艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
発進した空母水鬼のガンダムアリアスと山風のホロルドロッソ・イージス。モビルスーツ形態でも大気圏内飛行の出来るホロルドロッソ・イージスはバックパックに3本存在する大型のスタビライザーユニットと両腰のバインダーからスラスターを噴かしそのまま空中を駆けていった。
「わー!艦載機みたいに空を飛んでる!凄い凄い!よーし、なら私も―――」
そしてそれを見た空母水鬼は、自分も追いかけようとガンダムアリアスのスラスターを噴かした。しかし―――
「母さん!アリアスは空を飛べないんだ!」
「え?わぁぁー!!」
深海の忠告が空母水鬼の耳に届く頃にはガンダムアリアスは地上目掛けて真っ逆さまに落ちていってしまっていた。空母水鬼は必死に操縦桿をガチャガチャ動かすが、ガンダムアリアスは両腕と両脚をパタパタと動かしただけで、姿勢制御は全くもって出来ていなかった。
「ああー!!止まらいよぉぉー!!!」
「あ―――」
目から溢れた涙が小さな滝を作った空母水鬼。そして、後方で起こっていることにようやく気づいた山風。山風はホロルドロッソ・イージスを急旋回させると、全速力でガンダムアリアスの元へ向かった。
「もうだめだぁ…このまま地面に激突しておしまいだぁ……」
一方空母水鬼は、目前に迫った地面を前に完全に戦意を喪失してしまっていた。しかし地面に直撃する瞬間、ガンダムアリアスの両肩がグイッ!と持ち上げられた。
「あ、あれ?地面に激突してない?」
突然の事に驚きを隠せない空母水鬼。すると、ガンダムアリアスはそっと地面に着地を果たし、空母水鬼はガンダムアリアスを振り返らせた。そこには山風のホロルドロッソ・イージスがいた。
「だ、だいじょう、ぶ?」
「や……」
やばがぜぢゃぁぁーん!!!!
大泣きしながら正面モニターに映った山風に思わず飛びつこうとした空母水鬼。しかし当然、そこに山風はいないので、空母水鬼の身体はそのまま正面モニターをすり抜けて本当の地面に顔面から激突したのであった。ガァァーン!!!という音が体育館中に鳴り響いて、その場にいた全員が一斉に同じ方を向いたのは必然的だった。
(………)
そんな空母水鬼の様を見て、深海はゴミを見るような目を向けていた。
それからしばらくして、ようやく復帰した空母水鬼と山風はミッションを再開した。空母水鬼のおでこには×印状に大きな絆創膏が貼られていた。
「よっし!!頑張って、みっしょん?達成するよー!」
そんなハイテンションな空母水鬼を見て、山風も困惑していた。地上をスラスターを噴かして進むガンダムアリアスを追って、ホロルドロッソ・イージスはその少し上空を追随していった。
「今回のミッション。コンピューター制御のガンプラを20機、倒す……あ、来た」
「よーし!いっくぞー!」
2機の正面から、ザクⅡやドム、ジムにリーオー、デスアーミー、ストライクダガーにウィンダム、ドートレスとジェノアス、フラッグにGN-Xなど、ガンダム作品に登場した多種多様な量産機が迫ってきた。空母水鬼はガンダムアリアスをそのど真ん中に突っ込ませていった。しかし、簡単に接近を許す程コンピューターも甘くはないので相手の量産機群は一斉に手持ちの射撃武器を発射してきた。
「わっ!凄い弾幕……こんな弾幕経験したことないよ!でも、避けられない訳じゃない!」
空母水鬼はガンダムアリアスを高速で横移動させ、攻撃を回避した。量産機たちは、そのままガンダムアリアスを標的にし追いかけるように射撃を繰り返していった。
「当たらないもんね!」
しかし、操縦のコツを掴んだのか空母水鬼の駆るガンダムアリアスは量産機の攻撃を優雅に回避してみせた。機体を左右に逸らしたり、急加速や急減速、ハイジャンプを繰り返したりと、先程までのポンコツぶりがまるで嘘のようなマニューバで攻撃を回避してみせた。
「今度はこっちの番!」
ガンダムアリアスが右手に握ったヴァリアブルライフルを構えた。短銃身のヴァリアブルライフルは連射が効くことを深海から聞いた空母水鬼は、照準を合わせ連続で引き金を引いた。
「いっけー!」
ヴァリアブルライフルから発射された5発の光弾が、グループから突出していたストライクダガー、ジェノアス、GN-X、ドム、デナン・ゾンの胴体を撃ち抜いた。
「山風ちゃん!」
「うん―――」
そして上空からは、ベース機であるイージスガンダムから引き継いだ強襲形態に変形したホロルドロッソ・イージスがスキュラを薙ぎ払うように発射し、後方にいたザクⅡ、ガフラン、デスアーミーの3機を撃墜した。
「このまま接近戦に―――」
山風は強襲形態からモビルスーツ形態に戻ると、両腕、両脚の爪から黄色のビームサーベルを展開し、頭部の4連装バルカンを連射しながら敵集団の中へ斬り込んだ。そして、敵機とすれ違った一瞬のうちに、シャッコー、ジム、グレイズ、ドートレスの4機を斬り裂き、そのまま再び上空へとホロルドロッソ・イージスは飛び去って行った。
「凄いよ山風ちゃん!よーし、私もやってみせるよ!」
空母水鬼も負けじと武装スロットからビームサーベルを選択した。ガンダムアリアスが左手で右腰のビームサーベルを抜き放ち、相手に近づこうとスラスターを噴かした。そして、先程のホロルドロッソ・イージスの攻撃に反応して背後を向いていたリーオーに斬りかかった。
「とりゃぁー!」
背後からの攻撃で頭から真っ二つにされ爆散するリーオー。それに気づいたハイザックと、グフイグナイテッドがヒートホークとテンペストビームソードを手にガンダムアリアスに斬りかかった。
「真っ向勝負、負けないよ!」
空母水鬼はヴァリアブルライフルを投げ捨てると空いた右手にもビームサーベルを握らせ、ガンダムアリアスをハイジャンプさせ上空から斬りかかってきたグフイグナイテッドに飛びかかった。先に攻撃をしたのはグフイグナイテッドでテンペストビームソードを右上段から斬り降ろしてきた。
「こっこだぁー!」
しかし空母水鬼はそこで先程まで噴かしていたスラスターを止め、その場で自由落下を始めた。グフイグナイテッドのテンペストビームソードは空を斬っただけで、ガンダムアリアスはそのまま体の向きを地上方向へ向けると、頭部バルカンとマシンキャノンをハイザックに向け発射した。咄嗟にシールドを構えたハイザックだったが、ガンダムアリアスとすれ違った瞬間―――
「とぉー!」
ハイザックはX字状に斬り裂かれていた。そしてガンダムアリアスは見事な着地を果たした。しかし、背後から先程のグフイグナイテッドが向かってきていた。
「これはどう!」
しかしガンダムアリアスはその場で背後に向き直りながら、右手のビームサーベルをグフイグナイテッドに投擲した。ビームサーベルは直進してきたグフイグナイテッドに突き刺さり、空母水鬼はそこへ頭部バルカンとマシンキャノンで追撃をかけグフイグナイテッドを撃墜した。
「よっし!」
空母水鬼がグッとガッツポーズをとったその時、上空に深紅の閃光が走った。
「山風ちゃん!」
山風のホロルドロッソ・イージスが高速で上空を駆けたのだ。立ちはだかったのはウィンダム、フラッグ、GN-XⅢ、カットシー、アンクシャの5機だったが、ホロルドロッソ・イージスはビームサーベルを展開して一気に距離を詰めていった。5機の量産機が一斉に射撃武器を発射したが、その全てを回避し零距離まで近づいたホロルドロッソ・イージスは―――
「あなたたちも…沈んでみる?」
左腕のビームサーベルでウィンダムの胴体を斬り裂き、そのまま機体を回転させカットシーを勢いのまま右脚を薙ぎ払って胴体を両断、更に回転を生かし背後にいたフラッグを右腕のビームサーベルで突き刺すと、右脚でフラッグを蹴り飛ばすとそのままバック転、右脚から出力されたビームサーベルでアンクシャを頭から真っ二つにした。そしてバック転の状態から強襲形態に変形し、GN-XⅢに組み付き―――
「これで終わり」
スキュラを零距離で発射、GN-XⅢを撃ち抜くとモビルスーツ形態に戻ったホロルドロッソ・イージスは、GN-XⅢの爆炎を眺めていた。
「Battle Ended! Mission Completes!」
20機の量産機を撃墜し、ミッション内容を完遂した空母水鬼と山風。プラフスキー粒子が消え、操縦スペースが消えると山風は、ふぅ。と小さく息を吐いた。すると―――
「山風ちゃぁーん!!」
「わあっ!」
空母水鬼が初ミッションクリアの嬉しさのあまり、山風に抱き着いた。
「すっごいよ山風ちゃん!早すぎてよくわからなかったけど、シュパッ!シュパパッ!って相手を倒したときなんか凄すぎだよ!あんな動きが出来るなんて、本当にすごいよ山風ちゃん!!」
「す、水鬼?」
「あんなに強いんだもん!誰も「いらない」なんていう訳ないよ!もぉー山風ちゃんは嘘つきなんだからー!」
「そ、そんな…お、大袈裟だよ…水鬼」
「大袈裟なんかじゃないよ!ホントに私、すっっっごく感動したんだから!」
「っ!!」
感動した
その言葉を聞いた時、山風の心臓が大きく音をたてた。「いらない」と言われた時に起こる激しくて長いものとは違う、大きくて力強く、そして胸の奥が熱くなるたった1回の心臓の鼓動だった。
「それじゃあ次のバトルに行こうよ!山風ちゃん、いいでしょ?」
空母水鬼が山風に向かって聞いた。すると山風は―――
うんっ
空母水鬼の顔を見てニコリと笑い、頷いた。
続く