償いの代行者   作:血糊

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前回の問題。

各回答

出久・樹「・・・・・・ほんと、あんた(きみ)趣味悪いよな(ね)」
安理「そうでしょうか?普通獲物と話すわけないじゃないですか。重要なのは獲物がどこにいるか、では」

オリ主「ねえねえ安理ちゃん。過去に何かあったの?」
安理「・・・・・・あんまり話したくないです」
オリ主「何かあったんだね。じゃなきゃそんな言い方しないもん」
出久「えーとつまりそれって」
オリ主「安理ちゃんご名答ってこと。さて唐突なんだけど、次安理ちゃん正解したら罰ゲームね」
安理「はぁ!?」


別人格登場。これが私の限界ですが楽しんでくれると嬉しいです。


#5 爆豪勝己は地獄を見た。

 グラウンドに皆が揃う。

 遅れて相澤先生と樹が来た。その後を真っ青な顔をした爆豪がついてきて、列に並んだ。

 

 「ありゃよっぽど怒られたな・・・」

 「かっちゃんのあんな顔、初めて見た」

 「っていうか、眼鏡かけてはいるけど、あれウィッチじゃないか?」

 「本当ですわ!まさか会えるだなんて・・・噂どおり、綺麗な人ですわね!」

 

 ウィッチ。樹のヒーローネームだ。

 由来は単純にかっこいいからとか魔女っぽい見た目だからとか本当に魔法が使えるからとか、色々説がある。

 僕は真相を知ってる。だけど、こういうの勝手に言っちゃダメでしょ?

 あんまり表舞台には出ないけど、容姿とかで結構有名なのだ。

 

 「全員そろったようだな。まず、遅くなったが副担任を紹介する」

 「副担任になりました。江ノ島樹です。よろしくお願いします」

 「次に進むぞ。ここからが本題だ。これから個性把握テストを始めるぞ」

 『個性把握テスト!? 入学式とかは!?』

 「ヒーローになるならそんな悠長な行事なんて時間の無駄だよ」

 「・・・本当は準備うんぬんが結構面倒なだけむぐ」

 「黙ってろ」

 

 しれっと茶々をいれる樹。本音を隠さずに言って、先生に口を塞がれる。

 

 「ゴホン。雄英は自由な校風が売り文句だ。当然、それは先生側にも適用される。覚えておく事だな」

 

 それから先生が話す個性把握テストの内容。

 ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横飛び、上体起こし、長座体前屈。

 この八種でどういう個性かを測定していくそうだ。

 

 「そんじゃ、試しに主席入学の緑谷。個性を使って円の中から投げてみろ」

 「あ、はい」

 

 呼ばれた僕は前に出る。それと同時に声が上がった。

 あの子が主席入学なのかとか、あんな華奢な子に負けるなんてとか・・・

 人は見た目によらないというが、これはその典型的な例だな。

 

 「人は見かけによらないという奴ですよ。今回は結果が1位だったっていう話です。そういうこと言うんだったらこれから頑張って超えればいいだけの話でしょう。緑谷は気にせずに全力で投げてください」

 

 樹が僕を弁護?してくれた。ここではあくまでも敬語でいくのか。

 ・・・これ失敗したら大恥かくよね・・・

 とてつもないプレッシャーがのしかかる。

 自分の呼吸が、心臓の音が煩い。

 落ち着け。落ち着け。

 落ち着かなきゃ・・・

 

 

 

 

 ――そんなことしたって落ち着けるわけがないだろう?

 

 ――それだけで落ち着けたらたいしたもんだ。

 

 ――肉親の死体を目の前にして、なあ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はあ。出久のヤツ、フラッシュバックでオチてしまうとは。

 仕方が無い。私が出久の代役を務めてやるとするか。

 

 『私の人格』は『緑谷出久の人格』と入れ替わる。

 

 「すーはー・・・・・・ふんっ!」

 

 一度深呼吸して、投げる。

 ・・・まあまあ飛んだか。

 

 「――――――」

 

 おそらく測定結果でもいったのだろうな。私には聞こえんが。

 こちらを見る他の奴らも何事かを言っていた。

 

 「――――――!」

 

 生徒らが居るほうからほんの少しの空気の震えと熱を感じとる。

 見れば、爆豪が手から爆発を起こして向かってきていた。

 迎え撃とうと私は構えるが、それよりも先に相澤が布を爆豪に巻きつけ拘束した。

 

 「この個性・・・まさか、イレイザーヘッド・・・?」

 「――――――」

 

 相澤の反応からして、おそらく当たっていたか。

 相澤がなんらかのことを言い切った後、生徒らがもったいない!というようなかんじの表情をしていたが、一体何のことだ?

 

 「――――――」

 「――――――!?」

 「――――――」

 

 短い会話の後、拘束が解かれた爆豪は、すぐに引き下がった。

 

 「――――――」

 「――――――!」

 「――――――」

 

 突然生徒らの表情が引きつった。

 

 「――――――――――――」

 

 いかん。なんていってるか分からんせいで事態が全く把握できん。

 と、私が焦っていると、そこで樹が補足してくれた。

 

 「まあつまり、手加減とかなしで全力でやれってことですね」

 

 樹の声は聞こえるからこういうときは本当に助かる。

 

 「――――――」

 

 生徒らが動き始めた。私もそれについていく。

 そうして、本格的に個性把握テストはスタートしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・セクトニアとかいう奴らの力はかなり強大な上、以前の説明からデメリットはなさそうに思える・・・

 強大な力には必ず代償が付きまとう。それはこの世界の不変のことわり。

 50m走で確認した。やはりこの力に代償はあった。

 外傷こそすぐに治療できる。だが、()()()()()()()は並ではなかった。

 全力で地面を蹴ると、爆発音のようなものが響き、地面が大きく捲れ上がっていた。

 2歩目を待たずに50mをひとっ飛びしていた。

 威力は申し分ない。が、地面を蹴った右足がいかれかけていた。

 思わず膝をついてしまうほどの激痛。一度で筋肉が壊れる寸前にまで追い込まれていた。

 やはり、身体はついていけていなかったようだ。だが、魔力の効果だろうか。痛みはすぐに引いた。

 しかし、内側の肉体の傷はすぐには回復するわけではないようだった。本気を出し続ければ確実に脚は壊れていただろう。

 

 ・・・面倒な。肉体強化とかいう力でもあれば色々小手先くらいの攻撃のレパートリーも増えるというのに。

 

 私も、出久も強くなることを望んでいる。私がこの世に生まれたあの日を、繰り返さない為にも。

 一朝一夕という奴だ。少しずつでも、この力を最大限使えるようになるために、身体を慣れさせなければ。

 

 補足だが、一応5位以内には入れた。長座体前屈が一番悪かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――」

 「・・・・・・」

 

 テスト終了後。さっさと着替えようと靴箱へ向かおうとしたときだ。

 背後から肩をつかまれ、私は振り向く。

 

 「何の用?」

 「・・・――――――」

 

 朝から素で出久を精神的に満身創痍にした(爆豪)が居た。

 なんか申し訳なさそうな顔をしている。奴らしくないが、まあそれで大体の用件は把握した。

 

 「―――――――――――――――」

 

 ほかの生徒らの視線が集まる中、奴はおそらく謝罪を口にして、頭を下げた。

 ああ、やっぱりか。

 こんなことを奴にされてはきっと出久は許してしまうだろう。謝らなくても次の日までには水に流すとは思うが。

 なんだかんだで奴も出久とは長い付き合いだ。それを分かった上でこうやっている。

 おおかた表面上での、自分はちゃんと出久に謝ったというような印象でも付ける狙いなんだろうな。

 いつもなら、このまま許して和解ムードにでもなるんだろう・・・

 ()()()()()、だが。

 

 「・・・今朝の事はまあ水に流すよ。でも、私は君の思っているよりは器、広くないから」

 

 これ以上はダメだ。

 止まらなくなってしまう。

 今まで心の奥底に沈めてきた憎悪が溢れてしまう。

 そんなことにでもなったら、もう取り返しがつかなくなってしまうから。

 溝は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ・・・出久が完全に爆豪を嫌うまでは。

 私は、だっと逃げるように走りだす。

 

 「――!」

 

 自然に呪詛が口からこぼれそうになる。

 あふれ出ないように、私は手で口を塞ぐ。

 私まで冷静を失えば誰が出久の代わりになるんだ? 誰もいないだろう。

 私の代わりの人格があれば・・・私は壊れることができる。

 そのうち、また辛いことが起こるだろう。それでまた人格が出来るまで・・・耐えるんだ。

 中学生になってからずっと、出久の代わりに耐えてきただろう。耐え続けることにはもう慣れたんだ。

 あと少し我慢さえすれば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――くたばれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「っ・・・」

 

 朝礼後、先生に呼び出されたときは、なんか叱られるんだろうな、くらいにしか思っていなかった。

 デクへの言動。自分でもあれは言いすぎたかなとは思ったから。

 まああいつのことだ。多分次の日には何事も無かったかのように接してくるだろう。

 ・・・そう気楽に考えていた。

 

 「別に、叱る気はないです。あの子のことだし、あれくらいの事は流せるでしょうから」

 

 相澤先生かと思ったけど、違った。

 話をしたのは、副担任という江ノ島樹先生だった。

 

 「まあだとしても、これからクラスで行うテストの後に、彼女に謝ってあげてください。話はそれだけです」

 

 それだけいうと、江ノ島先生は踵を返し、靴箱の方へ向かい始める。

 拍子抜けだった。なんだ、それだけだったのかと。

 そう、思っていた。

 先生がふと足を止め、俺の方へ目をやる。

 

 「・・・お前の罪を自覚するいい機会になるだろうな」

 

 底冷えするような声だった。俺に向けてきたその目は、確かに侮蔑が含まれていた。

 先生が歩みを進めるのを見ながら、俺は寒気を感じていた。

 

 今あの言葉の意味を理解した。

 俺が今まであいつにしてきたことは、予想以上にあいつを傷つけていたことを知らされた。

 

 走っていったあいつを俺は追わない。追うことは、許されない。

 いままでやらかしたことは、もう取り返しがつかない。

 埋められない溝が、出来てしまった。

 ・・・違う。もうとっくの昔から、出来ていたんだ。

 

 「――あんたのことだ。身をもって体験しなきゃ、ちゃんと理解できないだろ?」

 

 背後から、嘲笑うような声。ひたりとうなじに冷たい感触がした――

 

 「あッ・・・ぐぁァ・・・ッ!!」

 

 その瞬間だ。俺がデクにやってきた行為が、俺にもなされた。

 暴力。暴言。悪意に満ちた行為が俺に返ってくる。

 とてつもない苦痛で俺はその場にうずくまる。

 

 「君っ彼に何をしたんだ!?」

 「今まで緑谷にしてきたことを追憶させてるだけだ・・・さぁて、サディストは痛みには弱いと聞くが、彼はどれくらい耐えられるのかなぁ?」

 「なっ・・・!?」

 

 やめてくれ。ごめんなさい。

 そんなこと俺に言える資格なんて、無い。

 これは甘んじて受けるべき罰だ。

 そう理解していても、その苦痛は耐え難かった。

 これをあいつはずっと受けてきていたのか。耐えていたのか。俺はもう心が折れそうだ。

 

 「相澤先生。個性を使ってくれますか?」

 「そ、れは・・・」

 「これ以上は駄目です。爆豪が発狂しかねない」

 「っ分かった!」

 

 ぶつっと何かが途切れ、今までの光景が目の前から消えた。

 

 「ぁ・・・」

 「間に合ったか。良かった・・・」

 「なんで、止めたんですか」

 「もう理解しただろう。自分の罪を。やりすぎとは言わんが、これ以上は危険だったから止めただけだ」

 「そう、ですか――」

 

 江ノ島先生が介抱してくれていた。でも、その目にはまだ、若干の嫌悪が残っている。

 精神的にどっと疲れてしまった俺は途轍もない眠気に襲われ、意識を手放してしまった・・・




またまたサイコパス診断テスト


 「見・い・つ・け・た♪」


あなたはある人を恨んでいます。
ある日あなたは家に忍び込むことに成功し、その人を殺害することができました。
しかしそれだけでなく、全く無関係なはずの子供とペットをも殺しました。
何故恨みのないある人の子供とペットも殺したのか?





次回、正解発表。

なにがあったかわからない出久と戦闘訓練。爆豪に悪夢を見せた人の正体も。
・・・初登場じゃないし、勘のいい人は、誰だか分かるかも。

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