クロスオーバー世界の破壊者 NEO-DECADE   作:サルミアッキ

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 ツカサたちの旅は、時系列的にはバラバラに書かせていただきます。そちらの方が書きやすそうなので…………と言う訳でフォーゼ篇の始まりです。


『インフィニット・メタモルフォーゼ』篇
第1話 I・S・学・園


宇宙――

 

 

無限のコズミックエナジーを秘めた、神秘の世界。

 

 

若者達は、アストロスイッチでその扉を開き、未来を創る。

 

 

Space on your hand!

 

 

その手で、無限の成層圏(うちゅう)をつかめ!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 蝶が飛んでいる。青い筋が羽に入った揚羽蝶だ。秋晴れの空には美しい太陽が昇り、新たな旅路を祝福しているようだった。

 

「今回の写真館の位置は………ふん、住宅地か」

 

 荒廃した写真館は近代的な外観となり、とっつきづらいあの外見とは打って変わっている。毎度毎度のことながら、世界によってコロコロ変わるその在り様に首をひねってしまいそうだ。

 

「でもやっぱり小奇麗の外見がいいな。お化け屋敷のままなんてゴメン被る」

「むぅ……私の秘密基地なんですからね。あの外見だったから人が寄り付かなくて良かったのに……」

 

 愛着でもあったのか、不満げな声を上げたのはナツミ。不機嫌です、と腰に手を当てて頬を膨らませるが、その頬をプスッと押されて空気が漏れる。

 

「ぷひゅっ!何するんですか!」

「ところでナツミカン。お前その格好見てみろよ」

「へ……あ!」

 

 いつの間にか、私服が制服に変わっていた。それも襟の黒色と差し色の赤色以外は白と言う、どことなく近未来風の学生服だった。ミスマッチな事に、足元には『友情!』と書かれた昭和な雰囲気の黒カバンが落ちている。

 

「なんですこれー?…えぇと、生徒手帳生徒手帳…」

「……成程。大体分かった」

「えっ、はやっ!」

 

 いつも通り、その世界に則した役割を担わされたツカサ。今回彼の格好はジャージ姿で片手に工具。首のネームプレートをちらりと見た彼は、倉庫からマシンディケイダーを引っ張り出すと、ひらりと優雅に跨った。

 

「何処に行くかもう分かったんですか?……記憶喪失なのに何でこの世界の事を知っているんでしょう…」

「何故なら、それが俺だからな。ほら」

 

 思い切りよくナツミにヘルメットを投げる。慌てて受け取る彼女をしり目に、ツカサはエンジンを温める。

 

「いい事教えてやろう。それはとあるハイテクスポーツが行われる女子高等学校の制服だ……どうやら今回の世界はお前も厄介に巻き込まれるみたいだな」

「うっ……また前みたいな事は勘弁です……」

 

 今まで数々の世界を巡ってきた彼女……その旅の珍道中は言うに能わず。物語的に言えば、彼女のポジションは騒動の中心(ツカサ)の傍らというのが定位置と決まっている。数十の世界を巡った今、彼女は巻き込まれ系美少女の称号をゲット。骨折の応急処置ぐらいならサラッとできる『よくよく考えたら地味に凄い』系ヒロインになっていた。

 

「ほら、見えてきたぞ。あれがこの世界の舞台…………――――――“IS学園”だ」

 

 バイクが海岸道路に留まる。ナツミとツカサが見つめる先に、白い近代的な浮き島が朝日を浴びて輝いていた……。

 

 

「…………この世界にはどんなライダーがいるんでしょうね…」

「さぁ?ただ一つ言えるのは、俺に学園モノは似合わねぇ、って言う事だ」

「あー…俺様気質ですもんねー……」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 IS……『インフィニット・ストラトス』。とある天才科学者が製作した宇宙開発用マルチフォームスーツ。その力は現行兵器を容易く凌駕し、異世界からエネルギーを供給するなどシンギュラリティ甚だしい超科学の産物である。その強力な性質から、この世界の2022年現在では宇宙進出の使用は中止され、新たなスポーツ競技の一種として、若しくは国家の代行権威として絶対的な存在感を放つ『パンドラの箱』。

 そんなデバイスにも唯一の欠点が存在する。

 

 それは『女にしか使えない』と言う点。それ故、世界はこの機械が登場してから女尊男卑の風潮が色濃く浸透し始めた……のだが。今回の作品のテーマはそういうこっちゃないのでそっぽを向いて通りすがる(スルーする)

 

 ――――――だが、その常識は数ヶ月前に瓦解した。ISを使える男が発見されたのだ。……それも『二人(・・)』も。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「おう皆。おはよう」

「む、一夏か。お互い性が出るな」

「一夏さん!」

「おはよー一夏」

「今日は嫁も一緒に登校か。愁傷な心がけだな」

「「「……ラウラ?」」さん?」

 

 浮き島に立つ学生寮の中からどやどや女子生徒が解き放たれる中、ひと際目立つ集団がいた。

 金髪や銀髪、日本美人が揃った中で、頭一つ分背の高い人物……彼がこの世界における主人公。名を『織斑一夏』。整った顔立ちと他人の為に戦える心の強さ、努力を続けられる直向きさを持つ少年である。今まで対立関係になったイギリス候補生(セシリア)ドイツ候補生(ラウラ)と戦ったり、幼馴染たち(箒や鈴)との行き違いでトラブルになったり、フランス(シャルロット)のIS社のグドグドなお家騒動に奔走していたりと、ここ最近16歳にしては濃すぎる毎日を送っている。この環境に慣れてきたとは言え、普通だったら心が参ってしまうのだろう。

 だが、彼はどんな困難をも受け入れる。そして飄々としながら誰かの為に行動する……正しくヒーローな少年だ。

 

「……」

「ん?どうした一夏」

 

 怪訝そうな顔の彼に、篠ノ之箒―――ファースト幼馴染の愛称を持つ彼女が心の内を聞く。

 

「いや、何か最近鈴の付き合いが悪い気がしてな……今日もいないなぁ」

「あら、そうなのですか?」

「へぇー……?」

「ほう?」

(((……しめたッ!この隙に一歩差をつけてみせるッ‼)))

 

 ぶるっ、と悪寒がした。一夏は困った様に首をかしげる。彼の唯一の欠点である『色恋沙汰の欠如』によって、傍にいるクラスメイトたちの好意を認知できないのだ。思わず身をすくめて『何だ、風邪かな?』と思う一夏だが、一人の人物の出現でその考えが彼方へ去った。

 

 

「おーーい、一夏ぁ!」

「あ…ゲンタロウ(・・・・・)!」

「聞いたか?今日転校生が来るんだってよ!」

「え、マジで?修学旅行前のこの時期に?」

 

 ……本来の世界ならばいる筈の無いもう一人のIS学園生徒。名を『卯月ゲンタロウ』と言う。彼は明朗快活な声で身振り手振りを交えてはしゃぎまわっていた。

 

「理由なんてどーでもいいじゃねーか!また新しいダチができるんだぜ!楽しみだぜ、な一夏!」

 

 リーゼントな髪形と短ランファッションで当初は恐れられていた彼も、人柄の良さやフレンドリーな内面であっという間に生徒や先生たちに受け入れられ、学園の気の置けない友達ポジションに収まった。まぁそうなるだろう、と納得していたのは一夏と箒。

 

「お、おぅ…とりあえず落ち着け!箒、助けてくれ!」

「はぁ……おいゲンタロウ。一夏が困っているだろう」

 

 幼馴染(・・・)の3人がじゃれ合っている中、外国人の生徒達はいつものやり取りを見て談笑していた。

 

「ゲンタロウさん、相変わらずですわね……」

「はは、うん。ボクらが来たときも『俺はこの学園全員と友達になる男だ!』って自己紹介してたしね」

「悩みに捕らわれていたとはいえ、私が殴ってしまったのに『良いパンチじゃねーか!スゲーな!』と言ったしな。嫁には及ばんが……まぁ良い男だ」

 

 この日常に、世界の破壊者がやってくるのはもう間もなく――――。ゲンタロウのカバンからはみ出たデバイスが、小さく輝きを放っていた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 人気のない通路に、小柄な体躯の少女がいた。壁に背を預け、懐から『蒼いスイッチ』を取り出しボタンをスライド、何処かへ通信を開始する。

 

「M-BUS。IS学園内にゾディアーツです。あたしに変身認証を」

『安心しろ。既にオートモードにしている。目撃を最小限に、迅速に排除してもらいたい。そして重ねて言うが、君がメテオであると知られてはならない』

 

 通信機から聞こえたのは男の声。冷静に指示を聞くと、彼女は中央に天球儀を納めた様なベルトを巻いた。

 

「了解。……さぁ、行くわよ」

 

 スイッチを装填した後、レバーをスライドさせると、彼女の変身が開始される。

 

【METEOR Ready?】

 

「……変身」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 その日の朝、とある生徒は見た。IS学園上空を飛び去って行く『蒼い流星』があった事を。

 




 導入部でツカサとナツミペアの出番が少なめでした…………。次回からちゃんとしたいですね。次回もお楽しみに!
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