クロスオーバー世界の破壊者 NEO-DECADE   作:サルミアッキ

4 / 13
 嘘予告第二弾!……意外にベストマッチだった気がします。


戦記絶生ファイズギア

Open your eye's for next φ's!

 

「ち、遅刻だぁぁぁ⁉」

 

 

 大通りを本能のまま全力疾走する茶髪の少女『立花響』。見ての通りの裏表のない性格をした、人助けが趣味の『良い人』だ。今朝も困ったおばあちゃんの荷物を持ったり迷子の子供を交番に届けたりとてんてこまい。ただしその趣味が行き過ぎるあまり、現在の様に遅刻というポカをやらかす、そんな子である。加えてドジな一面まで兼ね備え………――――。

 

 ドンガラガッシャァァン‼

 

「「うわァァァ!?」」

 

 一昔前の少女漫画よろしく、曲がり角で停まっていたオフロードバイクに激突する。

 

「~~~ってぇ……」

 

「あ、ごっごめんなさい!お手伝いします!」

 

 フルフェイスマスクを被ったバイクの持ち主が、したたかに尻餅をついていた。それを響は見過ごせない。慌てて駆け寄り、甲斐甲斐しく世話を焼き始める。

 

「…いーから行けよ、おせっかいならいい迷惑だ」

 

 だがそれを鬱陶しそうに払いのけるバイカーの女性。冷めた口調で淡々と言いながら緩慢な動きでオフロードバイクを車道に戻す。

 

「そ、そんなぁ~……。あ」

 

 キーンコーンカーンコーン…。どこか遠くから聞こえてくる学校のチャイム。どう考えても大大遅刻、及び教師と幼馴染の説教は免れなさそうだった。うわぁぁぁぁぁッ!とダディの如き叫びをあげ、途端に顔を青ざめさせる前後多難なクウガ系JK。

 

「っ、はぁ……おら」

 

「え?」

 

 フルフェイスのヘルメット女はバイクの荷物を退けて、少女に乗る様に促した。お節介が嫌だという割に世話を焼く所を見ると、ツンデレ気質な人間であるらしい。

 

「…乗ってけ」

 

「え⁉良いんですか!ありがとうございます~!」

 

 リディアン音楽院の制服の生徒はさっきまでの泣き顔から一転、ニコニコ顔でSMART BRAIN製のバイクにまたがった。彼女に青い翼のエンブレムが入ったヘルメットを被らせると、自分の身体に抱き着かせアクセルを蒸かすバイクの持ち主。爆音が煙とともにマフラーから吐き出され、エンジンが猛々しく駆動した。

 二人乗りのバイクが賑やかな街中を銀の狼のように駆け抜ける。

 

「お前、名前は」

 

「あ、はい!立花響16歳!好きなものはご飯アンドご飯、彼氏いない歴=年齢です!」

 

「誰がそこまで言えって言った。興味ねーんだよ」

 

「う、あはは……」

 

 風景が早回しの写真フィルムのように後ろへ流れていく。後ろから抱きすくめられる少女の体温。それを感じながらライダーはごうごうと吹く風の中に、万感の思いを込めて呟きを吐く。

 

 

 

「……生きて、たんだな」

 

 

 

「えッ?お姉さん何か言いましたーッ?」

 

「なんでもねーよ…おら、ついたぞ」

 

 フルフェイスマスクから零れるオレンジ色の髪を整え、リディアンの正門前に停車する赤と銀のバイク。

 

「あッ、ありがとうございました‼それでは私はこれでッ‼」

 

「おい待て、荷物忘れてるぞ、ほら」

 

「す、すいませーん!ありがとうございますぅぅッ‼」

 

 慌てて身支度を整え飛び降りる響に向かって、ヘルメットの女は乱暴に荷物を手渡したのだった……。

 

 

 

 

 

「立花さん!遅刻ですよまったく!」

 

 開口一番飛び込んでくるお説教。まあ当たり前である。連日遅刻な上、今回は一時間目の授業さえすっぽかし、授業終了五分前での到着だったのだから。

 

「あ、はは…ごめんなさい~!」

 

「響…本当にしょうがないんだから…」

 

 困った正義の味方に呆れ返る幼馴染、小日向未来。とぼとぼと彼女の隣に着席した響にジト目を向ける。

 

「ごめんって未来~………あれ、なにこれ?」

 

 鞄のチャックを開けると、そこにあったのは彼女の教科書………などではなく。

 

「…ちょっと響、鞄取り違えて学校に来たの?」

 

「うわーんどうしよう⁉あの人の名前聞いてなかった!困らせちゃったよ、どーしよー⁉」

 

 目の前のトランクケースを見ながら頭を抱える響。それに対して未来は…。

 

(…SMART BRAIN。もしかして、響と接触してきた?あのライブ事件と関係が?)

 

 

 そのケースに刻まれた大手企業の社名を忌々しげに見つめていた。

 

 

(………――――そんなことさせない。響は私が守るもの)

 

 

 

 

 放課後…――――。

 

「えっほ、えっほ!」

 

 例のカバンを片手に女子トイレに駆け込む響。しっかりドアに鍵をかけケースに向き直る。

 

「厳しいんだもんなー未来は。“勝手に中身見ちゃいけません!”なーんて。あの人の手掛かりになること以外しないよ、もう」

 

 持ち主の手掛かりを求めてケースの留め金を外すと、彼女は鞄の中身を見た。

 

「ん?」

 

 そこにあったのは、ウレタンの中に丁寧に梱包された銀色のベルト。それと…。

 

「……ガラケー?あとデジカメに、懐中電灯と…それに『ユーザーズガイド』?」

 

 響はぱらぱらとページをめくっていく。そして、眉唾物の一文に目を落とす。

 

 

 

 その説明書には、“対聖遺骸・対認定特異災害用ライダーズギア『ファイズドライバー』の運用方法”と言う事項が書かれていた。

 

 

 

 

φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555

 

 

「………畜生さんざんだ。あいつカバン間違えて行きやがったし、校門で待ってたら不審者扱いだし、逃げたら警察が来るしよ…!おまけに間違えてホット買っちまった。あーぁあ…」

 

 路地裏に身をひそめるオレンジ色の髪の女性。どうやら猫舌らしく、自販機で買った缶コーヒーにフーフーと息を吹きかけ続けている。オフロードバイクのボディに反射する己の顔を見て、ぽつりと一言。

 

「……有名になったことが仇になったな…」

 

 手持無沙汰になった片手で『青い翼のヘルメット』をもたげる女性。一緒にバイクに乗った時のことを思い出す。自分の腰におっかなびっくり手をまわしてきた、パートナーだった少女のことを。

 

「元気してんのかな……あの泣き虫は」

 

 

 

 

 その時世界に尋常ならざる気配が満ちた。はるか遠方の場所での出来事が、彼女の鋭敏な耳と鼻に届く。

 

「…!ノイズか」

 

 缶コーヒーの中身が零れるのも構わずゴミ箱に空き缶を投げ入れる。彼女はヘルメットを被り、バイク……『オートバジン』のアクセルを入れると、法定速度を無視して公道をかっ飛ばす。いざとなれば怪物と蔑まれようとも、“誰かの生きる事を諦めさせない”為に覚悟を決め、ハンドルをさらに強く握りしめた。

 

 

 

 

 

 

φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555

 

 

「はっ、はっ、はっ…!」

 

 立花響は走っていた。

 

(まずいよ…私呪われてるのかも…?)

 

 

 先頃まで迷子を助け、母親の下に連れて行った際だった。突然、認定特異災害の発生を知らせる警報が街中に鳴り響いていた。響が後ろを振り向けば、数えるのも嫌になる量の愉快なオブジェが勢ぞろい。勿論見ていて面白いものでは無い。触れたら最後全てが塵になる『死』そのものなのだから。

 慌てて駆けだしたが、体力に自信のある響だって人間である。もう不眠不休で走っている様な気分になってきた。喉が枯れ声も出ず吐き気がする。もうヤケクソで両手に持った荷物を投げ捨ててやろうかとも考えた。

 

(…っ、コレッ!)

 

 その時気付く。手に持っていた他人の荷物の中身のことを。

 

「ものは試しだけどッ。名も知らないお姉さん!少しだけ借りさせてもらいます!」

 

 響は走りながらケースを開け、今となってはまず見ない二つ折り携帯(ガラケー)にガイドに従い一つのコードを入力した。

 

【5・5・5】

 

【Standing by】

 

 エンターキーを押すと、携帯の中で未知のエネルギーが循環する音が聞こえてきた。

 

「お願いッ…!助けて…ッ‼」

 

 

 神にも祈る気持ちで携帯電話をベルトに挿し、そのままバックル部に沿わせる形に90度で倒す。ノイズと戦える力を得られるか否か、その効果は一瞬にして現れる。

 

 

【Error】

 

 

「へ、……ほぎゃ!」

 

 無慈悲な電子音が鳴ると、彼女は壁へと叩きつけられた。ぶつかったのが壁で幸いだった。弾き飛ばされた方向にノイズがいたら、目も当てられたい悲惨なことになっていただろう。痛む身体を動かし、すぐさまノイズたちと距離をとろうとした響だったのだが……。

 

「あいたたたた……、⁉」

 

 

 響は思わず目を疑う。転がり込んだ彼女の前に、小さな人影がうずくまっていた。

 

 

「おかぁさん…、どこ…?」

 

(あの子、逃げ遅れたの⁉まずい、このままじゃ…)

 

 

 背後には津波のように押し寄せる色とりどりの『死』。前方の道は瓦礫で塞がれ、その向こうからもノイズが一匹、また一匹と現れる。

 

 絶体絶命な状況。まるで二年前の巻き返し。死にたくない、と思う。死んでたまるか、と思う。薄れる記憶の中で、託されたのは覚えている。命を燃やす歌に送り出されたのを覚えている。だから、絶対……私は『生きるのを諦めない』!

 

「…ぇ?」

 

「泣かないで…大丈夫ッ!私がお母さんの場所まで連れてってあげるッ!」

 

 その手を繋ぎその女の子と約束する。絶対繋いだこの手を離さない。

 

 

 

 突然ノイズが振り返る。脅威が迫っていると、思考しない体が動きを止める。

 

 ――――そこに音が聞こえてきた。荒々しく騒々しい、唸るようなバイクの排気音と共に、一人ぼっちの救世主がやって来た。

 ハンドルから手を離し、車体上部のφのマークに拳を叩きつける女。するとオフロードバイクはウィリーを始め、運転手を振り落とし上空へと飛翔する。

 

【Battle mode】

 

「ッうわわわわ!?」

 

 夕暮れをバックにガトリング砲が連射される。その砲撃で地面が抉れ、コンクリートがめくれ上がり、ノイズの進行を阻む隙が生まれた。役目を全うした銀色の人影は金属音と共に着地する。

 

「ろ、ロボット…⁉」

 

 ゴーグルアイをピコピコと光らせ、響と小さな女の子を見る2m近い鉄人。これが先程までバイクだったなんて響にはとても信じられなかった。

 

「見つけた。お前な……紛らわしいバック持つな。あたしのベルトはどこだ」

 

「あ、朝のバイクの人!」

 

「そーいうの良いから、とっととベルトを寄越せ!」

 

 そこにずかずかやって来たフルフェイスマスクの女の人。響に鬼気迫る雰囲気で尋ねるが、荒っぽい口調と威圧感で得体の知れなさが半端ではない。小さい女の子はノイズとは別な意味で涙目になっていた。

 

「あぅ…す、すみません。はじかれちゃって、そこに……」

 

「……、そうか(良かった。“記号”まであったら顔向けできなかったぜ…)」

 

 ゴミ捨て場に転がっていた携帯電話『ファイズフォン』と銀のベルトを手早く回収するヘルメットの女。そして彼女らを背後に下がらせ、そっけなく言い放つ。

 

「あたしが道を開けてやる、ノイズが消えたらそこから子供を連れて逃げろ」

 

「え、でも…」

 

「良いから行け。あたしは問題ねぇ」

 

 言い淀む響に女は拒絶するように命令し、オートバジンへとヘルメットを投げ渡した。逆光になっていて分からなかったが、オレンジの髪は天使の羽の様に柔らかく外側にハネていた。

 

【5・5・5】

 

 響は何処かで彼女と会った様な既視感に襲われた。そう、丁度今この時の様な、夕焼けに燃える景色の中、三人だけの空間で…――――。

 

【Standing by】

 

「変身!」

 

【Complete】

 

 その途端、夕陽に照らされた女の身体を真っ赤なライン――――『フォトンストリーム』が伸びていく。そして体が異端技術合金の『ソルメタル』で覆われると、女の姿を『蘇りし者たちから人を守る戦士』仮面ライダーファイズへと変える。

 

 変身が完了すれば女…ファイズは何かを手から振り落とすように払う仕草をし、色とりどりの特異指定災害へと向き直る。

 

「うわぁ………お姉ちゃんカッコイイ!」

 

「馬鹿か、お前ら暢気だな」

 

 二人の少女を後ろに、ファイズは発光する剣を持って駆けだした…――――。

 

 

 

 

φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555 φφφ 555

 

 

 

【Ready】

 

 ラフな動きでノイズを炭に還していくファイズ。残るは巨大な体躯のデカ物のみとなっている。ミッションメモリーをトーチライト『ファイズポインター』にセットした彼女はそのノイズに向かって足を突き出す。

 

【Exceed charge】

 

 エンターキーを押すと、赤い光線が円錐となって巨大なノイズの動きを拘束する。腰を落とし、ゆっくりとした挙動から駆け出すと、ファイズの身体はその赤き槍の穂先の中へとその身を躍らせる。

 

「はァァァァァァァァッッッ‼」

 

 

 

 CRIMSON φ SMASH 

 

 

 

 ノイズは無双の一撃を投擲され、φのマークを抱いて灰となる。蒼炎が巻き上がる中、彼女は手についた真っ白な灰を払いのけた。溜息混じりに立ち上がると周囲のノイズの様子を確認し、…――――そして二人がこの場から逃げ切れたことに安堵する。

 

 

 その時、再び彼女の本能がノイズの出現を知らせてきた。

 

「…――――、あいつ等…ッ‼」

 

 とっておきの奥の手を使わざるを得ないと判断し、ファイズは左手についたリストウォッチへと手を伸ばす。銀と赤のミッションメモリーをファイズフォンへと入れ替えようとした、その瞬間だった。

 

 

 カッ、と眩い光が工場地帯の一点から立ち上る。そして、二年前を最後に聞くことが叶わなくなった、命を燃やすあの歌が聞こえてきた。

 

 

 

「あれはッ!…――――間違いない。あたし(・・・)の……ッ‼」

 

 

 

 彼女と共に戦ってきた激槍、ガングニールの歌だった。

 

 

 

『ガングニールだとぉ!?』

 

 そんな昔懐かしい上司の驚く声を幻聴し、ファイズは変身を解除する。

 

「………――――そうか。そうなのか、『ガングニール』…」

 

 

 ファイズは………――――。否。

 

 ()()()は、その場から静かに立ち去った。物悲しく歩く彼女の影は、灰色の狼を思わせるものになっていた…――――。

 

 

 

 

 

XXX 913 XXX 913 XXX 913 XXX 913

 

 

 

 ノイズとの戦いを続け、早数ヶ月。風鳴翼や雪音クリスの装者との絆が深まり、二課は響のもう一つの居場所となっていた。だが、それを良く思わない者が只一人…――――。

 

「響…良くないよ、こういうのは?」

「な、何かな未来…?」

 

 小日向未来は問いかける。精神の奥で叫ぶ何者かが、未来の心の黒い部分を芽生えさせようとしていることも気付かずに。

 

「貴女はどうして戦うの?ボロボロになって、誰からも知られずに、一人で全部抱え込むことがそんなに大事?」

「はは……変かな?」

 

 正常な未来であるならば、響の思いをくみ取り、陽だまりで彼女を受け入れてくれるだろう。だが今は違う。心を蝕む灰色の記号が、強い本能の衝動で彼女の善性を塗り潰し始めていた。

 

「うん、おかしいよそんなの」

「…え?」

「響に涙なんて似合わないよ………響が苦しむ必要なんてない」

 

 光の灯らない真っ黒な目で両手を広げる。その堂々たる挙動が逆に恐ろしい。

 

「戦うなんて間違ってる。戦わないことが温かい世界を約束してくれる……。一緒に来てくれるよね、響?」

 

 小日向未来の頭の中に幼少期の出来事が思い浮かぶ。

 

 要領が悪く、いつもいじめられていた未来()。でも、いつも響が隣にいてくれた。男の子たちにいじめられてても、毎回響が助けてくれた。

 

 

 きっとひびきがたすけてくれる。いつものように、わたしのてをにぎって、たすけてくれる……。

 

 

 そんな事思っていたっけ。でも響、もう守られるだけの私じゃないよ。ないんだよ?だからこの手を繋ごう?絶対に離したりしないから……。

 

 

「……、ごめん未来。今の未来、何だかおかしいよ。どうしたの?」

 

 …………え。

 

「…、どうして?響、どうしてわかってくれないの?私の全てを預けられるの、響だけなのに?嫌だ、響行かないで、遠くに行っちゃいやだ……私だってこんなに守りたいのにッ!」

「未来?未来…――――ッ!?」

 

 彼女の手には黄色のラインが入った携帯電話が握られていた。そのライダーズギアは知っていた。変身すれば死に至る『呪いのベルト』…――――カイザギア。

 

【9・1・3】

 

「誰にも響を傷つけさせない。絶対に譲らない。もう離さない……私はこんなに好きなんだよ?ねぇ響、大好きなんだよ?」

「…、…未来。どうして…――――」

 

【Standing by】

 

 斜めにセットされたホルダーにカイザフォンを入れ込むと、虚ろな瞳に笑顔を浮かべてその言葉を口に出す。

 

「……変身」

 

【Complete】

 

 ダブルストリームが小日向未来の身体を駆け巡る。奇しくも響の纏うガングニールと同じ黄色の光が収まると、そこには紫の瞳を持つ仮面ライダー…――――『カイザ』が立っていた。

 

「何でだよ……何であいつがカイザのベルトなんかを使ってるんだよッ!!?」

 

「小日向ッ!落ち着けッ‼」

 

 既に仲間たちの声も届いていない。愛しい/狂おしい響のことで頭がいっぱいとなったカイザはつらつらと誰ともなく語り出す。

 

「響、響は子供のころから私をずっと助けてくれた。ずっと私を愛してくれた。だから今度は私が響を助けてあげる……」

 

【Ready】

 

 未来はカイザブレイガンにミッションメモリーをセットし、ソルグラス製のブレードを伸ばすと…――――ゆっくりと銃口を響に向ける。

 

「ありがとう。だけど私…戦うよッ‼」

 

 

【Balwisyall Nescell gungnir tron……】

 

 

 ここに、史上稀に見るトンデモな泥沼喧嘩が始まろうとしていた…――――。

 

 

(誰が…誰が未来の心に好き勝手したァァァッッッ‼)

(どうしてわかってくれないのひびき?ひびきわかってよひびきあなたのためなのにひびきどうしてひびきあいしてるのにひびきなかないでひびきわたしがまもるからひびきこんどはわたしがひびきまもるからひびきいかないでひびきここにいてひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびきひびき)

 

 

「はァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ‼」

「ぜやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ‼」

 

 

 

 

 我流 撃槍烈破 

 

 GOLD X SMASH 

 

 

 

 

XXX 913 XXX 913 XXX 913 XXX 913

 

 

 

「……、と以上が暴走中の未来くんの言動なのだが…」

 

「いいいぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!?」

 

―私は誰なんだ?―

 

 と未来は思った。これはわたしじゃない。こんなわたしがわたしであるはずがない。

 

―これはわたしじゃない……これはわたしじゃないぃぃぃッ‼―

 

 

 羞恥で顔も上げられない。いたたまれなくなったのか、弦十郎司令は顔を合わさないでくれていた。

 未来は分かっていた。響に対して言ったことは真実などでは無いが、決して嘘とも言い切れないことを。今すぐ枕に頭を押し付けて悶えたい衝動に駆られる。直接響に真っ黒な心の内をさらけ出してしまった光景が、何度も走馬灯状態で脳内を流れている。

 

 もう二度と響の顔が見れない。不意に堰を切った様に目から水滴が零れ落ちる…――――涙を抑えるために両手で覆う。

 その時響は未来のその手をしっかり握り、もう離さないと言うかのように繋ぎとめる。

 

 

「安心して未来!私はどんな未来でも受け入れるからッ!」

 

「ッ、響………?」

 

 真剣なまなざしで未来を見つめる響。その瞳には、噓偽りなど陰りなく…暖かな光で満ちていた。

 

「本当に?あんな事したのに、私を許すの……?」

 

「本当だよッ!絶対離さないッ!こんな事もあんな事も、そんな事もされたって許すからッ‼」

 

「響……ッ、響ぃッッ‼」

 

「未来ぅぅッッ‼」

 

 

 

 

 

「…――――いやそういう事は家でやれッッッ‼」

 

 百合の花が見えたクリスが間髪入れずにクワッと叫んだ。

 

 

 

 

ΔΔΔ 333 ΔΔΔ 333 ΔΔΔ 333

 

 

 

 

 雨の降る夜のことだった。武装組織『フィーネ』の居城の前に、巨大な体と腕を持つ双角の怪物が現れた。

 

「お前、一体何者だッ!」

 

 黒いガングニールを纏い灰色の怪物の前に降り立つマリア・カデンツァヴナ・イヴ。底知れない威圧感を放つ怪物に勇ましく無双の一振りを突きつける。

 

「あれも完全聖遺物…?」

 

「とにかくザンバラにすれば問題ないのデスッ!」

 

 龍の特徴を色濃く表出させた怪人に向かって、それぞれの得物を振り上げる暁切歌と月読調。だが、鎌とチャクラムは化け物の身体に容易く弾き返される。

 

 化け物が咆哮する。厳つい外見とは裏腹な、優しい女性の声で唄うように吠える。その途端、夜空から降ってくる雨粒が一滴残らず停止した。

 

「…ッッ!?」

 

 止まった水滴の中を灰色の使徒は眩い光を放ちながら歩いてくる。茶髪の女性に身体を変えながら三人の目の前で立ち止まる。

 

 はッとするマリア。彼女の脳裏に映るのは子供の頃の記憶。九死に一生を得た業火に見舞われる研究施設。瓦礫の下で手を伸ばしても届かなかった、たった一人の家族の骸……。

 

 

 

 

『この場で死ぬなんて言わないで。生きて…。姉さんなら沢山の人を救えると思うから……』

 

『セレナ!?セレナァァァァァァァァァッッッ‼』

 

 

 

 

 

 ナスターシャ教授や暁切歌、月読調さえも目を疑った。そこに立っていたのは、マリア・カデンツァヴナ・イヴの妹……『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』本人だった。

 

「どうして…セレナ…?貴女が……?だって貴女は………」

 

「死んだはず。うん、それであっているよ、姉さん」

 

 感情を込めず、ただ淡々と事実を告げるセレナ。混乱するマリアを他所に、同じレセプターチルドレンであったザババのシンフォギア装者たちへと視線を向ける。

 

「お願い暁さん、月読さん。そこをどいて」

 

「ッ、それはできない…これは私たちが望む世界を創るのに必要なもの」

 

「そうデスッ!マリアはセレナとの約束の為にフィーネとしての道を選んだのデス‼虫が良いのデースッ‼」

 

「…私も皆の力になりたい。世界の私たちみたいな身寄りのない子供たちを守りたい。……でもマリア姉さん、あの怪物(ネフィリム)でなにができるの?」

 

「ッ!」

 

 心を揺り動かされるマリア。彼女も心のどこかで分かっていたのだろう、自分たちがしていたことは、やろうとしている事は、本当に正義を貫けるのだろうかと。

 そこに男の声がする。雨の中、歪な生物を引き連れやってくる白衣の研究者……ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。

 

「見透かしたふうな口を利かないでくださいよ。貴女が『オルフェノク』の力を手に入れた程度で、このドクターウェルの計画は揺るがないッ!」

 

 腐っても鯛、性格がどうあれ彼は天才科学者。今のセレナの状態を冷静に分析し、古代の文献にあったオルフェノクの特徴と合致することを聡明な頭脳で瞬時に弾き出したようだった。それ故彼はオルフェノクの強さも、脅威も理解し(知っ)ている。だがそれでも、人類の進化種に到達したセレナを目の前にしても、彼の余裕な態度は崩れない。

 

「今の貴女など、英雄に倒される無銘の怪物が関の山でしょう。今更何ができるというんです、死にぞこないが?」

 

 

 

 

「……やってみるよ。私に…何ができるかわからないけど」

 

 セレナは右手に持った無線機『デルタフォン』にキーコードを音声入力した。

 

「変身」

 

【Standing by】

 

 そして、ツールをベルトの横についたビデオカメラ『デルタムーバー』に合体させる。

 

【Complete】

 

 途端にトランスジェネレーター『デルタドライバー』から流動経路『ブライトストリーム』が身体中を這いまわり巻き付いていく。

 

 

「ネフィリム………仇を討たせてもらう。私自身の仇をね」

 

 

 青白い光が収まると、雨の中、白と黒の身体にオレンジ色の瞳を持つ仮面ライダーが出現した。かのライダーの名は、『デルタ』。

 

 彼女はその力を振りかざし、目の前の完全聖遺物のバケモノに向かって戦いを挑む。

 

 

――結局怖いのはノイズやシンフォギアみたいな力じゃなくて、力に溺れる人間の弱さなんじゃないかな…――

 

 

「Checkッ!」

 

【Exceed charge】

 

 

――だけど、人間には人間にしか持ちえないものもある。それが、きっと……――

 

 

 

 愛だ。

 

 

「やァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ‼」

 

 

 

 

 LUCIFER’S Δ HANMMER 

 

 

 

 

 

 

φφφ 555 XXX 913 ΔΔΔ 333 φφφ 555 XXX 913 ΔΔΔ 333 

 

 

 

 

 

Open your eye's for final φ's!

 

 

「マリア姉さんが待っているの。だから私は家に帰らなきゃいけないのよ……!」

 

――お前に還る場所など無い、ドラゴンオルフェノク(セレナ・カデンツァヴナ・イヴ)。その手では他人と手を握ることはできず、愛するものを灰に還すノイズと同じ怪物だ。受け入れる家族など、いる訳がない。

 

「奏さん!何が正しいのか…その答えを、私に教えてください……ッ!」

 

――お前が正しさを知る時など無い。オルフェノクの記号に心を蝕まれ、ただの依存で立花響を貶めた。自己中心的で矮小な行動しか起こせない醜悪な女が、お前だ。

 

 

「……うるせぇよ、王サマよぉ」

 

 

――何?

 

 

「見つけようぜ、セレナ。未来。あたしたちの答えを……あたしたちの力でッッ!」

 

「「…ッ!」」

 

【5・5・5】【9・1・3】

 

【【Standing by】】

 

「「「変身ッ‼」」」

 

【Standing by】

 

【【Complete】】

【Awakening】

 

 

――愚かな。貴様らオルフェノクは私の恩恵が無ければ限りあるちっぽけな命だ。その悲劇を受け入れるというのか。

 

「ちっぽけ?だからどうしました……私たちが歩く道ですッ‼」

 

「それでも私たちは生きる事を諦めないッ‼人間として生きて、そのちっぽけなものを守るッ‼」

 

「悲劇?笑わせんなッ!ハッピーエンドに変えてやるよッ‼」




天羽奏/仮面ライダーファイズ
 元人気アーティストの19歳。ライブ事件の際、絶唱を行ったことが原因でオリジナルタイプのオルフェノクとして覚醒する。復活した時傍らに翼はいなかった上ウルフオルフェノクとしての外観になっていたため、人目を避けての生活を余儀なくされた。その経験から人を自分から遠ざけようとしたり、心に壁を作ったりと、ツンツンとした無愛想系女子に。戦い方もガングニールを手放したことで変化し、風鳴弦十郎指導の徒手空拳主体の体術を元に、ヤンキーチックな喧嘩殺法になっている。
 口調は相変わらずなので『性格も悪そう』といった印象を与えやすい。グレ響ならぬグレ奏。オルフェノクになった事で感覚が鋭敏化、猫舌となりしょっちゅうフーフーしてる。

小日向未来/仮面ライダーカイザ
 流星保育園出身。とある出来事でオルフェノクの記号が体内にある為ライダーズギアを使用できる。響とは互いに固い絆で結ばれているが、どちらかのバランスが崩れれば精神的に危うくなる。こんなふうに→3913<響は私のお母さんになってくれるかもしれない友達なんだ!
 木場と草加と澤田を足して三で割った感じ。普段は大人しく優しいが、ヤンデレを拗らせると『異形の花々』な感じになるかもしれない。…なりそう…なるだろう…つーか絶対なる。ビッキーの説得が間に合って本当に良かった……。

セレナ・カデンツァヴナ・イヴ/仮面ライダーデルタ
 19歳のウクライナ人。アルビノ・ネフィリムの暴走事故を絶唱によって抑え込んだものの、その後のバックファイアと火災によって死亡する。しかしその後にドラゴンオルフェノクとして覚醒。性格が温厚なのは変わりがないうえ、姉(特にフィーネ時)に比べてメンタルも強く元仲間と敵対しても芯と意思がブレないほどの強靭さ。因みに火のイメージが強いトラウマになり猫舌。
 オルフェノク態は北崎や木村沙耶(小説ver,)と同じだが性格は三原、TV版の木村沙耶に近い。寧ろそうじゃないと困る。


立花響/シンフォギア装者・ガングニール
 『戦姫絶唱シンフォギア』の主人公。小日向未来の友達以上夫婦未満(性別的な意味で)な少女。未来とは流星保育園で男子たちに虐められていた時庇ったのが馴れ初め。ファイズにおける園田真理ポジ。9月13日は真理と響の誕生(カイザの)日。
 そこ。『と言うかある意味ご本人様じゃね?』とは言ってはいけない。


アークオルフェノク
 『ルル・アメル』からはジウスドラ、アトラム・ハーシス、ウトナピシュテムなどと呼ばれた灰色のカストディアン。アヌンナキと同じ様に異星人らしいが詳細は不明。アヌンナキのシェム・ハやエンキも彼の出自を理解しきれていない。生ける聖遺骸=オルフェノクの記号を人類にばらまいた張本人。この為にシンフォギア世界のオルフェノクはノイズの炭化を防ぎ物理攻撃が通用する。……ただし大半のオルフェノクはその特徴上、聖遺物を分解する神獣鏡がフォトンブラッドレベルに致命傷だったりする。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。