ハイパーダンガンロンパ   作:ゲップ助かります

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こんにちはー!第二章3まで来ましたね!
張り切っていきましょうー!


第二章 (非)日常編3

『ネコヤシキくんは巷で有名な老若男女問わず殺戮を楽しむ残虐非道の殺人鬼、【超高校級の殺戮者】である』

 

その意味が分かるのに時間を要した。時計を見てみると数十分経過していた。それでもまだ俺の頭の中にはグチャグチャした形容し難い気持ちの悪い思考が蠢いている。

 

「あ、ね、ねこや…猫屋敷……が?」

 

やっと絞り出した言葉もどこにも行き場のない、意味もなく空気と一緒に漏れ出ただけだ。

徐々に落ち着いてくる思考が訴えかけてくるのは図書室の書庫にあったあの新聞に載っていた巷で有名な殺人鬼の事だ。

 

あの事件は猫屋敷が犯人なんだと告げている。しかし信じたくはない。

…やっと俺は信じようと、信頼していようと思えていたのにその思考は焼け爛れて炭となって消え失せていく。

猫屋敷が【超高校級の殺戮者】だと判明した今【超高校級の愉快犯】だって俺達の…それこそ未だ才能が分かっていない俺のダチに疑いの目が向いていく。

 

「た、龍野がそうだってのかよ?あいつが愉快犯?そんなう、そだ……」

 

口でいくら否定をしても思考は解を示す。大体俺は愉快犯の事についてやっと話そうと決めたのに…皆と協力すればと思ったがこれは余りにも酷すぎる。

この殺し合いという状況下で【超高校級の愉快犯】なんて犯罪者が居ると知るだけで不安は何倍にも膨らむのに【超高校級の殺戮者】何て人を己の手で殺している奴が居ると知ったら協力も何も合ったもんじゃねえ。

 

自室で時間を消費しながら考えるが打開策も良い案も出るわけがない。しかし誰かに話そうものなら混乱を招くだけ。

なら猫屋敷に直接聞いてみるか?否定してくれればまだ良い。

それで納得する、これはモノクマ達の罠なんだと。

…そうだよな。あののんびり屋の猫屋敷が【超高校級の殺戮者】なんて物騒な奴な訳がない!俺はそう決めつけた、いや俺の頭の中にある最悪のシナリオを信じたくなくて無理矢理騙したのだ。

だが今はこうするしか術はない。

 

そうと決めたら早速明日猫屋敷に聞いてみるか。気軽に聞けばあいつもいつものように気の抜けた笑いを見せながら否定の言葉を返してくれるだろう。

そうと決めたらもう寝てしまおう。時計を見ると長い間考えてたのだろう。

時刻は深夜の1時を過ぎていた。このままでは朝の集まりに寝坊してしまう。

俺は目覚ましのアラーム設定をして毛布を被り未だグチャグチャと余計な思考をしている頭の中を無理矢理消し去り目を閉じ意識を彼方に送りやった。

 

……………………。…………………………?………。…………ん?

 

……何かが鳴っている?ボヤけた眼でそれを確認すると俺が設定した目覚ましが俺を起こそうと呼び掛けていた。

その轟音に顔を顰めながらアラームを止める。ゆっくりと体を起こし周りを見渡す。

 

…やっぱり何十回と見直しても現状は変わらず閉じ込められたままだ。

いくら楽観的に考えても心の奥底にはこれは本当は夢なんではないだろうか?それか盛大なドッキリか?なんて思うが、じかに見た死体を…あの臭いを…あのオシオキを考えると体が震え現実なのだと感じる。

 

そしてふと時計を見てみる…そこには朝の集まりから二時間程過ぎた時刻を指していた。

俺はそれをゆっくりと確認しゆっくりと瞼を閉じる。そして出てきた問いに俺はこう返した。

 

(やっべー…寝坊じゃねえか)

 

そう思うとすぐにパジャマからいつもの服に着替え身だしなみをある程度整える。

人に不快を与えない位にする。髪はいつも通りの癖っ毛で水で梳かしてもワックスを使っても俺の強情な所々跳ねる癖っ毛には効果がなかった。

 

特に頭の頂点に鎮座するアホ毛。こいつは何があってもピンと立っている。

髪に関してはもう諦めた。気を付けるべきは臭いとかだ。俺はモノクマが部屋に用意していた俺愛用の臭いが良くなるスプレーを吹き掛ける。

 

(今日は…ほんのり甘いチョコの匂いにすっかな)

 

やっぱ女子にモテてえじゃん?とモテる弟に話すとなら身だしなみから気を付けなければと言われ、弟からこのスプレーを勧められてからこのスプレーを毎日欠かさずにしている。

ちなみにこのスプレーは種類も豊富にありチョコの匂いの他にショートケーキの匂いやミルクキャラメルの匂い等もある。

 

そして身だしなみを整えて急いで食堂に向かった。

 

ーーー食堂ーーー

 

食堂に入るとそこには龍野と沢風に影山と鈴木崎が座っていた。

昨日の余計な考えのせいで龍野に少し淀んだ思考がふわふわと浮かんでくる。だが無理矢理押し付けて消す。

 

「あー…おはよう」

 

俺が声をかけると皆がこちらを向く。そして龍野は心配そうに駆け寄ってきた。

 

(龍野来んの早い!?こいつ素早すぎるだろ!)

 

俺は立ち上がったと思ったら俺のすぐ側まで近寄ってきた龍野の素早さに驚きを隠せないでいた。

 

「…砂糖君!今日はどうしたの?朝食に顔を出さなかったから心配したんだよ?」

「あーわりーな。ちょっと寝坊しちまってな」

「それって昨日の動機の事かな?」

 

沢風に問われて言葉を詰まらせる。

 

「やっぱりか…まあ安心してくれよ。砂糖だけじゃなくて他の皆も結構な人数が寝坊しちゃってるから」

「そうなのか?」

「はい、和良井さんや剣さん、嶋野さんも遅れて朝食に来たり砂糖さんのように長い時間寝坊をしてらした方も居ます」

「猫屋敷と鷹倉はいつも通りだったよ」

「ね、あいつらは相変わらずだな…」

 

猫屋敷と聞いて少し動揺してしまった。悟られまいと慌てて話題を変える。

 

「そういや朝食は…もう片付けたよな?もう残ってねえ感じか?」

「ああ、それなら龍野が君の分残してくれてるよ」

「…あ、いやあの。砂糖君なら食べるだろうしさ」

「何顔真っ赤にしてんの?」

「…し、してないよ!?」

 

いつも通り龍野は優しい奴だな。そうだよな、こんな奴が愉快犯な訳がないだろ。

俺は龍野が用意してくれた朝食を食べながらそう考えた。

 

「なあ砂糖、ちょっと良いかな?」

「ん?どうしたよ沢風」

「君も動機の…秘密を見たよね?」

「……あ、ああ」

 

やけに真剣な顔つきの沢風の視線を向けられて心臓がドキリと跳ねた。

 

「まあ見ないとおしおきだもんな」

「ああ、そうだな…」

 

周りの皆を見ると一様に顔を暗くさせていた。それぞれが誰かの秘密を知ってしまった。

それは協力してここから出ようとする俺達の士気に関わってくる重要な問題だ。

 

誰かが自分の秘密を知っているかもしれないと不安に襲われて過ちを犯す可能性が高くなる。不安な気持ちが思考を鈍らせ、そして誤った選択肢を選んでしまう事を俺達は身を持って知っている。

 

「俺から言えるのは秘密を知っても言いふらさない事が一番だ。だけど誰かの秘密を知ったなら当人には伝えた方が良いんじゃないかなって思うんだ」

「…僕は言わない方が良いんじゃないかな。秘密がその人にとって誰にも知られたくない秘密だったらそれを知っているその人が危ないよ」

 

沢風と龍野は真逆の意見だな。でも二人の言い分は分かる。伝えた方が良い気も伝えない方が良い気もする。

 

「砂糖はどう思うの」

「え…俺か?」

「うん」

 

鈴木崎にいきなり問われて少し考える。さっきまでは俺は猫屋敷に聞いてみた方が良いと思っていたが……。

 

「……俺は伝えた方が良いんじゃねえかって思う、実際俺は秘密を知ってそいつに言おうとしてたからな」

「…そっか。砂糖君はそう考えるんだね」

 

…心なしか少し頬を膨らませている龍野を見てまさかこいつ拗ねたのか?と疑問に思った。案外子供っぽいな。

 

「それで鈴木崎と影山はどう思ってるんだ?」

「私は伝えた方が良いかと思います」

「私は別にどっちでも、強制はしなくていいんじゃない?」

「そうか、他の奴等はどう言ってんだ?」

 

俺が聞くと影山が教えてくれた。

 

今の所伝えた方が良い派が瀬戸内、嶋野、剣、木枯。

伝えない方が良い派が桃瀬、百澤、和良井。

どっちにも付かず傍観する派が猫屋敷、鷹倉、熱宮。

藤は来ていないので分からない。

 

「結構バラバラに分かれてんだな」

「ああ、それでどうするか決めあぐねているんだ」

「…早く決めないと時間が過ぎていく度に秘密を知る数も増えて不安も増しちゃうからね」

「どれを選んでも嫌な予感はするけどね」

 

それがモノクマ達の魂胆だろうな。悩んでいても無駄な時間が流れるだけだ。俺はもう決めたんだ。

 

「俺は話すぞ、まあ今すぐにって訳じゃねえけどな。でも少なくとも今日中には話すつもりだ」

「そうか…なら俺も話すよ。それで砂糖には早速で悪いんだけどこの後大浴場に来てくれないかな?」

「大浴場に?何だ風呂にでも入るってのか?」

「あはは、この流れだと分かってくれると思ったんだけどね。まあ、良いや…それで来てくれるかな?」

 

まあ特に予定もないしと俺は了承した。

 

「…好きにして良いなら僕は言わない事にするよ」

「私は…好きにさせてもらうよ」

「私は伝えておこうかなと思います」

 

それぞれがそれぞれの判断を下す。それが正しいのか間違っているのかなんて俺達には分からない。だが俺は俺を信じて猫屋敷に話す事にした。

 

とりあえずは目の前の遅めの朝食を食べて大浴場に行くか。

 

ーーー大浴場ーーー

 

大浴場に入ってみると沢風が木造の椅子に座って待っていた。俺に気付くと微笑みながら手を振って俺を迎える。

微笑みがキラキラと輝いて眩しいな。

 

「やあ、わざわざごめんね」

「別にいいさ、予定もねえし。それで?風呂に入るのか?」

「…流石に分かってるだろ?」

 

真面目な顔をして俺を見る、まあ余程の鈍い奴じゃなかったら分かるだろ。

まあすぐは気付かなかったけどな。

 

「悪い悪い。それで監視カメラのないここで俺の秘密を伝えるってか?」

「ああ…そうだ」

 

ゆっくりと頷き返す沢風にやはりかと思う。という事は沢風は俺の秘密を見たのか。

別に俺に見られたくない秘密なんて思い当たらないしな。

 

「俺の秘密を言う前に難易度ってどれだったんだ?」

「難易度は…ふつうだ」

 

ふつうか。ならそこまで大したことじゃなさそうだな。俺は幾分か強張っていた緊張を緩めた。

 

「それじゃあ言うよ?砂糖の秘密なんだけど…まあ見てもらった方が早いかな」

「見てもらった方が?それってどういう事だ?」

「何だ、砂糖は知らないのか。知り得た特典の秘密はホーム画面に追加されてる秘密って所で何度でも見れるんだ」

 

言われて俺もホーム画面を見ると確かにモノモノアプリの隣に特典秘密と書かれたアプリがあった。

 

「このアプリいつ秘密を知れたかって日付も表示されてるんだよ。日付は昨日、四月十三日って表示されてる。……という事はさ、閉じ込められてもう十三日経過してるんだな…」

 

俺も猫屋敷の秘密をタッチしてみると猫屋敷の秘密が出てきて一番上に四月十三日に得た情報とあった。

何でわざわざ日付を付けてるのか分からないが沢風の言う通りもうこんな異常な場所に十三日も閉じ込められている。

改めてここがとんでもない場所だと認識させられる。

 

「……それで俺が得た秘密がこれだ」

 

沢風から俺に見えるようにモノフォンを見せてくる。そこには俺の………ま、待てよ、何でんな事知ってんだよ!?

忘れたい、記憶から抹消してやりたい俺の秘密は…。

 

『サトウくんは小学生の頃家庭科のケーキ作りで甘過ぎるケーキを作り学級崩壊を起こした事がある』

 

は、恥ずかしい…何でんな事まで知ってるんだよ。

 

「…………こ、これって本当なのかな?」

 

俺が思い出したくない苦い思い出を思い出していると沢風が遠慮がちに聞いてくる。

心なしか引いてねえか?

 

「……本当だよ、俺としては甘くするためにハイパーサトウスペシャルを入れただけなんだけどな」

「…怖いからその事を深くは聞かないでおくよ」

 

ドン引きしてんじゃねえか!止めろよ!俺としちゃ家でいつも使ってるもんだしいつも通りに入れただけだってのに…。

 

「俺のクラスに甘いもん好きが居なかったからだ……」

「いや、きっと甘党が居ても崩壊は避けられなかっただろうね」

「どういう意味だよ!」

「そのままの意味に決まってるだろ!?」

 

な、なんて失礼な奴なんだ!沢風がこんな失礼な奴だと思わなかったぞ!

 

「何だろう…凄く理不尽な事を思われてる気がする」

「あ?気のせいだろ、それで用件はこれで終わりか?」

「いや、他にもあるんだ。…砂糖とは話しときたいって思ってね」

 

また真剣な顔つきになりやがった。しかしイケメンがこういう顔をすると映えるな。

そりゃ男女ともにモテるわけだわ。

 

「砂糖は…砂糖はあの事件が終わってどう思った?」

「どうって……そんなもん、まだ整理出来てねーし後悔してる」

 

あの事件…湯上の事を始めとした妻夫木、シャル、泊達の事だ。

あん時は無我夢中だったけどこう何事もない時にふとあいつらの顔が思い浮かんでやるせない気持ちが湧いてくる。

 

もっと湯上と話していたらあいつが暴走せずに止めれたんじゃ、妻夫木だってあいつの不安な気持ちに気付いてやれば…たらればの事だが何度も思ってしまう。

 

「俺も…俺もずっと後悔して考えてるんだ。俺なんて事件が起こる前に妻夫木の姿を見ていたのに…俺は何処かで殺人なんて事が起こるわけがないと決めつけていたんだ」

「それは俺もだ、お前ら超高校級の誇れる才能を持ってる奴等が揃ってるんだしって……」

 

簡単に言えば楽観視してたんだ。どうせ助けが来る、どうせドッキリだなんだと決め付けて惰性に日々を過ごしていた。

その結果が今の状況だ。四人も失ってしまった。

 

「俺は…無力だっ!湯上を止めれず見殺しにしてしまって妻夫木までも…学級裁判では泊が犯人だと認めたくない一心で泊に縋った。

何が協力だっ!泊の友達だっ!俺は…俺は無能だっ!!」

 

沢風の慟哭をただただ聞いている事しか出来なかった。あの泊と一緒に俺達を引っ張って行ってくれていた沢風が、弱さなんて見せずに立ち向かってくれていた沢風が、気持ちを吐露してくれている。

 

泊とは気が合う良い友達として一緒に居る時間も多かっただろう、この場所で一番信頼していた泊が殺人を犯してしまった。

それも己の手で止められたかもしれなかったのに。沢風はこの事を悩み嘆きながらも気丈に俺達を一人で引っ張ろうとしてくれていたのか…。

 

甘えてなんていられないな、俺も…俺達も気持ちを改め考え直さなきゃな。

 

「沢風、まず、すまねえ!」

「さと、う?何でお前が謝るんだ?」

「いや、沢風にばっかり負担を掛けてた!その事に謝りてえ!信頼してた泊を失ってお前が一番辛いのに気付かずに呑気に頼ってただけだっ!」

「砂糖…そんなお前だって、皆だって辛いだろうし」

 

だが負担が一番掛かってんのは沢風だ。少しでも楽にしてやりてえ。

なら俺も行動あるのみだ。猫屋敷には今すぐに聞きに行く、龍野にはすぐに聞いても話してくれなさそうだ。

 

(あいつあれで強情な奴だしな)

 

だが話していけば自ずと話してくれる。俺は信じて行動する。

非協力的な藤に鷹倉だって、不安に駆られてる木枯や影山にも話し掛けに行く。

 

信頼関係があればモノクマ達にだって何をされても勝てる。

 

「沢風、その皆の中にお前だって入ってんだぞ!?なら俺らももっと互いに行動して一人一人の負担を軽くするんだ!」

「砂糖………ああ、そうだな。確かに俺は気負いすぎてたかもな。

泊の代わりにお前たちを無傷で脱出するって気負ってた。だけど…頼ることもしないとな」

 

沢風は何でも出来るカリスマ的な才能で今まで頼られてきていたが頼った事はないのだろうな。

だけどここじゃそれを続けていると潰れてしまう。

 

「そうだな、もっと俺達を信用して頼ってくれよ。皆で脱出だろ?」

「ああ、ちゃんと考え直さないとな。…砂糖に話せて良かったよ。気持ちが軽やかになった」

「いや、俺も沢風には感謝してる、それじゃあ早速俺も抱えてる事話しても良いか?」

 

この流れで沢風に【超高校級の愉快犯】の事も話してみようと俺は決意した。

どうせ皆には話しとこうって思ってたんだしここで沢風に話しても良いだろう。

 

「俺で良ければ話してみてくれ、それってここの所砂糖が悩んでる顔をしてるのと関係してるんだよな?」

「なっ、お前気付いてたのか?」

「当然さ、俺だけじゃない、龍野だって砂糖が深刻そうな顔をしてる時、心配そうにお前を見てるぞ」

 

まさかバレていたとはな。しかも龍野にまでもか、二人には心配をかけていたのか。

 

「そりゃあ悪かった。バレてるなんてな。まあお察しの通りその事だ」

 

それから俺は図書室の書庫にある【超高校級の愉快犯】の事について話した。

それと藤と木枯が知っている事もその経緯も話した。

 

沢風は俺が話してる間は俺の目を見て頷き返しながら黙って聞いてくれた。

 

「…これが俺が悩んで抱え込んでた事だ……黙っていて悪かった」

「いや、俺もまさかそんな話だとは思っていなかったが砂糖が謝る事はない。砂糖だって悩んで考え抜いて黙っていてくれたんだろう?

なら責めやしないさ、ありがとう俺に話してくれて」

 

笑顔で返してくれる沢風、優しいやつだ。

 

「一応昨日の夕食の時に言おうとしたんだがな、モノクマ等のせいで言えずにいたんだ」

「そう言えばアナウンスが鳴る前砂糖が何か言おうとしてたな。その事だったのか」

「ああ、動機の事もあったし続けて話せる雰囲気じゃなかったからな、だけど黙ったいたままじゃいけないって思ってな」

「確かにこの情報は皆で共有していた方が良いだろうな」

 

俺は今日こそこの事を皆に言おうと決意した。今日は流石にモノクマからのアナウンスも何もないだろう。

 

「まあこの【超高校級の愉快犯】って奴が本当に居るかどうかは定かじゃないけど今特にこいつが何か起こしていないし気を付けるに留めておこう」

「そうだな」

 

それから俺達は軽く今後の事を話し別れた。俺は猫屋敷を探しに宛もなく歩を進めた。

 

そしてぶらぶらと猫屋敷を探して歩いていると【超高校級のメカニック】の研究教室から男女の話し声が聞こえ猫屋敷か、猫屋敷が居なくても居場所を知っているかもとノックをして入った。

 

ーーー【超高校級のメカニック】の研究教室ーーー

 

中に入ると鈴木崎と百澤の二人が本を手に二人で何か話をしていたようだ。

二人は入ってきた俺に気付き百澤は持っていた本を素早く鞄に入れた。

 

「何だ砂糖か、あんたがここに来るなんて珍しいね」

「おう、ちょっと通りがかったら話し声が聞こえたもんでな」

「それで興味を惹かれて来たと…分かるよ、僕はちゃんと分かってるよ砂糖君!」

「な、何がだよ?」

 

やけに鼻息荒く俺に詰め寄ってくる百澤、一体どうしたってんだよ。

 

「あれでしょ?十八禁漫画である男女の話し声が聞こえ覗いてみると性交を実行していた展開を期待してたんでしょう?もう!スケベさんなんだから!」

「はっ!?ち、違うわ!そんな事思ってるかよ!」

「え~?またまた~僕には隠さなくたって良いんだよ?」

 

こいつにはエロい思考しかねえのかよ!鈴木崎も呆れながら俺らを見ていた。

いや俺までそんな目で見んなよ!百澤の一人相撲だからな!?俺はそんな想像もしねえし言ってねえ!

 

「俺はただ何となくで入っただけだ!」

「あははは、ごめんごめん。ジョークだよ」

「たくっ、それで二人は何を話してたんだよ?」

「あー…それはね、いやーそこは何と言いますかー」

 

やけに煮え切らない態度だな。

 

「別に話しても良いんじゃない?ここで話さないと余計な疑いを生むだろうし…」

「鈴木崎さんが言うなら仕方ないな。なら砂糖君には特別にトップシークレット、マル秘裏技を教えてあげよう!」

 

何だ?こいつら二人は何を…厳密には百澤は何を企んでんだ?

 

「率直に言えば僕らはロボットを造ろうとしてるんだ」

「は?ロボット?」

「うん!ロボット!」

 

ロボット…ここで造るってのか?確かに超高校級のメカニックである鈴木崎に機械にも精通している超高校級のゲーマーの百澤なら可能だろうが造ってどうするんだ?

 

「あ、その顔は造れるのか?造ってどうするんだ?って顔だね?」

「そんなに顔に出てたか?」

「砂糖は良く顔に出てるよ…」

 

マジでか、そんなに出てんのかよ。確かにダチとトランプとかやると負ける率高かったけどよ、運が悪いじゃなくて分かりやすかったからかよ。

 

「分かりやすいって事は素直な事さ。

それでまず造れるのかって話は今鈴木崎さんと話して検討している所だよ」

「ま、多分造れるよ。ここにある部品を使えば時間はある程度掛かるけどいける」

 

研究教室の部品と言われる物を見渡してみるがそこには部品と呼ぶよりもガラクタと言った方が適切なボロい物しかないように見える。

これでロボットが出来るってのは流石は超高校級のメカニックだ。

 

「それで造ってどうすんだ?」

「ここのパソコンってさあネットに繋がってはいるけどロックが掛かってるじゃない?」

「それで助けが呼べないんだよな」

 

あのモノクマ達がそんな初歩的なミスをするわけがないし助けは呼べないようにはしているだろうな。

 

「どうにかロックを外せないかハッキングを試したけど時間が掛かりすぎる。それで僕は図書室で使える本がないか調べてたらこれを見付けたんだよ」

 

百澤は鞄から先程隠した本を取り出し俺に手渡してきた。

本に目を落としてみる、どうやら希望ヶ峰学園に居た【超高校級の発明家】の発明本のようだ。

 

「その本には自律をして自らを操作出来るロボットの創り方があったんだよ。僕はそれを見てこれを造ってロボットにロックを解除して助けを呼べればって思ってね」

「それで私に相談されたってわけ」

「そうだったのか、でもここで話してたらモノクマ達にバレんじゃないのか?大浴場の脱衣所で話さないのか?」

 

折角監視カメラが無い場所があるのにここじゃモロバレじゃねえか?

 

「砂糖君考えてみてよ、脱衣所で秘密で話し合ってもロボットを造る作業はここでやるんだよ?

造ってたらモノクマ達が茶化しに来るだろうからね。なら隠してても意味がないかなって思ってね」

「校則にだってここを調べる事は特に制限掛けられてないし」

 

なら大丈夫なのか?でも造るのはここでだろうしコソコソ造っててもあいつらならすぐに飛んでくるだろうな。

 

「そういう事なら俺にも何か手伝える事があったら言ってくれ!」

「ありがとう!でも今は特にないかな。それと皆には驚かせたいし黙っててくれないかな?」

「おう、良いぜ!」

 

手伝えないのは残念だけど機械に詳しくないしな。それじゃあそろそろ猫屋敷が何処に居るか知ってるか聞いてみるとするか。

 

「聞きたい事があるんだけどよ、猫屋敷が何処に居るのか知ってるか?」

「猫屋敷?私は知らない」

「あ、僕は知ってるよ!カラオケにハマっちゃったらしくて今もカラオケルームで歌ってるよ、いやーカラオケ好きが増えるなんて凄く嬉しいよ!」

「カラオケルームか、分かったありがとうな。それじゃロボット造り頑張ってくれ、何かあったら言ってくれよ!」

 

猫屋敷の居場所は聞けたし早く行ってみよう。研究教室を後にしてカラオケルームに歩を進めた。

 

別館に入ると購買から鷹倉が出てきた。俺が挨拶をすると気の抜けた声で「あぁ…」と返ってきた。

 

「鷹倉は購買に何か用でもあったのか?」

「えー…聞いてくんなよ……だりぃーじゃんかー」

 

心底めんどくさそうにため息をあからさまに吐きながら俺を睨んでくる。いや聞いただけでこれは酷くねえか!?

こいつのめんどくさがりも相当なもんだよな。それで良く毎日動画投稿出来るよな。

 

「何か言いたそうな顔してんな?どうせめんどくさがりのくせに良く毎日動画投稿出来てんなとか思ってんだろ?」

 

なっ!?また考えてた事を当てられた!俺そんな分かりやすい顔してんのかよ!

ポーカーフェイスとか無理だな…。

 

「お前ほど分かりやすい奴居ねーんじゃねえかな…」

「うぐっ…そ、それで何でめんどくさがりのお前が動画を投稿し続けられんだ?好きだからか?」

「阿呆か?大嫌いだわ、儲かるからやってるだけだしあのキャラキツいんだぞ…今更戻せねえし辛いぃー」

 

あのヴィクトの残酷な真実を今俺は目の当たりにしてんのか…知りたくなかったな。

 

「お前その顔は知りたくなかったってショック受けてる顔だな」

「もう当てなくていいわ!それで購買で何してたんだよ!」

 

もう是が非でも聞いてやろうと意気込んで俺は聞いた。

 

「何怒りながら聞いてんだよ…だりぃー奴…別にモノメダル拾ったからガチャ回しに来ただけだ」

「ガチャ……そうか」

 

鷹倉からガチャと聞き暗い気持ちになってしまい自然と声も小さくなる。

購買のガチャマシーンといえばシャルの…シャルを見付けた場所だ。あの時は鷹倉が一番最初に見付けたんだよな、学級裁判の後恐る恐る見に行ってみたがガチャマシーンに寄り掛かっていたシャルも保健室に居た妻夫木、二人の死体は始めからそこに居なかったかのように消えていた。

 

血も…荒らされていた物も…その人物も…モノクマ達が学級裁判を終えた後に掃除しといたと言っていた。

その掃除しといたという言葉でまた頭にきたがグッとこらえた。

 

「……そんな暗い顔すんなよ、ほらお前は馬鹿みたいに騒いでりゃ良いんだよ。その方がお前らしい……」

 

そう言って鷹倉はこの場を去っていった。残された俺は購買の扉が半開きなのに気付き閉めようと近付きドアノブに手を触れた時購買のガチャマシーンが目に入った。

段々目線が下がっていく、そしてガチャマシーンの下に何かが置かれていた。

 

中に入りしゃがみこんで見てみるとそれは一輪の花が添えられていた。

これは鷹倉が?……なんだよ、めんどいやらだるいなんて口では言っときながらちゃんとこういうことはするんじゃねえか。

俺も後で花添えとこう…。

 

鷹倉の仲間意識を知れて明るい気持ちになりながらカラオケルームに向かう。

 

ーーーカラオケルームーーー

 

カラオケルームまで来てとりあえずしらみつぶしに探すかと思っていると話し声が聞こえそっちの方に行ってみる。

すると居たのはドリンクバーで飲み物をついでいる瀬戸内、桃瀬、剣、沢風の四人に探していた猫屋敷が居た。

 

「ふむん?そなたは砂糖ではないか」

「やあ砂糖」

「おう」

「なんだァ、お前も歌いに来たのかァ?」

「あーまぁそんな所かな」

 

桃瀬からの質問を曖昧に答えながら五人に近付いていく。しかしカラオケに剣と桃瀬が居るとは、何歌うのか想像つかねえな。

 

「なら砂糖も俺らと歌うか?動機なんてもん発表されて気分嫌でも暗くなってくる、だけど歌えばストレス発散なるだろ!」

「おォ!ンな気持ちぶっ潰してやりャァ良いんだよォ!」

「なら俺も一緒に歌いに行くか!」

 

ここで断ってもだし歌ってる最中に猫屋敷を呼び出して話すか。

俺はドリンクバーで飲物を注ぎ瀬戸内達の後をついていった。入る部屋は11号室だ。適当な席に座ると瀬戸内がマイクを持ち勢い良く立ち上がった。

 

「よっしゃあ!それじゃあオメーら!暗い気持ちはぶっ飛ばしてやろうぜ!先ずは俺が歌ってやらぁ!」

「お~ぱちぱち~」

 

瀬戸内が気持ち良く歌い出す、そこから適当な順に歌い出した

桃瀬は低音ボイスで格好良い歌声だ。剣は普通の上手さだったけど楽しそうに歌ってて聞いているこっちも楽しくなってくるな。

沢風はやはりスゲー上手かった。いやこいつの欠点は何なんだよ!?

猫屋敷はお経のように歌うスタイルだな。瀬戸内は聞いてて元気になる歌声だ。

 

「いやはや沢風殿は歌も上手いか!流石であるの!」

「ははは、剣も上手いじゃないか。それに俺なんて全然だよ」

「ぬふふふふ、その台詞は上手い者が言う台詞であるぞよ?」

「まあ上手い方ではあるかな?なんてね」

「ぬっはっはははは!認めよったぞこやつ!」

 

沢風と剣を見てみるといつの間にか仲良くなっていた。二人のどこか気があったのだろう。

楽しそうに話していた。良かった、沢風は泊の事とかに心を傷付けていたからな。仲良くなったら少しでも心が軽くなるかな。

 

そしていつの間にか二時間ほど歌っていたと気付き俺は猫屋敷にコソッと耳打ちした。

 

「猫屋敷、ちょっと話あっから来てくれねえか?」

「ん~?おやや~そんな小さな声でお誘いとは~貞操の危機~?」

「いやなに言ってんだよお前」

「あはは~嘘だよ~それでどこで話すのさ~」

 

誰がお前を襲うか、まあ呼び出しに応じてくれたし良いか。俺と猫屋敷はトイレだと言って部屋を抜け秘密で話せる一号室に向かった。

 

小部屋の一号室に入り猫屋敷と対面に立つ。猫屋敷はいつも通りゆらゆらと揺れながら眠たそうにしていた。

 

「悪いないきなり呼び出して」

「いや~全然大丈夫だよ~それで~?話ってなんなの~?」

「ああ、動機の秘密の事なんだけどな、俺、お前の秘密を知ったんだよ」

「…………そっか~」

「っ!?」

 

秘密を知ったと聞いた瞬間猫屋敷の纏う雰囲気が変わり嫌な圧がのし掛かってきた。

細い糸目からも妖しい光を放ちながら俺を射貫く。恐らくだが自身の秘密に思い至ったのだろう。

 

「そ、それでだな、お前を秘密を見たんだけど正しいのかどうかって事を確認しようかって思ってな」

「うんうん~そっか~それなら勿体振らないで言っちゃいなよ~」

「おう…」

 

威圧感が増したような気がする。いつものほんわかした猫屋敷からは考えられない有無を言わさない圧を感じる。

俺は意を決して猫屋敷に聞くことにした。

 

「猫屋敷、お前が…お前の才能が超高校級の殺戮者だって……あの今話題になってる奴だって出たんだけどよ、本当の、本当の事なのか?」

「…………」

 

猫屋敷はただ黙って聞いていた。顔を恐る恐る見るとどこまでも穏やかにいつもの猫屋敷の顔をしていた。それが逆に不気味さを増していた。

何も言わない猫屋敷に恐怖も倍増していく。足も震え始めてくる。

すると猫屋敷はゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「…やっぱりその事か~……本当だよ~」

「ほ、本当…なのか?お前があの殺人鬼なのか?」

「だから~…そうだって言ったよ~?俺が認めたんだから~砂糖君も認めなって~」

 

猫屋敷が認めた。その結果は猫屋敷が本当に今話題の謎の殺人鬼であり【超高校級の殺戮者】だと判明した瞬間だ。

心の何処かで否定して欲しかったと願った、だがその結果は覆された。

 

先程まで足が震えていた、今は体全身が震えている感覚で視界がグニャグニャと歪む。

だが猫屋敷はお構いなく話始める。

 

「秘密が~動機になったって言われてからさ~僕の秘密は~その事だろうなって~思ってたんだけどね~砂糖君が引いたのか~」

「な、な…なんでだよ……」

「ん~?どったのさ~」

「な、何で殺人なんかしてんだよ!?ニュースとかで見たけどよ、完全に無差別殺人じゃねーか!

子供から年寄りまで男も女も関係なく殺してたって!」

 

溜まっていた鬱憤が激流のように流れ出てしまう、冷静に話し合おうと思ったが俺は頭に血が上りやすい質だから冷静になんか話せるはずがなかった。

だが俺の慟哭を聞いても猫屋敷はいつも通りを崩さない。

 

「ん~、何で殺したかって~?それはね~大人ってさ~お酒とか煙草~それにギャンブルとかハマってたりするよね~?」

「あ?…あ、ああ」

 

何故殺人を犯したのか聞いたのに全く別の話題が出て思考が混乱する。

だが構わず話す猫屋敷。

 

「そう言うのってさ~中毒になってるよね~?若い人なら携帯とかじゃない~?それなんだよ~」

「……は?ど、どういう事だよ?分かんねえぞ?」

「ん~だから~俺の殺人も中毒なんだよ~」

「殺人が中毒?」

「そうそう~お酒ならもっと飲みたい~煙草ももっと吸いたい~携帯はもっと弄ってたい~ってのと同じで僕は~人を一人殺したらもう一人殺したい欲求が押さえられないんだよ~」

 

何とか冷静に聞いてみたが理解が追い付かない。とんでもない事を話されている事は分かった。

 

「お前…それ本気で言ってんのかよ?」

「本気だよ~マジマジ~いや~人殺したらどうなるかって~思ってさ~それで適当な人を殺したら~これがハマっちゃってさ~。

あ~因みにね~死体の近くの~稲妻マークあるでしょ~?あれ単純に猫屋敷のNを書いてただけなんだよね~」

「……何でここでは誰も殺してないんだよ」

 

そこが一番気になった。理解しがたい事ばかりだがそんな思考を持った猫屋敷が何故殺し合いを認められたこの場で何もしてないのか、気になった。

 

「何で、か~それはね~ここでは俺が手を下さなくても~勝手に殺して殺されたじゃない~?それで僕の心は満たされてるんだよね~。まあ誰も殺されてなかったら耐えきれなくて誰か殺しちゃってたかもだけどね~」

「なっ!?お前それ本気で言ってんのかよ!?」

「当たり前だよ~だって俺は超高校級の殺戮者だよ~?今更人を殺す事に躊躇したりはないよ~。

僕は~もうこれが病気のような物だと思ってるからさ~治ることのない…ね~」

 

猫屋敷の目を見て分かる、こいつは真面目に言っているんだ。なら誰も殺人を犯してなかったら猫屋敷が誰かを殺していたのか?

そんなたらればを話しても仕方ないが目の前に居る猫屋敷はそう断言した。なら最初から全員でここから出るなんて出来ないって事じゃないか……。

 

「でもま~安心してよ砂糖君~僕は誰も殺さないと思うからさ~」

「…何でだよ?」

「うん~信用は出来ないだろうけどさ~僕結構皆の事気に入っちゃっててさ~それに僕が何もしなくても~モノクマ達があれこれ動機やらを~用意して~誰かしらが殺すでしょ~?」

「お前っ!!何を言ってんだよ!そんな事もう起こるわけねえだろ!」

 

俺は思わず猫屋敷の襟を掴み上げた。だが動揺した素振りを見せず猫屋敷はただ微笑んでいた。それを見て怒りで支配されていた俺の心は恐怖で彩られた。

思わず猫屋敷の襟から手を離す。

 

「砂糖君はさ~本気で殺人が起きないって~……そう思ってるわけ~?」

「あ、ああぁあ、当たり前だろ!」

「ふふふ~、今の動揺が何よりの証拠じゃないのかな~?」

「な、そ、そんなわけねえ!もう誰も死なねえんだ!」

 

俺がまた猫屋敷に詰め寄ろうとしたらドアからノックする音が聞こえた。

俺と猫屋敷はそちらに目を向けると入ってきたのは瀬戸内だった。どこか慌てているようだ。

 

「お、おうお前ら!こんな所に居たのかよ!」

「せ、瀬戸内?何だよ、どうしたんだよそんなに慌てて」

「いやな、お前らどっか行って戻ってくんの遅いなって思って探してたんだよ。そしたらマル秘ルームで変なもんがあってな」

「変なもん~?それってなんなの~?」

「口で説明するより見た方がはえーだろ、とりあえず先ずは行くぞ!」

 

瀬戸内に急かされて俺と猫屋敷はマル秘ルームに行くことになった。

まだ話の途中ではあったが正直ここで瀬戸内が来てくれて助かったと思った。

あのままじゃ猫屋敷を殴ってたかもだしな。

 

ーーーマル秘ルームーーー

 

マル秘ルームに着くとそこには既に沢風、剣、桃瀬の三人が居た。

 

「おゥ、来たかお前らァ」

「よっす、お前らはもう変なもんってやつ見たのか?」

 

俺がそう聞くと三人とも既に見たらしい。俺と猫屋敷は皆に促されてマル秘ルームに入った。

相変わらず機械でごちゃごちゃとしているな。どこを触っても良いことが起こらなそうな不安を感じる。

それで変わった所ってどこなんだ?周りを見渡していると猫屋敷が俺の肩をトンと叩いてきたので猫屋敷の方に振り返る。

 

「どうしたんだよ猫屋敷、なんか見付けたのかよ?」

「多分あれじゃ~ないかな~?」

「おォ、猫屋敷の言う通りだァ。あんなもん昨日まで無かったんだがなァ」

 

猫屋敷の指差す先にはマル秘ルームの入り口ドア付近にある電気を点けるスイッチの横に確かに無かったボタンが増えていた。

近付いて見るとボタンは四種類あってそれぞれ【弱】【中】【強】【絶】とあった。【弱】にランプが点いてるからどうやら今は弱のようだ。しかしこのボタンは何だ?

 

「これが何を意味してるのかはモノクマ達に聞かないとだね」

「そうであるな。しかしこの【絶】とやらが不吉さをより際立てているぞよな」

「そうでしょう?この【絶】は絶望を呼び起こす魔法のボタンですよ」

「ん?うおわぁぁぁ!モノソノ!?」

 

不思議に思っていると横からモノソノが出てきて説明を始めた。

 

「いやはやキミタチは見付けるのが早くて話が進みまくりですね!発見したご褒美としてお教えしましょう!」

「嫌な予感しかしないね~」

「同意だなァ」

「まあまあ聞きたまえよ、このボタンはワタシが面白そうだと思い急遽取り付けた電力の強さを操作するボタンだよ。弱や中は人体に影響はない強さの電力が出るようになる。まあ中だと電源コードに触れると少しピリッとしますがね」

「マジかよ!?あぶねえな!」

 

中でピリッとする威力なのか…ならその先はと考えて身震いしてしまった。

構わずにどこまでも無邪気な子供のように楽しそうにモノソノは喋る。

 

「強になりますとビリっときますから、濡れた手で触ったなら感電死待ったなしです」

「電源コードを濡れた手で触る馬鹿な事はしないと思うけどね」

「えーい、五月蝿い!沢風くんは細かいね!そんなんじゃモテないよ!?」

「うーん、残念だけど俺モテるんだよね、君達みたいに屑じゃないし」

「お、おおう!?言葉の弾丸に撃ち抜かれた!?」

 

沢風は爽やかに笑いながら言っているが良く見てみると目は笑っておらず据わっているな。相当憎んでいるようだ、まあ全員憎んでいるだろうが。

 

「コホンッ、それでは最後に絶ですね。絶のボタンを押すとですね、カラオケルームのどの部屋の電源コード等を触ると黒焦げフィーバーになりますよ」

「はあ!?何だよそれ!」

「その中やら強を押しても変わらず部屋のスイッチを入れすぎると停電はするのでござるか?」

「おや、剣くんは冷静ですね。そうですよ!これはコロシアイに使われやすいように改良しただけですから弱でも中でも強でも絶でも部屋のスイッチを10部屋以上点けてると停電しますから!」

「そういや停電なったらどうすりゃ戻るんだよ?」

「停電したらここマル秘ルームで部屋のスイッチのオフを押すか部屋の電源コードを抜いていって10部屋以下にすると点くようになっていますよ」

 

なら別に停電になってもそんな慌てる事はないか。

つまり弱のままにしとけばなんら影響はないって事だな。こんな無駄に高い技術力持ってんのが腹立つけどな。

 

「まあこんなもん使う機会なんか絶対にねえけどな」

「うん、そうだね。もう二度と殺し合いなんか起こさないからね」

「うっぷっぷ~。さあそれはどうでしょうかね~それではこの辺でワタシは去るとしますかね!それではサヨウナラ!」

 

モノソノは気味悪く笑いながら去っていった。こんな危ない電力ボタンは触らなければ良いんだ。

 

「なァ、ンでこのボタンの事はァ他の奴等にも言うのかァ?」

「それは勿論言っておかないとだよ。こんな危険な物は皆で共有しておかないとだしね」

「ふむ…それが良いであろうな」

「んじゃあそろそろ夜飯の時間だし夜飯の時にでも話すか!」

 

夜ご飯の時に話すと決めて俺達は食堂に行く事にした。猫屋敷とは今度また話そうと思った。まだ話したい事あるしな。

だが今はとりあえず誰も殺す気がないと言っていたしそれを信じる事にした。

 

「しっかしここって改めて変だけど凄い技術が詰め込まれてんなー」

「あァ、無駄に金掛けられてるしなァ」

「厨房の冷蔵庫とかも大きいやつが何個もあるしな」

 

本当にここはどういう所なのだろうか?

 

 

ーーー食堂ーーー

 

食堂に着くと既に他の皆は席に座っていた。少し経つと龍野達が料理を運んで来てくれた。

俺達は食べながら動機の事を話題に話した。

 

「皆は動機の秘密を知って今日どうした?誰かに話したりしたのか?」

「俺は言ったぜ。おっと誰の秘密だったとかは言わねえからな?」

「勿論だよ。言わなくても大丈夫さ。俺も秘密を本人に伝えたよ」

「俺はァ、言わねえぞォ。そいつにとって命を掛けてまで守りてェもんだったらァいけねえからなァ」

「うん、僕も朝言ったように言わない派だね」

 

既に秘密を伝えたのは俺の秘密を教えてくれた沢風と瀬戸内か。言わないのは桃瀬に百澤と朝食堂で聞いた奴等だな。

 

「お、俺も言わん方がええと思うわ。こないなもんまた諍いが起こるかもしれんしな」

 

秘密を伝える事に否定派である和良井は顔を青くし不安そうにしながら言った。

 

「私は教えてくれって頼まれたら言おうかねえ。だからって今誰の秘密を知ってるなんてのは言わないけどね」

「俺は……聞けば関係なく教えてやるよめんどくせーし」

「僕も~二人と同じ感じ~」

 

傍観派の三人は熱宮は本人が聞いてきたら言う、猫屋敷、鷹倉は誰でも聞いてきたら言うらしい。

 

「鷹倉…猫屋敷も勝手に話して良いのかよ?それがそいつにとって大事な秘密だったらどうすんだよ?」

「あのな?秘密なんていずれバレるもんだろ?なら焦る必要ねえ」

「いや、そんな無茶苦茶な事言うなよ」

 

楽観過ぎだろ鷹倉の奴、猫屋敷もうんうんと顔を頷かせてるしお前ら二人大丈夫なのかよ。

 

「鷹倉と猫屋敷、約束してくれよ。絶対に言い触らしたりなんかしないって、君達二人は不安だからね」

「うえ~?沢風君そんな不安かにゃ~?」

「俺ら信頼ねーんか?」

 

口の緩そうではあるし秘密ポロッと喋っちゃいそうだからな。沢風がその後説得し渋々といった感じで了承した。

 

「あのねあのねー!ウチは言ったよー!」

「わしも言うたけえの、しかし秘密と聞いたら全ての秘密を知りたいのう…」

「あはは、剣君の知りたがりはこの動機には酷だね。あ、私も言ったよ」

「俺も言ったぞ」

「…砂糖君も結局言ったんだね。…僕は伝えてないよ」

 

龍野は言わない派だったからな。残るは鈴木崎と影山だな。

 

「私は伝えました」

「一応言った」

 

影山も鈴木崎も言ったようだ。ただ影山の台詞は殆どの奴等に届いて無さそうだった。

俺と目が合うと苦笑いを浮かべていたので口パクで大丈夫、俺には伝わったと言った。

影山には俺の口パクは伝わったようで照れながら微笑んでいた。

 

一旦話が終わりシーンとしたので俺は愉快犯の事を話そうと声をあげた。

 

「皆、ちょっと良いか?」

「どしたよシュガー?そんな大真面目ちゃんな顔してさ」

「まあ今から真面目な事話すからな、嫌でも真面目な顔になっちまうわ」

「ああ、あの事話すんだね?」

「あ、砂糖君もしかして…」

 

沢風と木枯が反応をした。二人に俺は短くああ、と答えた。

それから俺は図書室の書庫にあった【超高校級の愉快犯】の事、その【超高校級の愉快犯】が俺達の中にいるかもしれないと言う事を話した。

話し終わり皆の様子を見てみるとやはり一様に顔を青ざめていた。

 

「な、ななな何やそれ!?そないな物騒な奴がこんなかに居るんか!?」

「ちょ、ちょっと落ち着こうよ和良井君。砂糖君ももしかしたらって言ってるし一応記憶の片隅にでも置いておこうよ」

「そないな事言われてもすぐ冷静にはなれんわ……」

 

和良井がすぐに不安を吐露した、百澤が何とか宥めてくれたが他の皆だって不安な気持ちになるよな。でもここで伝えていた方が良いだろう。

 

「それにしても希望ヶ峰学園はそんな危ない奴までスカウトするって正気の沙汰じゃないねえ」

「あんたは知らねーだろうけど希望ヶ峰は今までもあぶねー奴等をスカウトしてんぞ」

「鷹倉良くそんな事知ってんな」

「ネットで色々とやって知れただけだ。まあ確かな情報筋から見付けたからな」

 

こいつどんな事したんだよ。まさかハッキングとかか?でも鷹倉は超高校級のネット配信者だもんな。機械には強いのは当たり前か。

なら鷹倉にもロボット造りを手伝ってもらえばもっと捗るんじゃねえか?

明日にでも鷹倉に言ってみるか、手伝ってくれれば良いけど…。

 

「皆、大丈夫だ。【超高校級の愉快犯】が居たとしても惑わされなければ良いんだ」

「うむ!そうじゃけえの!主達が気を強く持てば良いである!」

 

沢風と剣が元気付けてくれる。俺も二人に頼ってばかりいちゃいけねえな。

 

「沢風達の言う通りだ、愉快犯は言葉で惑わすんだから無視すれば良いしな、それに今日までなんも動きがねえしな!」

「確かにこんな大事件引き起こした奴が絶好の場であるここで何もしないのは居ない可能性を高めてくれるしね」

「よっしゃー!ウチらはそんな愉快な奴なんかに負けないよー!そうだよね皆!」

「おうよ!」

「そんな奴になんか負けっかよォ!!」

 

皆がそれぞれ負けない言葉を言ってくれて、段々皆の気持ちも戻ってくる。

やっぱり話して良かったと思った。愉快犯の奴だってここに閉じ込められてる仲間なんだしな、猫屋敷だって協力してくれる良い仲間なんだ。

 

俺は再度皆とここを出るんだと気合いを高めた。

 

 

ーーー続くーーー

 

 

ー登場人物ー

 

【予備学科生徒】砂糖(サトウ) 太郎(タロウ)

 

【超高校級の???】龍野(タツノ) 竜斗(リュウト)

 

【超高校級の芸人】和良井(ワライ) 笑平(ショウヘイ)

 

【超高校級のリア充】沢風(サワカゼ) 俊也(シュンヤ)

 

【超高校級のメカニック】鈴木崎(スズキザキ) 美佳子(ミカコ)

 

【超高校級の幸運】木枯(コガラシ) (ナエ)

 

【超高校級の放送部】嶋野(シマノ) 恵子(エコ)

 

【超高校級の名探偵】(ツルギ) 星光(セイコウ)

 

【超高校級の殺戮者】猫屋敷(ネコヤシキ) 狛犬(コマイ)

 

【超高校級の氷彫刻家】熱宮(ネツミヤ) 燐火(リンカ)

 

【超高校級のゲーマー】百澤(ヒャクザワ) 成八(ナルハチ)

 

【超高校級の僧】瀬戸内(セトウチ) 太陽(タイヨウ)

 

【超高校級のモブ】影山(カゲヤマ) 琥珀(コハク)

 

【超高校級のネット配信者】 鷹倉(タカクラ) ルゥ ヴィクトー

 

【超高校級の折り紙講師】 (フジ) 織姫(オリヒメ)

 

【超高校級の保険委員】 桃瀬(モモセ) 一護(イチゴ)

 

生存者 16人




お読み頂きありがとうございます!
次話もシャキシャキ頑張って行きますー!
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