自分はここ最近で様々な仲間たちと出会った。そう、創作仲間である。俺たちは人間としての生を終えた。そこで待ち構えていたのは幸せな天国での生活…だったはずなのだが、結局やることは生前と変わらない。自分の中にある妄想を、一つの形に仕上げる「創作活動」だ。ただ、生前と違うところは同じ夢を持つ仲間たちがたくさんいることだ。
天界の神様は、この世界でも創作活動を続ければ、創造神にしてやろう。といった。当然、俺たちがこの話に乗らないわけがなかった。自分の思いのままの世界を作れる。最高じゃないか。そんなこんなで俺はその募集要項を読み漁り、このマンションへとたどり着いた。ここでは、その募集に参加した人だけが住むことができるマンションで、四階建ての全四十室だ。俺は二階の204号室に住んでいる。以外にも参加人数は少なく、今は九人しかいない。
日曜日。マンションでの新生活にも慣れ、こういう晴れ晴れとした日は、散歩にでも行くか、部屋でごろごろしているのがオチなのだが、今日だけは違った。ある人と一緒に買い物に行こう、という話になったのだ。
ある人、とは隣の205号室に住んでるらぽわーるというネームで活動してる創作仲間だ。ちなみに自分はアリバイで通している。生前の記憶はあやふやだが、確かこの名前でやってた気がする。
部屋が隣なので、出発時間さえ決めてしまえば特に集合する必要もなく、非常に楽であった。生前も、死後も、買い物に誘われるのは慣れていないので、こういう時は何を準備すればいいのかよくわからなかった。ただ、確かに言えることはこの〝買い物の誘い〟は今回で三回目だということだ。
十時、扉を開けると同じタイミングで向こうも自室から出てきた。
「あっ!おはよう!」
「あぁ、おはよう」
若干、彼女の元気な声に気おされつつも、挨拶を返す。先程、何を準備したらいいかわからないといったが、服装に関してはその限りではなかった。今はフード付きのジャージを着ている。これは以前の買い物で、二人でおそろいの物を買った時のものだ。どうやら、彼女も着飾るのは気が乗らないらしく、買い物の時に限らず二人きりの時はよくこれを着る。
ちなみに今日の買い物では、サバゲーの装備を買いに行く予定だ。え?そこは画材とかペンタブとか買いに行くのじゃないのかって?確かに俺たちは創作の集まりではあるが、遊びを禁じられているわけではない。このマンションの近くにサバゲー会場があるのだから、やりたくなるのは仕方のないことだろう?
俺たちは、マンションを出て、道沿いに歩いていく。会場は近いのだが、店は真逆の方向にあるので少し歩かなければならなかった。歩いていると、らぽがこちらをちらちらのぞき込んでるような気がした。視線を向けると目が合った。彼女は手を差し出してこう言う。
「手、つなご?」
俺は動揺しながらもその手を取り、再び歩き始める。彼女は俺の右腕の方に体重を寄せてそのまま店まで歩いた。当の自分は、照れと恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだった。
店に着くと、様々な武器や装備が展示されていた。サバゲー用なので、当然本物はない。
「おぉ~!すごいね!」
「結構いろんなものがそろってるね。」
そういってとりあえず別々に見て回ることにした。俺は武器はそろっているので、足りない装備を補うために入って左側を、彼女は武器がないので、入って右側を見ていた。
しばらくして、装備の調達が終わった俺たちは、来週の土日について予定を話していた。
「来週の土曜日は会場空いてるっぽいけど、どうする?」
「いきたい!」
「よし、じゃあ予約しておくよ。」
「ありがとー!」
そういって再び自分の右腕に抱き着いてくる。これは彼女なりのスキンシップなのだろうか?
帰り、マンションの部屋の前で彼女がニコッとわらってこういった。
「じゃあ、また明日!」
俺は、この笑顔に心を奪われつつも、同じように笑顔で別れを告げた。