ハイパーダンガンロンパ   作:ゲップ助かります

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不穏な空気が流れてますね~どうなる事やら!!


第四章 (非)日常編2

沢風と猫屋敷が姿を消してから、一旦夜飯を食ってからまた皆で二人を探したが結局二人は見付からずまた明日探そうという事になった。

 

そして二人が見付からず、その次の日の朝。

 

俺は桃瀬とハクと朝食作りの為にいつもより大分早くに起きて厨房に入る。

 

「よォ」

「たろうおはようございます」

「おはようございます」

 

厨房には既に桃瀬とハク、それに影山が居た。もしかしたらドアを開けたら影山が居るんじゃねえかと思っていたが、居なくてホッとしていたんだが先に厨房に居るとはな。

 

まあ今更言っても遅いか。気を取り直して手を洗い清潔にしてエプロンを着ける。

 

今日は朝食を食べ終わったら再度沢風と猫屋敷の二人を捜索するという事になっている。

 

「……」

 

厨房は静かだ。誰も何も言葉を発さず無言で調理を進める。影山は俺の雰囲気でも察してるのか視線はチラチラこちらに寄越してくるが喋りかけてはこない。

 

そして料理が出来て食堂に運び、皆が来るのを待つ。集まる時間になるとほぼ全員が集まる。来ていないのは瀬戸内と鷹倉と藤の三人だ。

 

「ギラリンもヴィヴィやんも来ないのかなー」

「信じて待つ」

 

鈴木崎は静かにそう呟く。そうだ、瀬戸内も鷹倉もきっと来てくれる。そう思い待っていると瀬戸内が来てくれた。

 

「あー…よっす」

「来たかァ瀬戸内ィ」

「悪いな昨日は…」

「別にィ気にすんなァ」

 

今まで気丈に振る舞っていた瀬戸内だって参ってたんだ。それを隠して元気そうにしていたが、昨日の影山の物言いに限界がきたんだろう。

 

そう思っていたら瀬戸内は俺の方に向かってくる。

 

「砂糖、昨日はすまねえな」

「あ、いや別に良いって」

「おう…あんがとな」

 

瀬戸内はそう言って関に座った。後は鷹倉だけだが果たして来てくれるか…。

 

「ふあー……ねみぃな」

 

鷹倉は来てくれた。それもいつも通りのテンションで怠そうにしながら入ってきて一番近い席に座った。

 

「鷹倉!」

「ふあ…んだよその顔止めろっての…別に言われたから来たとかじゃねえし」

「鷹倉」

「あー?」

「遅い、遅刻」

「うるっせーな来てやっただけありがてーと思え」

「お兄様おはようございます」

「おーう我が愛しの妹よー」

「止めろ話し掛けるなハクが穢れる」

 

鈴木崎といつも通りの言い合いを始める鷹倉にホッとする。すると桃瀬がパンパンと手を叩き注目を集めた。

 

「おらおらァ、折角作ッた朝飯が冷めんだろうがァ!今日はこれからァ沢風、猫屋敷をォ探すんだァ。早く食ッちまうぞォ!」

「それもそうだねえ。もしかしたらモノクマらに何かされてるかもしれないしねえ」

「そうだな。あいつらの下らねえ事に巻き込まれたって可能性が高いしあいつらにも聞いてみた方が良いよな」

 

そうと決まれば朝飯を食って捜索再開といこうとすると。

 

「ちょっとちょっとー!何をボクらのせいにしてんのさ!」

「何かありましたらすぐにワタクシ共のせいにするのはキミタチの悪い所ですぞ!?」

 

今朝飯食べようとした瞬間に出てきやがった。せめて食い終わってから来いよ。仕方ねえから箸を置いてモノクマにすぐ問い掛ける。

 

「うるせえどうせお前らが何かしたんだろうが?沢風と猫屋敷を何処へやった?」

「おいおいちょいちょい砂糖クン!手短に伝えすぎではないかね!?もう少しリアクションを取りたまえよ!」

「残念だけどもうあんたらの急に出てくるの慣れてるんだよ」

「ガガーンッ!最近の子は慣れが早すぎるんだよ!」

「その様な茶番は良いのでしゅんやとこまいはどこに居るのですか?」

 

めんどくさいモノクマらの反応は無視して再度ハクが問い掛ける。

 

「うぷぷぷ…さーてねーどうでしょうか!」

「なんだいその煮え切らない態度は」

「生煮えだと言いたいのですか?そんな事ありませんよ!ワタクシ共だって沢風クン猫屋敷クンが行方不明になり嘆いているのですよ!?」

「よくそんな嘘っぱち言えるねえ」

「ちょっと熱宮サン辛口過ぎない?」

「あんたらの茶番に付き合ってる暇はないんでねえ。どうせ監視カメラで見て何処に居るかは把握してるんだろう?」

 

こいつらには俺達の行動を逐一把握できる監視カメラがあるんだ。嶋野の奴もどうせ知ってるんだろう。後で聞き出してやる。

 

「かんしかめら?」

「何ですかなそれは?」

「分かりやすいしらばっくれ方しても無駄だよ!とっとと言っちまいなあ!」

「おっひょおおぉぉぉ!!迫力エゲツねえなぁ!?」

「教頭教頭、言葉遣い」

「ハッ!?コホンッ…わかりましたよ言いますから怒鳴らないで頂けますか?」

 

最初から言ってれば済む話なんだよ。こいつらは一々まどろっこしい言い方で濁そうとしやがる。

 

モノソノはやれやれと仕方なさそうに言う。

 

「確かに沢風クン猫屋敷クンの居場所は知っています」

「やっぱりねえ…なら!」

「ですが!それを正直に言うとでも思いですか?」

「……何でなんだい?」

「だってこれは動機に関係してるもん」

「あァ!?動機だァ?」

 

動機…二人が居なくなった事と関係しているって事か?

 

「今回動機って早くねえか?」

「まあ今回の動機は学級裁判が終わった直後からオマエラに出してるからね」

「は?直後って…」

「鷹倉、あんたは何か知らないのかい?」

 

熱宮に聞かれた鷹倉も渋い顔をする。

 

「いやー俺は知らねえ…何も知らねえよ」

「あ、鷹倉クンには何も知らせてないよ!」

「今回の動機は学級裁判が終わった瞬間、既にキミタチに配られているのです!…いえ、配られているというよりは出現していると言った方が適切ですかな」

 

なんだよどういう事か全然わかんねえ。出現しているって言われても…そもそももう俺らには動機を配ってるってなんだよ。そんなもん何にも知らねえぞ?

 

「お前テキトーな事言ってんじゃねえだろうな?」

「砂糖クーン…ボクらがそんな事する訳ないじゃないかー」

「どうだか…信用ならねえな」

「そんな!今まで築き上げたボクらの実績を考えてほしいよ!」

「だからこそだろォ!」

「ショボーン…ま、いっか!何を言われてもボクらに言えるのはオマエラには動機を配ってる!というか出現している!鷹倉クンは今回何も知らないよって事と、沢風クンも猫屋敷クンも今の所は無事だよ!」

「それ本当だろうな!沢風も猫屋敷も無事なんだな!?」

「勿論ですとも!しかしこのままでは無事では済まないかも…かもしれませんねー!」

「それじゃあ二人の捜索頑張ってねー!」

「あ、待てよ!」

 

俺が止めるもあいつらが聞いた試しはねえ。毎度の如く勝手に現れ言いたい事を言い、消える。

 

「…あー畜生!何だよ動機がもう出現してるって」

「出現してるが気になる」

「誰か心当たりはないかい?」

「ハクは知りません」

「おい影山、なんか見付けてたりしねえか?」

「いえ、残念ながら特に動機になり得る物は見ていないですね」

 

沢風と猫屋敷はその動機のせいで居なくなったんだよな。でも昨日一通りは探したしな…。

 

「おィ取りあえずはァ飯だ飯食えェ」

「あ、そうだな」

 

あいつらのせいで朝飯のが更に遅くなった。早く食って探さねえと。ついでに動機も気になるし探さねえとだ。

 

それからすぐに朝飯を食べ終え、二人を捜索し始めた。話し合い三人一組になって探す事になり、俺は二人を知っているだろう嶋野に聞く為に嫌々だが一緒に捜索しようと近付く。

 

「おい」

「んー?あっれーシュガーどったの?」

「……一緒に探さねえか?」

「おろろろ!?まさかのお誘いだね!シャドーちゃんが居ながらまだ狙おうとしてんのー!?」

「そんなんじゃねえよ……それより俺と一緒で良いのか駄目なのか?早く答えろよ…」

「きゃは…勿論オケマルイエースだよー」

 

まるで何もかもお見通しみてえに俺を笑う嶋野に腹立つが、良いと言われたからよしとするか。

 

「……た、太郎さん?」

 

うるさく騒ぎまくる嶋野に嫌な顔を更にしかめていると後ろから悪寒がして振り返る。そこには不安げな瞳で俺を見つめてくる影山が…真後ろに立っていた。

 

「何でですか何故嶋野さん何ですか太郎さんはどうせ誰も誘わないだろうと思い私がお誘いしようと思ってたんですよ?なのに太郎さん自ら誘うなんてあり得ませんあり得ませんあり得ませんあり得ませんあり得ません」

 

怖い怖いこえぇぇよ!!!周りの温度が急激に下がっていやがる!何でこんな事になるんだよ!後真後ろで見つめんなよ上目遣いが軽くホラーだぞ!?

 

「なんか急に寒気が…」

「誰か冷房つけた?」

「俺は知らねえぞー」

 

周りも冷えた空気を感じた様だ。

 

仕方ねえ、ここは三人一組で組まねえといけねえし…誘うしか切り抜ける道はなさそうだ…。

 

「……影山も一緒に」

「はい信じてました私は常に太郎さんと共に居ます」

「…………」

 

…………沢風と猫屋敷を探す班は結局【鈴木崎、ハク、鷹倉】【桃瀬、瀬戸内、熱宮】【俺、影山、嶋野】となった。

 

……なんかスゲー疲れた気がする。

 

「うっしゃあ!さっさと探しに行こうぜ!」

「まァンな慌てんなよォ」

「とりあえずはどこから探すかだよ」

 

桃瀬達は別館の方を探してもらう事になり、一番早く探しに食堂を出ていった。

 

「よし、それじゃ行くよ」

「いえすますたー」

「さーてどこに居るんだかー」

 

次に鈴木崎達は全体的に探してもらう事になり、探しに行って、残ったのは本館を担当の俺達のみになった。

 

自分達の持ち場を全部探して沢風と猫屋敷を見つけれなかったら、一旦食堂に帰ってくる様に決めたので、後で戻ってくる様になっている。

 

よし、皆が居なくなってくれたし嶋野に二人の行方を聞こうと嶋野に声を掛ける……前に俺の隣でニコニコしている影山を見る。

 

…まずはこいつをどうにかしねえとな。覚悟を決めて話し掛ける。

 

「影山」

「はい何でしょうか太郎さん」

「あ、そっかーシャドーちゃん居たんだっけか」

「すまねえけどお前は先に食堂から出て待っててくれねえか?」

「……はい?」

「いやだから食堂から出てくれ。廊下で待ってくれたら良いから」

「……何でですか?」

 

うわー予想はしてたけどやっぱりそう言うよな。何とか上手いこと言って出てもらわねえといけねえな。

 

「…いや、ええっと…それはだな」

「何で私一人だけ、待ってないといけないんですか?」

 

駄目だ上手い言い訳思い付かねえ。嶋野と話したいとか言ってもこいつ引き下がらねえだろうし…。

 

「もーうシュガーったら!ちゃんとシャドーちゃんに言えば良いじゃんか!」

「…え?」

「何ですか嶋野さんは知っているんですか?」

 

何だよいきなり嶋野は何を言う気でいるんだ?嫌な気しかしねえんだが…。緊張しながら嶋野の言葉を待つ。

 

「シュガーと超、超超ウルトラスーパーデラックスファイヤー極秘な秘密話があんの!!だからシャドーちゃんは廊下で待てなの!!」

 

……嫌な予感が当たったわーこいつ絶対に状況を楽しんでるじゃねえか黒幕だし困ってる姿見たいからに決まってるよなこいつに一瞬でも期待してしまった俺が馬鹿だった…と現実逃避してたが意識を戻し恐る恐る影山の方を見る。

 

「………………」

 

無言なのが逆に怖いんだけど…するとゆっくり俺の方に首を動かしてくる。壊れたおもちゃの様にギギギギと動かすの軽くホラーなんだけど止めて!?

 

「待て影山…お前は誤解をしている」

「……」

「別にやましい事をしようとかじゃねえし聞きたい事があるだけなんだよ」

「…………」

「すぐに済むから廊下で待っていてほしいんだよ」

「………………本当ですか?」

「本当だ」

 

暫くの間見詰め合う俺と影山…ここで俺が逸らしたりなんかしたら絶対に状況は悪くなる。

 

「……………………分かりました」

「…………そ、そうか…分かってくれたか

「ええ…太郎さんが言うんですからね…でも、もし嘘でしたら…………」

 

影山は最後まで言う事なく食堂を出ていった。その間も俺の事をガン見して…怖い怖い怖いんだけど思ったけど何で俺は浮気した現場を彼女に見られたみたいな修羅場擬きを体験してんだ?

 

凄く納得がいかねえけど、これで嶋野と話せるな。影山が食堂を出た事をちゃんと確認してから嶋野の方を向く。

 

するとややこしくしやがった元凶の嶋野は頬を膨らませ笑いを堪えていた…が俺の顔を見た瞬間吹き出しやがった。

 

「プゥーフッヒャハーアヒャヒャヒャヒャ!!イヒヒヒヒヒ!!シュ、シュガーの顔ー!それにシャドーちゃんが、アハハハハプフフフフフアヒャヒャヒャヒャ!」

「……さっさと本題に移るぞ」

「イヒ、イヒヒヒィィ…あー笑った笑ったー」

 

こいつマジで許さねえ!誰のせいであんな事になったと思ってんだよ!怒りに震えながら俺は嶋野に小さい声で問い掛ける。

 

「お前は沢風と猫屋敷の居る場所知ってるんだろ?」

「やっぱり聞きたい事ってそれかー」

「当たり前だ。黒幕のお前はどうせあの隠し部屋で見てたんだろ?」

「……んー…」

「黒幕として、俺らの行動は把握してないといけねえだろうし、実際モノクマらはそう言ってただろ」

 

ちゃんと居場所は知っていると言ってたからな。当然こいつにも情報は届いてんだろ。するとずっと唸っていた嶋野は困った顔で俺を見て、口を開く。

 

「残念なんだけどさ、ウチは何にも知らないんだよね」

 

知らねえ?黒幕のこいつが知らねえって事はねえだろ!

 

「何だよ分かりやすい嘘で逃れようって魂胆か?」

「いやいやマジの大マジのマジリッティだって!確かにウチは黒幕であるけどさ、シュガーにもいったけどウチも皆と同じくコロシアイの参加者でもあるんだよー?」

 

確かにそんな事は言っていたな。だが参加者だろうと結局は黒幕じゃねえか。

 

「大体ウチが毎度の毎度隠し部屋で監視カメラチェックしてると思う?なら今までの行動に矛盾が出ちゃうじゃん?言っておきますけどモノクマ達はそりゃ操れるけど…基本は自律して動いてんかんね」

「あ?自律してだと?」

「そそ。AI、ハクみたいなもんって訳。たまにウチが操作してるけど基本的には勝手に動いてもらってウチはちゃんとコロシアイ生活を堪能してるって訳。だから今回は動機の事も知らない本当にシュガー達と同じ立場だよ」

「…はあ?そ、そんな…だってお前が仕組んだコロシアイだろ?首謀者が流れ把握してねえとかおかしいだろ?」

 

何でだ?そんな事して何の得があるんだよ?疑問が次々に浮かぶが…要するにこいつは知っていても教える気はねえし、こいつの言う事を信じるなら何も知らねえって訳か…。

 

「それじゃあシュガーの質問には答えたし早くシャドーちゃんの所に戻ろ!じゃないとなに言われるか分からないよ~?」

 

まだ聞きたい事はあったが、それを言われたら戻るしかないか…。ここで無理に聞いても俺にプラス方面には傾かなさそうだし。

 

そうして、渋々ながら嶋野と食堂を出て、少し離れた場所で待っていた影山の元まで行く。

 

「……やっと戻って来ましたか」

「いやそこまで経ってなくね?」

 

ものの数分しか経ってねえ筈だ。

 

「それでもです。この数分、私がどれほど不安でしたか…もう今日は太郎さんから離れたくありません」

 

そう言って影山はピタリと俺の隣に立つ。顔もしっかりと俺の方を向いて見詰めてきやがる…。

 

「それじゃあしゅんやくんにワンニャンを探しに行こー!!」

 

……この面子は不安しかねえけど俺が言い出しちまったから仕方ねえよなー。憂鬱な気持ちで俺は嶋野の後を追う。

 

「それじゃあまずは二人のお部屋に行ってみよ!」

「…まあ、もしかしたら帰ってるかもしれねえしな」

「可能性は薄そうですが」

 

まずは沢風の部屋に来た。軽くノックをする…返答なし。少し強めにノックをする…出ないから力を込めて思いっきりノックをする!…出ない。

 

「やっぱ帰ってねえか」

「それか部屋で既に帰らぬ人となっているかもしれませんね」

「怖え事言うなよ!?」

「ですが仮に殺されていたとしたらモノクマさんかモノソノさんが現れて扉を開けてくれると思うんです」

 

ああ、確かに死体があるなら発見させて学級裁判を開かせたいからな。なら少なくとも部屋で死んでいるとかはなさそうだな。

 

そして次に猫屋敷の部屋で同じ様にノックをするが反応はなしだ。

 

「二人とも居ないね」

「やはりどこかに閉じ込められていると考えた方が無難ですね」

「問題はどこに閉じ込められてるかだねー」

 

そんな場所あったか?思い浮かぶ所はねえけどな…。

 

「きっとモノクマさん達が言っていた動機と関係があるんでしょうね」

「あーね!なんだろねウチらそんなもの知らないしね!」

 

動機も気になるよな。配られたってよりは出現って言い回しも気になる。

 

「それじゃあ探していくか」

「まっずは~、一階からで良いんじゃないかな?」

「それでは早速捜索していきましょう」

 

まずは一階、食堂や厨房を再度調べてみた。

 

「冷蔵庫の中とかは…」

「居るわけねえだろ」

「ですが隠された扉等があるかもしれません。注意深く探さないとですね」

 

それもそうか…可能性は0じゃねえならくまなく探してみないとだな。俺も細かく隅々まで探していく。

 

けれど何も見付かりはしなかった。

 

「うーん…ここには何も無いね!」

「でしたら次に行きましょう」

 

そこから本館一階をしらみ潰しに探していく。

 

体育館……。

 

「しゅんやくーん!ワンニャーン!」

「居ませんね」

「よし、じゃあ次だ!」

 

保健室……。

 

「おい嶋野…流石にベッドの下は居ないんじゃねえか?」

「ふえ?」

「どうやらここにも居なさそうですね」

 

倉庫……。

 

「あ、シュガーお気にの激甘ジュース!」

「それならストックがまだ部屋にあっから」

「これ飲めるのシュガーだけだよねー」

「この飲み物を飲んでいる時の太郎さんの幸せそうな表情……うふふ」

 

スゲー寒気がする…。

 

「こ、ここにも居ないし次に行こうぜ」

 

そして空き教室六部屋……。

 

「特に何も無かったですね」

「んー普通の教室六連発だったね」

「空き教室には何も無かったなー」

 

超高校級のメカニックの研究教室……。

 

「相変わらずここはゴチャゴチャしてんな」

「触れたら何が起こるか分かりませんし、あまり触れない様に」

 

ボフンッ!!ジリジリジリジリジリリィィィィィ!

 

「うっきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

………嶋野がボロボロの目覚まし時計を弄くっていたら軽く爆発して煙をあげながら轟音が鳴り響き始めた。

 

「お前は何をやってんだよ!!」

「耳障りなので早く止めて下さい」

「ええ!?そう、いわ、言われてもどう…止めた…ら良いのかぁ、わかぁんなぁいぃぃぃ!!」

 

嶋野はワチャワチャと手を忙しなく動かして鳴り響く目覚まし時計を止めようとする。しかしどこを押しても止まりそうにはなかった。

 

「どうしたの?」

 

と俺らが目覚まし時計を止められずに居たら研究教室に鈴木崎達が入ってきた。

 

「あ、ちょっとメカ子ぉぉぉ!!これ、これを止めて!!」

 

嶋野は涙目になりながら鈴木崎に駆け寄る。すると鈴木崎は嶋野が手に持つ目覚まし時計を見てジロリと嶋野を見る。

 

「…………まだ試作段階のヤツ…触った?」

「ヒウゥゥゥ!?ご、ごめんなさぁぁい!!」

「今はとにかく先にこいつを止めてくれぇぇぇぇ!」

「うん。分かった、貸して」

「は、はいぃぃぃ」

 

嶋野から未だ鳴り続ける目覚まし時計を受け取った鈴木崎は、自身の腰に付いてる工具入れから工具を取り出すと目覚まし時計を素早く弄っていく。

 

すると瞬く間にうるさかった目覚まし時計はピタリと音を止めた。

 

「はい止めたよ」

「はひぃぃぃ良かった~!」

「ありがとうございます鈴木崎さん」

「お前ら何を遊んでんだー?ちゃんと探してたんか?」

「探してるわ!」

「その結果、えこはますたーが開発途中であった超轟音級の目覚まし時計を触り鳴らしてしまったんですね」

「うぐぅ!?」

 

鈴木崎はそんな物を作ろうとしてたのか。そりゃあんなでかい音が鳴るわけだわ。

 

「嶋野達はここ探すの駄目。私達が探す」

「ぅぅぅ、その方が良さそうだね」

「ならここはお任せ致します」

「なら俺らは他の場所行くか」

「おー頑張れなー」

「あんたもだ」

「お兄様、頑張って下さい」

「よっしゃ頑張るわ」

「腹立つ」

 

鈴木崎達にここを任せて俺達は次の場所に向かった。

 

そして俺の研究教室……。

 

ここには隠し部屋のコンピューター室があるが…影山も居るしコンピューター室に行くのは止めた方が良いよな。

 

後で一人の時にでも見に行ってみるか。

 

ここの研究教室は隠し部屋がある以外、本当に何も無い。すぐに調べるのは終わり、次に向かった。

 

ランドリールーム……は広くはないしすぐに終わり、次に大浴場。まずは脱衣所……。

 

「うーん…ロッカーとか全部調べたけどなんも無いよー」

「んじゃあ大浴場に行くか」

 

そして大浴場……。

 

「何度見ても広いよね」

「無駄にな」

「プールと同じですね」

「ぬぅ……」

 

黒幕としては俺と影山の言い様には思う所があるようだな。まあ気にする事ではないな。

 

ちゃんと細かく調べてみたが特に沢風達が居る様子はなく、これで本館の一階は調べ終わったしまった。

 

「一階は何も無し…ですね」

「じゃあじゃあお次は二階だねー!」

 

そうして俺達は二階に上がり、先ずは図書室と書庫を探してみる事にした。

 

図書室に入り、何か手掛かりでもないか探していく。そして目に入るのは良く龍野と一緒に本を読んでいた席。

 

胸が締め付けられる様に感じ、後悔が押し寄せてくる。前を向いていきたいが一生思い出し、その度に後悔するだろう。今まで死んでいった奴等が居て、更に龍野と木枯に和良井も死んでいった。

 

簡単に割り切れる程俺は単純な奴じゃねえ。やっぱりふとした拍子に思い出して自己嫌悪に陥ってしまう。

 

「……あれー?シュガーどったのさ?」

「……何でもねえ」

 

何とか気持ちを誤魔化し、本棚を一つ一つ見て、何か無いか、沢風達が居ないか探す。

 

そして書庫も…目に入ってきたのは猫屋敷の超高校級の殺戮者の事件概要ファイルに影山の超高校級の愉快犯の犯行記録…。

 

じっくりとは読んでなかった超高校級の殺戮者の事件概要ファイルを手に取り読んでいく。

 

 

ー超高校級の殺戮者、事件概要ファイルー

 

 

超高校級の殺戮者と呼ばれまた別名ライトキリングとも呼ばれる。

 

朝、昼、夜と時間も日にちも場所もいつもバラバラで、老若男女問わず殺害していく殺人鬼。少ない目撃者の証言によれば若く身長が高い男であると言われているが、それ以上の情報はない。

 

死体は凄惨な状態で発見される。中には身元が分からない程までズタズタに切り裂かれている死体もあり、現場には必ずNと書かれた文字を残している。

 

検死した結果、超高校級の殺戮者はすぐには殺さずにゆっくり、じっくりと被害者を直ぐに死なない様に切り刻んで楽しんでいる様子。

 

比較的表情が分かる死体には、痛みや恐怖により歪んで酷い表情を浮かべて死んでいた。

 

 

以上、判明している事は記した。引き続き、調査を続行する。

 

 

ー超高校級の殺戮者、事件概要ファイルー

 

 

前回軽く読んだだけだったが、改めてちゃんと読んだが…いつも話してる猫屋敷がとても超高校級の殺戮者とは真実を知っても思えねえ…それは俺が信じたくねえという思いもあるが、何より猫屋敷のいつも変わらない態度も大きく影響していると思う。

 

どこまでもいつも通りの猫屋敷だからこそなのかもしれないが。だけど俺と殺さねえって約束をしてくれた猫屋敷を俺は信じていたい。

 

次に超高校級の愉快犯の犯行記録だ…。

 

「あ、太郎さん……」

 

俺が自身の今まで行った犯行記録を読んでいるのを見た影山は頬を染めて照れ始める。

 

「いや何で照れてんだよ」

「拙い私の記録を見られていると思ったら…」

「……拙い…」

 

記録を読む限りどれも複雑で巧妙な手口で拙いとは程遠いと思うんだが…。

 

しっかりと自身の事は尻尾を掴ませないで、唆し操った奴だけは捕まっている。

 

猫屋敷より恐ろしい所は、猫屋敷ですら自身の事は目撃されて記事に書かれているのに、影山は一切の情報が無い。

 

「やっぱお前もヤベー奴だよな…」

「た、太郎さんが私を褒めて…褒めてくれました……」

 

何か口に両手を当てて涙ぐんでるけど…。

 

「いや別に俺は褒めてねえからな?」

「嬉しいです…やはり太郎さんは私の運命の人…」

 

あ、こいつ聞こえてないな。じゃあもう無駄じゃねえか。もう放置して次行こう。もう粗方探し尽くしたしな。

 

俺達は次に技術室に入る。だけどここはそれほど広くはないしすぐに終わるな。

 

一応一台一台、パソコンを調べてみたりしたが特に何も起こらず、手掛かりも見付からずに終わり、二階にある空き教室の四部屋も同様の結果で、二階も残すは更衣室とプール…つい最近事件が起こった場所だ。

 

更衣室前…あんなに夥しい程の飛び散っていた血は跡形も無くなっており、綺麗な床、壁だ。

 

影山と嶋野と一旦別れて男子更衣室に入る。沢風も猫屋敷も女子更衣室には入れはしないが、一応影山達には調べてもらい、俺も調べていく。

 

更衣室に備え付けられているロッカーをまず調べるも全部中身は空だ。

 

他にもベンチ、ダンベルや壁に貼られているポスターを剥がして裏を見たりもするが…特に見付からず俺は仕方なくプールへ続く扉を開けて入っていく。

 

「太郎さん」

 

俺がプールへ踏み入れた瞬間影山が駆け寄ってくる。遅れて嶋野も近寄ってくる。

 

「女子更衣室を調べましたが、予想通り何も無かったです」

「こっちもだ…何も無かった」

「プールもウチらが全部見たけど…特には無かったよー」

 

一応俺もプールを全体的に調べてみたが、マジで何も発見出来なかった。これで二階も調べ終わった。

 

「三階で最後だな…」

「まあウチらが見付からなくても他のグループが見付けてるかもだし!落ち込まない落ち着いてー!」

 

黒幕のお前がなに言ってんだよ…楽しんでるくせに。嶋野に苛つきながらも俺達はプールを出て三階に向かった。

三階には怪しそうな場所は沢山あるからな。気を付けてしっかりと探さないとだ。

 

まずは美術室……入ると相変わらず絵や彫刻が飾られている。彫刻を倒したりしてモノクマらから何か言われたくはないので倒さない様に気を付けながら調べていく。

 

「嶋野…お前はあんまり触るなよ?壊しそうだし」

「え?」

 

そう言ってこちらを振り向く嶋野の手には彫刻の片腕が握られている……。

 

「お前壊しやがったなぁ!?」

「ち、違う違うウチのせいじゃなくてこの彫刻が脆かったの!」

「どう見ても嶋野さんのせいじゃないですか」

「ううぅぅ…でも壊しちゃったなら仕様がないよね!」

 

何も良くねえ!でもモノクマ達出てこないな…あいつらならすぐに出てきそうなものなのに、出てこないって事は嶋野が黒幕だからか?

 

「ここは調べましたね」

「じゃあ次だ」

「ほーい」

「お前はその彫刻の片腕を置いていけ」

「えー」

 

何がえー、だ。

 

嶋野はもう無視して次の場所に向かおう。そうして次に超高校級のネット配信者の研究教室と超高校級のアルバイターの研究教室を調べていったが何も見付からなかった。ネット配信者の研究教室は狭いからすぐに終わったしアルバイターの研究教室も特に沢風達が居る手掛かりも何も無かった。

 

そして次に訪れた場所は、死体保管室だ。

 

入ると凄まじい寒さでガタガタ震えてくる。でもここに何かあるかもしれないんだったら調べなければいけない。

 

そう思い調べていく。皆が保管されている所は調べるかどうか迷ったが…意を決して開ける。そこには湯上のまるで眠っている様な死体があった。

 

特には何も見付からず、次に開けていく。妻夫木…シャル…泊…百澤…剣…木枯…龍野…和良井と開けていく。中には死体の損傷が激しく巨大なローラーに押し潰された泊とマグマに落とされ溶けた和良井等はどこの部分か分からない。

 

「ねえシュガー…寒いし何も見付からないしで色々限界だよー」

「私は太郎さんが居たいのでしたら構いません」

「良き妻じゃーん…」

「つ、妻……そうですねいずれはそうなりますからねうふふふふふふ」

「しゅ、シュガー…もうウチ出るよー?」

「ああ…分かったよ。ここから出るぞ」

 

特に何も見付からなかったので、死体保管室から出る。残すは一つ…お化け屋敷のみだ。

 

「……もしかして中に入る系?」

「当たり前だろ」

 

死体保管室から出て寒くなくなったのに嶋野はまだガタガタ体を震わせている。

 

「い、いやいや流石に中には居ないんじゃないの!?」

「それは調べてみなければ分かりませんよ」

「良いから行くぞ」

「いぃやぁだぁぁぁぁ!!」

「そんな怖がります?私は太郎さんとお化け屋敷に入れる幸せを噛み締めます」

 

これ俺だけで入った方が良いんじゃねえか?嶋野はうるせえだろうし影山と暗闇で居るとか不安しかないんだが…。

 

そして俺達はお化け屋敷に入っていく…。

 

「うっぎゃあああああああああああ!!!!!」

 

「おんぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「いやぁぁああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

 

何も出てないのに騒ぎ、何か出たらその倍騒ぎまくる嶋野。

 

「太郎さん、もう少しゆっくり歩きませんか?」

 

「太郎さん手を繋ぎませんか?」

 

「太郎さん怖くありませんか?」

 

「太郎さん太郎さん太郎さん太郎さん」

 

横で嶋野の絶叫を聞いてんのに涼しい顔で俺にひたすら話し掛けてくる影山。

 

もうお化け屋敷よりお前らが怖いんだが。やっぱり一人で入れば良かったと後悔しながら、細かく調べていく。ゆっくりと進んでいってたらいつの間にか出口が見えた。

 

「ああああぁぁぁ!!やっと出口ぃぃぃぃぃ!!」

 

出口を見た瞬間、嶋野は猛ダッシュで出口から出ていった。俺と影山も何か無いか調べながら出口から出た。

 

「ハァハァハァハァハァハァ!!」

「落ち着けよ…」

「これで本館は全部調べましたね」

「見付からなかったし、沢風達は本館の方には居なさそうだな」

 

見付かれば良かったんだが…まあ他の場所を探してる皆が見つけてくれる事を願うか。

 

嶋野もやっと落ち着いてきた。そしてガッカリした顔でポツリと呟く。

 

「……何も見付からなかったねー」

「後は別館の方に行かれた方々が何かを発見されるのを祈るだけですね」

「見付かれば良いんだけどな」

 

不安で仕方がない。こんな場所では何が起こるかも分からないから尚更不安が増していく。

 

嫌な考えが頭によぎってしまう。

 

「無事で居てくれたら…良いんだが」

「え?」

「あ?」

「んえ?」

「…なんだよ影山」

 

俺の言った言葉に影山が疑問の声をあげたので聞き返す。

 

「いえ、私は別にどうなっていても構いませんから」

「あ?何を言ってやがんだよ」

「人が減る。それはつまり太郎さんと私だけの時間が増えるという事じゃないですか。それは私にとっては望んでいる喜ばしい事ですから」

「うはー真っ直ぐなシュガーへの愛じゃん…」

「どうぞ好きに思って頂いて構いません。一応太郎さんが嫌がるでしょうから私から何か起こすという事はせずに静観していようかと思いますけど」

 

こいつのこの考えをどうにか変えられねえものか…。まあまだなにもしないって言ってるだけマシにはなったのか?

 

影山とは話す機会も多いし、何とか俺中心って考えを変えさせたいが…難関にも程があるよな。

 

「……じゃあ探し終わったし食堂に戻るか」

「はーい!」

「はい」

 

こうして、俺と影山と嶋野の組は沢風と猫屋敷を見付ける事が出来ずに一先ず食堂に戻り他の皆の帰りを待つ事にした。

 

ー食堂ー

 

食堂には誰も居らず、どうやら俺達が一番の様だ。細かく時間を掛けて探したから時間は昼飯の時間を過ぎていた。

 

帰ってきた奴等の為に軽い昼飯作ってようと俺は厨房に歩いていく。その後を影山は自然と着いてきて嶋野は席に座りながら俺に聞いてくる。

 

「あっれー?どったのシュガー」

「別に…軽く昼飯でも作っとこうと思っただけだ」

「ならウチもするー!!その方が楽だろうしさ!」

 

こうして俺と影山と嶋野の三人で軽い昼飯を作る事にした。嶋野もそつなく料理は出来る派なので特に苦労する事なく進む。

 

すると食堂の方から声が聞こえてきた。

 

「おゥ」

「お、よう桃瀬!」

 

厨房に入ってきた桃瀬を見て、帰ってきたのは桃瀬、瀬戸内、熱宮のグループだと分かる。俺は沢風と猫屋敷が居たかを聞く。

 

桃瀬は渋い顔をして首を振る。

 

「残念だがァ見つかんなかッたぜェ」

「そうか…俺らも見つかんなかったんだ…」

「気を落とすなよォ後はァ鈴木崎達がァ見つけてくれる事をォ信じるしかねえなァ」

 

桃瀬達のグループも別館で二人の捜索をしたが見つける事は出来ず、後は全体的に探している鈴木崎達のグループだけだ。

 

「瀬戸内と熱宮は?」

「あいつらならァ食堂で座ッて待ッてるぜェ」

 

熱宮は料理センスが絶望的に無いからな…。レシピ通りにしてる筈なのに全く別物が出来上がるの何なんだろうな?

 

瀬戸内は別にそつなく…むしろ上手に料理出来んのになー熱宮は何でだろうと不思議に思いながら調理を続けていき、簡単な調理だったので早くに出来た。

 

出来上がった料理を持って食堂に戻ると瀬戸内と熱宮が出迎えてくる。

 

「おー砂糖らはもう戻ってきてたのか!」

「悪いね、料理作ってもらって」

「気にしないでいいよー!ホムラっちは料理出来ないんだし!」

「う…その事については私にはどうしようもないねえ。本の通りに作ってるのに何で上手く出来ないのか私だって不思議なんだよ?」

「永遠の謎だな」

 

見てる分には調理している過程は不思議な所は無いんだけどな。

 

「それじゃあ後は鈴木崎達にだけだな…」

「あいつらはァ時間は掛かるだろうなァ」

 

本館も別館も捜索範囲になってるわけだしな。それから暫く待っていると鈴木崎達は戻ってきた。

 

「帰った」

「ふいー……マジでお疲れさんだー」

「ハク達で最後ですね」

「お帰んなさいー!!」

「昼飯のォ用意なら出来てッからァ一先ず報告も兼ねてェ食おうぜェ」

「わっほーい!お腹ペコペコだったんだー!!」

 

俺達は昼飯を食べながら鈴木崎達の捜索結果を聞いた。残念だが沢風と猫屋敷は見つかりはしなかった。

 

「しっかしどこに行ったのやら」

「十中八九モノクマらの言ってた動機が関係してんだろーけどなー」

 

怠そうに食事を口に運ぶ鷹倉はそう言った直後、横で鈴木崎に食べ方が汚いと怒られる。

 

「動機かァ…出現とか言ッてやがッたんだからよォ隠し部屋とかだろうなァ」

「そこが何処にあるかですね。一通り探したのですが…まだどこかに見落としがあるんでしょうが…」

「今んとこはサッパリだな」

「動機なら俺らに与えねえと意味がねえし…あいつらもそこまで難しい場所にするかなー…」

「まあ今は手掛かりもねえし手当たり次第に探すしかねえな」

 

モノクマらが教えねえと言ってんだしな。

 

「もしかしたら開放された上の階とかって事じゃねえか?」

「上の階?」

 

ややドヤ顔混じりにそう言い放つ瀬戸内。

 

「今まで学級裁判後は上の階が開放されてただろ?ならモノクマの言ってたもう出現してるとかってのは上の階だったんだよ!」

「なるほどねえ。上の階には動機になる物でもあってそれを見た二人はその動機によって帰れなくなったって訳かい?」

「ならならーご飯食べ終わったら上の階行こーよ!」

 

確かに瀬戸内の言う通り、今まで上の階開放はされていた。まだモノクマの口から言われてなかったが、何も言わずに開放とかあいつらならしそうだしな。

 

沢風は上の階が開放されてるのを知って猫屋敷を連れて行ったのか…でも何で猫屋敷だったんだろうな?でも上の階にでも行けば分かる事か。

 

「残念だけど、上の階は開放されてないわよ」

 

そう言いながら食堂に入ってきたのは藤だった。

 

「ちょっと待てよ藤、開放されてねえって…見てきたのか?」

 

俺がそう聞くと藤はフッと笑いながら答える。

 

「当たり前でしょう?今までの傾向を見れば開放されているか見に行くのは普通の事、当然よ」

「一々癪に障る言い方すんなー…」

「瀬戸内、あまり言っちゃ駄目」

 

鈴木崎が自身の人差し指を立てて口にもっていき、シーと瀬戸内にジェスチャーをする。

 

「おりひめは見に行った様ですが開いてはいなかったんですか?」

「ええそうよ。上の階に続く階段はシャッターが降りていて閉まってたわ。開くかどうか調べたけどピクリとも動かなかったわ」

「あァ…じャァ上の階ッつう線は無いなァ」

 

それじゃあ今現在開放されている場所から沢風達は姿を消したって事だ。可能性が見えたと思ったらまた振り出しか。

 

「藤はそれを教えに来てくれたのか?」

「まさか、私はただ食事を作りに来ただけよ」

 

俺らを嘲笑しながら藤はそう言うと、用は済んだとばかりに厨房に入っていってしまった。

 

残された俺達はまた話し合いを再開する。

 

「おい、それじゃあどうするよ」

「もう一回調べ直しだなァ」

「またグループに別れて探すー?」

「そこは好きな様にすれば良いんじゃね?」

 

結果、また夜飯までの間は捜索する事になった。二人が心配ではあるし早いところ見つけねえと何かヤバそうだ。

 

俺は皆が食べ終わった後の食器を片付けるために厨房に入る。俺の他には影山と桃瀬と食器洗い位なら出来ると熱宮が居る。

 

厨房に入ると藤が料理をしていた。俺らを一瞥するとすぐに視線を外して、自分の料理に集中する。

 

誰も近付くな話し掛けるなオーラを放っている近寄りづらい藤に熱宮が何の気なしに話し掛けていく。

 

「ねえ藤、あんたも沢風と猫屋敷を探すの手伝ってくれないかい?」

「……何で私が?」

「だって仲間じゃないか」

「はあ?私が?いつなったって言うのかしら」

「仲間ってのは勝手になってるもんなんだよ。私はあんたの事は仲間だと思ってるからねえ」

「冗談言わないで頂戴。私に仲間何て要らないわ」

「あんた一人なら機械もろくに扱えない癖してかい?」

「…………」

「ここの機械も私らが教えたよねえ?」

「…………」

 

確かに藤は最初厨房にある調理機器が使えなくて困ってた所を妻夫木や桃瀬が教えていた。

 

「……あなた達は一通りここを探したのかしら?」

「え?うんそうだよ。でも見つからなかったんだよねえ」

 

露骨に話題を変えて強引にそっちの方に話を持っていく藤に熱宮は何の疑問も持たずに話す。

 

「あのロボットさんから動機が出てると言われたけど…それと関係してるんでしょう?」

「なんだい、藤も聞いてたんだね」

「いきなりあのロボットさんが現れたと思ったら勝手に言ってきたのよ」

「でもその動機がどこの何なのか分からないんだよねえ…沢風らはきっとその動機に関係する場所に居るんだろうけど」

「あら、私はもうあそこかもって予想は付いてるわよ」

「え、それ本当かよ藤!?」

 

何だと!?驚いた俺は思わず藤に話し掛ける。急に話し掛けられた藤は体をビクッとさせてから俺を睨み付ける。

 

「……いきなり大きい声をしないでくれないかしら?」

「す、すまん……それで藤、良ければその話、教えてくれねえか?」

「……」

「藤?」

「……」

「藤さ~ん?」

「……」

「おい!せめてイエスかノーで答えてくれよ!?」

「嫌よ」

 

バッサリ一言。拒否の言葉を藤は淡々と料理を進めながら言う。喋りながらもテキパキと調理しててもう盛り付けに移っていた。

 

「ンなケチな事言うなよォアソコかもしんねえッて教えてくれるだけで良いんだがよォ?」

「絶対に嫌よ。あなた達が頑張って探しなさいな」

 

取りつく島もなく、藤はあっという間に料理を終わらせて完成した料理を持って出ていこうとする。

 

「ちょっと藤、待ちなよ!」

 

そこを熱宮が止める。だがそんなんで止まる筈はない藤はとっとと歩いていく。

 

すると熱宮は俺らの方を向いて手を合わせてごめんと言ってきた。

 

「心配だし、藤の考えも聞きたいから私ちょっと追い掛けて良いかい?」

「おう!ここは任せて良いから行ってこいよ!」

「別に構いやしねえよォ」

「人が減る事は片付けが遅くなる事、そうしますと太郎さんとの甘い時間が増えるので私としては喜ばしい事です。ですので早く追い掛けにいって下さると私は幸せです」

 

……うん、影山がいつも通りを発揮してっけどとりあえず熱宮は聞こえてない様子だしありがとうと言って藤を追い掛けに行った。

 

そこから俺らも程なくして片付けが終わり、食堂に戻るとそこには鈴木崎と鷹倉しか居なかった。

 

「他の奴等はどうしたんだ?」

「皆探しに行った」

「それを言う為に残ってくれてたのか?」

「食後にあんま動きたくねえしー休むついでに」

「休むのがァメインなのかよォ…」

「私は鷹倉の見張りも兼ねて」

「だからーサボんねえっての」

「嘘つけ」

 

鷹倉ならこのまま食堂で休みっぱなしとかあり得そうだもんな。

 

「なら俺達も探しに行くか!」

「ここはァ手分けして探した方が良さそうだしなァ…俺は一人で行くぜェ」

「俺はもちっとここで休んどく」

「ちゃんと探しに行くよ?」

「わーかってるって!」

「それではやっと私と二人っきりになりますね」

 

桃瀬は一人で探しに行っちまったし、鷹倉はまだ休むらしく鈴木崎が見張ってるので、必然的に俺と影山だけになる。これこいつと二人っきりとか大丈夫かよ?まあ俺しか一緒に行く相手居ねえし仕方ねえか。

 

そこからまた探しに色々と見て回るが、夜飯の時間まで特に二人が見つかる事も、何か見つける事もなく終わった。

 

俺と影山は少し遅くまで捜索を続けてから夜飯の時間を過ぎて食堂に入った。すると皆は先にご飯を食べていた。

 

「悪い遅くたった」

「ん?おーう砂糖とどうせ影山も居んだろうな」

「シュガーにはもうシャドーちゃんが居るのはデフォルトでしょ!」

「だな!」

 

嬉しいのやら悲しいのやら…モテてると思えば良いか。物事はプラスに考えよう…。

 

「お前らァほれェ飯だ食えェ」

「おうありがとな桃瀬」

「太郎さんに夜ご飯も作りたかったですが…まあ良いでしょう。ありがとうございます桃瀬さん」

「沢風と猫屋敷はどうだった?」

「いやァ…誰も見つけれてねえんだァ」

 

まだか…一体どこに閉じのめられたのやらわかんねえけど不安が増していくな。今度は夜時間ギリギリまで探してみよう。

 

食堂には瀬戸内と嶋野に俺にご飯を持ってきてくれた桃瀬にだらけている鷹倉と…。

 

「どうした鈴木崎?」

 

やけにソワソワしている鈴木崎。鈴木崎がそんな不安げな表情を浮かべてるのは珍しい。

 

「ハクがまだ来ない」

「え?一緒に探してたんじゃねえのか?」

「ハクには成長の為に一人で行かせた」

「そしたらよーまだ帰って来てねえのよ」

「それにィ藤を追い掛けた熱宮もだァ」

 

熱宮のやる気なら藤に何度断られても諦めねえだろうし…ハクだってちゃんとしてっからなー。

 

「まあもう少ししたら帰ってくるだろ」

「何か重要なモンでもォ見つけたかもしんねえしなァ」

「案外しゅんやくん達を見つけたとかじゃない!?」

「うん。きっと帰ってきてくれる」

 

そう話し合い夜飯を食う。しかし夜飯途中も、夜飯を食い終わっても、食器を片付けてもハクも熱宮も藤も姿を見せなかった。

 

全員不安になり、待っていたが流石にこれはおかしいとなり探しに向かう。

 

だが沢風達と同様、別れて探したが見つかる事はなく夜時間を迎えてしまう。俺達は自室近くの廊下に集まり話し合う。

 

「ハク…居ない」

「熱宮も藤もだな…」

「心配…一人で探しに行かせなければ良かった…」

 

そう言い、自己嫌悪に陥っている鈴木崎に声を掛けようとする。

 

「馬鹿かお前はー?」

「…な、んだと?」

 

声を掛けようとした瞬間、鷹倉が声を出す。

 

「ハクが心配じゃない?」

「心配じゃねえよ。俺とお前が百澤の想いを受け取って造り上げた自慢のロボなんだぞ?誇りを持って信じてりゃ良いじゃねえか」

「…鷹倉」

「ハクがそんな簡単にやられる奴か?」

 

少し挑発する様に言う鷹倉に鈴木崎はため息を吐いて少し、ほんの少しだけニヤリと笑って答える。

 

「それもそう。ハクなら大丈夫」

「そうそれだ。俺を信じたお前ならハクの事も信じてろ」

「うん。鷹倉に言われるのは癪だけど」

「一言多いんだよオメーは」

 

鷹倉なりの励ましに鈴木崎も元気にはなってくれた。

 

「よっし!んじゃあ明日も沢風と猫屋敷に加えて居なくなった奴等も探して行こうぜ!」

「おゥ。まあ熱宮達もォ沢風達の所に行ッたんならァ多少は安心だしなァ」

「それじゃーまた明日ねー!おやすみー!」

「太郎さんおやすみなさい」

 

そうして俺達は自室に戻り、明日に備えて眠りにつく。新たに居なくなってしまった奴等も心配だが藤の言っていた予想は合っていたって事だよな。

 

きっと探していけば沢風達が閉じ込められているだろう動機の場所は見つかると信じて、俺は眠っていく。

 

この時の俺はそんなどうしようもない考えでいて、また悲劇を繰り返そうとしていた。

 

モノクマがモノソノが、そんな甘い奴等ではない事は知っていたのに鷹倉の事や影山の事で頭が一杯になり、あいつらがどういう奴等なのかを失念していた。

 

行動を起こさない事にもっと疑問を持てば良かった…だが仮に早くに行動をしていてもこの結果は変えられようもなかったのではないかと…そう思ってしまう。

 

今、沢風達に起きている事など知らずに俺はぬくぬくと自室で夢の世界に旅立ってしまう。あいつらの気持ちも知らずに…。

 

ー続くー

 

 

 

ー登場人物ー

 

【予備学科生徒】砂糖(サトウ) 太郎(タロウ)

 

【超高校級のリア充】沢風(サワカゼ) 俊也(シュンヤ)

 

【超高校級のメカニック】鈴木崎(スズキザキ) 美佳子(ミカコ)

 

【超高校級の放送部】嶋野(シマノ) 恵子(エコ)

 

【超高校級の殺戮者】猫屋敷(ネコヤシキ) 狛犬(コマイ)

 

【超高校級の氷彫刻家】熱宮(ネツミヤ) 燐火(リンカ)

 

【超高校級の僧】瀬戸内(セトウチ) 太陽(タイヨウ)

 

【超高校級の愉快犯】影山(カゲヤマ) 琥珀(コハク)

 

【超高校級のネット配信者】 鷹倉(タカクラ) ルゥ ヴィクトー

 

【超高校級の折り紙講師】 (フジ) 織姫(オリヒメ)

 

【超高校級の保険委員】 桃瀬(モモセ) 一護(イチゴ)

 

【超高校級のロボット】(ハク)

 

生存者 12人

 




それでは次話もお楽しみに!!
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