火の塔・風の塔・本塔が囲む学院の中庭が、ギーシュとフォルゴレの決闘の場であるヴェストリの広場である。西側にある広場なので日中でもあまり日が差さず、普段は人気があまりない場所でもある。だが、今は二人の決闘の噂を聞きつけた生徒達で溢れかえっていた。
「諸君!!決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を掲げると、集まった観客達から歓声が上がる。
フォルゴレが広場へやってきたのを見て、すぐの行動だった。これで恥をかかずに逃げることはもうできないということだろうか。
「いいぞー、ギーシュ!!」
「あの高慢ちきの鼻を明かしてやれ!!」
男子たちは呑気なもので、好き放題言っている。一方女子たちは
「フォルゴレ様ーーーーーーーーーっ!!!!頑張って!!!!!!!」
「あんな二股男なんか倒しちゃって!!!」
「まずは逃げずに来たことを褒めてあげるよ。」
そう告げるとギーシュは薔薇の造花を突きつけた。目は殺気だって血走っている。傍目にも、もはや謝った程度では許す気はないのがわかる。
「逃げる?ふん、冗談はよせ。なんたって私はイタリアの英雄なんだぜ。そんなラガッセやバンビーナを泣かせること、死んでもできないな〜。」
フォルゴレが広場へやってくると、すぐさま周りの女子達を味方につけ、アウェーな状況を作り出したギーシュを、フォルゴレは皮肉交じりに称賛した。
「ふん、君の貴族に対しての口のきき方、気に入らないな。主人に代わってこの僕が、躾けてあげようじゃないか」
言いながら、ギーシュは再び自身の薔薇の造花を模した杖をフォルゴレに向け、突きつけた。
「まずはこの決闘のルール説明をしてやろうじゃないか。ルールはこうだ。どちらか一方が負けを認め、それを相手が承認したら終了。最悪の場合、どちらかが死ぬことも容易にあり得るということだ。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「普段は決闘など禁止されているのだが、それは貴族同士の場合、君は別だ。存分に楽しませてもらうよ。」
「君に出来る・・・・・かな?」
ギーシュは薔薇の花を振り、花びらを青銅でできたゴーレムへと変える。
「!?」
その様子にフォルゴレは驚き、内心焦り出す。
「言い忘れていたけど僕の二つ名は『青銅』。だから青銅のゴーレム『ワルキューレ』が
相手をする。」
ギーシュはワルキューレを1体練成し、まず左腕で殴りかからせた。 それをかわしたフォルゴレがワルキューレにパンチをかましたが、青銅製の彫像は硬く、 彫像にヒビ一つつけられなかった。逆に蹴りを食らって 吹っ飛ばされた。
「わああああああああああああー!!!」
ガンッ
壁に激突し、うつ伏せに倒れる。すぐさまキャンチョメとルイズがフォルゴレのもとに駆け寄る。
「『フォルゴレ!!』」
ルイズは体を揺らすが何の反応もしない。死んでる。女子たちの顔がみるみる青ざめていく。
「『「『いやーーーーーーーーーーっ!!!!!!』」』」
その様子にギーシュは
「どんな平民が召喚されたかと思って期待してたんだけどね。ただのバカだったのか。相手にして損したよ!」
勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
「キャンチョメ、フォルゴレが・・・・フォルゴレが・・・!!」
泣きじゃくるルイズを尻目にキャンチョメはギーシュを睨みつけ、叫んだ。
「お前たち、フォルゴレを舐めてるな!よし、教えてやろう!フォルゴレが無敵の戦士である事を!!!!!!!」.
「あの人、運が悪かったわね。ねぇタバサ、・・・タバサ?」
キュルケに話しかけられた青髪の少女タバサは、普段は本から目を離さないのに、今はルイズの使い魔であるフォルゴレをジッと見つめていた。
「どうしたの、タバサ?アンタもしかして、ああいう男が好みだったわけ?」
ふるふると首を振り、否定の意を表してから、タバサは小さな声で答えた。
「あの人を甘く見ない方がいい」
「えっ?」
「・・・・えっ?」
彼女の言葉に反応するキュルケ。彼女は、普段からみんなから一目置かれているタバサの口から意外な一言が出て、少し面食らってしまった。「どういうこと?」と聞き返している。
「・・・・彼にも伝えた方がいい」
タバサは、キュルケの質問には答えず、ギーシュを指さしながら、そう言った。