俺たち魔導師地上組 ~幼女戦記外伝~   作:浅学

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第三話 襲撃

 ヨセフグラード防衛の任を受け、シルドベリア方面軍から抽出され、対帝国戦線へと投入された将兵たち。

 彼らは帝国軍の夜間急襲に混乱の様相を呈していた。突然現れた魔導反応。反応の強度からして、高高度からの空挺降下ではないかと分析官は情報を飛ばす。

 しかし、空からやってきた魔導師は、一人。そう、たったの一人であった。用意された対空機銃の弾幕をすり抜けるように飛ぶ魔導師に翻弄され、地上はまさに混乱の極みにあった。たった一人の魔導師も落とせないのか! と響く政治将校の声は、次の瞬間には爆裂術式でかき消される。

 そして、一向に降りてこない魔導反応は、いつの間にか地上への攻撃を開始していた。空を睨み、駆けつける兵士たちは亡霊のように突然現れたその一団になすすべもなく狩られていった。地上を駆る魔導兵達の情報は、通信記録の断片的な情報から連邦軍将校にもたらされることとなる。

 唸りをあげるサイレン音に叩き起され、帝国軍急襲の報を受けて駆け付けた連邦軍将校が見たモノは、徹底的に破壊された防衛線にうずたかく積まれた連邦軍将兵だったものの山。

 魔導兵力のみだ、市街地への浸透もせず、こちらの砲撃に臆することもなくやってきたのは。大隊規模程度の魔導兵。陸軍兵士に変えれば中隊にも満たない人数。残された魔導反応の記録からして、ネームドにも達していない無名のソレ。しかしその一団は連邦軍にとって看過できない問題を残していった。

 彼らにとっては、きっとハラスメント攻撃であったことだろう。しかし、連邦側からしたらたまったものではなかった。

 食い破られた防衛線も、兵力も、それこそ損失した武装も問題ではない。それは連邦労働者たちの絶え間ない努力と、党の元に集った国土防衛の志に燃える若者という革命闘士によっていくらでも挽回できるのだから。損失なんかではない。問題はそこではなかった。

 たかだか一個大隊程度の魔導戦力に対して、精鋭とされる狙撃師団をもってして太刀打ちすることができなかった。ヨセフグラードを守る、その栄誉にあやかったのは革命の動乱を乗り切った革命闘士の槌にして鎌たる古強者。

 しかして勝利を得たのは精強をもって鳴る帝国軍の精鋭将校集団である魔導部隊。それが、次回の攻勢時にはさらに数を増やして防衛線を攻め立ててくることだろう。その際は、恐らく抵抗も出来ずに都市を明け渡すことになる。

 それだけは、断固として阻止しなければならない。この都市を何もせずに明け渡せば、代わりに管区司令官以下多くの首が飛ぶこととなるだろう。

 選択を迫られた一人の将校は、上級司令部と直通の電話を手に取る。

 

「同志、夜分に申し訳ありません。大至急用意して頂きたいモノがあるのです」

 

 既に選択の余地はない。ここで判断を一つ誤れば、自分の首が飛ぶのだから。であれば、帝国との戦争に全力を尽くしていることを、党に見せなければならない。

 故に、ヨセフグラード防衛戦線司令官のドミトリ・ベラントフ大佐は戦力をよこせという。

 昔から言われるものだ。

 

「魔導兵の部隊が必要なのです。どうか、どうか大至急で師団規模の都合をつけていただきたい」

 

 『目には目を、歯には歯を』と。 

 

――――――――

――――

――

 

 他方、その悲壮感極まる連邦軍前線へのアタックを敢行し、その対応能力の低さを体感し、ねじ伏せ、蹂躙したイカロス大隊の指揮官であるアドルフ・ブラウン少佐は、本格的攻勢に関しての作戦会議の場へと足を運んでいた。 

 エレーナとの試験攻勢から一日経ち、時刻は正午。

 前線基地中央の作戦司令室と銘打たれた天幕内では、ヨセフグラード方面攻略のために召集された様々な兵科将校の姿がある。機甲科、砲兵科、歩兵科、航空兵科に空を飛ぶ方の魔導兵科。ヨセフグラードを攻めるための戦力の統率者たちが一堂に会している。

 その中でも、どの兵科にも属さず、特殊作戦局の機密部隊となっているアドルフらは異端な存在として認識されていた。一応は航空魔導師の兵科色の服に身を包んでいる。しかし、ここの将校らは彼が率いる部隊の全容を知っている訳でなく、特殊作戦局付の部隊ということで妙な注目を浴びていた。

 居心地の悪い、探るような気配を振り払うようにアドルフはタバコに火を灯す。

 そんな将校団の中央で、ヨセフグラード方面軍の前線指揮官、トッド・ベルナー大佐は作戦会議の開始に際しての訓示を述べていた。蓄えられた顎髭が、口の動きに連動して上下する。

 

「さて諸君、冬がやってきてしまったのはまことに遺憾なことだ。本来であれば、参謀本部ももう少し早くに決着をつける手はずだったのだろう。それが今、我々の手を凍えさせる結果となっている以上、事が順調に推移していないことは察せられる。恐らく参謀本部もさぞ苦心されていることだろう」

 

 遠巻きに参謀本部へと飛ばされる皮肉。最初から飛ばしているなとアドルフは感じ取った。ほかの参加者たちも、頷くなり笑うなりしているあたり、彼らの総意であることが見て取れる。

 そして逆に言えば、それほどまでに彼らは待たされたのだ。この凍える大地で、少なくない兵士の命をすり減らしながら、攻勢計画までの時間を絞り出していたのであろう。

 連邦から帝国への宣戦布告は衝撃的であった。突然の攻撃に、現場と後方司令部は大わらわとなっていたのも鮮明に記憶に残っている。それほどまでに、彼らの参戦は不可解な点が多かった。分析官も手を焼き、帝国は外交ルートから停戦に持ち込めないものかと苦心していた。

 そして、結果は今の通り。冬の大地でにらめっこというわけだ。未来ある若者と、優秀な将校らの命を糧に生み出した時間は雪となって帝国軍の頭上を舞っている。トッドが皮肉の一つを言いたくなるのも分かるというモノ。

 

「しかし、この度の冬季攻勢計画書にサインした参謀本部の判断は今までで一番の英断だったことだろう。我々は全軍の先鋒として、この要所の攻略を命じられる栄えある最前線と相成った」

 

 そして、司令室内に集まる将校を順繰りと見回す。一様に集まる彼らは、国防のために集まった戦士たちだ。改めてその顔を刻むように見るトッドの心中は如何様な物だろうか。

 静かに見渡し、トッドが作戦内容の説明に入る。

 アドルフは一歩引いた位置から作戦会議に参加していた。全体的な作戦は実に簡単、砲兵たちが夜を徹して連邦前線に砲弾の雨を降らせる。イカロスはそれに紛れて上空から落下傘で侵入し、連邦軍の後方から主要な攻撃地点を作戦指令室へ報告する。そしてイカロスが後方で攪乱工作を行い前線からの地上部隊への攻撃を支援する。典型的な浸透戦術のソレは帝国軍の得意戦術だ。

 

「魔導兵の諸君には砲撃の観測と前線司令部の防衛にあたってもらう。絶対数が少ないため、君らには防衛を主任務に立ちまわってもらうこととなることを深く詫びたい。そして喜べ地上部隊の諸君、連邦軍と殴り合いだ。盛大にあの鷲鼻に、諸君の誇りある鉄拳を叩き込んでくれ」

 

 長引いた戦争は、帝国の戦力事情に多大なる圧迫を与えていた。それは貴重な魔導戦力にも表れている。既に限界を突破してなお戦力を絞り出す参謀本部に前線将校は感嘆の息を漏らしている。しかし、それとともにどこも足りない戦力をやりくりしている為、どうしても前線に魔導師がいないという事実には現状を見せつけられる思いを抱く。

 皮肉混じりの非難はあれど、しかしその努力を理解出来ぬ訳では無い。

 ここに集まったのは『帝国軍の将校』という名誉を受けた人間たち。上が求める以上、誇りにかけて作戦を遂行するという意思が瞳に宿っている。防衛に重きを置いてもらうと言われた魔導将校も、それは例外ではない。

 お得意の方法で連邦軍を殴りつけてやれと言われた彼らは、疑義を一切挟むことなく了承する。作戦会議というそれは実に短い時間で完結する。画一的に教育された彼らは、その共通認識のもとに足並みをそろえて行動を開始する。

 

「質問はないようだな。作戦開始は本日の二四〇〇、各部隊の将校らは定刻をもって状況を開始されたし。以上」

 

 打てば鳴る鐘の如く、反応は即座に。了解の声を同時に響かせ彼らは颯爽と天幕から退出していく。その波に乗てアドルフも天幕を後にした。幕をくぐり終えるまで背中に感じられた視線は、この作戦の要となるイカロスへの期待を重く感じさせるそれ。各々が持ち場へと行く背中を見ながら、アドルフも自らが指揮する大隊の元へ行く。

 作戦開始まで、残り十一時間。

 

 

 

 

 時は過ぎ、時刻は二三時五〇分を回っている。バタバタと装備やら何やらを整えていたイカロス大隊は、空挺地点へと連れて行ってくれる友軍の飛行場へと集結していた。

 せわしなく動くスタッフを見やりながら、アドルフは整列した部下たちを睥睨する。

 戦意の高揚が見て取れる三十六名の姿が、これから始まるイカロスの闘争はまさに彼らにとって英雄譚にも等しいのだと無言で語る。特に中隊を率いるマルコとヨハンは、塹壕の中からこの戦争を見つめてきた古参兵だ。であれば、まさに名を上げうるこの戦場は理想郷にさえ見えていることだろう。

 

「全部隊、隊員装備共に万全であります」

 

 副官からの報告に頷き、アドルフは口を開いた。

 

「諸君、ついにこの時が来た。我々イカロス大隊が、一つの戦線において枢要たる任を与えられたのだ。我々が行うのは、常日頃から行っているようなちゃちな塹壕浸透ではない。連邦の要塞ヨセフグラードに空からもぐりこみ、その中で前線部隊の作戦支援のため、内側から奴らの防衛線を崩す。喜べ、我々もついに空を飛ぶ日が来た」

 

 アドルフのジョークに含み笑いが起こる。

 

「……これから起こる戦闘は、魔道兵として行ってきた短時間のものとは違う。どちらかが倒れるまで続くことになるだろう。もしかしたら、我々の中からもヴァルハラに向かう者が出るかもしれない。それでも、勝利を求められている帝国軍の軍人として、我々は死地に赴かねばならない」

 

 帝国にとっての今時大戦は、まさに亡国の危機となりうるものであった。大陸中央の、四方を仮想敵国に囲まれた立地は、必然的に強力な武力を生み出すに至る。こと拡張主義の蔓延する現代では、弱者は強者の下につくか植民されるに至る。

 強力にして精緻な軍事力を持つ帝国の立地は、そんな強者がはびこる魔境の中央であった。帝国軍が他国の軍より頭一つとびぬけた強さを持っているのは、つまるところ『必要であったから』である。

 そんな罰ゲームのような立地で起きた周辺諸国を相手取った戦争の、さらに一番手を出されたくなかったであろう連邦との戦争だ。まさしく死地と呼ぶにふさわしいだろう。

 

「最も、先の防衛線へのアタックによって、彼らの魔導兵への対応能力はすこぶる悪い事が発覚している。なおかつ、理由は定かではないが連邦には魔導兵がいないようだ。我々がたとえ出来損ないの代物だったとしても、イワンの兵隊を捌いて回るのはラインでタコツボに潜っているより安全なことだろう」

 

 しかし、とイカロスの誰もが思う。それがどうしたと、死地が如何様なものだと。ヴァルハラに向かうことの何よりも恐ろしいのは、何も成さずに消えることだ。失意もなく、感嘆もなく、ただ無為に塹壕の中で臥せっていたがために、一瞬のうちに敵の砲弾に消し去されていたかもしれなかった。それが、今や最前線のその先、正真正銘の最先鋒だ。

 故に彼らは渇望する。アドルフの下で、死地に向かうことを。

 

「大隊長、俺とマルコ、それにコイツらも死ぬのなんざ怖くありませんぜ。なんせ俺らがくたばるよりも先に、連邦がぶっ倒れるのが先なんですからね」

「ヨハンの言う通りです。これから俺たちがジャラジャラ勲章ぶら下げられるように取り計らってくれた大隊長には、感謝してるくらいです」

 

 副隊長組はニヒルな笑顔を携えながら言った。

 心底戦いを楽しむような顔だ。誰一人として悲壮な顔をせず、ただ口角を上げてアドルフに視線をよこしている。 

 訴えかけてくるものはただ一つ、俺たちは戦場で何をすればいい? というそれ。

 

「筋金入りの馬鹿どもが……俺が貴様らに要求するのはただ一つだ。―――――イワンの兵隊をぶっ殺せ!」

「「「了解!」」」

 

 今回の任務は味方の所へ帰ることもできない、いわば生きるか死ぬかの戦場。

 それを彼らは笑顔で往く。

 求めるのは勝利とそれに伴う名誉。

 与えられるのは憎悪と弾丸の飛び交う戦場。

 意気揚々とそれらを飲み下さんとするイカロスは、まるでハイキングに行くかのような足取りで航空機へと乗り込んでいく。

 彼らを運ぼうと唸りを上げるエンジン音やプロペラの切る風の音は、イカロス大隊にとって一足早い凱歌のように聞こえてさえいた。 

 

 

 

 ―――時刻は午前零時を迎えた。イカロスが空の上を飛んでいるその瞬間、地上では既にに帝国軍の火砲が唸りを上げていた。大小様々な火砲が統率されて砲声を響かせる光景は、それだけで一つの大戦争の様相を呈しているように見える。しかし、一か所に集めるにはあまりに贅沢な量の火砲は一つの都市の防衛線を耕すためだけに運用されている。

 空を数瞬飛翔する暴力の意思を封じられた鉄の塊は、そのまま連邦軍防衛線に突き刺さり破壊力を開放した。

 突然連続的に起こった爆発音は防衛線を混乱させる。積まれた土嚢は用をなす前に消え去り、機銃の群れは鉄の欠片になる。

 空を見上げていた運の無い連邦兵は、一瞬視界に何かが映ったと思った時には、既に意思を持たぬ肉の塊に変じていた。

 

「帝国軍の砲撃だ! 退避、退避ー!」

 

 連邦軍士官が声を上げる。ただ砲撃を受けるだけでは意味がない、それは無為に兵士をすり減らすだけ。

 しかし反撃をするにも、先手を打たれてはままならない。そもそも、彼らに命じられたのは『防衛』であって『反攻』ではない。党の意向に沿わないことをすれば、指揮官といえども政治将校の餌食である。

 先日のイカロスの攻撃から一日経つか経たないかという時間経過。焼かれた防衛線を急ぎ補強して、それでもなお足りない防衛用の土嚢や、弾避けにはそこらへんに転がる亡骸を用いて築かれている部分も散見される防衛線末端部にも、帝国軍の砲火は届いている。

 急ごしらえで何とか立て直した防衛陣地は砲撃に溶け、小クレーターを形成するパーツになり果てる。

 士気はお世辞にも高いとは言えない連邦軍の兵士たちであったが、それでも生きるという本能に従っての逃走には目を見張るものがある。一応、ただ逃げるだけでは特戦隊に撃たれるのが関の山であるため、タコツボや瓦礫の後ろに隠れるのは、これまでの仲間の犬死をみてきた彼らなりの成果であった。

 

 唸りを上げる砲声に負けじと、帝国軍陣地では将校たちが声を張り上げる。

 

「弾薬制限は限定的に解除されている! 連邦の陣地に備蓄の限界まで砲弾をお見舞いしてやれ!」

 

 皆が異口同音に発しているのは、砲兵にとってはうれしい命令だ。

 自らが叩き込まれた訓練の成果を、限界まで発揮できる。

 ひとえに帝国の防衛のために、帝国の名誉のために。

 

 

 

 そんな戦場の女神の声援を受け、上空のアドルフたちは降下態勢に入った。

 派手な爆発音と、それに伴う防衛線の混乱が、上空を飛ぶアドルフたちの乗る航空機の存在を闇夜と共に隠蔽する。

 防衛線を超えて少ししたくらいで、ハッチが開きイカロスの面々に順次降下の合図が出る。

 普段空を飛ばない彼らの、宝珠に頼らないパラシュート降下での一味違った隠密浸透である。この特殊大隊に入隊して、一通りの特殊技術の習得は行っている。しかし、実戦での空挺降下は初であった。

 アドルフらは、機内のスタッフの指示に従って順次航空機から飛び降りていった。

 連邦の冷えた空気が、高高度ということもあって皮膚を裂くような強烈なモノであった。それが急速な落下という要素も相まって、まさしく狂気じみた寒気の刃となってイカロスを襲った。

 急速に空から地上に迫る。

 広大なヨセフグラードを見回していたと思ったら、いつの間にかその街の細部までが見えそうな位置まで降下してきていた。眼下に広がるのは、人の気配を感じない街並みが広がる。

 アドルフはパラシュートを開くためにひもを引く。

 闇夜に紛れて、イカロスが連邦軍後方に着々と降下していく。無風であることも彼らに味方し、アドルフたちは大きくばらけることなく開けた大通りに着地した。

 上空から見た限り、降下地点には兵士の類も見当たらなかった。落ち着いて行動できる。

 

「大隊長より各位へ、状況を知らせよ」

 

 アドルフは即座に大隊に安否を問う。初の空挺降下に、一抹の不安がかすめる。

 

 しかし、その心配は杞憂に終わる。即座に中隊ごとに点呼がとられ、中隊長らから報告が上がる。

 

「第二中隊、異常なし」

「第三中隊同じく」

 

 そして、第一中隊も欠員無し。

 

「エレーナ少尉、無事であります」

 

 空を飛ぶことに慣れたエレーナに至っては、他の興奮している男連中とは違って冷静に返答してくる。

 やはり俺たちとは成り立ちが違うな。そう思いながら、アドルフは作戦を考える。

 部隊をそれぞれ展開させ、一応見張りに立たせる。近くの廃墟の中に指揮官を集め、作戦会議と相成った。複雑な思考にはお供が必要と、タバコに火を灯す。

 

「大隊長、こんな所で吸ってるとばれますよ?」

「少尉、こんな時だからこそ吸いたくなるってもんだ」

 

 煙を吸い込み、静かに長く吐き出す。冷えた空気は、熱い煙を吸った後の口腔を冷ましてくれる。

 頭に栄養が回ってくるような感覚と共に、思考も冴えわたってくる。

 まあ、別段冴えわたらなくても、やることは強襲偵察に変わらないのだが。

 

「ふぅ……まあ、作戦といっても、偵察するしかない。要は一服したかったんだ」

「えぇぇ」

 

 エレーナが何とかしてくださいよと言わんばかりに振り返れば、マルコとヨハンもちゃっかり吸っている。

 味方はいないようだ。

 

「ああっもう! 私も吸う!」

 

 こうして、むせながらタバコを吸うエレーナを含めて四人での喫煙会となった。

 空から降ってきて、連邦最前線の後ろに降り立って十分程度だろうか。最初の喫煙は降りしきる砲弾の音を聞きながらのモノとなった。

 実は部隊内の無線はオープン回線になっている、そのため今のやり取りは大隊員に筒抜けなのだ。今頃、歩哨に立ってる連中以外はみんなスパスパやっているころだ。

 ひとしきり兵隊タバコを灰に変え、周囲の状況も特に大きな変化に見舞われなかったアドルフはヨセフグラードを調査することにした。

 今現在は、連邦軍は前線に兵士を集めることに注力している。後方にいるのは、精々が戦闘準備をしていない兵士と偉そうな政治将校、それに媚びる司令部付き参謀将校あたりか。

 まとまって移動するのは得策ではない。さっさと発見して、司令部を叩くためにイカロスは分散して行動をとるのが得策だ。

 そう決めて、アドルフは大隊に無線を飛ばす。

 

「大隊長より、大隊各員に伝達。これより各中隊の指揮権をマルコ、ヨハン両中隊長に委任する、それぞれ状況に応じて判断されたし。指令所を発見したものは、直ちにその座標を報告、他中隊が到着するまで監視に移れ。早まるなよ」

「「了解」」

 

 そして、三つの中隊は連邦領ヨセフグラード内でうごめき始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おはこんばんちわ、浅学です。
今日も今日とて難産に苦しみながら投稿しますが、一つ注意をば。
私、これは史実の内容を元に魔改造して投稿しております。
故に、史実通りでない場所も散見されますし、もしかしたら目に余るような会話、戦闘もあるかもしれません。スターリングラードの資料が見つけるのがめんどうなもので。
ですので、これからはある種完全な幼女戦記のifストーリーとなります。
彼らの戦場を綺麗な落としどころで蹴りをつけられるよう頑張りますので、それでも読むぞ、という方はこれからもよろしくお願いします。
これから先でちょっと……となられた方も、ここまで読んでいただいたこと、感謝の念に堪えません。もし縁があれば、お会いいたしましょう。
さて、また誤字脱字に怯えつつ次話に移りたいと思います。
それでは!
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