「ブヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!お見事お見事大正解だよオマエラー!!超高校級のゲーマー百澤 成八クンを殺したクロはなんと超高校級の名探偵剣 星光クンなのでしたー!探偵が殺人なんて事するなんてねー!」
「アレアレ?名探偵とは殺人を犯す事なのですかな?死神と呼ばれた剣クンは自らの手で命を刈り取る正真正銘の死神となったんですねー!うっぷぷぷぷっぷぷー!」
どこまでも楽しく笑うモノクマ達。それを悔しそうに睨み付けるが結果なんて変わるわけはないし何を言った所で煽られるだけ。
クロであった剣は小声で何かを呟き顔を青く染め上げていた。そんな剣に仲が良かった沢風、殺された百澤と良く遊んでいた瀬戸内が問い質す。
「つ、剣!何でお前が…お前探偵だろ!?何で殺人なんて…答えてくれ剣!」
「そうだテメー!あんなに楽しく百澤とカラオケ行って歌ってただろ?」
「僕が?犯人?嘘だ…僕は名探偵なんだ…こんな所で死ぬなんて……」
「い、嫌や……もう嫌やで…探偵の剣まで人殺しするやなんてもう誰も信用なんて出来へん……」
「今更何を言ってるのかしら?元よりここでは誰も信用信頼なんて出来ないのよ」
二人からの問いに剣は何も反応を返さない。
「おい剣…いい加減現実逃避は止めろよ…何でなんだ?何で百澤を狙ったんだよ?」
「違う…認めるもんか……まだ僕の推理は閃くんだ…」
「駄目だね~これはモノクマに~聞いた方が早いんじゃないかな~?」
「…砂糖君、剣君が何で百澤君を狙ったのか、その理由はもしかしたらあれが関係しているのかもしれないよ」
「あれ?何だよあれって?」
剣が百澤を狙った理由、それに関係あるもんをもう知ってるって言われても……。
「…ほら、百澤君の部屋で見つけた日記だよ」
「日記…あ、あれか!」
「あァ?何だよォその日記ッてよォ」
「捜査してる時に百澤の部屋で見つけたんだ。ここに閉じ込められてから欠かさずに書いていた百澤の日記だ」
「へー…あいつってんなマメな奴だったんかー」
百澤の日記…そのあるページに気になる箇所があったな。
「皆、ここのページを見てくれ」
俺は気になる箇所、とあるページを皆に見せた。
ーーーーーーーーー
〇月♯日
全員の秘密を知りたいと聞かれた。僕なら全員の秘密を知れるだろうと言われた。断ったけど何度もしつこく聞いてきた。何でそんなに知りたいんだろう?決意が揺らいでしまう。だけど駄目だ。
文句を言われたけど、怒っちゃったけど言えないよ。でも大分弱ってるのかな?でも数日前まではあんなに元気だったのに。何かあったのかな?
そうだ、気分転換に今度カラオケに誘ってみようかな。カラオケで歌ったら嫌な気分も吹っ飛ぶよね?
ーーーーーーーーー
「…剣、これが関係してんじゃねえのか?」
「は?こ、こんなので百澤を殺すって決めたとか言うわけか?んな訳ねえだろ!!」
「いや、本当だよ…」
「剣!?」
日記を見せ皆が読み終えたら瀬戸内が否定をする…が今まで何も反応を示さなかった剣から突然肯定する言葉が飛んできた。
「…認めるんだね?」
「ああ…そうか、百澤はあの時の事を日記に書いていたんだ…まあ仕方ないね。
それじゃあ僕は犯人として最後に動機ってものを喋らないとだよね…お決りの流れってやつさ」
「い、いきなし冷静に喋り始めよってどないしたんやこいつ」
「別に…僕の天才的頭脳がもう逃げ場はないって答えを導き出したんだ。なら観念するしかないよね」
先程まで目の焦点は合わずブルブルと体を震わせていたのに今の剣は全てを諦めたのか脱力しきっていた。
「なら早く話しやがれよ!お前が百澤を殺した理由ってやつをよぉ!」
「おい、瀬戸内!今は落ち着いてくれ!」
「何だよ沢風ぇ!こいつは…百澤を殺しやがったんだぞ!」
「そうだけど…だけど最後の…これが剣の最後の言葉になるんだぞ!?……ならしっかりと聞かないとじゃないかっ!」
「沢風……わーったよ!剣!ほらとっとと話しやがれよ」
瀬戸内は一先ず落ち着き剣に続きを促した。そして剣はぽつぽつと今回の犯行に至った動機を話始めた。
「まあ…その日記に書かれてる事が全てなんだけどね」
「これが全て?」
「うん。僕はね、皆の秘密が知りたかったんだよ」
「え、秘密を?」
「何さ沢風、君ほどの人が理解出来なかったのかな?それとも…理解したくなかったのかな?…まあ良いか」
「…僕達の秘密を知りたかった。それが君の動機って言う事?」
「そうだよ…皆はさ…僕が探偵をどうしてやってるのか知ってるかな?」
突然剣から質問をされた。だけど今の俺達には余裕がなく答えられる者は居なかった…いや、一人だけ答える者が居た。
「謎を知りたかった…とかかしら?」
「ご名答だよ、Ms.藤」
藤は真っ直ぐにどこまでも堂々として答えた。
「な、謎を知りたかった?んだよそれどういう事だよ?」
「おや?Mr.瀬戸内は分からない?…砂糖君、君は…君なら分かるよね?」
突然剣から名指しをされビクッと体を震わせてしまった。何でここで俺なんだ?…でも何となく分かるかもしれない。
「……お前はただ知りたかった、知りたがりであったから分からない謎の事件を解決していった。
今回は自分が知らない俺達の秘密を知りたがった…だから動機のゲームをクリア出来て秘密を全部知れるだろう百澤に頼んだ。
だけど断られてしまった。それが原因で百澤を狙い殺して動機の秘密を知ろうとした…って言う事か?」
「うんうん正解だよ。僕はね?分からない事があるとどうしても知りたくなるんだよ。
最初は我慢してたんだ…でも段々皆の秘密を知っていくともっと知りたい…君達超高校級の才能を持つ者が隠している秘密を知りたいって思ってさ…でも僕はゲームの腕はさほど上手くなくてね。
百澤君には何度もクリアしてもらってたんだ。それで我慢出来なくて遂に百澤に頼んだんだよ。でも日記にある通り断られた…必死に頼んだのにあいつは断ったんだ!!」
「…んな事で百澤を殺そうって思ったってのかよ?」
怒りを内に秘め襲いくる怒りに耐えながら瀬戸内は体を声を震わせ剣に問う。
そして尚も剣の話しは続く。
「そんな事?君達にとってはそんな事で済むんだろうけど僕は違うんだよ。
殺人事件を解決してる時にさ、犯人が人生を賭けたトリックを暴き思惑、動機を知った時のあのなんとも言えない快感!!あれを知ってしまえばもう戻れない!
僕はね、トリックや知らない事や謎、人が隠そうとしている秘密を暴く事に興奮するんだよ」
「へ、へへへ変態や…ここに超が何千個も付くド変態が居るっ!!」
「何とでも言えば良いさ。僕は今の自分を気に入ってるし好きだ。他人から歪んで見られても僕は構わないよ。実際この性癖は歪みきってるしね…話しを戻すよ?
それで百澤に断られた後僕は百澤に怒りが沸き上がってた。でもまだあの時の僕は百澤を殺そうだとは思ってなかったんだ。でもどこからか誰かに話し掛けられたんだ」
「話し掛けられた?」
「うん。百澤に怒りの感情を抱いてたら耳元に『あのゲーマーを殺せ、殺せば皆の秘密を知れるぞ、皆が隠している秘密を全部知れるぞ?百澤は独り占めにしているんだ』って聞こえてきたのさ」
「お、お前の幻聴とか妄想とちゃうんか?」
確かに…そう言われてしまえばそれで片付けれる。
だけど俺は何故かこれは本当の事だ、剣の妄想とか幻聴じゃねえって思ってしまう。
そう思っていたら俺はある可能性が浮かび上がり思わず呟いた。
「超高校級の愉快犯…」
「あァ?何だよ砂糖ォ、超高校級の愉快犯がどうしたッてんだよォ?」
「…もしかして愉快犯が?」
「なんだいあんたまでなんか分かったのかい?」
「うん…今にして思えばあの喋りかけてきたのは超高校級の愉快犯じゃないかなって僕は思うよ」
「まあ貴方の虚言妄想じゃなければそうなるわよね。
超高校級の愉快犯と言えば言葉巧みに相手を唆して秘めたる感情を利用し事件を起こさせるんだから」
なら剣は超高校級の愉快犯に会ったっていうのか!?
「なあ剣!超高校級の愉快犯って誰なんだ!?この中に居るって事で良いのか!?」
「…ごめんけど誰かは分かんない。この中に居るのは確かだろうね」
「は?わ、分かんない?でも剣は超高校級の愉快犯と会ってるんじゃ」
「砂糖、君も知ってるだろ?
超高校級の愉快犯は正体が掴めない正体不明の犯罪者なんだよ?
超高校級の愉快犯に唆されてしまった人も話された事は覚えているのに姿、声、何もかもが記憶になく男か女かも掴めてないんだ」
ああ、そうだった。焦りすぎて忘れていた。超高校級の殺戮者である猫屋敷より更に正体不明でいるのが超高校級の愉快犯なんだ。
「それで剣君は百澤君を殺す事を決意しちゃったの?」
木枯は涙を目に溜めながら今にも泣きそうに剣に話し掛けた。
「うん…僕はもう止まれなかったよ。だけど今は百澤を殺した事に後悔なんてしてないよ」
「剣!?お前何をいってるんだ!」
「テメーこの野郎!後悔してねえだとぉ!?それマジで言ってやがんのかぁ!!」
剣の言葉はかなり大きな衝撃を与えてきた。沢風は息を呑み驚愕し瀬戸内は我慢できずに怒鳴り上げた。
その他の奴等もそれぞれ大なり小なり驚いていた。
「何だよ、だって僕は自分の欲望に正直に生きたんだ。それで死ねるなら本望だ。勝てるとも思ってたんだけどな…思ったより殺人を計画するのは難しいね…。
今までは殺人トリックを暴く事ばかりをやってたけど…いざ自分がそれをするとなると思うように上手くいかないしね。勝利を確信してたトリックが暴かれるとこんな気持ちになるんだね…犯人達の気持ちが分かっちゃった」
「てめ、何をすっきりとしてやがんだよ!そんな自己満足なエゴを話すだけ話して死のうとしてんじゃねえ!」
「何だよ五月蝿いな。どうせ今から僕は死ぬんだろ?ならみっともなく暴れたりなんてしても無駄じゃないか。動機の秘密を知れなかったしこの学園の謎も解けずなのは心残りだけど」
「んん?なら教えてあげよっか?」
「え?」
モノクマからの唐突の言葉に先程まで穏やかな顔になっていた剣が反応した。
「どうせ死ぬんなら教えたげようって言ったんだよ?後皆の秘密の事なら既に剣クンのモノフォンに全部送ってるよ!ついでにサービスで絶望ヶ峰学園の事も送ってあげたよ!」
「え?な、学級裁判を乗りきったら秘密を知れるんじゃなかったの!?」
「そんな事は一言も言ってないけど…キミタチはすぐにそうやって勝手に想像を膨らませるんだからー!今回は誰かを殺した瞬間そのクロには秘密をモノフォンに送るようにしてたんだよ?
だから何で秘密を見ないのかなー?って思ってたんだよね」
「そ、それならそうと早く言えよ!」
「ええー…だって聞かれなかったし。ねえ教頭?」
「そうですねえ。自ら聞かずして勝手にこちらの責任だと問うのは傲慢が過ぎるんじゃないかね?」
確かにモノクマ達は学級裁判を乗りきったクロには秘密を知れるとは言っていなかったがなら送ったの一言もないのも酷い話ではないか?
「なら今から見れば良いんだ!」
素早く自身のモノフォンを取り出して剣は秘密などの情報を見ようとする。だがそれをさせないのがモノクマ達だ。
「ちょっとちょっとここで見られるのは勘弁だよー!ネタバレとされたらいけないし!
大体さっさと見なかった剣クンが悪いんだしもうオマエラも良いよね?ボクもう飽きてるからオシオキに移るよ?
駄目って言われても開始するからねー!」
「な!?待ってよ!まだもう少し待ってよ!僕は秘密を見るんだぁ!」
「も、モノクマぁ!待ってくれよ!まだ剣と話したいんだっ!」
「そうだぁ!まだこいつには文句も言い足りねえんだ!」
前回よりも早くオシオキに移ろうとしているモノクマに待ったをかける三人。
それで止まる程甘い奴等じゃない事は嫌って程知っている…。
「ウルサーイ!!ここではボクがルールであり正義であり絶望なのです!!教頭、とっとといっちゃってー!」
「ハイかしこまりました!それではスイッチオーン!」
モノソノが恐怖のオシオキが始まる赤いスイッチをピコピコハンマーで押した。ピコンと可愛い音が鳴り剣を闇へと誘っていく。
「うぷぷうぷぷぷぷ!
それでは今回は【超高校級の名探偵】である剣 星光くんの為に!スペシャルな!!オシオキを!!!用意しましたっ!!!!」
「剣ぃぃ!!!」
「な!?待ちやがれよぉぉ!!!剣おいぃ!!」
「うぐっ!?ま、まだ一つも見れてないんだぞぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!!」
瀬戸内も沢風もまだ話したりなくて剣を呼ぶ…が剣はもう俺達の事を見ていなかった。
ただ目の前の秘密を知りたがり、モノフォンに意識を向けていた。
結局の所剣の犯行動機は知りたかった…それだけだ。知りたがり過ぎて我身を賭けたのだ。
俺達との日々よりも俺達の秘密を知ることを選び殺人を犯してしまったのだ…。
「剣ぃ……」
最後まで意識を向けてもらえなかった沢風は呆然と剣が連れ去られた虚空に手を伸ばしそして泣いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【GAME OVER】
ツルギくんがクロに決まりました。
オシオキを開始します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
また始まってしまうのか…モニターに目を向けると画面に文字が映し出されていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~汝の知識欲 脳をも焦がす閃きとなりて~
【超高校級の名探偵】剣 星光『処刑執行』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
剣が居たのはどこかのパーティー会場だろうか、そこではモノクマ、モノソノが数十体居た。その内の一体のモノソノが床に倒れていた。
お腹にはナイフが刺さっている。どうやら殺人事件を模しているっぽい。
その内執事の服を着たモノクマが時計と紙を持っていた。紙には『制限時間以内に謎を全て解け』と書いてあった。
剣はすぐに状況を理解して推理を始めた。そして驚くべき閃きの早さでトリックを見破り犯人であるモノクマを指差し犯人を見つけ出した。
すると場がいきなり変わりまた別の殺人事件現場になる。変わらずに居るのは剣と執事モノクマだ。時間は着実と迫っていく。
それからも剣がトリックを見破り謎を解いていき犯人を言い当てまた殺人現場が変わるを繰り返していく。だが剣はそれからも事件を解決させていく。
まだ時間はたっぷりとある。
まさに剣のように鋭く星のように輝きながら光の速さで解決していくその姿は疑う事もない名探偵の姿だった。
しかし徐々にトリックが困難に複雑になっていき解決する時間も長くなっていく。それに伴い剣の思考も連続の推理に疲れていく。
そして遂に謎が解けずに思考が止まる…時間はただ無情に過ぎていく。
焦っていく剣に今まで動かなかった執事モノクマが近づいてきた。
訝しむ剣に執事モノクマはある物を手渡した。それはVRゴーグルのような物だった。
執事モノクマは新たな紙を取り出した。そこには『これを付ければ頭が冴え渡り閃く事が出来る魔法のアイテム』と書かれていた。
だがそれは明らかに罠としか思えなかった…だが剣には迷っている時間はなかった。
不安そうにしながらVRゴーグルを付けていく…すると見るからに剣の様子が変わっていく。頭を抱え込んだと思いきや辺りを見渡しそして剣は口を歪ませにやりと笑った。
『ひ、閃く!?思考が澄み渡る、冴え渡る!これなら解ける!』
どうやら確かに効果はあるらしい。その後また調子を取り戻した剣は事件を凄まじい早さで解決していく。
だがモノクマ達が用意したオシオキが甘くない事位は分かっていた事だ…。
調子良く謎を解いていた剣の鼻から一筋の赤い液体が流れ落ちる。
剣もそれに気付き腕で拭う。だが鼻血は止まらない。どれ程拭っても止まらず滝のように怒濤の勢いで出始める。
『は?え?あぁぁぁ!!?止まらない!?』
鼻血が止まらなくなり焦っていた剣に追い討ちをかけるように今度は耳からも血が流れ始め今度はゴーグルで隠れているが目からも…剣の穴と言う穴から鮮血を流し始める。
『あが!?あ、頭が割れる!?いた、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!』
突然頭を抱えだし蹲る、あのゴーグルのせいだろう事は明らかだ。
剣は何とか痛みの原因であるVRゴーグルを外そうと試みるががっちりと固く巻き付いていて外す事が出来ない。
尚も鮮血は剣の体から流れ落ち続けていく。
『いだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだい!!!!!い"た"い"い"た"い"い"た"い"い"た"い"い"た"い"!!!!!ばずじでぐれ"え"ぇ"ぇ"!!!もうじりだくない!なにもじりだくないぃぃ!!!』
もう謎を解くなんて場合じゃない。何とかゴーグルを外そうと手を動かす。激しく動かしすぎて両手の爪が剥げるのも気にすることなく動かす。
『 い"た"い"い"た"い"い"た"い"…あ"!?あああ!!!お、おもいだじだぞぉ!ぞうがぁ!ぼぐだぢば、ずでに!!じりあっでだ、ぐら、ずめいどだっだぁ!!びんなぁ!ぐろまぐはぼぐりゃのながにぃい!!!ぎをづげぇぇぇぇぇぇ!!!!!』
痛みに震えていた剣はいきなり何かを叫び始めた、が全く意味は分からなかった。だけど俺の脳が訴えかけてくる。今剣が叫んで訴えている事は大事な事だと。
剣は尚も叫び続けひたすら暴れまわる。何とかゴーグルを外そうと大事な宝物でもある父からのお手製の杖を自分の顔に当たるのも構わずに打ち付ける。だがゴーグルは外れない、杖はボロボロに傷付いていく、時間はもう数十秒ほどしかない。出血の量は減るどころか増えていく。
『ぐぅろまぐばぁ!!!びぁぁぁ!!?じぃぃ!!がああああ!!!?だずげでざわが、ぜぇぇ!!!!あ、あああぁぁぁあ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!あ!…ぁぁぉぉぉ……び、ん………なぁ………ごめ……ぁ…………』
ひたすら絶叫をしていた剣は頭をぐらりと一度大きく揺らし糸が切れた人形のように床に倒れた。 ピクリとも動かず周りに血溜まりをつくる剣に執事モノクマは無機質な目を向ける。
そして時間は過ぎ、今まで表情が動かなかった執事モノクマはにやりと笑い…始めの殺人事件のように剣のお腹にナイフを突き立て笑いながら去っていく。
後に残されたのはもう動くことのない剣に結局解かれる事がなかった事件の謎だけ…今まで何度も事件を解決してきた剣の最後の事件は未解決で幕を閉じてしまった。
ーーーーーーーーー
「つる、ぎ…」
「ブヒャーヒャヒャヒャ!!エクストリィィームゥゥ!!やっぱりオシオキは最高のエンターテイメントショウだよねー!!」
「まさに至高!至福!至上の喜び!愉悦ですな!!」
耳障りな声を聞き苛つく。沢風はただひたすらもう動くことのない剣が映っている画面を見ていた。だがモノクマの耳障りな声を聞きピクリと反応しモノクマを睨み付けた。
「黙れ…」
「ん?どうしましたかな?沢風クンがそんな言葉遣いをするとはお腹でも痛いのですか?」
「黙れって言っているんだ!!」
「おお!?本当にいきなりどうしましたか!?思春期だからですか!?」
「うるっせえ!今お前らに構ってる余裕なんてねえんだよ!」
「今度は瀬戸内クンも!?た、助けて下さいよ校長ー!」
「えー?めんどくさいからしボクは戻って寝るよ。教頭は学級裁判を乗りきったコイツラになんか教えてあげてよ」
言うが早いがモノクマはモノソノを残してどこかに去っていった。
「あ!校長!?あんたはまた一人だけ逃げてからに!」
「…また録でもない情報でも言うつもり?」
「龍野クン…録でもないとは失礼ですね。
二度目の学級裁判を乗りきったミナサマに褒美としてある情報を教えて差し上げようかと思いましてね」
にやにやとうざったい笑みを浮かべ俺達全員の顔を見渡すモノソノに怒りと気持ち悪さに吐き気が込み上げてくる、それを必死に我慢し内に秘め留める。
「それで?情報とやらは何なのかしら?」
「おや藤サンは意欲的ですね」
「別にあなた達が用意した物に興味なんて微塵もないわよ。私はただこんな場所から早く去りたいだけ」
「つれませんねえ…まあ良いでしょう。それでは二度目の学級裁判を生き延びたあなた方にお教えしましょう!ズバリ!あなた方の中にはもう一つの才能を隠している者が居ます!心当たりはおありですかな?」
モノソノから言われた言葉は他の奴等の才能の事だった。俺は才能なんてねえし関係ないな。
「才能をもう一つ~?何その人は~超高校級の才能を二つも持ってるなんて~多才だね~」
「でも…それが何だってんだい?別に大した事でもないしそいつは早く言えば済む話じゃないか」
「それもそだね~なら才能を二つも持ってる多才さんは~手を挙げて~」
「な、何で人殺しの最低外道のお前が仕切っとんねん…」
猫屋敷が皆に呼び掛け聞いてみるが手を挙げる奴は居なかった。
「あれ~?何で挙げないのかな~?」
「言えない才能をお持ちって事ですかね?」
「え~?俺よりやばい才能持ってる奴なんて~居るの~?」
猫屋敷と同等かそれよりも危ない才能なら一つだけ該当するな。
「超高校級の愉快犯…この事じゃねえか?」
愉快犯、剣を唆し事件を起こさせた恐るべき犯罪者。俺らの中に居るって話だし十中八九そいつの事だろうな。
「…多分そうだろうね」
「猫屋敷だけでもめんどいのにまだそんな奴も居るなんてだりいなー」
「愉快犯なんて龍野の事やろそれ!」
「…え?」
和良井から突如疑いの言葉を投げ掛けられた龍野は驚き動きを停止した。
「今まで才能を言わんかったお前が一番怪しいわ!どうせ愉快犯やから秘密にしとってんやろ!?お前が剣を唆したんや!この卑怯もん!」
「…ちょっと、違うよ和良井君!僕は超高校級の愉快犯なんかじゃないよ!」
「ほなら言うてみいや!」
「…いや、えっと…言うべき時が来たら言うよ」
「なんやそれ!余計怪しいわ、やっぱ愉快犯なんやろ?この人殺し!化けもん!」
「…ちが、愉快犯じゃ…ないんだ」
「でもさーお笑い君の言う通りじゃね?ここまでなっても言わねってもう決まったもんじゃん」
「え?まさかほんとにりゅうとんが…!?」
皆から疑われ始めた龍野は苦しそうに顔を歪ませていた。確かに今まで才能を明かしてない龍野は怪しいって言われるのは仕方ねえ…けど。
「和良井それに皆、龍野は超高校級の愉快犯なんかじゃねえよ」
「…砂糖君?」
「なんや砂糖?否定する言うことはちゃんとした根拠でもあるって事やろな?」
「根拠?んなもんねえよ」
「はあ!?ないてなんやねんそれ!そんなん宛もなくただ信じてるだけやないか!」
「ああそうだ!」
宛もなにもない、ただ俺は龍野を信じてるそれだけだ。それが根拠だ。
「才能言ってねえから疑うのも分かるぞ。だけど俺はそんなもんよりも龍野を信じる!
今までの龍野を見てきて俺は龍野は超高校級の愉快犯じゃねえって断言する!仲間を信じねえでどうすんだよ!」
「はぁ、そんな信じるなんて不透明で不安定な不毛なもの、信用出来ないわよ。下らないわ…私はもう戻るわ。良いでしょう?モノソノ」
「ン?ああ別に良いですよ。もう伝える事もないですしそれぞれ御勝手にお帰りやがれなさい。ワタクシももう帰るのでね…あ!動機のゲームはもう殺人も起きましたしやらなくても良いですよ!やりたければやっても良いですがね!うっぷっぷっぷ!」
藤はモノソノから了承を得てこちらを向きもせずさっさとエレベーターに乗り戻っていった。
モノソノもアプリのゲームをやらなくても良いと伝えると目の前に出来た穴に飛び込み去っていった。
「なんやねん…あいつもお前もどいつもこいつも身勝手で!もう勝手にせえ!俺はもうお前らを信じん!
全員敵や!俺は俺一人でここから出る!」
和良井も言い終わると俺を睨み付けエレベーターに乗り込み戻っていった。後に残ったのは何とも言えない空気だけだ。
「……それじゃあ俺達も戻ろうか?…もう夜だ。疲れてるだろうし今日はもう休んだ方が良いよ」
そう言った沢風は疲れきった表情をしていた。前回の学級裁判でも気の合う泊が犯人でオシオキされてしまったんだ…そして今回も剣を失ってしまった。
疲れきっているのも当然だろう。今は沢風を休ませないとだな。
「そうだな、皆一先ず戻ろうぜ」
「はぁーやっと戻れんのかぁ…だりかった」
「あんた…そこまで疲れる事してたかい?」
「もうすっかり夜になっちゃったね」
「お腹減ったなぁ~」
「お前…あんなもん見ちまって良く言えるな…」
「猫屋敷さん、もう食堂は空いてないですよ?」
「え~!?」
「あーもう夜時間になっちゃってるもんねー!これは倉庫とか売店で簡単な食べ物食べるしかないねー!」
各々疲れた表情をしながらエレベーターに乗り込み学級裁判場からいつもの場所に戻っていく。
エレベーターの中でも皆の会話は途切れる事なく続く。不安な気持ちを消し去るように。
とても何か食える心境じゃないって奴がほとんどだ。だが猫屋敷と鷹倉、嶋野なんかは腹減ったと言い食べ物を求め倉庫に歩いていった。
俺は自室に戻り自身のベットに身を委ねた。
頭の中では後悔しか出てこない。それに藤に加え和良井まで単独行動をする者が出てきてしまった。
和良井は今不安なんだ。どうにかして元気付けてやりてえな。明日から和良井にも話し掛けていこう。
それとモノソノから告げられた事だ。あれは超高校級の愉快犯で間違いないだろう。
剣を唆したって事はここから出る気はないのか?自ら手を下さない限りここから出られねえんだし…なら一体何がしたかったんだ?……分からねえな。
不安な思いが駆け巡る中ふと思い出した。百澤の日記に書いていた金庫。
後で確認しようとして後回しにしてたな。今から行っても空いてんのかな?とりあえず百澤の部屋に行ってみるか。
そう思い俺は百澤の部屋の前まで来た。ドアノブを握り力を込めて捻ると扉は呆気なく空いた。
どうやらまだロックを掛けてないようだ。それか既に死んでしまった奴の所にはロックが掛けられてないかとかだな。
百澤の部屋に入り日記に書いてある小さな金庫を探す。ゲームが多すぎて少し時間を食ったがとある戸棚を開くとそこにあった。
それは両手で収まるサイズの小さな金庫だった。玩具のようだけど触ってみると硬い歴とした金庫だった。重さはそれほどないな。
一体中身は何なのか…だが手掛かりもないし百澤も見覚えがないので空けれなかったと書いてあったな。
…一応持っていよう。いつか空くかもしれないし中に重要な物が入ってるかもだ。
「百澤…これ借りるぞ」
小さく呟き俺は百澤の部屋から出てまた自室に戻った。手に持つ謎の小型金庫を見ながら明日を思い馳せて不安な気持ちになるが頭を振りそんな気持ちをかき消す。
足取りはどこまでも重く苦しいがまだ生きている仲間は居る。それを心の拠り所にしまた明日を迎える。
第三章
【トキメキは我が身を穿つ乙女心】に続く
ー登場人物ー
【予備学科生徒】
【超高校級の???】
【超高校級の芸人】
【超高校級のリア充】
【超高校級のメカニック】
【超高校級の幸運】
【超高校級の放送部】
【超高校級の殺戮者】
【超高校級の氷彫刻家】
【超高校級の僧】
【超高校級のモブ】
【超高校級のネット配信者】
【超高校級の折り紙講師】
【超高校級の保険委員】
生存者 15 ➡ 14人
明日の未来は希望か絶望か…第二章は終わりで第三章に続きます!