アインズ魔導王の外戚 シース結晶公爵   作:すべすべ

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前回までの粗筋
感想欄でハゲを弄ってきた不死人を片っ端から呪死させ嫌がらせに解呪石を買い占めたシースは
書庫で人間種や亜人種相手に冒涜的ヤーナムメイタコワイ!実験を行なっていたヒキニートハゲドラゴンもどきマッドサイエンティスト公爵生活をエンジョイ&エキサイティングしていた
しかしいい加減ナザリックの公務を果たせと、ニトもどき骸骨にせっつかされてようやく外に出ることになってしまった。


第2話

シース公はナザリック大闘技場へと足を進める。

彼が今回の闘技場でのいわゆるエキシビジョンマッチを買って出たのには理由がある。

彼の種族はドラゴンである。

種族としては古今東西でもメジャー中のメジャーであり、はるかな昔から最強級の幻想種とされている。

しかしながら彼の力ははっきり言えば歪である。

更に原典のシースは竜だったり虫だったり鉱物だったり本の中の概念であったりする。

そもそもドラゴンのイメージで強力なのははっきり言えばまずブレスであり次に肉弾戦である。

しかしながらシース公の結晶ブレスはともかく、彼は肉弾戦が非常に苦手である。

鱗が無いという特徴は全種族中随一の強大無比な魔法攻撃力とMPをもたらす反面、極端に打たれ弱いというデメリットにもなる。

そのサイズゆえに攻撃目標になりやすく、HPの高さから前線タンク職を務めることが多い大型異業種にとってそのデメリットは非常に相性が悪い。

既に他のワーカーチームは壊滅し、いろんな意味で再利用されている。

しかしながら公爵が興味を持ったのはエルヤーのみだったため3、4をクリスタルゴーレムのベース素体にし他は適当に下賜された。

モモンガの目指すゴーレムやアンデッドを労働力として活用するという目的の為に適当にカルネ村に貸し与えその性能試験を行う予定である。

公爵閣下はワーカーとやらに全く失望されておられた。

あまりにも品質が低く、作業用ならともかく軍用としての要求水準に届いていない。

とはいえ収穫も全くなかったわけでは無い。

ハムスケとやらにやられた一体は武技とやらが使えるらしい。

新たな実験ではこの世界において武技というものが使えるユニットに原始結晶を埋め込んだ場合

どの程度の性能を持った結晶亡者となるかである。

公爵は眼下の4体の実験材料を冷徹な科学者の目で見る。

瞳なき目は光でなくソウルを見る。

雌2匹に雄2匹。

とはいえ公爵も人間に慈悲がないわけでは無い、例えるなら化学者がを哀れに思う程度には…

 

「挑戦者はナザリック大墳墓に侵入した命知らずの愚か者達四人!

そしてそれに対するのは偉大なる至高の御方の一柱、王の外戚!シース公爵閣下ぁ!」

四人のワーカーチーム フォーサイトの上空からコロッセオも狭しと巨大な影が降ってきた。

 

「「「ド…ドラゴン!?」」」

「申し訳ない、私のせいでこうなった」

目の前に現れたのは奇妙な外観をしていても幻想種では最強とされるドラゴン。

ドラゴンが相手という時点で人間にはほとんど選択肢がなくなる。

ドラゴンスレイヤー…そんなものは伝説やおとぎ話の中の英雄がなれるものであって現実にはドラゴンが人間を一方的に虐殺するのが通例である。

ただの野良ドラゴンであってもそうだし、ましてや公爵とも呼ばれるほど高位のドラゴンなら結果は見えている。

「さて…無理だとは思うが。対話してみるか…

シース公爵閣下、あなたの居城だと知らずに足を…」

しかしヘッケランの努力は公爵から一方的に断ち切られる。

「答えずとも良い、お前達の中にタレント持ちはいるか?」

シース公からの一方的な物言いに緊張し、どう言い訳しようかと考えるが

その時アルシェが進み出て巨大なドラゴンと対峙する。

「ええ!私よ!私は相手の使える魔法の位階を測ることが出来るタレントを持ってるわ!」

「おい!アルシェ!」

公爵はフォーサイトの四人に冷酷に告げる。

『そうか、ならばお前は来い。他は不要、その場で疾く自害せよ』

フォーサイトの四人は驚愕する。

上位種が人間を見下すことは珍しく無いとは聞くが、ここまで傲慢で一方的なものの言い方をするとは。

いらない、だから死ね。

そんな風に言われて反発しないはずがない。

「ダメ!私はどうなっても構わない、でもそれなら他の三人は見逃して!」

アルシェが必死に公爵に懇願するが、それを遮って他の面々がアルシェの前に出る。

「いやいや何言ってるんだすかね、この娘っこは」

「ですね」

「気にしないでいいのよ。仲間を見捨てるなんて、いくらワーカーだからってね!」

だが四人とも膝は震えロバーデイクの獅子の如き心を受けてなお眼前のドラゴンの恐ろしさに今すぐにでも逃げ出したい気分を抑える。

もっとも公爵にとってみれば既にケージの中のモルモットがいくら暴れようと既に無駄である。

冷徹に冷酷に四人を見据える。

『お前達は…』

そして公爵のこの行動も実に異常である、実験材料に科学者が話しかけるような事をしはじめたら正気を疑うだろう。

あるいはそもそも狂気に取り憑かれた竜だからだろうか?

『金銭欲、まぁわからないこともない。それが人間性の単純な形での発露だからな』

そして四人の言おうとしていることなど御構い無しに独り言のように話し始める。

『性欲?ふむ、そこな2匹は番か。生物ならば当然だな』

フォーサイトの四人を見極めるように見比べる。

『神への信仰?いやこの場合は自己実現欲とするべきか。

脆弱な肉体構造が脳内に上位者との一体化の幻想を抱かせるのか…面白い』

ロバーデイクはシースの言にひどく反発したかった。

神とは弱い人間が抱いた幻想に過ぎないと、つまりこのドラゴンはそう言っているのである。

彼らの言葉なぞ耳に届くはずもなく公爵はブツブツと独り言を続ける。

『性能試験、対象の実験材料適正評価開始』

瞬間、フォーサイトの目の前にどこからともなく結晶を身体に埋め込まれたアンデッドが転移魔法で現れる。

だがその萎びた暗い顔には彼らも見覚えがあった。

「エルヤー!?そんな…」

天剣エルヤー、彼らと共にダンジョンに挑んだいけ好かない剣士である。

今や彼は全身に結晶が中から生えたような見た目をし、刀も身体も結晶に覆われている。

見た目が半端に生前の面影を残している分、凄惨さが逆に増している。

いくら好ましくない人物だったとはいえ、見知った人間がアンデッドになっているのを見るのは気分が悪い。

「うああぁぁぁぁぁ!」

口から声にならない呻き声を上げながら刀を四人の先頭にいたヘッケランに向かって振るエルヤー。

そんな光景を公爵はやはり冷静な目で双方を見ていた。

必要なのは魔法詠唱者の少女だけであり、その他はあの実験の済んだ刀使いも含めて本来不要なのだから。

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