クロスオーバー世界の破壊者 NEO-DECADE 作:サルミアッキ
「「た、ただいまー……」」
オートロックが解除され一夏とゲンタロウが部屋へと転がり込んでくる。“おかえり”だの“無事か嫁”だの労いの言葉が彼らにかけられて行く中、この部屋に連れ込まれたナツミの頭はパニック状態になっていた。目の前にいる水色髪の少女の言葉も耳から耳へと筒抜けだ。
「あ、ナツミさん初めまして…。私は仮面ライダー部所属の、更識簪。何か質問などありませんか…?」
「いや、まずここ………どこです?」
思考が停止するのも当然だろう。目に入るのは近未来的な壁についた窓の外。その純黒の風景にぽっかり浮いている巨大な蒼い惑星は紛れもなく……――――『地球』だった。
そもそも周りにある機材など学校の部室にあっていい範疇の物ではない。何だモノホンの宇宙服って、何だ月面掘削機能付き探査機って……――――そう思わずにはいられないナツミ。彼女をいたわる様に数体のお助けメカ……『フードロイド』が集まってくる。項垂れた頭の上にハンバーガー型のロボット『バガミール』が乗り、彼女の髪の毛を引っ張っていた。
「はは、流石に驚きますわよね……」
「安心して、ここはIS学園から繋がる月面基地“ラビットハッチ”」
「嫁とゲンタロウが中心となって活動する部活動、“仮面ライダー部”の部室なのだ」
「あとは私のお姉ちゃんとかが部員でいるんだけど……今は忙しいみたい」
打ち合わせた様に説明してくれたセシリア、シャルロット、ラウラ、そして簪。だがそれでも受け止めきれずに“いやいやいや”、と首を振る。若干現実逃避しかかっている意識を何とか現実に巻き戻す。
「……宇宙って、それに部活って?一体何をするって言うんです!?てかこんな部に顧問とかつくわけが!?」
「……私だ」
その時、二階から声がした。黒髪に黒いスーツが似合う麗人……と言うか、漢女。ナツミはもう驚いても驚ききれない。
「お、…織斑先生?」
「ま、茶道部と掛け持ちだがな」
“私も教官と同じ”と嬉しそうに割り込んでくるラウラを他所に、千冬はコーヒーを一口飲むとメンツを確認。溜息混じりに名前をつぶやく。
「さて……あと残るは凰だが…」
「すいません遅れましたァっ!」
タイミングを計ったかのようにその時部室に駆け込む影が一つ。息も絶え絶えなツインテールの元気娘のエントリーだった。
「来たか……」
「おぅ、遅かったな鈴」
「うっさいゲンタロウ!こっちもダッシュで来たんだからね!」
月面のラビットハッチにIS学園1年の専用機持ち達がそろい踏み。国家代表5人と男性操縦者2人が地球にいないと知れればとんでもないことになるだろうが、そこら辺は問題ないらしい。
「鈴!久しぶりだな。ここんところ連絡付かないが何してんだ?」
「ん?や、一夏。あ、はは……ちょっと、ね」
「どうしたんだ鈴、そんな上擦って?ってイタッ!」
言葉を濁し、言いづらそうにする鳳鈴音。その様子に違和感を持った一夏なのだった、が。突然後頭部にハゲしい痛みが。
「……みだりに女性のプライベートに踏み入るなよ一夏。全くお前にはそういう配慮が足りん……(くどくど)」
「千冬さんの言う通りだ。お前は昔っからだな……(ネチネチ)」
「なっ…何だってんだよぉぉ……!」
「あの、何か論点すり替わってるようですが…?」
目の前では問答無用とばかりに説教が開始される。その様子は部活動……と言うよりもカフェテリアでただ駄弁っているJK+大学生にしか見えなかった。脱線しかけている車両の方向転換を行うのが部外者のナツミってどういうことだ。
「ンンッ、ところでなんですけど…午後の授業はどうなったんです?」
ナツミの質問に一夏は渡りに船とわざとらしく“あぁそれね”と呟き、さっき小耳に挟んだ話を思い出した。
「急遽取りやめになったらしいぜ。ゾディアーツ騒ぎの上に倉庫街の爆発まであったからな……ISコアの盗難確認と予防で先生方はてんやわんやしてるみてーだよ」
「……ん?それならチッピー先生は出なくて良かったのか?」
「山田君に任せてきたからな、少しぐらいの時間はある」
言うや千冬はコップの中身を飲み干すと、突然立ち上がって簪とナツミの順に視線を向ける。先頃の教師然とした雰囲気はすでに無く、眼光鋭い歴戦の戦乙女がそこにいた。
「では転校生ナツミ。保護された理由は…――――、分かるな?お前には聞きたいことが山ほどあるんだ」
「…早速だけどナツミに質問。……これ何?」
対暗部用暗部『更識』と世界最強の圧迫面接だった。ゲンタロウたちの止める暇もなく着々とナツミ包囲網が敷かれている。それでも少しの身動ぎだけですんだナツミは胆力があると言うか何と言うか……それは兎も角。
―【KAMEN RIDE……『変身』――――DECADE!】―
簪のタブレット端末に先頃の戦闘の様子が映し出された。ゾディアーツと互角以上に戦いを繰り広げるのはマゼンタ色の戦士。少しだけ顔をこわばらせた鈴以外、この場にいるメンバーも疑惑や疑問の目でナツミを見始める。
「羽根付きのゾディアーツはこれを『世界の破壊者』、とか言ってたけど。貴女の知り合いが変身したライダーだよね?」
「それは……――――」
彼女は答えに言い淀む。確かに世界を巡る旅をして信頼関係はあると思う。だが彼がどんなに頑張ったところで、自分がどんなに助けようとしたところで、彼の失われた記憶は欠片たりとも戻らない。
『それでいい』と彼は言ってくれたが、自分が知っているツカサは“それ”だけなのだ。ソレを言っても信じてもらえるだろうか?余計に彼の立場を貶めないだろうか不安になり、胸の奥が葛藤によって冷たくなる……―――――。
だがその空気が瓦解する。
「ふん、秘密基地みたいで中々かっこいいじゃないか」
「「「「!?」」」」
突然背後から声がかけられた。その正体は誰あろう、今話題にあがっていた茶髪の男。ナツミと共にやって来た只者では無い用務員……――――。
「角谷ツカサ……!」
「おぉ、ここまでIS学園の専用機持ちが揃っているとは、壮観だな」
彼はトイカメラのシャッターを下ろし、彼女らを勝手に写真に収めると人並な感想を呟く。自分が今どこにいるかなぞ関係なく、ただ淡々と物語を眺める読者の目で。
彼がどうやってここまで来れたのかは分からない。自分達は背後に気配が無いかを重々確かめてから、ISの機能も使ってからここに入ったはずなのだ。なのに何故…――――?
慌てる生徒達を手で制し、ツカサはどっかりと腰を下ろした。
「安心しろ。この月面基地をどうこうしようなんて考えてない」
「……どうだか」
彼の言葉に信用ならんと鼻を鳴らす銀髪の少女……ラウラ・ボーデヴィッヒ。ちらりとドイツ軍時代の上官に視線を送ると、“待機だ”とでも言うかような視線で釘を刺されていた。大好きな教官の命令に渋々一夏の傍へ引き下がる。“……続きを頼めるか”と織斑千冬は彼の言葉の先を促した。
数秒後、視線が全て集中した時。“さて”と一言前置きをして、彼は自身の事を語り出す。
「俺は通りすがりの仮面ライダー……、
数瞬の沈黙。困惑。そして、疑惑…――――。
「……何だと?」
「まぁ聞け。順を追って説明してやるから。俺が旅を始めたのは……――――」
「少なくても……あれは今から36万…いや、1万4000年前だったか――――まぁいい、俺にとってはつい昨日の出来事だが、お前たちにとっては多分明日の出来事だ」
「いや何でエルシャダイ?」
ナイスツッコミ。簪に向かってこの場の全員が
「…――――まぁ時間なんて記憶によって創られるものだ。コレを手に入れてから、幾つもの異なる世界を巡った。此処に近い世界に行ったかもしれないし、垣間見たこともある。けれど俺にとっては過去も未来も関係がなかった。それだけだ」
急激に真面目な口調になり、手に持ったネオディケイドライバーをそっと撫でるツカサ。その眼差しを見た一夏は、どこか悲し気で苦し気なものが渦巻いているように思えてならなかった。
「そもそも俺は自分の事を何も知らない。『主人公がディケイド』である物語を読んでるだけの、不特定多数の読者たちと何も変わりはしない……」
顔を上げると自嘲気味に笑い、こう言った。
「どうして“世界の破壊者”なんて呼ばれているのかさえ知らねぇんだよ」
解き放たれた言葉はほんの少しだけ。それこそ弱みという弱みではなかった。…――――だが、それは彼にとって唯一と言って良い悩みであった。
IS学園の人間達は思う。自分達も人に言えない事を抱え込んでいるが…――――あぁこの人もまた同じような人間だったんだな、と。
「全く、勘弁してほしいもんだ。俺はただの記憶喪失で、人畜無害なだけの天才でしかないんだが」
…――――最後の一言で台無しにしなければ気が済まないのだろうか、この男は?
「…一気に胡散臭くなったがな?」
「あー、んじゃ織斑先生。信用ならないならISの機能でもつかって頭の中をフルダイブみてーなので見てみればいい」
◆◆◆◆◆◆◆
ラビットハッチに備え付けられていた電脳ダイブの拡張機能、及びコズミックスイッチの合わせ技で今までのツカサの旅の記憶を映像として鑑賞したIS学園の生徒達。初めの内はポップコーンをついばむ余裕があったのだが、最後辺りは口をあんぐり開けて呆然となっていた。
「……にわかには信じられん話だな…。本当に別の世界を巡った事があるのか…」
「しかも何だったんだ……その、千冬姉と箒の格好。ショウリョウバッタみたいなのになってなかった?」
「一夏……それ以上言うな!」
「あー…意外に似合ってたぜ?」
「やめろォォォォ‼」
特に居たたまれないのは千冬と箒である。ゲンタロウのフォローと同級生たちからの視線が物凄く痛かった。
「アーッハッハッハッハ(棒読み)」
「……」
形式美の様に笑っていたツカサとそれの胸倉を掴んでいたナツミ。ソウトウエキサーイエキサーイ……、どこかからアロワナノーが聞こえてきた。誰がその歌を歌っていると思う?「幻聴だ」。
「あー……、つまりライダーとして、角谷さんは俺より先にライダーになった人って事になるんだな?」
「……経験的にはまぁそうだな。それがどうした仮面ライダーフォーゼ?……んぇえ!?」
「おい、ゲンタロウ何してんの!?」
その途端、彼は突然身を低くした。これにはIS学園の友人たちも仰天する。日本語にするならば土下座である。そしてそれは礼儀正しく綺麗で乱れのない姿であった。
「え、何々?何なのオマエ?」
「……先輩!IS学園の仮面ライダー部に協力してください!どーかこのとーりッッ‼」
「いやいや、どういう心変わりだ?」
「俺アンタの記憶見て思いました、アンタスゲーよ!」
「……――――?」
キラキラした尊敬の眼差しでセンパイとやらの事を見てくる
「世界の破壊者とか言われても異世界のライダーと人間とダチになっていく器のでっかさ!あんた自身は何も知らねぇみたいだけど、俺はアンタの事“知らねぇ”なりに信じられる!だから信頼の証として『先輩』って呼ぶ許可をください!」
それにツカサは居たたまれない心地になり、一先ず落ち着くために居住まいを正す。今までの旅の中で敵意を向けられた事は数知れないが、好意を向けられたのは殆どない。ゆえにどう対処すればいいか判断が遅れた。
「い、やそういう訳じゃ…………いや、まぁ…、ふん…――――」
「(…!)そうですよツカサさん、協力シてクダサイヨ(棒読み)。無敵ノ仮面ライダーディケイドデナントカシテクダサイヨォー(片言)」
“男のツンデレ気持ち悪ッ”、そんな言葉を胸に秘め何とか彼を煽てあげるナツミ。畳み掛けるように次々と告げられる言葉の数々に比例し、ツカサは上機嫌になっていく。
…――――というか(ツカサは兎も角)ナツミにとってはこの世界、IS学園の彼等と協力関係になっておかねば、怖い先生たちの不信の視線に怯える毎日になるだろう。彼女はツカサに比べて小心なのだ。
その訴えが届いたのだろうか?
「……まぁそうだな、まぁそこまで乞われるならば仕方がねぇ。この世界でする事も大体分かってきたところだしな。『センパイ』とやらになってみるか(フンス)」
説得の甲斐もあり鼻高々といった具合の世界の破壊者。一仕事終えたナツミは腕で額を拭いほっと一息。それ故“あれ?もしかして結構愛すべき莫迦なのか?”という世界最強の心中を察することもできなかった。
「お、ぉおお!マジで!?ありがとうございます先輩ぃィィィィィ‼」
「うっお急に近づくな、ヤメロやめっ…鬱陶しいなお前!?離れろテメェ…――――ッッ‼」
大歓喜したゲンタロウは体育会系のノリでツカサに抱き着く。“あー……、また始まった”と頭を振るのは幼馴染の織斑姉弟に箒と鈴。彼女らは申し訳なさそうに頭を掻いた。
「そうなったゲンタロウはしつこいわよー?あたしも折れるしかなかったもん」
「ぇえい離れろ暑苦しい!っ…チッ、おい後輩!焼きそばパン買って来いよ代金お前持ちで‼」
「あ…、っかりましたーっ‼」
慌ただしくラビットハッチから飛び出していったゲンタロウ。用務員が生徒をパシリに使うのは問題があるだろうが、ここは全員見て見ぬふりだった。まぁゲンタロウだし…――――というのが主なところだが。
「…――――ふん。センパイ、か……悪くない」
「……ならばゲンタロウに免じて『世界の破壊者』とやらの追及は止めておこう。だがこれは人としての交渉だ、角谷ツカサ」
空気が受け入れムードになった瞬間、釘を刺すように織斑千冬がその口を開く。鋭い視線がさらに冷たくなったようだった。
「交渉?」
「そうだ、…――――京都に行かないか?」
◆◆◆◆◆◆◆
「なるほど、大体分かった。つまりナツミは亡国機業のゾディアーツ部隊『ホロスコープス』という奴らに狙われている可能性がある。それに対処するために俺も修学旅行に同行しろと……」
「その通りだ。それと……――――お前を監視する名目もある」
「ほぉ?まだ信用ならないか」
既に三つ目になった焼きそばパンを飲み物の様につるつる飲み込んでいくツカサ。頬に付いた青海苔を拭いながら新しい包装を開いてかぶりつく。
「…――――あぁ」
「ちょっ、千冬姉!」
「チッピー先生何言ってんだよ、この人はゾディアーツと戦ってくれたんだぜ?」
すでになんとなくだが彼を信用気味の男子部員二人。その人の良さは美徳だと思いながらも、頭を抑える様に首を振る。
「……大人と言うのは小狡く臆病なものでな。お前達の様にすぐ友達になる事はできないんだ」
「同感だ。俺だって自分みたいな変な輩はそう易々と信用しねぇな。てか誰だってそうするし」
同調を得たかったがお前からじゃない。そんな皮肉気な視線を向けると、ツカサはひらひらと手を振るだけだった。なんてことなく馬耳東風で糠に釘。どうにもこういうタイプはやりづらい…――――。
「さて……俺は一旦外に出る。何、此処の事は口外しない。あぁ、あと今日の所はナツミカンを任せるぜ」
「え……まじです?」
困惑の声を上げるナツミ。だがIS学園は寮制の高校だ。さすがに数年歳の離れた男女の寝泊まりはできないワケで。
「あぁ、俺の為の人質になってくれ。こってり絞り込まれてジュースになっても知らねぇけどな」
「、……―――――ッ」
がっちり肩を織斑先生に掴まれたナツミはもう冷や汗だっらだら。今夜は寝かせて貰えそうになかった。ほんの少し羨ましそうにしてる銀髪が若干いたが。
「…――――あぁそうそう、一つ訂正言って良いか?」
ツカサはラビットハッチの出口に立つと全員に背を向けたまま口を開いた。
「織斑千冬。大人は小狡く臆病だ、とか言ったな。だがアンタはそうじゃない」
ぴくりと形の良い眉を動かす世界最強。次第に機嫌が悪くなっていく千冬に対し、世界の破壊者の言葉はつらつらと留まるところを知らなかった。
「アンタは俺に面と向かって『信用ならん』とぶっちゃけられるんだ。そこまで悲観することはないんじゃねぇか?」
「…――――馬鹿な。ただ腹芸が苦手なだけだ」
これ以上こいつに話させるのはマズい、自身の言葉で誤爆しかねない。彼女の本能がそう訴えかけてくる。…――――だがもう遅かった。
「どーだが。ま、随分“正直で素直な”乙女なんだな、チッピー先生よ?」
「ッッ…!」
すかさず卓上のフードロイドを手に取ると、それは綺麗なフォームで大きく振りかぶって……――――。
「ちょっ…教官!?」
「駄目だから‼ナゲジャロイカ投げちゃ駄目だからァァァ!?」
涙目でブリュンヒルデの取り押さえる簪。流石に自分が考案したフードロイドが破壊されるのは耐えられないのだろう。だがその甲斐もなくイカ型ロボットの躯体がミシミシと鳴っていた。
「ははは!じゃーなー」
「ッッ!ちっ……」
「あれ、千冬姉……顔が赤ガハバァ!?なん、で…――――?(ガクッ)」
「はは!面白れぇ人だな先輩は!」
「そうですか?ウザったらしいだけなんじゃ…」
ひと騒動起こして仮面ライダー部を引っ掻き回した破壊者が去った。だが、心穏やかでない人間がまた一人…――――。
(……角谷ツカサが世界の破壊者――ディケイド。『タチバナさん』からは一度は交戦してデータをとれと言われたけど、ライダー部と協力関係なるなんて。暫く接触は避けた方が良いかしら…?)
◆◆◆◆◆◆◆
所変わって此処は窓の無い一室。そこにいたのは二人の女性。どちらも金髪の美女であるが、一人が言わば野性味ある雰囲気の女に対して、もう一方は美しいドレスを身に纏った上品な貴婦人というのが相応しい。
「オータム、IS学園から定時報告よ。フォーゼとIS国家代表たちは“例の女”と共に京都に来るみたい」
「京都?京都っつったら……」
『…――――そうさ、ようやくこっちの計画を始められるよ』
扉が開かれると二人の人間が入室した。……いいや、正しく言い直すなら『人間一人とゾディアーツ一体』である。
「……あら、遅かったですね?何かありましたか?」
『うん?あー…お前は確か、スコーピオンのスーちゃんだったっけ?アストロスイッチとISのシンクロは順調?』
変身の影響の濁った声音で、貴婦人の質問に質問で返す金色のゾディアーツ。悪魔の様な角を持ち、趣味の悪いマントを羽織ったこの怪人もまた、IS学園を襲った
「えぇ、ターゲットが京都に到着する頃にはフィッティングが完了するかと」
『だろうね。ま、お前等程度に期待はしてないけど』
「(………――――ちっ、偉そうに。王様気取りかよ……)」
オータムは手の中にある赤いゾディアーツスイッチを転がし不快感を紛らわす。そんな内心を知ってか知らずか、ゾディアーツはマニ車を思わせる
『ぃよーっし!じゃあIS学園とフォーゼが京都に来た時、“四神相応”を崩壊させよう。その為に……頼んだよ、マーちゃん?』
ゾディアーツと一緒に入室してから、壁に寄りかかったまま無言を貫き通していた最後の一人に視線が集まる。その彼女の手にも、真紅に輝くゾディアーツスイッチが。
「…………」
無言でスイッチのプッシュボタンを押し込む『織斑千冬』とそっくりな少女。小柄な体が星屑に呑み込まれると……“体に青黒い鬣、鋭い鉤爪を備える怪物”に変身したのだった…――――。
ラビットハッチのその後の会話
セシリア「……、角谷さん。素直と言うか扱いやすいと言うか、超チョロいンですわね」
シャルロット「セシリア、ニュアンス正そうか。一歩間違えればブーメランだよ?」
セシリア「……シャルロットさん、たまに黒い部分出ますわよね?」