仮面ライダージオウ【ANOTHER AKASHIC RECORDS】   作:レティス

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今回、ゲイツと“あるライダー”が登場します。ちなみに変身者はオリジナルとは違う人物です。


ウォルター「私はウォルター。この本によれば、魔術学院に通う青年、トーマ=ホロロギウム。彼には魔王にして時空の王者・オーマジオウとなる未来が待っていた。そんな彼に未来からやってきた仮面ライダーゲイツが襲いかかる。そしてもう一人、フェジテの街に青いファi…おっと、ここから先は未来の話でしたね。」


OP『Over“Quartzer”』



舞い降りるG/蒼きF

side:トーマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおっ!」

 

突然俺達の前に現れたゲイツは、俺に向かって一直線で突撃してくる。リベレイターの一人・メルディからオーマジオウの存在については聞かされてはいるが、言及だけでいまいち信憑性がなかった。だけどあのライダー…ゲイツは俺のことを“オーマジオウ”と呼んだ。もしその存在が本当なら、あいつの目的は恐らくオーマジオウ誕生の阻止する事であるのは間違いない。でも俺は自ら魔王になる道は選ばない。

 

「くっ…!ルミア、システィーナ、下がって!」

 

だけど今は説得できる状況じゃない…いや、説得の効く相手じゃない。今は戦うしかない…!

俺は二人を下がらせると、ドライバーを取り出して腰に装着する。

 

「はあっ!」

「っ…!」

 

俺はゲイツの放った右ストレートを左に転がって避けると、ジオウウォッチを取り出し、カバーを回してボタンを押す。

 

『ジオウ!』

「でやあっ!」

「っ…!」

 

俺はゲイツの執拗な攻撃をかわしながらドライバーにジオウウォッチを装着し、ロックを解除する。

 

「変身!」

『ライダータイム! 仮面ライダージオウ!』

 

実体化した『ライダー』のカタカナがゲイツに向かって飛んでいき、少し時間を稼いでいる間に俺はジオウに変身し、マスク部に『ライダー』のカタカナを付けた。

 

「はあっ! たあっ!」

 

俺はゲイツに対して肉弾戦を挑む。一般的な魔術師は呪文の詠唱、威力、範囲などを強化するために精神的な鍛練を積む事が多い反面、肉体的な鍛練は一部を除いてあまりしない傾向がある。俺は昔、おやっさんから格闘術の手ほどきを受けた事があり、そのおかげである程度は格闘も出来るようになっている。そのため至近距離でも十分に格闘で対抗できる。

 

「甘い!」

「ぐっ…!」

 

だがそれはゲイツも同じ。魔術が基本となるこの世界で格闘戦を主にするのは同じで、あちらは恐らくライダーとしての実戦経験もある。ジオウの力を“使える”俺に対して、あっちはゲイツの力を“使いこなしている”。それはまさに、“無限の剣”と“究極の一”のようなものだった。

 

「貴様が生きているせいで、世界は荒廃する。全部貴様のせいだ…未来のためにここで死んでもらう!」

「っ…!俺は、魔王になんかなるつもりはない!」

「黙れ…!」

「うぐっ…!」

 

ドスの効いた声を発しながら俺を殴り飛ばすゲイツ。いずれ俺がオーマジオウになると合理的な理論をつくりだしているであろうその憎悪は計り知れないものだ…。

 

「…俺は…このまま大人しく死ぬつもりはない…!」

『ジカンギレード!』

 

俺はジカンギレードを装備する。

 

「なら惨たらしく、貴様を地獄に送ってやるまでだ!」

『ジカンザックス!』

 

一方、ゲイツは右手にジカンザックスという斧を装備した。全体的に赤く、『おの』という平仮名、ボタン付きのスロットなど、いくつかジオウとの類似性が見られる。

 

「はあああっ!」

「でやあああっ!」

 

俺の剣とゲイツの斧がぶつかり合い、火花が散る。だが徐々に押されていっている。理由は明白。ゲイツにはあるだろうが、俺にはゲイツと戦う理由がないからだ。可能ならせめて引き分けに持ち込みたい。

武器をぶつけ合っていく最中、俺はバックステップでゲイツから距離を取る。

 

『バーストモード』

「はっ!」

「うわあああっ!?」

 

しかし、ゲイツはすかさず左手に“小型の拳銃”を構えて連射してきた。ジャンプしていたために避けることが出来ず、そのまま全弾喰らい、地面に叩きつけられた。その際、ジカンギレードが手元から離れてしまった…くっ…もう一つ武器があったのかよ…!

 

「覚悟しろ、ジオウ。」

「くっ…!」

 

勝負あったと確信したゲイツは“拳銃”を折り畳み、ジカンザックスを手離すと、俺のもとへゆっくり迫ってくる…くそ……このままじゃ…殺される…!

俺は再び立ち上がると、すぐに身構える。

 

「…!」

「待って、ルミア!」

「え…!?」

 

その時、この戦いを見守っていたルミアがシスティーナの制止を振り切り、俺のもとへ駆け寄ってくると、俺を庇うようにゲイツの前に立ち塞がった。これを見たゲイツは一旦足を止めた。

 

「やめて下さい!」

「…。」

「何してるんだルミア、下がるんだ!」

 

俺はルミアに下がるよう言った。しかし

 

『フィニッシュタイム!』

 

ゲイツはゲイツウォッチのボタンを押してロックを解除し、そのままドライバーを一回転させた。

 

『タイムバースト!』

「はあっ!」

 

ゲイツは赤いエネルギーを纏いながら高くジャンプする。これを見たルミアは両手を広げて俺の前に立ち尽くす。

 

「っ!?」

 

その際、俺の隣には“ゲイツの攻撃でやられる俺”のホログラムが映し出された…まさかあいつ、俺がルミアを庇う事を先読みして……くっ…今はそんな事考えてる場合じゃない!

 

「ルミア!!」

「っ!…ルミア、伏せろ!」

「トーマ君…!?」

 

ルミアとは正反対に、ゲイツの殺気に怯んで身動きが取れないシスティーナ。俺はすぐにルミアを伏せさせ、ルミアを守るように体を覆う。【フォース・シールド】の展開は間に合わない。攻撃を喰らうと分かっていても、せめてルミアにあの攻撃が当たらなければそれでいい…!

 

「はあああああああああ!!」

 

跳び蹴りを放ち、接近してくる“赤き復讐者”。それと同時に、ルミアを守るように覆いつくす俺に“その先の結末”が迫ってくる……その時だった。

 

『タイムマジーン!』

「ぐわっ…!?」

 

ゲイツの攻撃が当たる事はなかった。何故なら、その間に一体の“ゴーレム”が割り込み、ゲイツの攻撃を弾いてくれたからだ。黒と銀をベースにライドウォッチ型の頭部のゴーレムだ。

俺とルミアがこの光景に立ちすくんでいる時、システィーナが駆け寄ってきた。

 

「無茶しないでよ!一歩間違えたら死んじゃうところだったのよ!?」

「ごめん、システィ…。」

 

飛び出していったルミアに涙を溜めながら駆け寄るシスティーナ。その件を謝るルミア。ルミアの正体を知ってなお、システィーナは彼女を家族同然の仲のようだ。だが今は無事を確認してる場合じゃない。

 

「“セレーネ”、何故…!?」

 

ゲイツはタイムマジーンの妨害にあって身動きを封じられている。ゲイツは“セレーネ”と呼んでいるらしいが…。

 

『ジオウ、貴方は早く二人を連れて逃げなさい!』

「っ!?…ああ…!」

 

セレーネと呼ばれた人物に逃げるよう促された。どうやらあのタイムマジーンの中に乗り込んでいるらしい。

 

「二人共、今はここから逃げよう。」

「…そうね。」

「うん…。」

 

俺はセレーネの言う通り、二人を連れて路地裏に逃げる。ゲイツの方は、恐らくセレーネという人物が足止めしてくれるだろう…。

 

「ねぇトーマ、あいつは一体誰なのよ!?」

「俺だって分からない。あいつは俺のことをオーマジオウとか言って……ああ、もう何が何だか…!」

「とにかく、今は安全なところに逃げよう!」

 

システィーナにさっきの件を問われるが、そんな事を俺が説明できる訳がない。それ以前に説明できる状況じゃない。セレーネという人物がゲイツを足止めしてはいるが、突破されるのも時間の問題。ルミアの言う通り、ここは急いで安全な場所に逃げるのが先決だ。

俺達は急いで路地裏を抜け、表通りに出た。とにかく、おやっさんのところへ向かおう。あそこに隠れてゲイツの追跡を…

 

 

 

 

 

 

 

 

ブォォォォォオオオオオオン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

刹那、抜けた路地裏の方から甲高いエンジン音と共に、バイクに乗った“復讐者”が再び現れた…ゲイツだ。やはり同じジクウドライバーを持つ者として、ライドストライカーを所有している。もうこんなに早く足止めをすり抜けてきたのか…!

 

「…システィーナ、ルミアを連れて逃げろ。」

「トーマ、あんたはどうするの!?」

「あいつの注意を引く。あいつの狙いが俺ならば丁度いい。」

 

俺はシスティーナにそう言いながら、ライドストライカーを起動する。二人が安全に逃げられるよう囮になってゲイツを引き付ける。最も、ゲイツの狙いは俺なのだから。

 

「…トーマ君…。」

「安全しろって。そう簡単に俺は死なないよ。」

 

俺はルミアにそう言うと、ライドストライカーに乗り、ハンドルを捻って発進させる。

 

「さぁ、ついてこい…!」

 

俺はアクセル全開でゲイツの横をすれ違う。ゲイツはそれを見ると、バイクの車体を反対側に向けさせて俺の後を追ってきた…よし、とりあえず注意は引いた。次はこいつの追跡を撒く事だな…!

俺は街の通路をバイクで駆け抜ける。ゲイツも逃すまいと執拗に後を追う。夕暮れの街並み、買い物客や仕事帰り、下校している者がいる中、そんな光景に真っ向から反して疾走する黒と赤のライダー、困惑しない者などいない。

 

「うおおおっ!?何だぁ!?」

 

その中には、偶然とはいえグレン先生もいた…なんかすいません…。

俺はバックミラーを確認すると、ゲイツが加速してこちらとの距離を詰めてきているのが見えた。やがて俺とゲイツは並列した。

 

「はあっ!」

「っ! とりゃっ!」

 

横からゲイツの拳が飛んでくる。俺はそれを受け止め、反撃する。騎乗中に格闘していると、前方から馬車がやってきた。

 

「たあっ!」

「っ…!」

 

俺はゲイツを蹴り、右側へ寄せる。俺もすぐに左側に寄って馬車の道を空ける。

ニアミス。俺とゲイツが馬車をすれすれで回避すると、再びバイクチェイスは再開される。

 

「このまま逃げてもキリがないな…。」

 

バイクでひたすら逃げてはいるが、俺を殺す事べく執拗に追いかけてきているゲイツをスピード勝負で振りきれる自信がない。何処かで機転を作らない限り、復讐者の追跡は永遠と続くだろう。

俺はバイクを走らせていると、前方にカーブしている道が見えた。外側は身を低くすれば十分隠れられる段差があり、内側は壁がある……ここだ!

 

「はあっ!」

 

俺はアクセル全開でカーブ道に突入する。緩やかなカーブをある程度曲がったところで

 

「ふっ!」

 

俺はカーブ道の外側へ飛び、ライドストライカーをウォッチ状態にして芝生に着地する。そしてすぐに段差に身を寄せて屈む。数秒後、俺が隠れている事に気づいていないゲイツが走り去っていく音を確認すると、変身を解除して反対側へ逃げる。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

緊張感がほぐれ、一気に冷や汗が流れる。殺さそうだったが、何とか撒いたようだ…。

俺は汗に濡れたままおやっさんの時計屋へ向かう…バイトがあるとはいえ、おやっさんなら上手く匿ってくれるだろう…バイト代減らされるのは確定事項だろうが、この際そんな事はどうでもいい。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ゲイツに見つからないよう気をつけながら、俺は路地裏を利用して歩く。バイクの音が聞こえなくなったため、【スクウェア・ソナー】を唱えながら進む。また見つかるかどうか不安だったが、ようやく『アキレス時計店』にたどり着いた。俺は店内に入る。

 

「おう、遅かったじゃないか。出勤時刻からとうに過ぎてんぞ?」

「ああ…ちょっと遅れた…。」

俺は先程の出来事で心の中が整理しきれてないままおやっさんに謝罪する。

 

「…その様子だと、何かあったようだな。」

「ついさっき何者かに命狙われたんだよ…そいつから逃げるのに必死で…。

「…一難去ってまた一難ってか…それはとんだハプニングだったな…。」

 

何でもお見通しなおやっさん…これがハプニングで済む事じゃねぇけどな…。

 

「まぁとりあえず着替えろ。なんかあった時の保険にはなるからよ。」

「分かった。」

 

俺は着替えるために奥の更衣室へ向かう…二人は無事だろうか…ゲイツが街中を徘徊している以上、迂闊におやっさんの店を出る事は出来ないけど、ゲイツの狙いが俺なら少なくとも“今は”無事だろう…。

俺は店員用の服装に着替えると、カウンターの方へ向かう。ちなみにおやっさんは明日届ける用の時計を修理しているため、現在工房にいる。俺がカウンターにつくと同時に、店の扉が開き、そこから白いローブを羽織った黒髪ロングの女性が来店してきた。

 

「いらっしゃいま「無事だったのね、“ジオウ”。」…え?」

 

俺の声を遮って、女性は俺の事をジオウと呼んだ…あれ、もしかしてこの人って…さっきのゴーレムに乗ってた人…?

 

「えっと…君は…。」

「私はセレーネ。数十年後の未来から来たの。」

 

セレーネは自らの名前を語った…数十年後の未来…?ゲイツと同じ世代だというのは分かるけど…。

 

「まずはこれを見て。」

 

セレーネはそう言って“板のようなもの”を取り出すと、それをタッチして操作する。

 

「何だこれ…未来の魔導アイテム…?」

 

俺が呟く中、セレーネは“板”を操作して、あるものを俺に見せた。

 

 

 

 

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それに映っていたのは、俺が悪夢で見た光景だった。ビルドやエグゼイド、そしてジオウを含めた“20人の仮面ライダー達の石像”が円陣を組んで並び立つ聖地、周りの荒野には“街だったもの”が瓦礫となって山積みとなっており、横土色の空に硝煙が立ち昇る。

その聖地に黄金の魔王・オーマジオウ…未来の俺が立っていた。

 

「突撃ぃぃぃぃぃぃ!!」

 

聖地に独り立つオーマジオウに対して、その時代におけるレジスタンス達が銃を持って突撃していく。この時代では環境マナが目に見えて枯渇しているためか、オーマジオウが魔術を独占しているためか、レジスタンス達の装備は銃火器になっている。そして今の時代には殆どないバイクをレジスタンス達の数名が乗っている辺り、魔術が廃れ、逆に科学が発達したのが目に見えて分かる。

レジスタンス達はオーマジオウを取り囲むように突撃していく。

 

「ふん!」

「「「「「「「うわあああああああああ!!」」」」」」」

 

しかし、強大な力を持ったオーマジオウには無意味。爆発を起こし、レジスタンス達を群がる蟻を駆除するかの如く吹き飛ばしていく。

蹂躙しているオーマジオウに対し、大量のミサイルが接近してきた。するとオーマジオウは懐からオレンジ色と黒のライドウォッチを取り出し、カバーを回してボタンを押した。

 

『ゴースト!』

 

すると、オーマジオウの“視界に入ったミサイルが停止”した。続けて、セレーネが乗っていたのと同じタイムマジーンが数十機突撃してきた。この荒廃した未来だ…オーマジオウが有していたものをミサイルも含めてレジスタンス達が鹵獲したに違いない。

 

「ふんっ! はっ!」

 

しかし、オーマジオウはその場から一歩も動かず、タイムマジーンの巨体を物ともせずに軽々と攻撃を受け流した。時折、“力を増幅させた黒い雷”を落とし、軽々と持ち上げたタイムマジーンを他の機体、もしくはミサイルに投げつけていく。更に“16体の幽霊を召喚し、それらを使役する”。そうしている内に、タイムマジーンの一機が巨大なレーザーを放った。

 

「はっ!」

 

だが、オーマジオウが手をかざした瞬間、そのレーザーは“徐々に威力が落ちていき”、オーマジオウに当たる前に消滅した。

そうしてレジスタンス達を一方的に痛めつけた後、オーマジオウは時を止めてタイムマジーン達を停止させた。

 

「お前達に私を倒すことは不可能だ。何故か分かるか?私は“生まれながらの王”である。」

 

オーマジオウはレジスタンス達にそう告げた瞬間

 

「『朽ち果てよ』。」

 

オーマジオウは【イクスティンクション・レイ】を放った時と同じく“謎の古代語”で詠唱し、左手から波動を放った。するとその波動を受けたレジスタンス達やタイムマジーンが次々と“風化して消滅していった”。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「これが未来の貴方…“最低最悪の魔王”。」

「俺が…未来の魔王に…?」

 

凄惨な映像を見せられた俺は動揺を隠せずにいた。未来の俺が人々を蹂躙する光景…あれはただの悪夢じゃなかった。遠い未来、外道に堕ちた俺がやってしまう予知夢だったのか…!?

 

「私と“チアキ”は、歴史を変えるためにこの時代に降り立ったの。」

 

セレーネは自分がこの時代に来た理由を改めて言った。オーマジオウが支配する歴史を変えるために…。

 

「…なぁ、チアキって…もしかしてゲイツの事か?」

「そうよ。仮面ライダーゲイツ…あれはチアキが変身した姿なの。」

「…じゃあ、セレーネも俺を殺すために来たのか…?」

「いいえ。目的は一緒だけど、私は貴方がオーマジオウにならないよう導きたいの。」

 

どうやらセレーネはゲイツ…もといチアキのような強引なやり方じゃなくて、俺が魔王にならないよう導きたいらしい。俺はそれを聞いてとりあえず一安心した。

 

「そうか…俺だって魔王にはなりたくない。だけど“これ”を使う度に、俺が魔王に近づくって訳だよね?」

 

俺はそう言いながらドライバーやウォッチを取り出す。

 

「ええ…。それは貴方にとてつもない力を与えるの。」

 

ジクウドライバーとライドウォッチ…これが俺をオーマジオウへと導く力なのか…セントさんも似たような事言ってたな…力を持ち過ぎたら正義が悪に傾くって…でも、それは間違った方向に使った一つの結果だ。正しい方向に使えば、きっと未来は変えられる…はずだ。

 

「…悪いけど、これは使い続けるよ。」

「!?…どうして…?」

「これが無かったら俺は確実に生きてはいなかったし、学院の皆が死んでた。これが魔王へ至るための力だとは分かってる。けど俺はこれを皆を守るために使うよ。」

 

俺は自分の決意をセレーネに言った。

 

「でもそれは、貴方がオーマジオウになる事に繋がるのよ!?」

「分かってる。でも天の智慧研究会やリベレイターが何か企んでいる以上、俺が守らなくちゃいけないんだ。」

 

俺はそう言った。もう“あの悲劇”を繰り返したくないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:セレーネ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…分かったわ。でもそれを使い続ける事は魔王になってしまう事を肝に免じておいてね。」

「ああ。」

 

私はトーマにジオウの力を使う事の危険性を警告すると、店から出る。すっかり陽が落ち、辺りは暗くなっていた。私はチアキと合流するために街の通りを歩く。それにしても、リベレイターまでこの時代に来てたのね…でも天の智慧研究会って何かしら?

 

「セレーネ!」

 

私が歩いていると、反対側から“朝霧・チアキ・ルーズベルト”…もといチアキが歩いてきた。先程の件でかなり憤っていたらしい。だけど私はトーマをオーマジオウにならない方向に導きたい。それにあの時止めていなかったら、“ルミア”と言った少女まで一緒に殺してしまう可能性があったから…。

 

「どうして邪魔をした!?」

「あの時、無関係な人も一緒にいたから…。」

「多少のタイムパラドックスなんてどうでもいい。それに無関係の人間だと?ジオウを庇った時点で“殺すべき敵同然”だ。」

「っ!チアキ、いくら何でもそれは…!」

「次は止めるなよ。奴は俺の手で殺す。」

 

チアキは冷酷に切り捨てると、そのまま行ってしまった。トーマを殺すためなら、他の人を巻き込むのも止さないっていうの…?それじゃあ、オーマジオウやリベレイターとやり方が同じよ…!

私はチアキの冷酷さに引いてしまった…トーマ、気をつけて。チアキは貴方を殺すために貴方の身近にいる人を巻き込むわ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はバイク・“オートバジンC-TYPE”を引きながらフェジテの街を歩いている。

僕は気がついたらファンタジーものと縁が深い世界にやってきた。電子機器などとは無縁な世界…とはいっても、僕が所持しているものは“例外”だ。

あれから恐らく二年程は経っているだろう…“彼女を守れなかった事”、“信頼していた組織に裏切られた事”、そして“化物になって生き返った事”……生きているのが嫌になってくる…。

 

「…。」

『大丈夫…私はずっとここにいるから…。』

 

そう語りかけてくるのは精神だけの存在となった彼女だ。肉体を失った今でも、僕の心の中で生き続けている。

今までは二つの組織から逃げる日々を送っていたが、“銀色のオーロラ”を通過してこの世界に来てから、追っ手は来なくなった。僕がこの世界で出来る事、それはこの体が朽ち果てるまで悠久の時を過ごす事だけだ。

 

 

 

 

 

「見つけたわ。」

 

…いや、最近僕達に絡んでくる者達がいた。リベレイターだ。彼女達は突然現れては、“新しい魔王”を擁立しようと暗躍している集団だ。これで出くわすのは三度目だが、彼女と会うのは初めてだ。いつもならパーカーを着た少女・メルディが近づいてくるのだが、今回は違う。

彼女は黒と白を貴重とした巫女服に身を包み、茶髪を赤いリボンで結んでいる。そして巫女服は何故か袖と腋が離れている。

 

「…誰なんだ?」

「私はリベレイターの“ジュディ”。貴方の事はメルディから聞いてるわ。」

「…何度も言うけど、僕は“王”とかには興味はない。放っておいてくれ。」

 

ジュディの名乗りを聞き、その次の言葉で僕はこの後言われる事を大体察して否定した。王になれと………こんな台詞を二年前にも聞いた気がする…。

 

「“そんな力”を持っておいて、今更否定なんて出来るのかしら?」

「……。」

 

僕は構わずバイクを引いて歩く。だがジュディも付いてくる。

 

「そんなに化物になったのがショックなのかしら?」

「…。」

「組織に裏切られたのも。」

「…。」

「それとも、“愛する人”を守れな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ready』

 

頭に血が昇った僕は、“携帯電話”についていたメモリーをバイクの左ハンドルに装填し、それを抜刀術の如く引き抜き、ハンドルから生成された光の刃をジュデイに突きつけた。

“フォトンブラッド”と呼ばれる強い毒性をもつ光子。それは棒状に集まり、“僕の能力”の影響で“荷電した青い刃”となっている。

 

「…しつこいぞ。」

「…。」

 

僕は光線剣…“ファイズエッジ”を突き付けながら威圧する。不必要な殺生は好まないが、執拗に僕を魔王にしようものなら、容赦はしない。

 

「もう僕に関わらないでくれ。」

 

僕はジュディにそう言うと、ハンドルからメモリーを抜き取り、バイクに戻す。そして再びバイクを引いて歩き出す。

 

『ハアッ!』

「っ!」

 

刹那、僕に向かって何者かが襲いかかってきた。黒をベースにオレンジ色の装甲を備えている。そしてベルトのバックル部には『SMART BRAIN』のロゴがあった。

僕はそれを受け流すと、逆に蹴飛ばした。

ジュディの方を見ると、更に3体の兵士…ライオトルーパーが現れた。どうやらジュディが手にしている“馬の怪人が描かれた懐中時計”を使って召喚したらしい。

 

「そうはいかないわ。まぁ、これで小手調べさせてもらうわ…“仮面ライダーファイズ”。」

 

ジュディはもみあげに触れてファイズの名を言うと、そのまま姿を消した。ライオトルパー達は僕を包囲するように立ち塞がる。

この世界に来ても結局同じか…戦いからは逃れる事など出来ない。それは定めなのだろう。

僕はバックの中に入っている“アタッシュケース”を取り出して開ける。中に入っているドライバーに“トーチライト”、“カメラ”を取り付けると、それを腰に装着する。続けて携帯電話・ファイズフォンを開き、5のボタンを三回押してからENTERを押す。

 

『standing by』

 

待機音が流れるファイズフォンを折り畳む。

 

「変身。」

 

僕はファイズフォンをドライバーに挿入し、そのまま横に倒した。

 

『complete』

 

その音声が流れると同時に、僕の体に赤いフォトンストリームが走っていく。それと同時に、“モルフォ蝶の群れ”が出現した。夜間の街に赤く輝くフォトンストリームにモルフォ蝶が溶け込んでいくと、それは“青く変色した”。そして僕は眩い光に包まれ、その姿を変化させた。

黒をベースに銀色の胸部装甲、ギリシャ文字のφを模した頭部に黄色い複眼、蝶を模したアンテナ、そして体中に青いフォトンストリームが走っている。

 

『『『『はああああああっ!』』』』

 

ライオトルーパー達が一斉に突撃してきた。

 

『ready』

 

僕は再びハンドルにメモリーを挿入し、それを引き抜く。ファイズエッジを構え、向かってくるライオトルーパーを迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:トーマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、後は向こうの一軒だけだ。」

「OK。」

 

俺とおやっさんは馬車に乗って時計配達をしている。今日は俺一人でやるはずだったが、徘徊するチアキの事を考慮し、おやっさんと一緒にかつコートを羽織って配達している。今のところはチアキに遭遇する事なく配達が進んでいる……残るは最後の一軒…このまま何事もなく終わってほしいけど…。

 

「トーマ、さっきの少女と何話してたんだ?」

「…俺の力って、本当に魔王になっちゃう代物なのかなって…。」

「何を今更。」

「皆を守るためのジオウの力が、本当に未来で邪悪に染まっちゃうのかって…。」

 

俺はセレーネの忠告を未だに引きずっていた。“皆を守るためのジオウ”、それが未来では“全てを殺すためのオーマジオウ”へ変貌を遂げてしまう。実際の映像を見せられて、動揺を抑えられずにいた。

 

「いつものお前らしくないな。お前はお前のまま進めばいいだろ。自分の人生だし。」

「…え?」

「時計の針ってのは進むだけじゃない。止めたり巻き戻したり出来る。でもな、人生はそうはいかねぇ。」

 

おやっさんはそう言った。人生と時計…その関係はかなり似ている。自分自身の人生を進めるのは己自身。どんな未来を辿るかもまた己自身。チアキ達の事情を否定するつもりはない。でも、出来る事なら俺の意思で未来を変えたい。

俺はそう思いながら配達先へ向かっていた…その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチィィィィィッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐあああっ!?』

「「!?」」

 

右側から何者かが吹き飛ばされてきた。俺は一旦馬車から降りると、その人物のもとへ駆け寄る。黒をベースにオレンジ色の装甲、そして『SMART BRAIN』のロゴが入ったバックルを着けている…これは、“仮面ライダー”…?

俺がそう考えていると、その人物の変身が解けた。

 

『ガッ…ァァ……』

「!?」

 

変身していたのは、人ではない“灰色の化物”だった。化物は動かなくなると、やがて青い炎を出しながら灰になって崩れ落ちた……路地裏で誰かがこいつらと戦っているのか…?

 

「おやっさん、そこで待ってて!」

 

俺はおやっさんにそう言うと、何時でもジオウに変身できるようジクウドライバーを装着し、ジオウウォッチを片手に路地裏へ走る。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ふっ…! はあっ…!」

『グアッ!?』

『ガッ…!』

 

俺が路地裏に駆けつけると、そこには化物達と戦っている“青いライダー”の姿があった。シンプルなデザインの頭部に、体中に青い線が走っている。腰にはいくつかのデバイスを収納したベルトが装着されている。

三体の化物の内、右ストレートと蹴りを喰らった二体が同じく灰化した。残りは一体。

青いライダーは右腰にある“円柱状の何か”を取り外すと、ベルト中央のデバイスにあるプレートをそれに移し替えた。

 

『ready』

 

音声と共にデバイスが伸びた。青いライダーはそれを右足に取り付けた。そしてベルト中央のデバイスを開き、ボタンを押した。

 

『exceed charge』

 

音声と共にベルト中央から右足を青い線を伝ってエネルギーが送られていく。

 

「はっ!」

『ぐっ…!?』

 

エネルギーが右足にデバイスに充填されると、青いライダーは右足を化物に向けた。すると右足のデバイスから一本の光線が発射され、それが化物に当たると、青い円錐状のマーカーとなって化物を補捉・拘束した。

青いライダーは少し助走をつけて高くジャンプした。その際、俺は見た……“蝶の翅を生やした少女の幻影”が青いライダーに重なっていくのを…。

 

「はあああああああ!!」

『グゥゥアアアアアアア!?』

 

蝶の翅を生やした青いライダーは、稲妻と七色のオーラを纏いながら飛び蹴りの姿勢でマーカーに飛び込んでいく。マーカーはドリルの如く化物の体を抉っていく。やがて青いライダーはマーカーと一体となって化物の中に入っていくと、化物の背後から青いライダーは実体化した。

すると化物に青いφの文字が浮かび上がると、青い炎を発しながら灰化していった。

 

「…。」

 

青いライダーと目が合った。だがチアキの時とは違い、青いライダーは自ら踵を返して去っていく。どうやらあの化物達を迎撃していただけらしい。

 

「なぁ、お前は誰なんだ?」

 

俺は去っていく青いライダーに声を掛ける。

 

「…“ファイズ”…それが僕の名前だ。」

 

ファイズと名乗ったライダーは、そのまま歩き出し、やがて闇夜に消えていった。

俺はこの日、二人のライダーと会った……俺を殺すべく現れたゲイツ、目的の分からないファイズ…俺はこれからも二人のライダーと関わっていく事になるだろう…特に、ゲイツとは。

 




ED『Can You Keep A Secret?』



トーマ「ついにゲイツ、そしてまさかのファイズが出てきたよ。ファイズは意外だったな…。」
システィーナ「ファイズに変身してた人どっかで見た事あるような…。」
グレン「それにチアキの名前が完全にア○カ・ラ○グレーなのは気のせいか?」
トーマ「紙鳥、エ○ァ観てたから意識してんじゃないかな?ゲイツも赤いし。」
ルミア「それよりも、チアキとセレーネならまだしもなんであの二人は来てないの?確かあの二人って“別作品”からの参戦なんだよね?」
トーマ「仕方ないさ。あの二人は最近盾○○者とかRos○○iaとかで忙しいから。」
グレン「お前隠す気ないだろそれ。」
システィーナ「それ以前に容姿とか作品タグとかでもうバレバレですけどね…。」
トーマ「あのタグは伏線だった…?」
ルミア「伏線…なのかな?」


NEXT『競技祭へ向けて』
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