ワンピースの世界をはったりで乗り切る 作:にーと
俺はコンビニでバイトしてオナッて寝るだけのクソみたいなおっさんだった。だが、ふとした瞬間ワンピースの世界に転生した。俺の両親はふつうの農民だった。この世界特有の長身とかパワーとかはない。海賊に興味もない。俺もふつうに育てば田舎のおっさんとしてオナッて寝るだけの生活になるだろう。
だが、俺はもうオナニーには飽きていたんだ。この拳で戦い、女にキャーキャー言われて、うほほーいな冒険がしたい。だから俺は自分の体を鍛えることにした。この世界では強さがなければうほほーいなんてできない。でも逆に言えば、鍛えさえすれば人間としての限界をいくつも超えることができ、無双してモテモテも余裕。
俺はそう思って毎日トレーニングを頑張った。朝の水汲み、草抜き。父母の農作業をできるだけ手伝う。森の蛇と戦う。夜中まで棒の素振り。
そうして毎日泥まみれになりながらぐっすり眠った。15歳にもなれば俺は最強になっている。そう信じて。
15歳になった日、俺は海兵に志願した。目的はいろいろ。自分の強さの確認。海軍の訓練でさらなる力を手に入れること。世界の情報を集めること。イーストブルーに行くこと。
この時点でゴールドロジャーの処刑から8年が経っていた。そろそろ動かなければ救える女も救えない。狙いはベルメール、ノジコ、ナミの三人だ。さすがに天竜人にケンカを売ってハンコックを助けたりドフラミンゴにケンカを売ってレベッカを助けるような勇気はない。それはこの世界でも才能に恵まれた人間にしかできない偉業だ。だが、俺でもアーロンくらいになら勝てると踏んでいる。なんせ俺は15年鍛え続けたからな。この世界は努力を裏切らない。
そう思っていたが、甘くはなかった。俺は海軍本部の新兵約5000人のうち3000番目ほどの実力でしかなかった。鍛え続けていたというのに。話を聞く限り他の連中はさして鍛えていなかったというのに。
その日から、俺の地獄は始まった。訓練がとにかくきつ過ぎる。そして周りの成長が早すぎる。俺は原作に名前も出てこないモブキャラ達に抜かれ続け、いつの間にか何をやってもドベ争いになってしまった。そもそも訓練についていけず「手をぬくな!」と怒られる。殴られる。体罰は、あります! こっちは本気で鍛えてるんだよ。手を抜いたつもりはないんだよ。でも、体力が持たないんだ。限界まで頑張っても強くなれないんだ。これが優秀な血筋を持たない者の運命なのか?
俺は何度も絶望しそうになった。しかしその度「この精神的な負荷を乗り越えることで、限界を超えられる」「六式や覇気みたいな超人的な現象に到達できる」「マンガ世界ならそういう風に覚醒できるはず」そう自分に言い聞かせた。ピンチではなくチャンスだと考えた。
1年の訓練を経て、大した成果もなく初の実戦へ。俺は体力はドベ付近だが風や波の計算はできるので狙撃主として大砲を扱わせてくれた。唯一敵艦に命中させることができ、そこそこ褒められた。「体力はダメだが射撃はそこそこだな」という感じで。
その後、俺は砲撃主が定着してしまった。確かに身分相応ではある。だが、これでは強くなれない。無論、射撃の腕は戦闘に生きる。銃弾は白ひげも殺しうる。しかし、武器だけでは足りないのだ。覇気とか反射神経とか機敏さとかそういうのがいる。大砲撃ってるだけでは俺自身が強くなることはできない。アーロンに勝てない。
だからと言って、配置転換を申し出る勇気もなかった。身長3mくらいある上司が怖いし海賊との近接戦闘も怖い。だから俺は実戦では遠くから大砲を撃つだけ。その分、訓練でとにかく体を鍛えた。
そうして2年が経った。射撃の名手としてそこそこ名を上げた俺は、街を歩いていた所を海賊に囲まれてしまった。ゴツい集団だった。復讐だとか何とか。俺は手持ちのピストルで応戦したが、多勢に無勢。手足を切り裂かれ、地面に崩れ落ちた。
いやだあああああ、こんな所で死にたくないいいいい!
その思いが通じたのか、俺は生きていた。ただし両腕と両脚を失った状態で。これからどうやって生きていけばいいのか。こんな体ではセックスどころかオナニーもできない。今まで体を鍛えてきた意味もなくなってしまった。18年鍛えた筋肉がパア。俺は悲しみにくれた。もうどうしようもない。サイボークとかそんなのしかない。俺はふつうのセックスがしたかったのに。鉄の腕では女の暖かさを感じることもできないとかなんとか。
半年ほどいじけていた。そんな俺の前に、上司の少将が現れた。少将は悪魔の実を持っていた。ゼリゼリの実。食えばゼリーを自在に操れるようになるらしい。上手く行けば、手足のように操ることも。
「この実の値打ちは1億ベリー。食べるからには、もう一度戦場に出てもらうぞ。貴様にその覚悟があるか?」
「ありまあす!」
俺はうれしすぎて涙をぽろぽろ流しながら実にかぶりついた。まずかった。それから少将に何度も感謝の言葉を述べた。職業柄、俺のように手や脚を失う海兵はそこそこいるのだ。俺のように全てを失うのは稀だが、俺は五体満足でも最弱を争う弱さ。そんな俺に期待して実をくれた少将には感謝の言葉しかない。……ハーレムの夢を捨てたりはしないけど。
それから俺は病室で悪魔の実の能力を鍛えまくった。ゼリーを出す、動かす、形を変える、固める、などなど。一刻も早く、ゼリーの手足を作れるように。もう一度歩けるように。女を抱けるように。
この時の俺のやる気は今まで比ではなかった。夜通しやっても全く眠くならないほど熱中していた。無論、その後にどっと疲れが来て寝たが。しかし、やはりこの世界、やる気のある人間を見捨てなかった。俺は1週間でゼリーの手足を出し、歩けるようになった。2週間で戦えるようになった。3週間で近接戦闘が以前より強くなった。4週間で俺をバカにしてきた同期の連中を歯牙にもかけないほど強くなった。
こんな形で努力が報われるとは。怪我の功名というやつか。とかく、俺の肉体の才能があまりにもなさ過ぎた。やる気とか覚悟の違いもあるだろうけど、それにしたって成長速度が違いすぎる。ゼリーの動きはあっという間に速く強くなっていく。このまま成長し続ければ、いずれ世界最強に?
とか思ったが、俺の成長はそこでぴたりと止まった。いや、ゆるやかになったと言うべきか。完全に止まったわけではない。今まで受けた訓練の貯金分だけ強くなれたが、今後はもっと厳しい訓練をしないと強くなれない感じだ。
そこそこ強くなった俺は射撃手としての功績もあり、少佐に昇進できた。年齢の割に頭がいいのも理由の1つだろうが。地位を得たのでイースト・ブルーへの配属を願い出た。聞き入れられなかった。むしろ怒られた。「悪魔の実を食わせてもらいながら最弱の海に行こうなどと腑抜けもいい所!」などと言って。逆に荒くれ者の集うシャボンディ諸島に配属されてしまった。
酷い所だった。海賊が集まるから毎日のように戦闘があるし、天竜人が無茶苦茶してるのに見てみぬフリをしなくてはならない。奴隷を買ったり道行く女を妻にしたり。なんて羨ましい。
また、エネルがやってたような罪の意識もしんどい。天竜人は文句を言ったり頭を下げなかった人間を撃つのだが、時々その銃弾が当たらない。そして当たらなかった人は逃げる。逃げたら海兵が追わなければならない。捕まえて天竜人の前に出して、処刑されたり奴隷にされたり。これでは海兵達も共犯だ。罪の意識でしんどい。単にしんどいだけじゃなくて、実感として戦闘能力が下がっていく。訓練は休んでないし実戦は積んでいるにも関わらずだ。筋力や技術は上がるのだが、爆発力のようなものが減っていく。覇気とは言わないが闘志が削られるからだと思う。
また、この島では人攫いが横行しているのだが、海兵にはそいつらのアジトへ行って捕まえようという気概が全くない。貧乏人だからああやって暮らすしかないんだとか何とか。いや、貧乏人でも畑耕せば食っていけるがな。耕し方を知らない? 覚えればいいがな。
俺はこの状況にすごくイライラした。悶々ともしていた。だから、気付けば、能力を使って美女を作るという癖が身についてしまった。天竜人が連れていた美女もそうだが、時折同僚のかわいい女海兵も作っちゃう。そしてゼリーのぷるぷるおっぱいやお尻に顔を埋めたり、股の凹に凸やって「んぎもちいいー」とかやっちゃう。オナッて寝てた頃に逆戻りだ。これはいけない。
何かを変えなければ。そう思った俺は人攫いをボコることにした。と言ってもアジトを攻める勇気はない。女で釣って、一対一の状況でボコる。
俺の能力はゼリーを出し、操るというものだが、このゼリーはカタクリのもちのように固めたり、クラッカーのクッキーのように色を変えることができる。上手く調整すれば人間そっくりになる。実際、俺の手足はそうやって作ってるし、かつての自分の手足よりも自由に動かせている。このゼリーで、美女を作る。その中に俺が入る。そうすれば、人攫いを釣るための餌が出来上がるというわけだ。俺の身長は175cm程度なのでいかに腰の細いワンピース美女と言えど2m20cmほどの女を作ればすっぽり入る。そして2m20cm程度ならこの世界では珍しくない。行ける。
買い物帰り、俺は美女の中にいながら裏声を出す。お花がかわいいとかなんとか。
「おやおや、いけないねえ。お嬢さん」
かかった。小太りのおじさんが二匹。いや、後ろにもう一匹。
「ぶひひっ。こんな所に1人なんて、いい餌」
「な、なんですかあなた達は。大きい声出しますよ」
「遅えよ!」
「ぐっ」
後ろからガタイのいい男が突っ込んできて、ゼリーちゃんを羽交い絞めにする。無論、俺の首はそこにないのでさして苦しくない。
「うほおお。この女の胸柔らけえええ!」
「な、なんだと! 俺にも触らせろ!」
などと言って、ゼリーちゃんの全身をまさぐる男たち。個室でオナってる俺を見ているみたいだ。隙だらけだぜ。
「なっ」
「かふっ」
ゼリーちゃんの体から、本体用のゼリーの手足を出し、ナイフを持って振るう。男たちの首が切れ、血が溢れだす。その日から、人攫い殺しの謎の美女が島中で噂されるようになった。