その日は気分が悪く憂鬱な気分で目覚めた。理由は昨日起きた湯上の処刑の光景が頭にこびりついて離れない。
まさかモノクマ達が本気で殺すとは思っていなかったし超高校級である湯上があっさりと死んでしまった衝撃も大きい。
俺は自身が凡人だと分かっているが他の奴等は希望ヶ峰学園に認められたエリート高校生だし一人も欠けずにここから出られると思っていた分だけ俺はショックが大きかった。
『オマエラおはようございます。絶望ヶ峰学園校長が朝7時になった事をお知らせしてやってるよ。今日も良い絶望を!』
暗い気持ちでいるとアナウンスがなった。忌々しいモノクマが映っている所を見るとむかついてくるが危害を加えると湯上のようにオシオキを受けるはめになるから下手な事は出来ない。
モノクマ達はあえて全員を集めて知らしめたのだろう。自分達に何かすればこうなるんだぞと。
暗く沈んだ気持ちのままにのろのろと準備をしてゆっくりと食堂に向かう。するとちょうど部屋から出てきた木枯と出会った。
木枯は俺を見るとびくっと体を震わせていた。顔を見てみると顔色は悪く俺と同じで沈んだ気持ちでいるようだ。
「あ、砂糖君おはよう…」
「お…おお、おはような木枯……良く眠れたか?」
「いやーやっぱり昨日色々と起こったしその、眠れずに夜遅くまで起きてたよ…」
そりゃああれを見たとなれば寝れなくなるよな。俺は疲れとかで許容範囲こえちまったからすぐに寝たけどな。
「あーそうだよな。あんな事が起きたしな……木枯は動機動画は見たか?」
「……まだ見てはないよ。気にはなるけど怖くて…」
「その方が良いさ。あれを見たらあの冷静だった湯上が激しく怒ったしな。俺も見たがヤバかった」
「砂糖君は見たんだね…差し支えなければだけどどんな動画だったの?教えてもらえない?」
「…湯上は大事な仲間のチームメイトの動画で俺は家族だった。だから多分だが動機はそいつの大事な人だと思うんだ」
「大切な人、か…」
「ああ、それにもし見るとしたら誰かと見た方が良い。あれを一人で見るとどんどん気持ちがここから出なくちゃって気になるからな」
俺は龍野が来てくれて話を聞いてくれたお陰で踏みとどまれた。もしあの場に龍野が来てくれなかったら俺も湯上のようにモノクマに突っかかっていただろう、それか誰かを…殺していたかもな…。
「そうなんだ…分かったよ」
「まああんな動画モノクマの嘘だろうしな、気にしない方が良いだろ」
「そうだね……」
木枯は未だ暗い顔色のままだ。そりゃ自分の大事な人が動機に使われてるって知ったら余計に不安にもなるよな。正直に言わない方が良かったかな。
そして俺達は重苦しい空気のまま食堂に着いた。食堂にはもっと重苦しい空気が流れていてまるでお通夜状態だ。
既に来ている人は沢風、和良井、瀬戸内の早く起きて集まる組に恐らく厨房には妻夫木、泊、シャル、桃瀬、龍野が朝ごはんを作ってくれているだろう。
ちなみにこの5人は二日目の朝に朝昼晩とご飯を作ると言ってくれている。
そして鈴木崎、藤が席に着いており珍しく集合時間を過ぎてやって来る百澤も席に座っていた。
俺は皆に挨拶をしたがやはり昨日の事があったからか一様に暗い。
「百澤は今日は早いんだな」
「ちょっと昨日の事が頭から離れないからね、流石に呑気にゲームできるメンタルはなかったし早く寝たんだよ」
「あー…だよな、すまねえ。悪いこと聞いたな」
「いや、別に良いんだよ」
そして重苦しい空気のままに過ごしていると厨房から龍野達が料理を運んできた。
しかしそこには妻夫木の姿はいなかった。どうしたのだろう?
俺はその疑問を龍野達に聞いてみた。
「妻夫木はいないのか?」
「…妻夫木さんは来ていないんだ」
「へ?来てないのか?」
「うむ、恐らくだが昨日あのような事があったしな、心身共に疲れているのだろう」
妻夫木は湯上になにかと構っていたからな。ショックは一番でかいだろう。
そして集合時間ちょうどに熱宮、影山、嶋野、剣が来た。皆一様に顔は暗かったが剣だけは変わらずのテンションで来た。
「むむむ、やはり皆の衆沈んどりますな。ここは景気付けに我輩がキラッと解決した事件を話して場を和ます事にしようではないか!」
「いやそりャァ逆効果ってもんだろォ?」
「俺もそう思うぜ?」
剣がナイスアイデアだと迷案をしていたが桃瀬と瀬戸内に突っ込まれる。それは全員が思ったことだろうな。
そして時間を過ぎてやって来たのが猫屋敷、鷹倉が来た。妻夫木はまだ来ていない。
猫屋敷は半分眠りながらゆらゆらと危なげなく席につく。鷹倉はぶつぶつと 「ねみぃ、だりぃ…」 と呟きながらダラーと座る。
「君達だらけきっているな…」
「あはは、二人は変わらずなんだね」
「いやメンタルおかしいやん、あれ見たばっかでいつも通り維持できるん尊敬するわー」
「所で二人は妻夫木さんを見たかい?」
沢風の問いに二人はめんどくさそうに。
「ん~知らにゃ~い~」
「…………知らん」 と答えた。
「それなら俺が呼びに行こう!」
と泊が立ち上がったその時食堂の扉が開き妻夫木がやって来た。
「…皆ごめん、眠れなくて…」
「ああ、いや気にしなくて良いんだ。昨日の事を考えれば仕方ないさ。それに来てくれて嬉しいぞ!」
「うん、ありがとう…」
妻夫木は昨日までの元気さが嘘のように萎んでいた。そして全員席に着き食事をする。
昨日までが嘘のように静かに食べているといきなりモノソノが出てきた。
「呼ばれてないのにジャジャジャのジャーーーン!!」
「うっひゃああああぁぁぁあぁぁぁ!??」
「うるせェ和良井ィ!ビビり過ぎだァ!」
「アッハハハ!無様な驚き方だねー!」
「いやちょっと待って!百澤辛辣過ぎやない!?」
「そうなんだよ和良井~百澤の奴所々言葉に刺があんのよ」
「…それあんたらだけじゃない?」
「「ここにも辛辣な奴が居た!?」」
まるで漫才のような流れだな。和良井が驚き桃瀬が怒鳴り百澤が煽りそれに和良井がツッコミを入れ瀬戸内が同意し藤がトドメを刺す。
百澤は和良井瀬戸内が揃って言った言葉にまた笑い出す。
「……………ハッ!?って私を無視しないで下さいよぉ!数少ない教頭の登場なんですよ!?もっと興味を持ちましょうか!」
「黙ってよ!あんた達のせいで湯上は死んだんだよ!?」
「あんたらに持つ興味なら捨てたね」
「あんな事をしておいてよくも俺達に顔を出せるな!」
「そうや!それにまた良からぬ事でも提案しに来たとかやろ!?」
皆敵意剥き出しでモノソノに文句を言う。特に妻夫木は呪い殺しそうな程睨み付けながら怒る。
生意気な態度とか弟と似ていたと言っていた湯上を処刑したモノクマ達には並々ならぬ怒りを抱いてるようだ。
「うひぃぃぃぃ!?こっわ!最近の子供らこっわ!そんな事言われても湯上のあほは校則を破ったからオシオキしたまで!それをとやかく言われても湯上自身が巻き起こした事だしぃ!!」
「その湯上が行動したきっかけを作ったのは他でもないあんたらのせいじゃないかい」
「そうであるぞ!あれがなければ湯上殿はあのような事を起こさなかったでござろう!」
熱宮と剣の言う通りこいつらが用意した動機動画なんかを見たせいで湯上は怒りを抑えきれなくなりあんな行動に移ったんだ。
それを聞いたモノソノはやれやれと頭を振りながら答えた。
「あー今はオマエラに何を言っても同じことしか返ってこなさそうだしさっさと本題言っとこーかしら!そんなわけで今までロックが掛かっていた別館の渡り廊下が解除され別館に進めれるようになりましたー!はい拍手~パチパチパチ!」
「別館行けるようになったのか?」
「…そうらしいね」
すかさずモノフォンでマップを見てみると確かに別館のマップが開放されていた。見ると購買やトラッシュルームがあり、空き教室は6つ程あり、???と表示されている扉もある。
「この???は何なんだモノソノ?」
「あーそれは今後必ず開く所だから今は封鎖してます」
なら今ここは後回しでも良いか。
「購買には何があるんですか?」
「倉庫にはないような物を揃えたよ。それとモノモノガチャマシーンってのがあるから良ければ回してみてよ!」
「モノモノガチャマシーンだァ?ンなもんあっても回すための金がねェンじャァ回せるもんも回せねェーよ」
「それはご安心を!モノモノガチャマシーンを回すには各所に散りばめられたモノクマコインを見つければ回せれるので」
そんなもんあったか?と疑問に思ってると龍野がポケットをがさがさと探し始めた。
「もしかしてこれの事?」
「おやおや龍野君は既に見つけてたのかね。そうそれがモノクマコイン!一回1コインで回せれるぞ」
見てみると表側に苛つくモノクマの顔が裏を見るとモノソノの顔がでかでかとある。こんなもん集めたくもない。
「それどこで見つけたんだ?」
「厨房で食器を取り出そうとしてたら皿の下にあったんだよ」
「マジか、それなら細かい所に相当置かれてんな」
「あ~僕も見つけてたね~」
「猫屋敷もか、しかし俺は悪趣味な物は集めたくはないな」
「沢風君意外と辛辣だね」
「お前らに対してはね」
沢風はモノソノを微笑みながら圧力を掛けて言った。見てるだけの俺でもビビる迫力だな。
「それじゃあ伝えたので好きなように探しに行けば良い」
モノソノは音もなく消えていった。毎度毎度どんな技術で出てくるんだ。
「それじゃあ食べ終えたら別館に行ってみようか」
「うむ!脱出の手口が見つかるかもしれないしな」
「…じゃあ私は先に行かせてもらいますね」
そう言って藤が出ていこうとした。しかし沢風が呼び止めた。
「待ってくれ藤、ちょっと俺に提案があるんだが」
「なんや?」
「夜時間になったら外に出歩かないようにしないか?」
「お?何でだ?別に良いじゃねーか」
「いや万が一の可能性もあるしな。危険だしあまり出歩かない方が良いだろう」
「…まあ誰かが殺しを企ててるかもだしな」
鷹倉の発言に皆の空気は重くなった。
「おいおいおいおい!鷹倉!何でそんな事言うんだよ!」
「…?だがよ、俺はお前ら信用してねーしな」
「確かにまだ信頼関係は築けてないだろうけどさそんな殺しだなんて考えてる奴居るもんかね?」
俺は居ないと信じてる。
「いやー…わかんねーぞ?隣の人間が何を考えてんのか分かるんだったら良いけど無理だろ?」
「確かにそうだけどさ…」
「ならその方が良いじゃねーか。万が一だしよ、万が一」
「…なら沢風の夜時間に出歩かないという案は採用で良いか?」
皆特に反論はなく決まった。熱宮も渋々だか納得した。
「じゃあ私は行くから…」
藤は今度こそ一人で出ていってしまった。
「あ!?待ちたまえ藤君!…行ってしまったか。一人では危ないな。仕方ない、俺が藤君を追いかけておく」
「なら私も行くよ、危なっかしいしね」
そう言って泊と熱宮が藤を追いかけていった。
「じゃあ後片付けをしたら俺たちも別れて行こう」
そして後片付けを終えてそれぞれ別れて別館に向かった。俺は百澤、シャルと行くことになった。
お昼に集まることにしてまずはトラッシュルームに向かった。
ーーートラッシュルームーーー
トラッシュルームに入るとまず目に付いたのは目の前の鉄格子にその先にある焼却炉だ。
それ以外には鉄格子の前にモニターがある。
「熱いな…」
「リンカが居たら汗だらだら出てたでしょーネ!」
「良いね、それ見てみたいな」
「おお…ナルハチ本当にスケベ~ですネ」
「これぐらいは普通でしょ、ねえ?砂糖君」
「タロウまでもですか!?」
そこで俺に振るなよ…シャルも俺まで軽蔑の目を向けるな!否定はせんがな。
「しかしこの鉄格子ヤローはどうやったら開きやがる?」
「シャルさんって時々言葉遣い汚いね」
「ん~それはアニメとかで勉強してたからネ!それ真似してたらいつの間にかって感じかナ!」
成る程、そうだったのか。見ると百澤はうんうん頷いていた。
「アニメで日本語を学んだ外国の同級生…良いね!」
「またナルハチ変になってますネ~…」
「ほっとけほっとけ、それより今は鉄格子の事だろ?」
「そうでした!」
近付いてみたが開く様子はないな。押しても引いてもうんともすんともいわないな。
「お困りのようだね!そんなときははい!校長の出番だね!」
「うおっと!モノクマ!?」
「うわっ…ビックリさせないでよ」
「きゃっ!?」
「おやおや、シャルロットさんは意外と可愛い声出すね」
「モノクマに同調するのは癪だけど僕もその驚き声良いね!って思ったよ」
「止めんかお前ら」
この二人の茶番に付き合ってたら話が進められないからな。
「それでなんの用だよ」
「この鉄格子を開ける方法を教えようかなって思ってね。後で他の人達にも教えといてね」
そう言われモノクマから説明を受けた。それは開けるには鉄格子の前にあるモニターをタッチしたらモノフォンを翳してねと出るのでモノフォンを翳すと開くとの事。
それを伝えるとモノクマはさっさと消えていった。
一応モノフォンを使い焼却炉まで行ってみた。だが何も目ぼしい物はなかったので次に行くことにした。
向かった先は???と表示されていた扉。行ってみると真っ赤な扉で何だか不吉に感じる。
「この扉の先にボスが居そうだね」
「それは中ボス?ラスボス?真のラスボス?」
「意外と詳しいんだなシャル」
「ゲームも大好きですからネ!」
シャルは堂々と胸を張りながら良い笑顔で言った。百澤はシャルの胸を見て鼻を伸ばしていた。
「百澤…」
「はっ!?…こほん、シャルロットさんもゲーム好きなんだね!」
「はい!特に格闘ゲームは最高ですネ!」
シャルと百澤で盛り上がってんな。俺は人並みにゲームをやるぐらいだしな。
そして次に向かうのは空き教室6つ。ここも特に目ぼしいはなかったが探してる途中で木枯のグループや剣のグループとあったりした。
それとモノクマコインを一つ見つけた。
最後に購買に向かった、そこには沢風、鈴木崎、鷹倉達が居た。
「おお、お前らも購買調べてんのか」
「やあ砂糖、そうだね俺達は今調べ終わったところさ」
「次にトラッシュルーム行こうかってなってるよ」
「あそこは暑いから気を付けてねー」
沢風達はトラッシュルームに向かうようだ。俺達は購買を調べる始めた。
購買には倉庫に置かれてない物が確かにあったがラインナップは倉庫とは比べる程もないしょぼい物だった。
と言うか普通の学校の購買と同じだな。コンビニおにぎりとかサンドイッチとかパンにノートとか。ただ一つ珍しい店はモノソノが言っていたモノモノガチャマシーンって奴だ。かなり大きく自販機よりもちょっと大きい。
「僕モノクマコイン一個あるから引いてみるね」
「俺も引いてみるか」
「良いなー良いなー私も見つけたかったネー!」
羨ましがるシャルを尻目に俺と百澤でガチャを回す。百澤のガチャは…。
「ええと…『日焼け止め真白肌X』?……ここじゃ使わないもんじゃないか、外れも大外れだし最悪!」
「確かにここでは太陽出てないですからネー、無用の長物ってやつですネ!」
「よくそんな言葉知ってんなシャル」
「えへへへ、沢山勉強しましたからネ!それよりタロウのガチャガチャはどんな物?」
「ええと、俺のはな…『天然水!ミネラルウォーター』だってよ」
「ええ…水なら倉庫にも食堂にもあるしここのガチャ役立たずじゃないか!」
モノクマなんかが用意したガチャガチャだしな。期待はしてなかったけどこれはしょぼすぎるな。
そして俺達は購買を調べながら百澤とシャルと話した。
ーーーシャルとの交流イベントーーー
「シャルも希望ヶ峰学園の特集番組見て入りたいと思ったんだよな」
「うん!テレビに映ってた人達がキラキラ輝いてたからワターシ憧れちゃってネ!?それでスカウトされるように色々手を出してたらどんどん上手くなっていくのにハマっちゃってて。そしたら超高校級の努力家としてスカウトされたの!」
「凄いねそれは」
「ああ、俺は憧れただけで何もしてこなかったからな、それで予備学科にだからシャルとは真逆で申し訳ないな」
かたや希望ヶ峰に憧れ努力で希望ヶ峰学園のスカウトを勝ち取った者かたや憧れただけで何もせずに親の脛をかじり予備学科として入学した者。
シャルの話を聞いていると自分が恥ずかしくなってくる。
「そんな事ねーですよ、予備学科だからとか超高校級だからとか関係ないですし申し訳ないなんて思わないでよネ!同じ希望ヶ峰に憧れた者同士でしょ!」
「シャル…ありがとうな」
「全然OKだよ!」
シャルは優しいな…。
ーーーシャルと新密度が1上がったーーー
ーーー百澤との交流イベントーーー
「百澤は格闘ゲームとかFPSゲームの大会で優勝してっけど他のジャンルのゲームの大会にも参加してんだよな?」
「うん、その二つが得意だけど一応クイズゲームとか育成ゲームとか色々幅広いジャンルの大会に出たね。全ジャンル一応優勝してるよ」
「流石は超高校級のゲーマーだな、得意じゃないジャンルでも優勝出来るなんて!」
「ゲーム自体が好きだからね、好きこそ物の上手なれだよ」
「ワターシも努力することが好きだったからね」
そこまで夢中になれるものがあるのは羨ましいな。俺は浅く広く好きになるからそこまで一つに対して夢中になることはないしな。
「まあそのお陰でゲーム好きになりすぎて睡眠時間も食事も減らして不健康な生活してるんだけどね」
「確かにお前毎回遅くに来るしな」
「プラス眠そうに来ますネ」
「一回やり始めると時間を忘れちゃっててね、気付いたら深夜でしたーとか毎日だからね、あはは」
そう言って笑う百澤の顔は好きな趣味の事を語れて嬉しそうだった。
ーーー百澤と新密度が1上がったーーー
そして俺達はあらかた調べ終わり食堂に戻った。そこで調べた事を話し合ったが特に脱出の手がかり等はなかった。
そして調べた情報交換も終わりお昼を済ませた後は自由時間となった。
俺は特に用もなかったので倉庫に向かい依然飲んだ甘いジュースを入手しに来た。
あの甘さにハマり俺は数本取って部屋にある小型の冷蔵庫に保管しておく事が決まりになっていた。
このジュースはどうやら普通の人には甘すぎるらしく俺以外に滅多に飲む人はいない。こんなに甘くて美味しいのにな。
それにこのジュースは倉庫の一番手前にあるから取りやすいんだよな。水とかは一番奥にあるし重いしで面倒だからな。
俺が倉庫に着くと妻夫木も倉庫に居た。妻夫木は俺に気付くとビクッと体を震わせていた。
心配になり声をかける。
「どうしたんだ妻夫木?そんなにビビって」
「な、何でもないよ……砂糖こそどうしたのよ?」
「俺か?俺はあの甘いジュースを取りに来たんだよ」
「…あんたあの甘々な飲み物まだ飲んでんの?」
「失礼な、あの甘さが良いんじゃないか」
「あれは舌が溶ける甘さよ…」
何事もなく話している妻夫木だが先程から顔色が悪くしきりに周りをきょろきょろしている。
やはり湯上の件で本調子は戻っていないのか?
「お前顔色も悪いし休んだ方が良いんじゃないか?」
「いやいや大丈夫だって!大したことないし元気だよ!」
「…まあお前がそう言うんならそう言うことにしとくか。でも無理はするなよ?なんかあったら俺らに遠慮なく言えな?」
「…う、うん分かった。ありがとね砂糖」
顔色は依然悪かったが妻夫木が大丈夫って言うんだし自己管理は超高校級のアルバイターならしっかりしてるだろうと俺はお目当てのジュースを手に取り倉庫を出た。
その際も妻夫木はまだ倉庫に居て何かを探していた。
そしてぶらぶらと過ごしていたらいつの間にか夜ご飯の時間になり食堂に集まりご飯を食べていると沢風と泊が立ちあがった。
「皆聞いてくれ!」
「ん?どないしたん?」
「いきなりですまないが提案があるんだ」
「急なんだけど明日の夜は空いてる教室を使ってパーティーでも開こうかと思うんだ」
「パーティー?何で?」
鈴木崎が疑問を問う。皆も何でか知りたがっている。
「これは俺が発案したんだがこのままじゃ憂鬱な空気が流れ続けるじゃないか。だけどこのままこの空気で過ごしていたらいけないと思ってね」
「うむ!それで相談を受けてな俺も賛成したんだ。それに俺達はお互いを知らなさすぎるしな!ここでパーティーを開いてお互いをより知って仲を深める事により殺し合い等とふざけた事は起きないだろうと!」
沢風と泊は熱く語ってくれた。それを聞いて皆もパーティーに乗り気になっていく。
「パーティー!ワターシ楽しみでたまりませんー!!」
「そうやな!それにここらで俺のネタを見せたる良いチャンスやしな!大爆笑かっさらったるわ!」
「おお!?超高校級の芸人和良井のネタが見れるたぁー嬉しいね!」
「なら私も簡単に作品作るかね!」
「ふわあー、私は幸運だからね、特にお見せできる事は無さそうだな…」
「それなら私もですよ。モブなんて才能どう見せたら良いか」
「それなら俺は予備学科だからなー盛り上げ役位しか出来ないな」
そう嘆いていると桃瀬が励ましてくれる。
「お前らァ!ンなくだんねェ事考えてンじゃねェーよォそんな見せもン出来ねーぐれェで落ち込むなァ。誰も気にしャしねーよォ」
「桃瀬!お前…ありがとな、そう言ってくれたら救われるよ」
「うん、ありがとうね桃瀬君」
「はい、ありがとうございます、桃瀬さん」
「ンだおめーらァ?ンな事気にすんなってェ!」
桃瀬は顔を赤くしながら言った。照れてるんだな、でも優しいやつだな。
「よし!じゃあ明日はパーティーの用意をしよう!」
「これは楽しみだね!ねえ妻夫木?」
「……うん、そうだね」
「妻夫木?どうしたんだい?」
「ああ!いや何でもないよ気にしないで?」
「あ、ああそうかい?」
熱宮の問いかけにもあまり乗り気ではないように感じるな。やはりまだ具合でも悪いのか。
そして明日の夜にパーティーを開くと言うことで今日は解散となった。
沢風と泊は簡単に明日の用意をするからと食堂に残っていた。
シャルや和良井達数人も手伝うようだ。俺も折角だし手伝うかと言ってみたが人数は足りてるからと言われたので部屋に戻って寝ることにした。
部屋に戻りだらだらと倉庫から補充したジュースを飲みながら自前のゲーム等をしているとアナウンスがなった。
『オマエラ校内放送だよー。絶望ヶ峰学園校長が夜の午後10時をお知らせしてやってるよー!間もなく食堂等特定の教室はロックされますのでお気をつけ下さいな!それではオマエラ良い夢を!おやすみなさ~い!』
そして俺は眠りについた。
☆~~~モノクマ劇場~~~☆
『人間って臆病だよね!だけどある事があると簡単に実行に移すよね。え、それは何なのかって?そりゃあ決まってるじゃん!』
『切っ掛けだよ切っ掛け!何もしなかったらその場でブルブルブルブル愚かな子羊のように震えてるだけなのに切っ掛けを与えると狼になって同じ仲間だった子羊を喰らい始めるよね』
『周りの子羊は何でどうして止めてくれと叫ぶけどもう遅いよね、そいつは狼になったんだし!でもそれならどうすれば良いか?そんな事も分かんない?簡単な事だよ』
『自分も狼になれば良いじゃん。それで同じように子羊を襲うも良し、狼に牙を向いても良し!』
『君ならどうするかな?うぷぷぷぷ!』
☆~~~~~~~~☆
『オマエラおはようございます。絶望ヶ峰学園校長が朝7時になった事をお知らせしてやってるよ。今日も良い絶望を!』
「…んん?ああ、もう朝か…」
今日はどうやらアナウンスで起きたようだ。俺は眠気混じりに支度をして食堂に向かった。今日はパーティーもあるし楽しみだしな!
するとちょうど出てきたのは剣だった。
「む?およよ、そなたは砂糖であるな!グーテンモルゲン」
「ぐ、ぐーてんもるげん??」
「ドイツ語でおはようであーる!」
「何で今このタイミングで!?」
「んんー、気分である!」
剣らしいな…。そして剣と話ながら食堂に近くに来ると鈴木崎と木枯と出会った。
「ようおはよう!」
「グーテンモルゲン!」
「へ?おはよう??」
「…おはよ、で何でドイツ語?」
「気分である!」
「鈴木崎知ってたんだな」
「あ、ドイツ語だったんだ」
と話ながら食堂に入るとそこには沢風、和良井、瀬戸内とお馴染みの朝メンバーだった。それぞれと挨拶を交わし席に座ると沢風が心配そうに言った。
「今日は妻夫木とシャルも来てないんだよ」
「え、シャルもか?」
「具合でも悪くなったでござろうか?」
「まあ昨日の飾りつけで疲れて寝坊とかじゃない?昨日の感じでは飾りつけで疲れたけど具合は悪くはなさげだったし」
「うん、私も見てたけど疲れた~とか言ってたけど元気そうだったしね」
そうか、木枯も鈴木崎もシャルも昨日飾り付け手伝ってたんだったな。妻夫木はさっさと部屋に帰っていってたな。
それから時間が少しになってきたら料理を泊、桃瀬、龍野が運んできて、時間にちょうどに藤と影山がやって来た。
そして少し時間がたった時に突如悲鳴が鳴り響いた。
「キャアアアアアァァァァァァァァァ!!!」
「な、なんや!?今の声!」
「今の声…嶋野さんだ!」
悲鳴の声の主は嶋野だった。そしてざわざわしているとアナウンスが鳴り出した。
『ピンポンパンポーン!』
『死体が発見されました!一定の捜査時間の後【学級裁判】を開きます!オマエラ、死体発見現場の保健室まで急いで集合してください!』
……は?今アナウンスは何て言った?周りを見ても皆混乱していた。
「お、おい!今あの熊やろーなんて言った!?」
「嘘やろ嘘やろぉ!!?」
「み、皆落ち着くんだ!」
「そうは言われましても簡単に落ち着けませんよ!」
瀬戸内が混乱しながら叫び和良井は認めたくなくてアナウンス内容を必死に否定する。泊が慌てている人達を落ち着かせようとするが影山がその言葉を否定する。
「やっぱり起こったのね…」
「あァ!?何言ってやがるてめェー!ンな事俺ァ認めねーぞォ!!」
「認めようが認めまいがあのロボット達がアナウンスしたんだし本当の事でしょ?」
「何で藤さんはそんなに冷静なの!?」
「予想はしてたしね…」
藤は驚くほどの冷静さで反応しているがそれは異常だ。現に桃瀬が噛み付いているし。木枯もガタガタ体を震わせながら藤に言っている。
他には龍野は冷静だった。あのクールな鈴木崎でも顔を青くしているのに龍野は落ち着いていた。
「お、おい龍野!お前落ち着いてる場合か!?もしかしたらひ、人が死んでんだぞ!」
「…砂糖君も一先ず深呼吸して落ち着いた方が良いよ。これから見る事に対して……」
そう言われ僅かながら落ち着いたがそれでも心臓の鼓動は煩くなっていく。
「とにかく!早くアナウンスが言っていた保健室に行ってみよう!」
沢風に言われ急いで保健室に向かった。心臓がバクバクと早る。モノクマの嘘だろと思いたい。
そして保健室まで着いた。扉の前には保健室の中を見て呆然と立ち尽くしている百澤と猫屋敷。嶋野は座り込んで顔を覆っている。
「な、なあ猫屋敷、あのアナウンスは嘘だよな?」
「沢風くん~…そう思うなら中を見てみれば分かるさ~」
「そんな嘘だよな!?そんな事が起きるわけが……!?」
沢風は猫屋敷に促され保健室の中を覗くと顔を青くし驚愕していた。
俺は我慢できずに沢風に続き中を覗くとそこには…
ああ…何でお前がそこに居るんだ…
そんなとこで寝てると風邪引くぞ?…早く起きろよ……
頼むからさ…
俺の視線の先、保健室の奥に体をうつ伏せにして倒れているそいつは
見て分かる、もう生きてはいないだろう、覗く顔からは生気を感じさせない
その人物は
超高校級のアルバイター 妻夫木 弥生は保健室の床にうつ伏せで倒れて死んでいた。
「キャアアアアアアアア!?つ、妻夫木さん!?」
「おいおいおいおいおい!!?何でやねん!なんで妻夫木が!?」
「昨日一緒に…飾り付けしてたじゃんか……」
「………嘘だろ?」
皆一様に驚き驚愕し嘆き悲しむ。泣いたり叫んだりとしているとモノクマとモノソノが喜びながら出てきた。
「イヤッホォォォイ!!やっと起きましたね起きちゃいましたね!待ちに待ったホンットに待ちに待ったよ!お前らの青春劇なんてたらたらと見せられてたまったもんじゃないよ!」
「うるさい!黙れよ!」
「砂糖君~そんな言葉遣いはいけないな~。それに皆も喜べってノリ悪いですぞぉ?そんなんじゃこれから学級裁判があるのに乗りきれるのかね?」
「…なんやその学級裁判て」
「確かアナウンスでも言ってましたよね?」
「あァ?そうだったかァ?」
影山の言った通り確かにアナウンスでも言ってたな。何なんだろうか?
「…おい、ちょっと待ってくれよ」
いきなり沢風は待ったをかけた。
「どうしたんだ沢風?」
「まだ熱宮にシャルそれに鷹倉が来てないんだが?」
「あ、確かにそうだね」
そうだ、確かにこの三人はアナウンスがなっているのにまだ来ていない。
心配になってくるな。
「あー…そうだねー。まだ集まってもないしね!うぷぷ」
「なら学級裁判の説明は後回しで探しに行ってくださいよ」
「お前らに言われんでも行くわ!おいお前ら行くぞ!」
「何で瀬戸内君が仕切ってるのか分かんないけど分かったよ!」
「いや百澤辛辣ぅ~!?」
「…あんたらこんな時まで」
「うっぷっぷ、絶望は加速する…気を付けて下さいね~
?」
モノソノは不吉な事を言いながら笑ってたが今はどうだっていい!
そして俺達は急いで三人を探し始めた。木枯と嶋野は具合を悪くしていたので保健室前で待つとの事。二人だけでは危ないので泊と桃瀬が一緒に待つと言った。
俺達はまず各々の部屋に行ってみる事にした。
しかしインターホンを鳴らしてみても誰も出てこなかった。
「出てこないな…寝ているのか?」
「なら鳴らし続けっしかねえか!?」
「んー?ならモノクマに頼んだ方が良いでしょ?おーいモノクマー!!」
「はいはーい?お呼びですか?」
百澤の呼びかけにすぐさま出てくるモノクマ。
「三人の部屋の鍵を開けてもらえない?もしかしたら中でなにかが起きてるかもだし」
「えー?んー…まあ良いか!その提案OK、じゃあ三人の部屋開けとくからお好きにねー!」
モノクマはさっさと消えていった。俺達はまず鷹倉の部屋に入ったが鷹倉は居なかったか。続けてシャルの部屋に入るがシャルも居なかった。
最後に熱宮の部屋に入ると…熱宮はグースカと呑気に寝ていた。
良くアナウンスもなっていたのに寝ていられるな。
「おい!熱宮起きろ!」
「…起きて熱宮さん」
「何を呑気に寝てんねん!はよ起きい!」
「すーすー、…んん?あ~?ってなんだいあんたら!?何で私の部屋に居るんだい?」
「ああ、ごめんね勝手に入っちゃって。実はね…」
突然の事に驚く熱宮に百澤と沢風が説明をすると熱宮は大きく驚いた。
「何で妻夫木が…くそ!何で私はアホみたいに寝てたんだい!」
「今嘆くのは後だ!今は残りの二人を探すことだよ!」
「ならこっからは手分けして探した方が良いだろ!」
「ああ、それで行こう!」
そしてそれぞれに手分けして二人を探すことになり俺は龍野と別館に向かった。
まず近くにある購買に向かうと入り口に誰かがいた。近付くとそれは鷹倉だった。購買の扉を開けっぱなしで中を見て立ったままだ。
「あ!鷹倉!?お前こんなとこに居たのかよ!」
「…心配したよ」
「!?……あー、お前、らかよビックリさせ、んなよ」
鷹倉は妙にたどたどしく喋っていた。見ると具合悪そうにしているし体はガタガタ震えている。それを見て俺は嫌な予感がした。
横を見ると龍野も何かを感じ取ったらしい。
「なあお前ら…」
「ど、どうしたんだよ」
「ちょっとこれは俺一人じゃ受け入れなさそうだからお前らも見てくれよ…」
「……な、なな何を言ってんだよ、中に何かあんのかよ」
ドキドキと鼓動が激しくなる中勇気を出して購買の中を覗き込んでみるとそこには
ああ、こんな事、
嘘だと思いたい…夢だと思いたい…
思えばモノソノはこの事を言っていたのかもななんてどこか冷静な思考で考えていた
龍野も俺と同じ光景を見て言葉を失っていた。するとアナウンスが聞こえてくる。
ピンポンパンポーン!
『死体が発見されました!一定の捜査時間の後【学級裁判】を開きます!オマエラ、死体発見現場の購買まで急いで集合してください!』
この音がなったという事はそういう事だろう
遠くから沢山の足音が聞こえてくる中俺は小さく呟いた
「…何でだよ……お前まで何でなんだよ…なあ?」
ここで一緒に調べた時は元気に笑ってたそいつは…
超高校級の努力家 シャルロット・ド・ベルジックは購買のモノモノガチャマシーンに寄りかかった状態で頭から血をながしながら息絶えていた。
第一章 非日常編に続く
ー登場人物ー
【予備学科生徒】
【超高校級の???】
【超高校級の芸人】
【超高校級のリア充】
【超高校級のメカニック】
【超高校級の交通委員】
【超高校級の幸運】
【超高校級の放送部】
【超高校級の名探偵】
【超高校級の???】
【超高校級の氷彫刻家】
【超高校級のゲーマー】
【超高校級の僧】
【超高校級のモブ】
【超高校級のネット配信者】
【超高校級の折り紙講師】
【超高校級の保険委員】
生存者 17人
学級裁判がんばります!よろしくお願いします‼