クロスオーバー世界の破壊者 NEO-DECADE   作:サルミアッキ

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 オリジナルゾディアーツ、登場です!まぁ……この流れで言ったら他の幹部のスイッチャーがバレるのも時間の問題か……。


第3話 酢・豚・流・星

 ナツミの目の前で変身したゲンタロウ……否、フォーゼが戦闘を開始する。

 

「……そうか。あいつがこの世界の仮面ライダーか」

「……なんかサラッと出て来ましたね?食堂は?」

「見ての通りこの騒ぎで全ておじゃんだ」

 

 ツカサは首にかかったトイカメラのシャッターを下ろし、怪物とヒーローの戦いの一幕を写真に切り取る。上手く撮れたと満足げに笑ってる最中にも戦いの展開が変わっていく。

 

「先手必勝だコノヤロー!」

 

【ROCKET ON】

 

 荒っぽくヤンキーチックな挙動でスコーピオンを殴りつけ、反撃の隙を与えないフォーゼ。だが相手もさる者。ダメージを受けた様子もない。この勝負どちらが勝つのか……そう思った時だった。一夏の声でナツミは現実に戻される。

 

「ここはアイツに任せよう。こっちだナツミ!あ、調理師の人も早く!」

「……角谷ツカサだ、覚えておけ」

 

 IS学園の生徒達は小走りで、コック姿の用務員はゆったりとした歩調で食堂を飛び出した。ナツミにはどうにも専用機持ちの行動が場慣れし過ぎているように見えたのだが、それより先に知るべきことがある。

 

「(ツカサさん、あの怪物は一体?)」

「(あれはゾディアーツ。ゾディアーツスイッチでコズミックエナジーのチャネルを開き、そのエネルギーをマテリアライズしてニュークリーチャーになる。……まぁつまりは人間の強化形態(ミュータント)ってやつだ)」

「(……、横文字見づらいんですけど)」

 

 小声で会話をしていた、そんな時。

 

「……――――よォ、久しぶりだな有名人」

「っ、お前は……!」

 

 彼女らの目の前に迷彩服を着た金髪の女性が立っていた。

 

「……、一夏?誰だこの女は」

「ッ。文化祭の時学校を襲った連中だよ…!確か名前は、オータム……!」

 

 だからお前等、手を抓ったり脛蹴ったりしないで、お願いだから――その言葉はシリアスシーンなので引っ込めた。一夏はちゃんと空気は読める男なのだ。

 

「覚えてくれてるなんて嬉しいねぇ?……借りを返しに来たぜガキィ!」

 

 その瞬間星雲が溢れ出し、彼女の身体を覆い尽くす。星座が体表に発生しその姿を形作るが、……そのゾディアーツは88の星座の内のどれにも当てはまっていなかった。

 

『ぅあぁーあッと。さぁて……アラネア・ゾディアーツ参上ってなぁ!』

 

 頭や胸には蜘蛛が絡みついた様な意匠がある、真紅の怪物。背中や足などから生えた細い蜘蛛の脚が何かを求める様に気持ち悪くのたくっている。ブラッド星の王の面影を思い出したツカサは皮肉気に口を開いた。

 

「成程。ジョン・ヒルの星座にある蜘蛛座のゾディアーツか」

『その通りだ、コイツの毒は死ぬほどキツイぜぇ……?』

 

 身体を前後に揺らしながらゆっくりと嬲る様に彼らに近づいてくる。哄笑が口からだらしなく漏れ、かぎ爪を小刻みに動かす様子にIS乗り達は嫌悪感を隠せない。

 

「クッ…(フォーゼに比べ、ISは対ゾディアーツ戦で相性が悪い。だが、ないよりは……)…ん?」

 

 コック帽が投げ捨てられ白い服が飛んだ。一体なんだと一夏たちが振り返ってみれば、……彼がいた。黒いコートにマゼンタ色のシャツ姿になったツカサが片手にナニカを持って前に出る。

 

「……仕方がない。俺がお前の相手をしてやる」

『ぁん?ナメた口利いてんじゃ……――――、ッお前ソレ…!』

 

 バンドが展開され腰に固定されるマゼンタのバックル。ハンドル部分をスライドさせると挿入口が露になり、ツカサの雰囲気も戦士に変わる。

 

(ドライバー?いやでも……、フォーゼのようにスイッチが使えるタイプじゃない。あれは一体?)

 

 カードを右手に持った彼はスナップを利かせてベルトに入れる。そして続け様にたった一言……。

 

【KAMEN RIDE】

 

「変身」

 

 フォーゼと同じでありながら、全く別の変化が生じた。

 

【――――DECADE!】

 

 幻影が重なりプレートが弾ける。灰色のフィルムが現像されるように体がマゼンタに色付いていく。腕や手で顔を覆った彼女らが顔を上げた時……仮面の戦士が立っていた。両手を合わせ何かを払う様な動作をしただけなのに、『凄み』さえ伝える覇気を持つ生粋の戦士だった。

 

「下がっていろ。ついでにナツミを頼む」

「は、はい……――――あとその姿は、一体?」

「詳しい話はあとだ。一先ずこの場は任せろ」

 

 ツカサが変身したディケイドはライドブッカーをシードモードに変更、切っ先をゆっくりアラネア・ゾディアーツへと向けた。

 

『別の仮面ライダーか、口直しにゃ丁度良いなぁオイ!楽しもうぜぇ?』

「生憎だが、お前じゃ相手にならねぇよ」

『あ゛?……、…ンだとこのピンク野郎ォ!』

「ピンクじゃねぇ……、マゼンタだ!」

 

 互いに攻撃を加えながら口撃も怠らない二人。ディケイドは大きく振りかぶった一撃を紙一重で躱し、ベルトにもう一枚のカードを装填する。

 

【ATTACK RIDE…】

 

『ヌアラァ!!!』

「フンゥッ‼」

 

【SLASH!】

 

 音声と共に切っ先が分裂、数倍のダメージとなってオータムを襲う。

 

『ガッ!?ぐぅぅ……』

『ッ、アラネア!』

『あだだ……ワリィ、スコーピオン…』

 

 数メートル吹き飛ばされ、戦闘中だったフォーゼの下へすっ飛んだアラネア・ゾディアーツ。ゴロゴロ転がったせいでスコーピオン・ゾディアーツの体勢を崩す結果となった。

 

「お膳立てはしてやったぞ、フォーゼ」

「お、サンキュー!……って誰だお前!?まいっか!」

 

 突然現れたライダーに驚きつつも、スイッチを手慣れた様子で押していく。

 

「行っくぜ……――――」

 

【LIMIT・BREAK…】

 

 ロケットに変化した右手とドリルに変化した左足が起動、フォーゼは宙へと飛び立った。

 

『『‼』』

「ライダーロケットドリルキッーーーーッック!!!」

 

 決まった。

 

 ……――――と誰もが思った。

 

 

 

『……――――そこまでだ』

「ぐぉッ!?」

 

 フォーゼの全力の一撃が桃色の羽によって防がれる。怪人たちが放つには相応しくない清い……シャリン、と涼やかで聖なる音が鳴った。

 

『あまり暴れまわってもらっては困る、見知らぬライダー……』

 

 彼女は一体いつからそこにいたのか。渦巻くような桃色の髪の乙女が立っている。仮面の奥の瞳は黒曜石の様に真っ黒で、その真意を見通せない。

 

「来やがったな手羽野郎……!」

「その星の配置……――――『ヴァルゴ・ゾディアーツ』か。そいつらに比べて厄介そうだな?」

 

 フォーゼとディケイドが並び立ち第二ラウンドを始めようとファイティングポーズをとる。だが――――。

 

『……――――生憎と、まだその時ではない』

「ぬぉ?」

「ヤベェ‼おいアンタも早く――――‼」

 

 突然ディケイドの上空に孔が開いた。フォーゼはその光景を何度か見ていた為即座にその場から離れたが、ツカサは防御をとる暇もなく……。

 

「ツカサさぁんッ‼」

 

 

 ナツミの悲鳴が聞こえたと思ったら、彼はIS学園の倉庫街へと転移していた。

 

「成程、奴が持つのはテレポート能力か。さてここから戻るには……――――、ッ!」

 

 言葉は続かなかった。即座に飛びのいたディケイドの前には、『真っ青な流星』が激突していたのだから。

 

『……――――』

 

 そして巻き起こった蒼炎の竜巻が鎮まると……――――この世界のもう一人のライダーがうずくまっていた。

 

「お前は……『仮面ライダーメテオ』か」

『あんたがディケイド……世界の破壊者ね』

 

 聞こえてきたのはエコーのかかった女の声。銀河を模した身体を起こし、流れ星の様な蒼い頭部がゆっくりと動く。ガジェットが装備された腕を握りしめ次元の戦士へと向き直ったメテオ。敵対心と警戒心が収まることなく剥き出しだった。

 

「だとしたら?」

 

 一方のディケイドは銃に変化させたライドブッカーで肩を叩きながら、ついでとばかりに質問を返す。だが既にどうなるかなどは予想がついていた。

 

『……――――あんたの定めは、あたしが決めるッ!』

「そうかい、人気者はつらいぜ……、ハァ‼」

 

 戦いの火ぶたが切って落とされた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 一方のIS学園の食堂付近。ヴァルゴ・ゾディアーツとナツミたちの緊張状態は続いていた。この場にいる誰もが分かっていた。……――――目の前にいるこの女は誰より強いのだと。そして自分達が無事に帰れる保証など無いという事を。専用機持ちたちは既にISの部分展開を行っている。

 

「ツカサさんをどこにやったんですか!」

『さぁな……。だがお前の返答次第でもある。こちらに来てくれればディケイドの身柄は保証しよう』

 

 だがヴァルゴ・ゾディアーツはどこ吹く風。いけしゃあしゃあとナツミの身元を要求してきた。これにフォーゼたちは臍を嚙む。はた目から少し見ただけだが、ナツミと『謎のライダー』に変身したツカサは切っても切れない絆で繋がれていると肌で感じていたのだから。

 このままでは……――――守る事ができない。目の前で連れ去られそうになっている女の子を、ダチを、クラスメイトを……――――!!!

 

 ……――――だが。

 

「……お断りします」

『…なに?』

 

 一旦深呼吸をして乙女座の怪物の恐喝を切って捨てた。瞳に希望を湛えながら。

 

「ツカサさんはそんなに弱い人じゃありません…あの人はきっと戻ってきます!」

『…………』

 

 その瞬間、暴風と桃色の羽が吹きすさぶ。発射された崩壊惑星はナツミの横を通り過ぎ……――――学校の廊下に大穴を開けた。

 

「きゃ……!?」

『これは警告だ。次は腕をネビュラホールで抉る……――――ッ!』

 

 次の言葉と行動は続かなかった。……――――乙女座の怪人の前には真っ白な腕のISが立っていたのだから。

 

「大丈夫か」

「織斑さん!……はい!」

「良し……コイツの相手は俺がする!その間に箒たちは部室に行け!」

 

 わかったと頷くと同時に専用機持ちたちは警戒を怠らずナツミの誘導を開始した。だがそれを見逃す怪人たちではない。

 

『行かせると思うか?』

 

 ヴァルゴは杖『ロディア』を薙刀の様に振るい逃亡する女たちに襲い掛かる。

 

「行かせると思うか?」

 

 一夏は剣『雪片弐型』を真一文字に振るいヴァルゴ・ゾディアーツの前に立つ。

 

『……良いのか?あの女を助けてしまって』

「……何がだよ?」

 

 クロークを脱ぎ捨てたヴァルゴ・ゾディアーツ。妖艶な外見が露になり天使の如き翼が背後に広がった。

 

『やつの傍にいた男が変身したライダーは世界すら崩壊させる力を持つ……私達にとってもお前たちにとってもヤツは厄介な種にしかならん』

 

 その言葉を聞いても一夏は鼻で笑うだけだった。

 

「お前こそ分かってねぇな……ナツミの目を見なかったのか」

『……――――?』

「あいつはあのライダーとの絆を信じてる。あんな目をする人間が男を見る目がないなんてこと、無いと思うぜ?……――――それにな」

 

 雪片を握るアームに力が入る。ヴァルゴ・ゾディアーツが彼の変化に身動いた。……――――かッと見開かれた彼の瞳は太陽の様に輝く金色だった。

 

「女があんな啖呵を切って、戻ってこねぇ男なんていねぇんだよ!こっちも行くぞゲンタロウ‼」

「おう!こっからだ‼フォーゼと白式、もっかいタイマン張らせてもらうぜ‼」

 

 弐つの白き戦士たちが邪悪な宇宙の使徒たちに勇猛果敢に立ち向かっていった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ふっ……!中々やるじゃないか」

『どうしたのかしら、こんなもの?』

 

 一方こちらはディケイドとメテオ。目にも留まらぬ早業の応酬が何十回と続いている。だが肉弾戦においてはメテオの方に分があったようだ。距離を先にとったのは世界の破壊者の方だった。

 

『なら終わりよ。さっさと終わらせて“アクエリアス”探しに戻らせてもらうわ』

 

 やれやれと言った具合でベルトを操作し、コズミックエナジーを全身に循環……――――独特な拳法の構えをとるメテオ。

 

【METEOR LIMIT・BREAK!】

 

 だがその時だった。

 

「……――――だが若いな。まだまだ俺には、及ばない」

『…ッ(雰囲気が変わった)!』

 

 右手に持った黄金のカードをベルトにセットしたディケイド。左右に開いたハンドルをスライドさせて前方にカードのエネルギー壁を出現させた。

 

【FINAL ATTACK RIDE―――― D-D-D DECADE!】

 

 こうなった両者は止まらない。両者は絶対に止まれない。脚に力が満たされていくのが全く同時。ならば激突するにも全く同時……――――!

 

『ッく!ホォォォ……――――ワタァァァァァァァァァッッッ!!!』

「ハァァ――――――――ッッッ‼」

 

 

 

 ……――――その直後。倉庫街にてIS学園を揺るがす大爆発が巻き起こった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「うわぁ何だぁ!?」

「爆発……ってオイ!?」

 

 地響きと共にスッ転んだフォーゼ。ゴチンと酷い音が後頭部からなっていた。一夏はそれを見て“うわぁ……痛そうだなぁ”、と思ってしまう。一方のホロスコープスも戦闘行動を停止させた。

 

『スコーピオン、アラネア。撤退だ』

『……分かった』

『ちっ……、あーぐそッ!』

 

 ネビュラゲートを開いたヴァルゴ・ゾディアーツの指示に従い、渋々その黒陽の中へと足を踏み入れる怪人たち。ヴァルゴもちらりと彼らを一瞥しIS学園に別れを告げる。

 

「あっ、待て‼」

『覚えておくと良いフォーゼ、そして白式。敵は我々だけではない。身内と戦う事になった時、お前達は仮面の下でどんな顔をするのだろうな……』

 

「……何だって?どういう意味だ……」

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 倉庫街は最早見る影もない。数件の大型倉庫は余波で一部が崩れ、濛々と巻き起こる煙の中にあった。そんな瓦礫の中でむくりと起き上がる影がある。

 

『……グッ…。あいつは……』

 

 甲高い声で不満を上げながら瓦礫をのける仮面ライダー。メテオの青と黒のボディが汚い煤で濁っていた。

 

『逃げた……のかしら。しかしメテオにここまでダメージを与えるなんて……』

 

 スイッチをメテオドライバーから外すとその変身者の姿が現れる。身長は急激に小さくなり、ツンデレの代名詞ともいえる髪形のツインテール。八重歯が歪んだ口元から覗き、“私不機嫌です”という事を隠そうともしない。

 

「……、ってあーっっっ!この分じゃ午後の授業は大遅刻じゃない!千冬さんに絶対怒られるゥゥ‼お……――――おのれディケイドォォォォォォ‼」

 

 叫び声をあげながら走り去っていく小柄なツインテ。焦っているにも拘らずとても綺麗なフォームで走り出すとあっという間に見えなくなった。……――――だからだろう、彼女の事を観察していた人間がいたことに気が付かなかった。

 

 

 

「……俺のせいだけでもないと思うんだがな。あのチンチクリン……調べておくか」

 

 木陰からのっそりと現れた角谷ツカサ。片手には教職員・用務員用のタブレット端末が収まっており、一人の生徒の名前と顔写真が映っていた。

 

 

 

【1年2組 中国代表候補生 凰鈴音】

 

 




オリジナル怪人辞典
アラネア・ゾディアーツ
 88星座ではなく『ジョン・ヒルの星座』にある蜘蛛座のゾディアーツ。スイッチャーは亡国機業のオータム。外見はカブトに出てきた蜘蛛系のワーム……若しくは仮面ライダーキルバスの様な印象を受ける。ホロスコープスに追従する程のスペックとオータムの戦闘能力が相まってフォーゼならば苦戦を強いられるほどの強敵。
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