・・・の前に
安理「・・・罰ゲームは進行役をすること、ですか」
オリ主「ちょうど仕事がかなり舞い込んできちゃってね。たちが悪いわけではないでしょ?」
安理「まあ・・・確かにそうですが。俺の席はどうなるので?」
オリ主「次までにはどうにかする。今日は二人だけでお願い」
安理「分かりました」
各回答
出久「独占欲・・・みたいなのこじらせた結果かな?」
樹「男をかっさらわれたくなかったからからじゃないのか? だって妹のタイプって分かっていたんだし」
安理「正解はその人にもう一度会いたいがために、妹に手を掛けた、です」
出久・樹「あーそういうこと」
安理「・・・二人は、ゲストは誰がいいと思う?」
出久「兄さんの言う先生って人」
樹「オールマイト」
安理「修羅場を作るのはマジでやめてくれ俺が倒れる」
緑谷らの戦闘訓練が開始する同時刻。
場所は、警察署本部の執務室。光を吸い込むような、黒いデスクに置かれた数枚の資料を、頬杖をつきながら眺める男の姿があった。
その男の名は
警視総監は警察のトップ。故にその地位に立てるのはかなりのキャリアを積まないといけない。
必然的にそこまでの地位にこぎつけられた時には、かなり齢をとっているはずなのだが・・・
樹の黒髪とは正反対の白髪を、腰の長さにまで伸ばした上で、一つ結びにくくっており、樹の人形のように整った男よりの中性顔とは正反対の女よりの中性顔。唯一そっくりなのは、突き刺すような眼光を放つその細い眼か。色は赤と樹の緑とは違うが。
それでもってその外見は、樹の
このひとホントに警視総監かとよく言われている男である。
そんな男の横・・・デスクの上の端っこらへんに座り、シュレッダーにかける予定だった書類の裏に、握り締めた万年筆でグリグリ何かを殴り書きしている、文字通りの桃色の丸いボールのような体型をした者の姿があった。
「はあぁ・・・眠い」
「ぽよ~・・・」
「アナタはいつも寝れるでしょうが。というか、なんですか、その絵。カオスの一言で言い表せるような絵じゃないですか怖いですよ。あと私の万年筆くん5号を乱暴に扱わないでくれませんか。またすぐに壊れますから」
謎めいた可愛らしい溜息をつく桃球に、玲は髪をぐしゃりと掴みながら、悪態をつく。
最近仕事がたくさん舞い込んでくるのだ。何徹したのかもう覚えていない。もうやだ。疲れた。
目に濃い隈を作りながらも、ブラックコーヒーをちびちび飲んで、玲は仕事をこなし続ける・・・
愚痴って一時間後。突如、玲がデスクに、がん! と額をおもいきり叩きつけるようにして突っ伏した。
思わず桃球も万年筆を思いっきし握って折り、沈黙が一人と一・・・匹? の間を支配する。
「・・・気分転換です。私の一人話に付き合ってもらえますか、いや絶対付き合いなさい」
「ぽよ?」
何事も無かったかのようにむくりと起き上がる。額に赤くなり、しかも流血している痛々しい傷跡がどれほどの勢いで錬が突っ伏したのかを物語っていた。
真顔で桃球の方をみて、気分転換と称した暇つぶしに付き合えと言い出した。
この瞬間。やっと仕事が一通り片付いたのだ。しかし、カフェインの取りすぎが玲から睡眠欲をかっ攫っていた。
やることがない。玲にとって退屈は最も嫌うことの一つだ。
だから、暇つぶしをする。
いつもなら、何かのデッサンをしたり個性で遊んだりするが・・・今日はいつもとは違う。
目の前に、
・・・実を言うと、玲が暇なうえ、とてつもなくストレスが溜まっている時、室内に誰かがいたら、必ず「暇つぶしに付き合え」といわれ、強制的におもちゃがわりにされるが、まあその話は置いといて。
「樹の話ですよ。あの子の昔、そして、正体」
元々は、樹自身が13係だった。
けども、13係となった時の彼女は、まだ12歳。思春期真っ只中の未成年のうえ、拷問という法律で禁止された行為をする故に、社会的には存在しない部署となっている。
どうして彼女は13係となったのか。それが、今ここで、本人の許可なく語られようとしていた。
「ちょうど、真冬の夜でしたか。大病院で彼はこの世に生まれ落ちた。・・・女として」
「ぽよぉ?」
「そこらへんは後ほどに。・・・彼は、最初から両親が決めていた名前として、樹と名づけられました」
大樹のようにおおらかな人へとなる願いを込めた、名前だった。
名前の通り、彼女は12年間、とても優しい性根をもち、ヒーローに憧れる、ごくごく普通の少女として、生きてきた。
・・・あの悲劇が起こるまでは。
「15年前に。あるヴィランの組織が、大規模な暴動を起こしたんですよ。そのヴィランの組織は、数は100人以上もの規模の上、その一人一人が、かなりの実力者だったんです」
夜の街は、瞬く間に火の海へと変貌した。当然、沢山のプロヒーローたちが駆り出され、沢山の人々はヴィランから必死に逃げていた。
「その夜、樹は両親と共に、ファミレスに行ってたんですね。で、彼女たちが食事中に、ヴィランが現れ、あっという間にファミレスを半壊させました」
ファミレス内にいた客達は、皆怯えていた。体中に返り血をたっぷりと浴びて、歪で凄惨で、それでいて屈託のないヴィランの笑顔を前にして、何も出来なかった。
・・・たった一人を除いて。
「樹だけは、臆することもせずに、平然と対峙しちゃってたんですって。店を簡単に壊せるくらいの力をもつヴィランを目の前にしてですよ。・・・彼は個性を使って、そのヴィランの首を絞めて気絶させました」
荒事は苦手なはずだった彼が、いかにも不味そうなヴィランを相手に、怖じ気づくことなく対応して、無力化した・・・
「本人も違和感を感じたそうですが、そんな事より今すぐにここから逃げ出すべきだと言うことは百も承知でした」
――母さん、父さん。急いで逃げないと、きっと殺されちゃうよ。はやく、逃げよう?
――・・・そう、ね。お父さん、急ぎましょう。
――ああ。皆さん! もうすぐここは倒壊します! 急いで逃げてください!
子供らしくない雰囲気は、両親のほうを振り向いた時には霧散していて、少しばかり怯えが滲む表情を浮かべながら子供らしく両親を急かした。
晩御飯を食べている時に突然ファミレスが壊されたこと。荒事とは全く無縁なはずの娘がヴィラン相手に、平然と対峙し、あまつさえ倒したこと。その他いろいろ、衝撃的なことの連続で呆然としていた両親は、愛しい一人娘の声で現実へと引き戻された。
彼らは、客達の避難誘導をしながら、ファミレスから脱出した。
外は火に包まれていた。燃え広がりも異様なほどに早い。このままだと、まだ残っているはずの逃走路すらも塞がれるのは時間の問題だった。
そして、最悪なことに、逃走路を探しているうちに、いつの間にか彼は両親とはぐれてしまっていた。
「樹は必死に探しました。ですが、当然といわざるを得ないのでしょうか。結局、火に囲まれてしまいました」
瞬く間に身の回りを舐めるようにして侵食していく焔。
それを見て絶望に打ちひしがれながらも、彼はその炎は『聖なる焔』だと認識していた。
前世で犯してきた罪。どんな理由でも、赦されることはないだろう残虐な行為。
それの報いなんだと、思っていた。
「炎を起こしたヴィラン・・・個性は『浄化の焔』 宗教での炎は、不浄を清浄へと浄化するものでもあります。炎に触れた対象がどれほどの罪を犯したか。罪の穢れを焼き尽くすまで、対象を生かしながら贖罪させ、断罪する・・・それが、浄化の焔」
この炎は、自分の穢れを焼くものだ。それを理解した時、彼は――
あらゆる罪人を手に掛け、どうしようもなく穢れたこの身。
――このくらいじゃあ、俺は綺麗になぞ、ならんよ。
そう思った途端。熱さが、息苦しさが、痛みがふっと遠のいた。
火柱のなかへ足を踏み入れても、何も感じない。
その代わりなのか。彼の脳裏には、前世の記憶がフラッシュバックしていた。
父親が社会から疎まれる処刑人となり、それを継いで、罪人をし損ねることなく処刑してきた日々。
それだけではなく、治療士として人々を癒してきた日々も。
全ては、一族の名誉を取り戻す為に。
「自分の前世は何だったのかを彼は理解しました。ですが、そのことについて思いをめぐらせるよりも、まだやることが残っていることを彼は覚えていました」
――母さんは、父さんは、どこにいるの?
ぱちぱちという炎が弾ける音や、人々の悲鳴、戦闘音がごっちゃになって、どこに何がいるのかが、分かたなかった。
・・・だがそれが、行動をしないという理由になるものか。
火の海を渡り、彼はとにかく走った。今の時点で最も音が大きく聞こえるところまで。
そこまで近づき、曲がり角を曲がり、目の前に広がった光景に、彼は一瞬固まった。
視界の大半を占めていたのは、テレビで何度も見た筋骨粒々な後ろ姿を見せて、立ち尽くしていた平和の象徴。
その視線の先には、暴動を起こしたヴィランの一人が、見覚えのある男性を抱き寄せ、鋭利な刃物のような爪を首にぴたりと突きつけていた。
樹にとって見覚えのある男性。というよりも、ついさっきまで一緒にいた男・・・
そう、父親だ。樹の父親である
「すでに肌に付けられていた状態で、少し引けば、確実に頚動脈は切れるだろう状況では、樹もうまく動くことはできませんでした」
サスペンスドラマとかで人質が悪人に首をナイフとかで切り裂かれた直後、傷口から血を勢いよく噴き出しながら斃れるのを見たことがある樹は、迂闊に動くことが出来なかった。
でも、その時まで樹はまだ『余裕』を残していた。
――大丈夫だ。きっとオールマイトが救ってくれる。
自分が助けなくても、そう、今まさに動かんとしている英雄が父親を助けてくれるだろう。
そう、思いを馳せていた。
でも英雄は、青年の純粋な思いを、信頼を、見事に裏切った。
父親を人質にしているヴィランの後ろ。避難中の人々を今まさに襲わんとしているヴィランの姿。
それを見た途端、英雄は目の前の命を、見捨てた。
動いたせいで、即座に父親の首が切られて、大きな血しぶきをあげた。
最期、驚愕に目を剥いた父親の口がかすかに何事かを呟いたのを彼は見逃さなかった。
「樹は叫ぶことはしませんでした。呆然としていて、ただそこに突っ立って、父親を殺したヴィランが近づいてくるのをただ見ているだけでした」
ヴィランが下卑た笑みで手を伸ばしてきたところでやっと、樹は我に返った。
「彼はどうしたのかというと・・・おや」
天井からぶら下げられていた電灯から目線を外し桃球を見ると、彼は口から涎をたらしながら呑気そうな、幸せそうな寝顔を晒していた。
彼には、昔話は寝物語として聞こえていたのだろうか・・・ふと腕時計で時刻を確認すると、短針は3を指していた。
「もうお昼寝の時間になってしまっていたようですね。・・・そろそろカフェインの効果も切れてきましたし、私もこの辺で」
デスクに置いた腕を枕代わりにして頭を乗せ、目を閉じる・・・前に。
桃球は今、どんな夢を見ているのだろうか。
無邪気な寝顔に、樹とは真反対の黒い手袋を付けた手を伸ばし、触れるか触れないかのギリギリで止めた。
彼が今見ている夢の『中身』は多分、美味しい食べ物をお腹いっぱい食べているんじゃないだろうか。
そうでなくともきっと、とても平和な夢を見ているに違いないか。
玲は手を引っ込め、今度こそ、目を閉じた。
「っは」
「デク!」
「緑谷!」
「あ、れ・・・ここは、っ!」
「保健室だ。傷はふさがったわけじゃないから、しばらく安静にしてないと直りかけの傷も開くぞ」
「そ、ですか・・・僕は、負けたんですか?」
「勝ったよ。ちゃんと」
「認めたくはねえが、俺はテメエに負けた。覚えてないのか?」
「・・・ごめん、覚えてないや。かっちゃんが倒れた所で、記憶が途切れちゃってるから」
「途切れてるのも、無理は無い。爆豪が倒れた直後に、あんな事が起こってしまったんだからな」
「あんな事?」
「・・・あんなものを喰らってよく死ななかったな」
「シュミットがそこまで言うレベル・・・!?」
「あ? シュミットだと?」
「あ」
「シュミットって、あれか? 死刑執行人の『フランツ・シュミット』」
「「・・・(顔を背ける)」」
「おい待てどういうことだ」
戦闘訓練は結果だけを書きました。原作のような激戦の末の、辛勝です。
またまたまたまたサイコパス診断テスト・・・またが長いですね。
「うーん。サイトに載せるサムちゃんの写真、どんな感じにしようかな・・・?」
あなたは可愛い猫を一匹飼っています。
あなたは動物愛護を訴えるサイトを作りたいと思い、まず自分の猫の写真を載せることにしました。
さて、猫のどんな写真を載せますか?
次回、正解発表。
諸事情によりUSJ編に移行。玲総監も出ます。
誤字脱字あったら報告お願いします。
余談ですが、もちろん桃球はあとで万年筆を弁償させられました。バイバイ5号。初めまして6号。