし―――
「雷ちゃん」
「っ!」
「もう、いいのです…電…電は……」
全てを知ってしまった電にとって、その行為は意味を成さなかった。そして―――
全部、話そう
響がそう、静かに告げたのだった。
続く