ハイパーダンガンロンパ   作:ゲップ助かります

34 / 39
大変お待たせしましたワタクシは元気ですヤッフッフゥー!


第四章 非日常 捜査編

 

 

☆~~~モノクマ劇場~~~☆

 

 

 

『藻掻いても足掻いても無駄って分かってても生き物は生を求めて必死に無様に抵抗するよね』

 

 

『その行為はとても醜いけど凄く美しく、そして尊いんだよ。だからこそ見ていて滑稽で愉快で飽きないんだよ』

 

 

『どんな理由があれど無抵抗で受け入れられると冷めちゃうよね』

 

 

『底無し沼にハマっちゃったらさ、藻掻いたら駄目なのは知ってるけど藻掻かざるを得ないよね』

 

 

『所で話は変わるけど底無し沼って言われてる沼って本当に底はないのかな?』

 

 

『潜り続けてたら実は底がありました!なんてあり得るよね?そもそも誰がその沼を底無しなんて言ってるんだろうね?』

 

 

『実際に潜って確かめたのかな?』

 

 

『底なんてない沼を?』

 

 

『ここまで潜っても底がないし…ならここは底無しの沼なんだな!とか言って諦めて名付けたのかな?』

 

 

『誰がいつどうしてそう名付けてそれが知れ渡ったのか。オマエラは考えた事はあるかな?もう無意識にその考えを捨てちゃってるよね?』

 

 

『底無しに尽きない疑問は沼に沈んで消えてっちゃうんだよね~!うぷぷぷぷ!』

 

 

 

☆~~~モノクマ劇場~~~☆

 

 

死体発見アナウンスで言っていた校庭の柔道場までやって来た俺達は、中に入ってみると既に柔道場には沢風達行方不明になった奴等全員が居た。

 

そんなに経ってないのに凄く久しぶりな感覚が襲ってくるが、沢風から大きな声で叫ばれ、そんな考えもすぐさま消え去る。

 

「も、桃瀬!」

「あァ!?なんだァ!」

 

いきなり呼ばれた桃瀬は焦りながらも返事を返す。

 

今にも泣いてしまいそうな表情をして悲痛な声色で桃瀬を呼ぶ沢風は、柔道場の壁際に頭から血を流して倒れている瀬戸内の近くに居る。瀬戸内の周りを囲む様に鈴木崎、ハク、熱宮、藤、嶋野が居る。

 

「瀬戸内を、瀬戸内はま、まだ息があるから…だから頼む!お願いだぁ!」

「ッ!おゥ俺に任せとけェ!!」

 

桃瀬はすぐに表情を引き締め直し、素早く走って瀬戸内の元に向かった。

 

「お…おい、俺らも行くかー?」

「あ、おうわ、分かった」

 

ヴィクトの呼び掛けに若干言い淀ませながらも返して桃瀬の後を追おうとする。

 

「太郎さん」

 

早速向かおうとした矢先に、影山から声が掛かる。俺は非常事態に何だよと顔をしかめさせながら影山の方を向く。

 

「瀬戸内さんはまだ息があると仰ってる事から分かるでしょうが、瀬戸内さんとは真逆に位置する場所に居る方が今回の被害者の様ですね」

 

そう言われて俺も自然と影山の言っている方を見る。瀬戸内もボロボロの姿で居るが、その反対の壁際にもボロボロの姿で頭から血を流して倒れている奴が居る…。

 

「まーさかあの野郎が殺されっとはなー…」

「………」

 

頭部をポリポリと掻きながらボソッと呟くヴィクトに俺は何も言えずに倒れている奴を見詰める。そしてそいつの名前を呟く。

 

「……猫屋敷…」

 

今回の被害者は超高校級の殺戮者の猫屋敷だった。沢風が言っていた言葉で誰が殺されたのかは一目瞭然だ。

 

猫屋敷はあの猟奇的殺人鬼のライトキリングなんだから殺気とかには敏感で警戒心は強いだろうと思っていたが……それは今簡単に覆ってしまった。ここではそんな考えは通用しないのに…俺はまだ心の隅でそう思っていてしまった。

 

「ま、あいつの事は後で調べて学級裁判で犯人暴けば良い事だし、今はまだ生きてるらしい瀬戸内の方が心配だ、はよ行こーぜ」

「それもそうですね。瀬戸内さんまで死んでしまわれたら捜査する情報量が増えてしまい困りますしね」

 

ヴィクト、影山に続いて俺は瀬戸内が倒れている沢風達の居る方に向かった。

 

「も、桃瀬!瀬戸内は…瀬戸内は大丈夫だよね!?」

「ンなすぐに分かるかよォ!でも危ねえ状態だから少し静かにしててくれェ!」

「なっ!?あ、危ないって…」

「しゅんや、いちごの言う通り今は静かにしていましょう」

 

沢風は凄く気が動転していて忙しなく桃瀬と瀬戸内に視線を彷徨わせていた。俺も瀬戸内が心配だが、ここで俺まで騒がしくしてしまったら桃瀬が集中出来ない。

 

少し黙って待っていると桃瀬は汗を顔に滲ませながら深刻そうに呟いた。

 

「このままじャァやべえなァ…」

「や、ヤバいって何がだい!?」

「瀬戸内の頭の傷ゥかなり深くやられてッからよォ、出血もかなりの量してるゥ…ちャァんとした治療出来る場所じャァねえとこのまんまじャァ死んじまうゥ」

「そ、それなら急いで保健室に連れていけば!」

「なら急いで運ぼ」

 

桃瀬の言葉に熱宮は汗を滝の様に流して辛そうに、沢風は顔を青ざめさせて、鈴木崎も顔を強張らせながら瀬戸内を運ぼうとする。

 

しかし桃瀬が待ったをかけた。

 

「残念だがァ今の瀬戸内をォ無理に動かしたらそれだけでェやべえ状態なんだァ…」

「そんな…マジかよ……」

「それにィ、保健室には医療道具が揃ッてねェんだァ…例え保健室に連れていけてもォ治療する道具が無けりャァ救い様がねェ……」

「ならど、どうすれば良いんだい!?このままじゃ瀬戸内が死ぬのを黙って見ている事しか出来ないじゃないか!!」

 

熱宮の言う通りこんなの詰みじゃねえか!?瀬戸内を救うには保健室の治療道具じゃあ満足に治療が出来ねえ、しかも無理に動かそうとしてらそれだけで瀬戸内の命が危険…こんなの……どうすれば………。

 

どうすれば良いか考えるが案は思い浮かぶ筈はなく、俺達が慌てていると影山が俺に問い掛けてくる。

 

「瀬戸内さんを救いたいのでしたら校長と教頭を呼び、お願いしてみてはどうでしょうか?」

「は、はあ?何であいつらなんかに…」

「ハイハーイ!ボクを今呼んだかなー?」

「さてさてお待ちかねの捜査の時間ですね!」

 

何であんな奴なんかに…と思っていたらモノクマとモノソノが待ってましたとばかりに意気揚々と出てきやがった。

 

「どうせ最初から聞いていたのでしょう?ならお分かりになりますよね?」

「んー…まあ分かるけどさ、影山サンは砂糖クン以外は死んでくれた方が都合が良いんじゃないの?」

「それは私だけの都合です。ですが太郎さんが瀬戸内さんを救われた方が都合が良いのなら私は瀬戸内さんが助かる道を全身全霊で探し出しその道を選びます」

「ななな、なんとぉ!!影山サンは本当に献身的で健気ですねぇ!こんなに想われてる砂糖クンはさぞ幸せでしょうね~うっぷっぷ~!」

 

モノソノが腹立つ笑顔を、そして影山は優しい頬笑みを俺に向けてくるが当然無視してモノクマに話し掛ける。

 

「…お前らなら瀬戸内を救えんのかよ?」

「え?当然助けれるよー。校長のボクの手によればこんな死にかけ瀬戸内クンすらもオチャノコサイサイだよ?ボクに任せてもらえれば瀬戸内クンは死ぬ事はないけど…」

「ならお願いだ!瀬戸内を助けてくれ!」

 

必死にモノクマに頼み込む沢風。その鬼気迫る剣幕に思わず後ずさるモノクマ。

 

「ちょ、何々どしたのさ沢風クン!?オマエってもう少しクールぶって俺は完璧人間さ!って感じで落ち着いていけ好かないリア充野郎だったじゃん!」

「そんなの今は関係ないよ!早く瀬戸内を助けてくれ!!」

 

サラッと沢風を馬鹿にしてくるが、今の沢風にはそれに構っている余裕なんてない。更にモノクマに詰め寄る。

 

「私からもお願いだよ!」

「こうちょー!!願います誓いますお願いだよぉぉぉぉ!!!ウチからの全力のお願い!ギラリンを助けて!!」

「早く」

 

沢風に続いて熱宮達もモノクマに近寄り頼み込んでいく。そんな皆の勢いに圧されてモノクマは焦りながら更に後ずさっていく。

 

「んうぅぅぅぅ!!もう!オマエラ暑苦し過ぎるよ!ボクの煽りに少し位は反応してくれても良いじゃないの!!」

「良いからァ今は瀬戸内を治療しやがれェ!!」

「あーもー!!分かったよ分かりましたよ大体最初からボクは治療しようって決めてたのにさあオマエラときたら全く!ボクとしても瀬戸内クンは治療して助けた方が面白そうだしぃ~?って事でほら教頭!」

「ハイ!それでは瀬戸内クンを治療しに連れて行きますからミナサマは離れて下さいね!」

 

こいつらに預けるのは心配だが今は瀬戸内を救う為に一刻も争う事態だ。

 

俺達が瀬戸内から離れると、瀬戸内は地面にスッと吸い込まれてモノソノと共に消えてしまう。こいつらがいつもひょっこり出てくる秘密の通り穴だろう…後はもうこいつらに任せるしかねえ…。

 

沢風は不安で顔を青褪めさせながら瀬戸内が居た場所を見つめ続ける。他の皆も同様に不安そうに、心配そうにしていた。そんな俺達にモノクマは手を叩いて注目を集めてきた。

 

「それじゃあオマエラには、猫屋敷クンを殺したクロを見付け出す、学級裁判前のお馴染みとなりつつある皆大好き捜査をしてもらうからね!いつも通りモノクマファイルも配ってあるからちゃんと活用していってよね!」

「うるさいねえ!誰も好きじゃないに決まってるじゃないか!!早いとこ消えてくれないかい!?」

「おー怖い怖い熱宮サンは本当に男気ある姐御サンだね~そんじゃあ、お邪魔虫らしいボクは退散といきまーす」

 

そう言うとモノクマも消えていった。後に残された俺はとりあえず沢風達に近付いて声をかけた。

 

「お前ら…閉じ込められてたらしいけどよ……大丈夫か?」

「あ!そうだよ!ウチは別に大丈夫だけど皆はお腹ペコペコリーナだよね!?しゅんやくん達は捜査するのは後にしてまずは何か食べないとだよ!」

「…あ、そ、そうだね…言われたら……から、だに力が入らないな…」

 

そう言う沢風は体をユラユラと左右に揺らして今にも倒れてしまいそうだ。そんな沢風を熱宮が倒れない様に支える。熱宮も沢風程ではないにしても辛いだろうに真っ先に動いて沢風を支えたな。

 

…こう言う時に俺が率先して動くべきだろ……情けねえよなぁ…。

 

「ほら、後少しの辛抱だよ。私が連れてってあげるから私達は食堂で何か食べないとだよ」

「あ、ホムラっちウチも手伝うよ!」

 

嶋野は熱宮とは反対の方に回り、沢風を支えた。

 

「それもそうね。それとお風呂にも……」

 

藤は自身の体を見渡してスンスンと鼻を動かすと顔をしかめさせる。

 

「……私はまずお風呂に入りに行くわ…あなた達あまり近付かないでちょうだい」

 

そう言うと藤は一人で柔道場を出ていった。沢風達が離れるならここの見張りに調べるのは俺等の担当だな。

 

「じゃあここは俺達が見張っておくからよ」

「ん。任せた」

「ますたー、ハクはここでたろう達と共に捜査をします」

「うん分かった。頑張って」

 

そう言って鈴木崎、そして沢風、熱宮、嶋野は柔道場を後にして行った。

 

「それじャァ俺は猫屋敷の検死をしとくぜェ…」

「おーん、頼んだわ」

 

桃瀬はまず猫屋敷の検死を始めた。毎度毎度桃瀬には感謝だな。そして俺、当然の様に俺の真横に居て俺の顔を見つめてくる影山に、ヌボーッとしながらも柔道場全体を見渡しているヴィクト、この場に残ってくれたハクの五人となった。

 

それじゃあ俺も調べていくか…。今回事件場所の校庭にすら居なかった俺だけど、何かしら重要なモンを見付けて少しでも学級裁判に備えねえとだ。

 

 

ー捜査開始ー

 

 

「それではまずモノクマファイルを読みましょう」

 

当然の様にしれっと俺の横にくっついてやがる影山に反応するのもめんどくさいから何も言わず、俺もモノクマファイルを開いて読んでいく。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

《モノクマファイル⑥》

 

被害者となったのは【超高校級の殺戮者】猫屋敷 狛犬

死体発見現場は校庭にある柔道場。

柔道場の壁際を背に寄り掛かって倒れていた。

頭部に外傷の痕あり。

死亡時刻は夜の8時40分頃。

猫屋敷の胃袋は空っぽであった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

コトダマゲット!《モノクマファイル⑥》

 

 

「死亡時刻は先程の様ですね」

「俺らが飯食い終わった辺りだな…」

「ひとまず、今回の事件は私達に犯行は不可能ですし、後で校庭に居た方々に話を聞かないとですね」

 

そうだ、俺達が犯人を見付けるには沢風達の話を聞かないと進まねえんだ。今は飯を食べに行ってる沢風達には俺達と離れていた時の事を聞いておかないと学級裁判には挑めねえ。

 

「それではまずはハクのでーたに記録されている事をお話しましょう」

「お、ありがとうなハク。それじゃあ事件前後はどこで何をしてたかとか校庭での出来事とか教えてくれ」

「はい、分かりました」

 

そこからハクが校庭にやって来てからの事から事件発生後の事を話してくれた。

 

まとめると、ハクは沢風と猫屋敷が校庭に閉じこめられてからの翌日にハクは中庭を調べていたら扉を見付け、校庭に閉じ込められてしまった。

 

校庭にやって来た順番はまず最初に沢風と猫屋敷の二人が閉じ込められ、次の日の昼過ぎにハク、そこから暫く経ち藤と熱宮の二人がやって来たらしい。三日目は誰も来ず、四日目の夜飯の時間近くに瀬戸内が来て、深夜に鈴木崎、事件が起きた今日五日目の夕方に最後となる嶋野が校庭にやって来た。

 

 

コトダマゲット!《校庭に閉じ込められた順番》

 

 

そして、校庭に居た間の事もハク視点で粗方を聞いた。知らねえ間にそんな過酷な状況下に置かれていたんだな…。

 

 

コトダマゲット!《動機》

 

 

そして事件発生前、ハクは鈴木崎と共にゲームセンターにてハク自身の充電をしていたらしく、その時に謎の音が大音量で聞こえてきたらしい。音の鳴った方向に柔道場がありハクが中を確認する事にし、鈴木崎は音の正体が何なのか突き止める為に周辺を探し回っていた。そこでハクはボロボロの二人を目撃し、次に熱宮、そして次に沢風がやって来てアナウンスがなったらしい。

 

 

コトダマゲット!《ハクの証言》

 

 

「ハクからのここでのでーたは以上です。他に何か気になる点等はありますか?」

「その謎の音ってヤツだけどよ、どんな音だったんだよ?」

 

一番気になるのは謎の音だ。ハクが言う限りはそんな激しい音が鳴り響く物は校庭内には無かった筈らしい。

 

「一番近い音で言いますとくま校長が鳴らしますちゃいむが合いますね」

「それじゃあモノクマのやろーがさっさと死体あんぞー!って見っけてもらいてえから鳴らしやがったって事かよ?」

「それは今の所確証がありませんが…ハクはいつも聞きますちゃいむがでーたと一致しました」

 

なら後でモノクマに聞いておくか。あいつの事だから素直に言う訳ねえだろうけど一応は聞いておいた方が良いだろう。

 

 

コトダマゲット!《謎の音》

 

 

「その他にも何かありますか?」

「いや…俺は特にねえな。ありがとうなハク」

「私も……ですね」

「んだよお前その意味ありげな沈黙はー…まあ俺もねえけど」

「いえお気になさらずに…それでは後程ハクさん以外の方々にも同じ事を聞いておかないとですね」

 

一番聞いておかないといけないのは猫屋敷と一緒に校庭に閉じ込められ、最も長くこの場所に監禁されていた沢風だよな。まあ全員聞く事には変わりねえけど。

 

「あ、そういやよー。とりま見張りってどうするよ?」

「今は必要ないと思いますよ。今居る私達は先程校庭に初めて訪れたんですから今回の事件に関わりはありませんから」

「まあ…自然と俺達のアリバイは証明されてるよな」

「ハクは犯人の可能性がありますからお手数をお掛けしますが証拠隠滅等、妙な動きをしないか見張っていてほしいのです」

「なら俺がしっっっかりと見ててやるぜー?」

 

…妙に張り切って何故かドヤ顔のヴィクトに俺含め全員無視をした。それでもハクにサムズアップをしてウインクをし続けるヴィクトにある意味尊敬の念を抱いてしまった…がすぐに捨て去り思考を切り替えた。

 

……とりあえず今回の事件は俺、桃瀬、ヴィクト、影山の四人には犯行不可能って事が分かった。校庭に居た奴等の中に犯人が居るのは誰が考えても明らかだ。

 

 

コトダマゲット!《砂糖達のアリバイ》

 

 

ハクには聞きたい事は聞けた。なら次に調べてみる所は瀬戸内の方だな。猫屋敷の方は今桃瀬が検死をしてくれている。検死が終わるまで調べてみよう…そう思い俺は瀬戸内の所を調べると影山達三人に言い、そして向かう。

 

「……ってなんだよお前らも着いて来てくれんのか?」

「当然です」

「…いやまあお前は予想出来てたよ…」

 

瀬戸内が倒れていた場所まで着いた俺は後ろを振り返る。俺の後ろを着いてくるのはすっかりお馴染みとなり、驚きもなくなってきた影山に頭を掻きながらこちらを見てくる緊張感がないヴィクトと真っ直ぐに俺を見詰めてくるハクだった。

 

「いやだぁってよー…俺はハクと二人っきりの捜査タイムを楽しもうと思ったのに、ハクの奴がお前らと一緒に捜査したいって言うんだもんよー。お前ハクの上目遣いのお願いされて断れっか?断れねえよな?俺は断るなんて選択肢は存在しねーな…だってハクのお兄様だから」

「……いやそんなに力説されても」

「太郎さん見てください私鳥肌立ってしまいました」

「お前はそれを俺に見せてどうしたいんだよ…いい加減ふざけんのは止めろ!今はそれどころじゃねえ事は分かんだろうがっ!!四人でとっとと調べるぞ!」

 

俺等の馬鹿騒ぎに桃瀬もチラチラとこちらを気にして…いやあれは睨み付けてやがる!!?お、俺は悪くねえのに…とにかく早い所調べよう!

 

俺は瀬戸内が倒れていた場所付近を見ていく。見てみると一目瞭然、瀬戸内が倒れていた畳にはすぐに見れば目立つ、そんなに大きくはないが小さいと言う訳もない大きさの血だまりが出来ている。瀬戸内の頭から出血して出来た痕だろうな。

 

「んあー?おいここにも血の痕あんぞ」

「え?何処だ?」

「ほれ、ここだよここ」

 

畳の血を見ているとヴィクトからそんな声が聞こえてきた。俺は顔を上げてみるとヴィクトは壁を指差していた。

 

「しかもここの壁…ちょいと凹んでんな」

 

確かにヴィクトの言う通り、壁にも何かを力強く押し付けたのか凹んでおり、そこを中心にして少量だが血が飛び散っている。

 

近付いて見てみる。すると鼻にツンと貫いてくる血の臭いにウッと顔をしかめてしまう。

 

「こりゃー事件に関係ありまくりだろーな」

「今回の事件の状況を考えれば瀬戸内さんか猫屋敷さんのどちらかでしょうね…まだ猫屋敷さんの検死結果を聞いてませんから断定は尚早ですけどね」

「ハクのでーたによればこの凹みはたいようの頭部と大きさが一致します」

 

ハクの言う通りならこの壁の凹みと血の痕は瀬戸内の傷が出来た場所かもしれねえって訳だな…。影山の言った通り、まだ決めつけるのは早いだろうが可能性は高いだろうな。

 

でも仮に瀬戸内が押し付けられたんならそれは油断してやられたのだろうか…瀬戸内は鍛えている。

 

それも異常な程にストイックに鍛えぬいていて、見た目は筋肉の戦車と言っても良いだろう。そんな瀬戸内の頭を掴み、力強く壁に押し付けるなんて芸当が出来る奴が居るのか?瀬戸内も無抵抗って訳じゃなかったろうし…。

 

 

コトダマゲット!《瀬戸内が倒れていた場所付近の痕》

 

 

……まあ今んとこは情報が出揃ってねえから、この事は後回しにしよう。学級裁判の時に皆で話し合って分かりゃあ良いだろうしな。ならとにかく今は情報集めに勤しもう。

 

「ていうか壁以外も所々ズタズタのボロボロに荒れ果ててんよな?」

「あ?…あーまあ酷く傷付けられてるよな」

「凹んだ壁に畳も床もボロッボロで血が飛び散ってやがる。こんなんバトル漫画の戦闘後みてえじゃんか」

「ここまで柔道場を荒れさせる事が出来るとはハクは驚きです」

 

満遍なく荒れ果てた酷い惨状の柔道場は、入った時から気になってはいた。だがすぐに猫屋敷と瀬戸内の二人に夢中になりその事を頭の隅に置いていた。だが改めて見ると異様さが良く分かる。どうやったらここまでボロボロに出来るのか…想像が付かねえ。

 

 

コトダマゲット!《荒れ果てた柔道場》

 

 

それから瀬戸内が倒れていた方を調べていったが特にそれ以上重要そうな情報は得られなかったので、俺達は猫屋敷の方へ向かった。

 

桃瀬が検死をしてくれているから邪魔をしない様に周りを見ていく。瀬戸内の方と同じ様な惨状だが、一つだけ違う所があった。

 

「こっちには凹んでる所はねえな…」

 

瀬戸内の方の壁にあった凹みは猫屋敷の方にはなかった。

 

「そうですね。壁の凹みは瀬戸内さんの方にあったお一つだけですね」

 

 

コトダマゲット!《壁の凹み》

 

 

次に壁に寄り掛かって倒れている猫屋敷を見る。もう二度と起き上がらない永遠の眠りに付いてしまったが、いつもどこでも寝ようとしていた猫屋敷なら、ひょっこりと目を開けて元気に起きるんじゃねえかって思ってしまう。

 

激しく抵抗したんだろう所々ボロボロで服も破れている。顔を見れば目が少しだけ開いておりそこから覗かせる瞳は何も映していなかった。口からも血を流しているが、俺が気になったのは何故か猫屋敷が穏やかな笑みを浮かべていた事だ。

 

「おかしいですね、こんなに激しく抵抗をしたのに死の直前に笑ってたんでしょうか?」

「超高校級の殺戮者ならそれもあり得るっちゃあり得るよなー」

「いやでも猫屋敷も死ぬのは嫌だろ?」

「なら何故こんなにも穏やかな笑みを浮かべているんでしょうか?」

 

それは…今は何にも分かんねえな。だけど猫屋敷のこの穏やかな顔も事件に関係してるに違いねえ。

 

 

コトダマゲット!《猫屋敷の顔》

 

 

「……おィお前らァ、検死終わッたぞォ」

 

それから付近を調べていたら桃瀬から声が掛かる。

 

「猫屋敷の体のォ傷だがなァ、これが致命傷ッて訳じャァねえぞォ。モノクマファイルにも書いてあッた通りィ頭部のある外傷痕だァ。何かで殴られたッて訳だァ。強く殴られたせいで頭蓋骨がァ折られてやがるゥ」

 

 

コトダマゲット!《桃瀬の検死結果》

 

 

「頭蓋骨を折れる程の何かで殴られた…それって校庭にある物の中から殴られたって訳だよな?」

「多分だがァそう言うこッたろうなァ」

「じゃあ早いところ他の所も調べに行こうぜ」

「だが見張り役がァ…」

「今は私達しか居ないんですから大丈夫では?沢風さん達もまだ戻られない様ですし」

 

と言う訳で少ない人数の俺達は二手に別れて調べる事にした。俺と影山にハク。そして桃瀬とヴィクトとなった。ヴィクトはハクと一緒が良いとごねたが、ハクが説得をして何とか納得してもらった。

 

桃瀬とヴィクトは校庭の入り口付近を調べる事にしたらしい。理由は沢風達が戻ってくればすぐに分かるからとの事だ。俺達は一先ず柔道場の周りを調べる事にした。何かがあるかもしれねえと外周をぐるっと回って見ていくと、ふと気付いた足元には鬱陶しく生い茂る草に足跡があった。

 

「これ…もしかして犯人のか?」

「いえ、この足跡はますたーのでしょうね」

「え?あ、そうか。そういやそんな事言ってたな」

 

一番早くにここに着いた鈴木崎とハク。柔道場内は防音らしいので、鈴木崎は謎の音は柔道場周辺から鳴っていると思って周辺を探索したってハクが説明してくれたな。

 

「ならこの足跡は別に犯人のって訳じゃねえのか…」

「それより、太郎さんも見てください。私達の足跡も出来てますよ」

 

そう影山に言われ、後ろを振り替えると俺達三人の足跡はしっかりと出来ていた。一応鈴木崎の足跡はどこまで続いてんだと進んでいくと柔道場の丁度真後ろの所で足跡は止まり、その周辺に足跡が右往左往している。そこから何も見付からなかったんだろうな、元来た方へ引き返していた。

 

 

コトダマゲット!《柔道場周辺の足跡》

 

 

「じゃあ犯人は別に柔道場の周りには居なかったって訳か」

「柔道場前に草が生えていませんから、犯人はそのまま入り口から出たのでしょうね」

 

特に重要そうな物は見付けられなかった俺達は、次に柔道場に近い建物である超高校級のゲーマーの研究教室のゲームセンターにやって来た。

 

入ってみると耳に届く様々な派手な機械音に、久しぶりな感覚が襲ってくる。今まで禁じられていたゲーム欲が揺さぶられ、今すぐにでもゲームにかじりついてプレイをしたい欲が沸き上がるが、そんな場合じゃない事は分かっているので我慢する。

 

「ゲームセンターに生まれて初めて入りましたが、こんなにも騒がしいんですね」

「は?お前初めてなのかよ?」

「行く必要性が無かったので…ですが今なら太郎さんとご一緒に入って遊びたいです」

「あーソーデスカー」

 

軽く返事を返しながらいなして、俺達はゲームセンターを見て回った。特に事件に関係ありそうな物はなかったが、ちょっと気になった所はあった。

 

それはゲームセンターのトイレだ。一応見てみるかと近付いたものの、中には入れなかった。それもその筈、良く見れば壁に描かれていた絵だった。

 

「何で絵なんだよ…」

「くま校長が言うには、校庭にトイレは一つしかないんです。校庭の入り口近くにある遊具広場のトイレのみしかありません」

「ここってそんなに不便な場所なんですね」

 

聞けば聞く程にこの場が過酷でストレスが溜まる場か分かる。 しっかしゲームセンターは思ったより音が喧しく影山とハクの声が聞き辛くて疲れてくる。早い所ここから出ようと探索を素早く終わらせて、ゲームセンターから出た。

 

そして次に向かったのはゲームセンターからは反対側にある柔道場にもう一つ近い建物…って訳じゃないが気になる場所に来た。

 

「一応ですが鉤爪は地面に突き刺さってますね」

 

ハクの言う様に俺等の目の前にあるのは禍々しく血がこびりついている鉤爪。ここが超高校級の殺戮者…猫屋敷の研究教室らしい。

 

「殺戮者らしいと言えばらしいですね」

 

呟く影山に、こんなのモノクマ等が馬鹿にしてるだけだろと思った。だけど深々と突き刺さって手に取られた様子はねえし…まあ今回は猫屋敷、瀬戸内の二人とも頭部に受けた傷が原因だしな。でももしかしたらと思ったが、関係ないっぽいな。

 

それから残りの研究教室等を調べていったが、特に事件に関係ありそうな物は見当たらずに時間だけが過ぎてしまった。そして最後に桃瀬とヴィクトが居る遊具広場に着いた。

 

遊具広場にある遊具に疲れた様子で寝転がるヴィクトと、同じ様にぐったりした様子で腕を組んで校庭の入り口を見ている桃瀬が居た。

 

「お前らそんな疲れて…どうしたんだよ?」

 

心配で声を掛けると、ヴィクトはゆっくりと体を起こしてこちらを見た。

 

「おーうお前らも来たかー。いやーこっちは特になんも見付かんなくてよ」

「そしたらよォ、このやろォが疲れたッて寝ようとしやがるから止めようとしてなァ…」

「あー…分かった。大体何があったかは分かったからもう良いぞ桃瀬。お疲れさん…」

「あァ…」

 

だらけ始めたヴィクトを起こそうと色々とあった桃瀬に労いの言葉を送った。

 

「おィ鷹倉ァ…何もなかッた訳じャァねえだろォ?」

「あーそうだったな。お前らあそこの公衆トイレの中見てみろよ」

「何だよ教えてくれねえのか?」

「見てもらった方が早いだろ?ほれ、早く見てこいよー」

 

そう言われたら仕方ねえ…俺達は公衆トイレの校庭に唯一あるトイレを覗いてみる。

 

「はあ!?何だよこれは!!?」

「これは…まるで柔道場の様ですね」

「誰がどうしてこうなったのかが気になりますね」

 

影山とハクは小さく呟いた。公衆トイレ内には用を足す便器は一つしかなかった。それだけでも不便なのに、そのたった一つの洋式のトイレ内は便座等はひび割れて座れない状態だし、トイレットペーパーを収納するホルダーも壊れている。壁もボロボロだし、一体ここで何があったのか気になるな…。

 

「な?ひっでー有り様だったろ?」

 

戻ってみると、ヴィクトがだらけながらそう言ってくる。

 

「あれがァ事件が起こる大分前から出来てんならァ…関係はねえがよォ。そこんところがどうなのかァハクは知ッてたりしねえかァ?」

「残念ながら…ハクはトイレとは無縁ですので」

「だよなァ…」

「後で沢風達に聞いてみれば良いだろ」

「あァ…だからここで待ッてんだよなァ」

 

そこから、お互いの調べた結果を話していると、入り口の扉が開いて先程より大分顔色が良くなった沢風達が戻ってきた。

 

「ごめん…君達に任せちゃって…」

「何でお前が謝んだよ!沢風が悪い訳じゃねえって!」

 

顔色は良くなったのに、落ち込んだ様子で暗くそう言う沢風はまだショックが大きい様だ。

 

「所であんたらはここで何をしてんだい?」

「もう粗方調べたからよ、お前らに聞きたい事もあるしここで情報交換しながら待ってたんだよ」

「お前らやけに遅くねー?」

「仕方ないじゃないか。飯に風呂も入ってたんだから」

「あのねあのねー!プリンセスちゃんが一番遅かったんだよー!!脱ぎにくくて着にくい着物着てるからだよー!!!」

「………」

 

嶋野にそう言われた藤はそっぽを向いて知らん顔をしていた。そんな藤にポツリと俺は疑問を溢した。

 

「何で藤っていつも着物着てんだ?」

「何か文句があるのかしら?」

 

俺の言葉が届いた藤は真っ直ぐに俺を睨み付けて物凄い低い声でこう言った。

 

「い、いやべ、べべ別になんもねえけど…」

 

うっわ怖え!着物に対して並々ならぬ情熱でもあるのか…どうやら藤には禁句の様だ。

 

「噛ませ姫さんは何故太郎さんにそんな無駄に強く噛みつくんですか?」

「な、何ですって?」

「噛ませ姫が噛ませらしく柔らかい牙で噛み付かれるのは良いですが、太郎さんに噛み付いて病原菌を移さないで頂けませんか?」

「あら?なら貴女だってその貧相な存在感を愛しの騎士様に移して良いのかしら?貴女のせいで甘党さん消えちゃうんじゃないの?」

「ご安心を。太郎さんは私を照らして下さる光りですから消える事はありません。むしろ日を追う毎に存在感が薄くなっているのは貴女の方では?」

「だあぁぁぁぁ!!お前ら言い合うのは後にしろ!!」

「はい分かりました」

「そんなの…私のせいじゃないわ」

 

このまま放っておけば話が進まないだろうから、俺は仕方なく二人の口論を止めさせた。今は公衆トイレの惨状を聞かないとだ、と俺は公衆トイレについて話した。

 

「私が最後に入ったのは昼過ぎだったねえ…。その時は別に普通だったよ」

「ウチは一回もトイレに行ってないなー。入ってきてそんな経ってなかったし」

「俺は…昼頃に済ませてから行ってないな」

「私も昼頃」

 

時間的に考えて、熱宮が一番最後に入っただろうから沢風や鈴木崎の時に何も起こってねえのは明らかだよな。最後に藤の言葉を待つと、嫌そうな顔をして溜め息を吐きながら口を開いた。

 

「私が一番最後の様ね…私は夕方頃に行ったら誰かが入ってたのよ」

「一つしかないからそう言う時に困るよねえ」

「ええ…仕方なく私は待ったわ。だけどいくら待ってもどれだけ待っても出てこなかったわ…」

「腹でも壊してたんかそいつは?」

「知らないわよ!ノックしても声を掛けても反応しないお馬鹿さんは一体どこの誰よ!?私は仕方なくゲームセンターのトイレまで行ったのよ!」

 

ん?ゲームセンターのトイレってあの見た目だけしかねえ入り口を絵で描かれてるだけのやつの事か?藤に聞いてみるか…。

 

「なあ藤…ゲームセンターのトイレって」

「甘党さんの言いたい事は分かってるわよ!あそこは絵だろうって言いたいんでしょう?言っておきますけどね、私は離れた所からしか見た事なかったのよ!だから絵だって知らなかったのよ!」

「だから藤はあんな所で踞ってたんだねえ」

「は?どういう事だ熱宮?」

「死体発見アナウンスが鳴ってからも藤が来ないから心配になってねえ。私が探しに行ったんだけど、何故か絵で描かれたトイレの前でプルプル震えながら踞ってたんだよ」

「な、何よ…私は悪くないから…それより誰よ?返事も返さずにずっと閉じ籠って占拠なんて暴挙に出てたお馬鹿さんはどこの誰よ?」

 

藤の言葉に誰も返さなかった。これには皆が首を傾げる。

 

「何で誰も声があがらねえんだァ?」

「恥ずかしいからですか?ハクにはこの状況で言わないなんて理解が出来ませんが」

「いやいやー今の藤姫見てたら恐ろしくて言えねえってー」

「…それか今この場には居ないから……かもしれない」

 

呟く沢風に自然と視線が集まる。

 

「居ない奴って…猫屋敷か瀬戸内のどっちかって事か?」

「いや…瀬戸内だよ。瀬戸内が閉じ籠ってたんだろうね」

「殺人鬼さんかお坊さんの二択ならお坊さんしかあり得ないわよね」

「何だよ…何でそんな断言出来るんだよ?」

 

周りを見れば他の校庭に居た奴等も疑問に思わずに頷いていた。

 

「だって猫屋敷、ずっと体調悪くて寝てた」

「そうです。こまいは体調を崩して柔道場で休んでました」

「それに瀬戸内は行方不明だったんだ」

「どこに行ったのか探してたんだけど、トイレの中に居たとは…盲点だったねえ」

「何で瀬戸内はァ行方不明なんかにィなッてたんだァ?」

「そ、それは……」

「あァ?」

「えっと……」

「ンだよォ…何か知ッてンなら早く言えよォ」

「え、えっと」

「あのお坊さんはね?殺人鬼さんが誰かを殺さないのかって疑ってしまったから気持ちを落ち着かせる為にってどこかに行っちゃったのよ」

 

言い淀む沢風に痺れを切らした藤が代わりに言った。

 

「貴方は何でこんな事を言えないのよ?」

「いや…だって瀬戸内が悩んでたって…」

「言いたくなかったって?貴方は子供?事実を言わないといけないって事は分かってるわよね?」

「…………」

 

藤に好き勝手言われる沢風だが、藤の言ってる事も分かるので反論出来ないで黙ったままだ。

 

「まあまあ、藤の言いたい事も分かるけど沢風の気持ちも分かってやりな」

「何故私がこの人の気持ちを分かってあげなきゃいけないのよ?」

「全く…あんたってやつは…」

 

熱宮がフォローを入れるも藤は頑固として自分の考えは曲げない様だ。でも瀬戸内が行方不明になってしまった理由は知れたな。

 

 

コトダマゲット!《行方不明になった瀬戸内》

 

 

『理不尽、怒り、悲しみ、飢餓、不快…迷い判断し犯行に移し今に至ります…。しかし審判の時は確実に迫っており、そして今…下される時が参りました。校長に代わりましてたまにはワタクシもやらせて頂いておりますどうもミナサマ大好き教頭です。"学級裁判"を開始致します!いつもの通り別館の赤い扉から学級裁判場に来て下さい!』

 

……は?なんか……こ、今回早くねえか!?

 

「ちょっと待ちなさいよ、時間が短いわよ?」

「そ、そうだァ!!こんなの不正だぞォ!?」

「そーだそーだぁぁぁ!!!」

「今まででしたらまだ猶予はありましたよね…」

「まだますたー達はろくに捜査出来てませんが?」

「うん。何で?」

「そーだそーだぁぁぁぁ!!!!」

「こんな状況で学級裁判なんか出来る訳ないじゃないか!!」

「まだ捜査出来てないんだけど……」

「そーだそーだぁぁぁぁぁ!!!!!」

「嶋野!!お前うるせえよ!」

「嶋野の煩さなんて今更だよ!砂糖も文句の一つでも言いなっ!!」

 

……うぇえ!?俺が怒られんのかよ!!

 

なんか釈然としねえが、いきなりの捜査終了に皆は口々に文句を言う。明らかに時間が足りてねえからだ。まだ沢風達には聞きたい事もあるし、沢風達はやっと今戻ってきて捜査を開始するってのに…するとモノソノが再びアナウンスを鳴らす。

 

『全く…アナタ方はそんな事も分からないと?少し考えれば分かりませんかね?…仕方がありませんね~分からないそんな愚かで卑しいアナタ方には特別にワタクシは優しいのでぇぇぇ?教えて差し上げます!』

「なァんでンな上から何だよォ…」

 

非常に腹立つが、そこに触れたら更にめんどくさい事になりそうだからグッと我慢をし、先に進ませる様に無言の圧力で促す。

 

『……もう少し苛立って叫んだりしてくれませんかね?カルシウムバッチリ充填完了ですか?完了してるんですか?若いのですから不足気味で苛々バチバチしてて下さいよ……それでは言いますよー!ズバリ今回は校庭という限られた状況下で少なく分かりやすい犯行可能なクロの推理なんですから、捜査時間なんて有って無い様なモノです。今ヤンヤホラホリャチョイサと言われましても校長は既に準備万端ですので、遅刻しますと……まあミナサマなら分かりますよね?分かるよな?じゃあ早く来いよ?』

 

黙って聞いていたら好き勝手言われ、スッキリした顔のモノソノは勝手に映像を切ってきた。

 

「「「「「……………」」」」」

 

全員黙る…だが内に灯った燻り溜まっていく憤怒を燃やしていく。とりあえず…赤色の扉まで行かないとだな。

 

 

ーーー別館、赤色の扉前ーーー

 

 

「早く終わらせよ」

 

皆で赤の扉前まで来ると、鈴木崎が一番に乗り込む。それに続き皆が乗り込んでいくので俺も乗り、エレベーターは下に降りていく。

 

あっという間にこのエレベーターに戻ってきてしまった。何度願っても誓っても現実はそれを嘲笑う。

 

嫌だと叫んでもどうしようもなく進んでいってしまう。何も知らぬ間に仲間がまた一人失われ、これからまた命を賭け勝ってもまた仲間を失う。

 

その先がどんなに非情でも受けとめなければならない…。やはりこの感覚は慣れる事はない、慣れたくなんてないが…。

 

(……今回も…いや今回こそは犯人を見付けてみせる!)

 

前回の学級裁判では全く役に立ってなかった…影山に良いように惑わされてしまったが、今回は諦めねえ!!

 

 

ー学級裁判に続くー

 

 

 

 

ー登場人物ー

 

【予備学科生徒】砂糖(サトウ) 太郎(タロウ)

 

【超高校級のリア充】沢風(サワカゼ) 俊也(シュンヤ)

 

【超高校級のメカニック】鈴木崎(スズキザキ) 美佳子(ミカコ)

 

【超高校級の放送部】嶋野(シマノ) 恵子(エコ)

 

【超高校級の氷彫刻家】熱宮(ネツミヤ) 燐火(リンカ)

 

【超高校級の僧】瀬戸内(セトウチ) 太陽(タイヨウ)

 

【超高校級の愉快犯】影山(カゲヤマ) 琥珀(コハク)

 

【超高校級のネット配信者】 鷹倉(タカクラ) ルゥ ヴィクトー

 

【超高校級の折り紙講師】 (フジ) 織姫(オリヒメ)

 

【超高校級の保険委員】 桃瀬(モモセ) 一護(イチゴ)

 

【超高校級のロボット】(ハク)

 

生存者 11人

 

 

 

 




次回投稿はまた間が空くと思われます!お楽しみにお待ちくださいませ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。