クロスオーバー世界の破壊者 NEO-DECADE   作:サルミアッキ

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 遂にディケイド、カメンライド。第五話、お楽しみ下さい!


第5話 古・都・騒・乱

 IS学園の騒動から数日経った。仮面ライダー部を含めたIS学園の生徒達は乗っていた新幹線を降り、修学旅行の地へ足を踏み入れる。

 

「京都来たーーーーーッッ‼」

 

 通行人がぎょっとする勢いでシャウトするリーゼントがいたが、ツカサやナツミカンは素知らぬふり。

 

「この世界でもちゃんと京都はあるんですね……ちょっと安心しました」

「ファンタジー系の異世界だった場合日本じゃなかったりするからな……」

「さーて楽しもうぜ、なぁお前等!」

「「「おーーーーっっ‼」」」

 

 ゲンタロウが音頭をとっている。流石学園全員と友達になる男。こういったお祭り行事で率先してリーダーシップをとってくれるから教師要らずである。

 

「指定時間までには清水寺に集合だ。くれぐれも忘れるな、では各自解散。……何かあれば私たちや用務員の角谷先生に連絡をとる様に」

 

 織斑一夏がクラス代表のため一緒に回れない事が発覚したり、トランクボックスの中から水色髪のシスコン会長が呼ばれてないのにジャジャジャジャーンしたりとあったが、織斑千冬の一言で各自解散、修学旅行が始まった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 …―――――京都タワーの展望台。

 

「アリエスの立案通りフォーゼを京都へ連れてきた。そんでもってお前が奴らを抑えて私が作戦を遂行。…―――こっちの仕事に手出しは無用だ…!」

「……」

 

 無人の展望台内でオータムは背後にいた人間に皮肉をぶつける。だが対する少女は全くと言って良い程無関心だった。赤く光った瞳で京都の町を見渡し、宿敵と呼べる人間への憎悪を燃やしている。

 

「…、ちッ。軽く見やがって…」

「落ち着きなさいオータム。貴女もホロスコープスの十二使徒、子供相手に後手に回ることはまず無いわ」

「…――――ッ、スコール…」

 

 派手なドレス姿の人間……スコール・ミューゼルがなだめると、借りてきた猫の様に大人しくなるオータム。ドレスの熟女は少女を咎める様に見た後、彼女もまた「赤いゾディアーツスイッチ」を強く握った。

 

「懸念すべきはディケイドね……、私もいざとなったら動くとしましょう」

 

 その瞬間…――――邪悪な星雲が三人を包み、星巡る古都に三体のホロスコープスが出現した。

 

『『『無限の成層圏(宇宙)に夢を…――――星に、願いを』』』

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「さて、……角谷。お前は映画村に行ってもらおう」

「何?」

 

 目の前から生徒たちが消えた瞬間、織斑千冬はツカサに言う。

 

「私の死んだ“父親(・・)”が研究していたデータに、何重にもプロテクトがかかったファイルがあってな……詳細は伏せるが割り出したポイントがこの四点だ」

 

 年若い教師は京都のパンフレットを彼に渡すと、四つの印が地図に書き込まれているのが目に入る。東西南北の四ヶ所に△〇×□の記号がふってあった。

 

「……それを誰かに言ったことは?」

「…――――ない。腐れ縁の友人にも学校の同僚にも言ったことは無い。ライダー部の一年生にもだ」

 

 普通に聞けば信頼を置いたような発言だったが…――――本当はそういう事ではない。暗に『知っているのはこの場にいる私達のみ。下手な動きをした場合、お前に全ての疑惑が向かうのだからくれぐれも気をつけろ』と伝えてくる千冬の目。

 そしてタイミングを見計らったように彼女の背後から一人の少女が現れる。…――――水色髪のスタイルの良い美人だった。

 

「……成程、コイツが俺の監視役ってところか、…――――更識楯無?」

「大当たりー。よろしくね、謎の仮面ライダーさん?」

 

 開かれた扇子には【見てますよ!】の文字が浮かんでいる。一体どうなっているのだろう、しげしげとソレを眺めて眉を顰めるしかなかった。

 

「生徒会長にしては随分とフランクな(タチ)だな?」

「もぅ、そういうこと言うのは野暮って言うのよ?…――――あ、ピース♡」

 

 自分の信用の無さによる監視も気取らず、早速軽口を叩きトイカメラで楯無を撮影するツカサ。それにノリノリでポーズをとる彼女…――――意外にこの二人、人間的な相性がいいのかもしれない。

 そこで会話を遮る千冬の咳払い。

 

「…――――良いか角谷。何事か起ころうと、なるべく一夏たちに感付かれないようにしろ」

「…――――ほう?」

 

 見れば、スパルタな強面教師の仮面が外れ、弟とその友人たちを心配する姉としての面が表に顔を覗かせていた。

 

「アイツらの時間はアイツらだけのものだ。醜い大人の馬鹿な尻拭いで、アイツらの未来を狭めることはさせたくないからな…――――」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 ここは伏見稲荷大社。ナツミを含めた箒、セシリア、鈴の四名が幾数の鳥居の下を通り過ぎていく。

 

「はー…――――綺麗ですわね…――――」

「ね。せっかくだし舞妓さんの格好でもすれば良かったかも、箒なんかはそこらのホンモノと見分け付かないんじゃない?」

「いや、一応言っておけば昼間から外にいる舞妓は本業の人ではないのだが……、む?ナツミはどうした?」

「…――――ごめんなさーい!……ふうッ、御朱印帳買ってましたぁ……」

「「「渋いな…」」ですわね……」

 

 そんなとりとめもない会話をしながら参道を登っていく美少女JKたち。

 

 

「…――――ふん。暢気にしてるのも今の内だぜ……」

 

 誰にも気づかれず、静かに蜘蛛は蠢いていた。鳥居の影から錫杖の音が聞こえると『アラネア・ゾディアーツ』が階段を下って行く。彼女は不吉な言葉を残して、星屑に紛れてその場から立ち去った。

 

『京都のザ・ホールが閉じるまで、残り三柱……』

 

 

 ふと寒気がした鈴は背後を見た。だが殺気を放った存在はどこにもない。ただの勘違いだったのだろうか、と首を捻った視線の先…――――。

 

「…――――あら、これは?」

 

 鈴の足元には『×』印が描かれた梵字の石柱が、見るも無残に破壊されていた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 京都タワーの上。青空を背景に腕組みをして伏見稲荷大社を見ていたスコールは、美しい水色の光が天へと昇って行くのを見届けた。

 

「高出力のコズミックエナジーに反応したわね……アリエスの予想通りかしら」

 

 複数のISとフォーゼが京都にやって来たことで活性化した時空を繋ぐ宇宙のエネルギー。それに、とスコールはマゼンタ色の仮面ライダーを思い出す。

 

(ディケイドは世界を繋ぐ次元の壁を壊し、別の世界の存在を呼び寄せる呼石のような存在…――――言い換えれば異世界からエネルギーを呼び込むISの上位互換)

 

「ディケイドをこの場に呼び寄せたのも計画通り、ということ?IS学園上空のザ・ホールにどんな作用をもたらすかわかったものでもないのに…――――」

 

 …――――だが。もしそのことも理解したうえで今回の計画が立案されていたら……。ザ・ホールから降り注ぐコズミックエナジーに、混じることのない異世界の力さえも加味されていたら……。

 ISコアにどんな影響を与えるか、それすら解っていたとしたら?

 

「…――――やめましょう。今の段階では無駄なことだわ。お互い目的が達成するまで手出しはしない約束だったのだし、

 

…――――まぁ、手出しは、だけれどね」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「よっしゃ……!宇宙、キターッッッ!」

「はいチーズ」

 

 一夏は手に持った専門的な一眼レフでゲンタロウを一枚パシャリ。ゲンタロウのいつも通りの宇宙キターッなXポーズに愛想笑いをしながらも、なかなか上手く撮れたと満足げだった。

 

「おぉ~ッ、サンキューな一夏!ほらラウラもシャルロットも撮ってもらえよ!」

「あ……じゃあお願いできる?一夏」

「嫁、この景色で頼む。クラリッサたちにも見せてやりたくてな」

 

 リクエスト通りに友人たちの写真を、…――――“存在していた”証を世界から切り抜いていく。

 

 

 

(…――――カメラって、苦手だな)

 

 カメラを構えていると、賑やかな友人たちと自分はどこか別の世界にいるように思えてならない。ファインダーの向こう側とこちら側で区切られた世界。まるで自分が人間ではない観察者になったかのような…――――。そんな錯覚が。

 

(…――――そう言えば、千冬姉は誰がそばにいたか覚えておくように言ってたな……)

 

「……忘れちまうもんもあるさ。俺だってそうだった」

「ぅわッ!?…――――びっくりした、ツカサさんかよ……」

 

 茶髪の男が一夏の背後に立っていた。心の中を読んだらしい黒いコートの男、角谷ツカサ。

 

「(お姉さんもいま…――――むぐっ!?)」

「(ややこしくなるから今はどっか行け)」

「あれ?なんか見たことがある人が……?」

 

 彼は町奉行に扮した水色髪の人間を放り投げ、気にするなとたった一言。少し混乱していた一夏をよそに、彼の手元の一眼レフカメラを強引に手に取り貸してもらう。

 

「うん、良いカメラだな」

「……そう言えばツカサさんも写真を撮ってましたよね?そのトイカメラって、blackbird, fly?じゃなかったっけ……」

 

 一夏のカメラで周囲の物をパシャパシャ勝手に撮影するツカサは、心ここに非ずといったふうに受け答えた。

 

「撮ることは撮る。俺は巡ってきた世界を記憶(ここ)に留めておきたいからな。…――――けれど、どうしても“これだ”と言える写真が撮れない」

 

 

 …――――世界が俺に撮られたくないと告げているみたいに、な

 

 

「(……?)」

「…――――俺が存在()る世界なんてどこにもないのかもな。だからお前と違って、そばにいる人間も消えた記憶の向こう……ってことなんだろ」

 

 誰のそばにもいれず、多くの人の風評に流され、それでも旅を続けている彼はなんてこともなく自分の定めを声に出す。居場所がないのが自分の居場所であるように、救いがないのが救いとでも言うように。

 

「…――――辛く、ないんですか?」

 

 一夏のその言葉に顔を上げた。手にあった一眼レフを投げ渡し、興味無さげにそっぽを向いたツカサ。慌ててカメラを受け取ると、液晶画面にはどう撮ったか知れない“温かく歪んだ”一夏の顔が表示されている。

 

 

 

「…――――何百枚撮ったって別の顔が写る」

 

 首にかけたトイカメラで呆気にとられる一夏を撮影。パッと手を離しカメラを胸元に落とすと少年の頭を小突いて背後を向く。

 

「同じ顔なんて一枚も撮れない。だから俺達は写真を撮るんじゃないか?」

「…――――!」

「写真に写るだけが自分じゃない。自分が自分であるのはそれだけで十分だろ」

 

 手を振り“撮影がんばれ”と声をかけ、ツカサは生徒達のそばから離れていった。だが彼がどこかへ去っても、織斑一夏の心の底を見通したその言葉は彼の心の中に残り続けた…――――。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

「酷いじゃないですか!せっかく一夏君をからかえると思ったのに……もう!」

「あぁ悪かった悪かった。……ま、許しを乞う気はないが」

「性格悪いっ!」

 

 扇子を持ちながら詰め寄るのはツカサのサポート役、兼監視役の更識家当主。先程ぞんざいに扱われたことがご不満の様だ。

 …――――だが、ふざけるのもここまでだった。

 

「…――――で、いつまで隠れているつもりだ?」

 

 一夏やゲンタロウが映画村から立ち去ったのを見計らい、ツカサたちは背後を振り返る。

 

「…――――」

 

 数秒の後、人がいなくなった空間に小柄な体つきの少女が現れた。長い髪に隠された目元が風によって露わになった。

 

「……あらまぁ」

「その顔……どうやらちょっと訳アリみたいだな。なぁ、亡国機業のホロスコープス…――――コードネーム『エム』」

 

 その顔は間違いなく彼らの知り合い、世界最強(ブリュンヒルデ)の織斑千冬。エムと呼ばれた少女は持った赤いゾディアースイッチを玩びながら二人へ一歩、また一歩と近寄ってくる。

 

「…――――御託は良い。お前の相手は私だ」

「それはありがたい。あいつ等に迷惑をかけなくて良さそうだ」

「……ふん」

 

 更識楯無が見ている中で、二人はライダーと怪人に姿を変える。織斑千冬にそっくりな顔の少女は獅子座のマークがボタンに刻まれたスイッチを押す。

 

『……』

「変身」

 

 目の前で巻き起こる星雲の嵐に慌てる様子もなく、ツカサはライダーカードをネオディケイドライバーに挿し入れた。

 

【KAMEN RIDE……――――DECADE!】

 

 ひらりと宙返りした楯無が瓦屋根の上で見守る中、世界の破壊者と最強格のゾディアーツが間合いを取ってにじり動く。

 互いに動きが無く、一秒が一時間にも感じる間の中。

 

 

「…………、フッ‼」

『……』

 

 ディケイドのライドブッカーとレオ・ゾディアーツのクローが甲高い音を立てて衝突する。火花を散らし鍔迫り合う。袈裟懸けに振るい、突き、蹴りも交えてレオにダメージを与えようとするツカサだが、そのことごとくに冷静に対処するエム。それはそうだろう、恐らく彼女はこの世界で三本の指に入る実力者だろうから。

 

「無言か。なんか言ったらどうだ?」

『………――――、ガァオ』

「……驚いた、冗談も言えるんだな」

 

【ATTACK RIDE……――――BLAST!】

 

 ライドブッカーがガンモードに変形すると銃口が多重に屈折、それらからマゼンタの光弾がレオ・ゾディアーツに向かって疾走する。

 …――――しかし、レオ・ゾディアーツは腕のクローを二、三度振っただけで弾丸の進行方向をずらし、ダメージはおろか掠り傷さえ受けなかった。

 

「成程。なかなかやるな、生まれ持ったスペックが人と桁違いだ」

『……当たり前のことを』

 

 レオ・ゾディアーツは言う。自分が何のために生まれたのか、自分が何処へ行こうというのかを。故に絶対に超えねばならない存在がいる事に。

 

『私は星の声を聴いた。無限の成層圏のその先に至る新たなる存在だ』

「そうか……お前が考えていることは大体分かった」

 

 その余裕綽々な態度が癇に障る。まるで絶望を易とも容易く覆せるなどとでもいうような、そんな口ぶりに腹が立つ。ならばなぜ…――――“私は”……。

 

『無駄口を叩いている暇があるのか?ホロスコープス最強の私に勝てるものか』

「忠告どうも。……なら、天才児には同じ天才だ」

 

 ライドブッカーを(しご)くように撫でると、彼はクラインの壺に通じるホルダーから一枚のライダーカードを取り出した。

 

【KAMEN RIDE……――――EX-AID!】

 

 電子音が鳴るとドライバーから液晶パネルに似た壁が出現し、立方体の光の粒が周囲をピンクに染める。

 

【マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!エーックス!】

 

 音が収まるとディケイドは全く別のライダーへと変身していた。その外見にエムは一瞬だけ気が抜けた。

 

『……何だ、そのふざけた姿は』

「さぁーてエム、お遊びの始まり(ゲームスタート)だ。付き合ってもらうぜ」

 

 逆立った髪を模した頭部、コミカルな印象を与える目。患者の笑顔を守る、黄金の心の天才ゲーマー『M』が変身した仮面ライダー、エグゼイドが彼女の前に立ちふさがった。

 




 ISのエムのゾディアーツVS天才ゲーマーMのライダー。こんな名前繋がりなどが今後ともぶっ混まれます。
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