艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP80 集いし者たち(後編)

少しだけ時間は遡る。

 

足早に去っていった電にやがて深海は追いついた。そして深海は電に声を掛けた。

「電。何処へ行くんだ?」

「深海提督さん…」

「お前の言いたいことはわかる。お前はあそこ…研究所で生まれた電だから、今いる暁たちの本当の姉妹じゃない。そうだろ?」

「………」

黙り込んだしまった電に深海は一言、図星か。と言った。そして―――

「なら、行くぞ」

「え?はわっ!」

電の手を引いて歩き出した。足早に歩みを進める深海に引っ張られる電は、少し声を荒げて言った。

「離してください深海提督!電は―――」

「駄目だ。そんな未練を持ったまま、作戦に参加される方が迷惑だ」

「迷惑って!なら電を作戦からはず―――」

「それも駄目だ。お前は俺たちの貴重な戦力だ、無駄には出来ん」

「なら―――」

電は咄嗟に深海から手を放し、叫んだ。

「なら何で電を―――」

「いつまで逃げるつもりだ?」

しかしその叫びを深海が遮った。その言葉を聞いた電は肩をビクつかせ、口を噤んでしまった。深海は更に続ける。

「今のお前は目の前の恐怖から逃げようとしているだけだ」

「っ!?」

「その恐怖に打ち勝たない限り、お前は永遠に前へは進めない。その恐怖を抱えて後悔したまま、自分が消えていくのを待つだけだ…」

「………」

「自分が消えてしまったら、もう謝れない。残された者たちに罪滅ぼしも出来ない。お前はそれで良いのか?」

深海は黙り込む電をよそに言った。

「それが嫌なら、俺の手を握り返してみせろ」

そう言って深海は左手を前へ差し出した。

「………っ」

電は恐る恐る右手を前へ伸ばしていった。やがてその手は深海の手に触れ、ゆっくりと握りしめた。そして深海はその手をギュッと握り返す。

「よくやったな電」

「……電は」

「ん?」

「電は、ちゃんと暁ちゃんたちとお話…出来るのかな」

「それはお前次第だな………もっとも…あいつらはきっとお前を姉妹だと思ってるだろうがな」

「え?深海提督さん、何か言いましたか?」

「何でもない。さ、行くぞ」

深海に連れられて歩き出す電。電の心中は未だに少し曇ってはいたが、それでもほんの少しの勇気が湧いていた。そしてそれは、すぐに訪れた。

「あ、電じゃない!やっと来たのね!」

「やあ電。随分と遅かったみたいだね」

「まったく!一人前のレディである暁を待たせるなんて、困った妹だわ!」

「あ――」

建物の玄関で、入ってきた暁たちとバッタリ鉢合わせたのだ。電は驚くあまり、つい黙り込んでしまった。すると雷が、電が元気のない事に気づき声を掛けた。

「どうしたの電?元気ないわね」

「い、雷ちゃん…」

「もう!前に言ったでしょ?そんなんじゃダメよって!」

「そうよ電!雷の言う通り、いつも笑顔でいなきゃレディ失格よ?」

「あ、暁ちゃん…」

「………」

暁と雷が電をいつも通りの調子で話しかけたが、響だけは何も言わず電を見つめていた。そして横目で深海を見た。すると深海は小さく頷いた。それを見た響はゆっくりと電に歩み寄っていった。

「電。知ってしまったんだね」

「「え?」」

響の言葉に驚きの声をあげる暁と雷。そして電は――――

「うん」

と頷いた。響は一言、そっか。と言い電を見つめたまま黙り込んでしまった。

「ひ、響……」

「そ、そんなこと、あ、ある訳ないじゃない!電とは、戦時中からずっと一緒に―――」

雷が暗くなった周囲をどうにか明るくしようと声を張り上げるが、しかし―――

「雷ちゃん」

「っ!」

「もう、いいのです…電…電は……」

全てを知ってしまった電にとって、その行為は意味を成さなかった。そして―――

 

 

全部、話そう

 

 

響がそう、静かに告げたのだった。

 

続く

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