冴嶋友太は勇者である。   作:前神様

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何だかんだで1話です。まだまだ話数は少ないですが、良ければ引き続き読んでいただけると幸いでございます。


第1話 初陣

あれから一月が経った。今日も今日とて、学校へと向かう。訓練のおかげで筋肉も多少ついてきたとは思うが、相変わらず日々の筋肉痛は酷いものだ。

 

「イテテ…毎日筋肉痛の上での訓練だからなぁ、今日は訓練終わったらアイスでも食べるかな」

 

学校に着くと1時間目の授業の準備をする。ここ1ヶ月過ごして変わらない事が1つある。それは、友達が転校してからただの1人もいないという事だ。何故俺に、友達が出来ないのかと思い、寝たフリをしてこっそりクラスメイト達の会話を盗み聞きしていると原因が明らかになった。

 

「ねぇ、友太くんに話しかけてみようよ!」

 

「駄目だよ、だって友太くんは大事なお役目を大赦から頼まれて転校してきたんだよ?僕らが話しかけたりしたら、邪魔になっちゃうよ」

 

「それもそうだねー」

 

という事だった。正直、未だ戦いをしていない為にお役目についているという実感はない。それにしてもお役目についているというだけでこんな扱いになっちゃうのか。

 

「!?」

 

その瞬間何処からか鈴の音が響きだした。

 

「えっ!何で皆止まって…!うわっ!」

 

すると視界が変わり、やがて巨大な樹が見える場所へと変わった。

 

「もしかして、あれが神樹様?って事は…ここがそうなのか…」

 

鬼島さんから、予め聞いた説明とこの場所が酷似していたため、直ぐに理解することが出来た。

 

「取り敢えず変身するか、スマホは…っと」

 

俺は、勇者システムを立ち上げて返信ボタンを押す。すると白い花びらが舞い上がり俺の体を包む。

 

「おおっ!?」

 

花びらが包んだ箇所から銀白色の勇者服が装着される。

 

「んー、センスは悪くないんだけど白って事は汚れたら目立つよなぁ…この勇者服洗えるんだろうか?」

 

まったく戦闘に関係ないような事を考えていると遠くには見たことの無い生物?がいた。恐らくバーテックスだろう。(星屑)

 

「鬼島さんから、聞いてはいたけど実際見ると気持ち悪いな…」

 

俺は一先ず弓で、バーテックスに向けて攻撃してみる。1ヶ月前までは、下手くそ過ぎて的を大きく外していたが今では殆ど当てることが出来る。そのせいか、初戦闘にもかかわらず全弾命中している。

 

「ま、今の所は弓と剣しかまともに扱えないけどな」

 

遠距離武器と近距離武器を今の俺は扱うことが出来る。前もって鬼島さんが、神託によってあまり日数が無かったということを知っていたため内容を変えてある程度剣と弓を先に扱えるように考えて組んでくれていたらしい。

 

「にしても、後どれくらい倒せばいいんだ?さっきから打ち続けてるけどパッと見100体以上いるぞ、あれ」

 

既に相当数倒していると思うのだが、意外とバーテックスの数が多く少し焦っている。

 

「ここで打ってても仕方ないし近距離戦でやってみるか」

 

この数の多さだと大抵群れの統率者がいるはずだ。そいつを倒せば恐らくバーテックスの行動も鈍くなって一気に殲滅しやすくなるはずだ。

 

「うおおおぉぉぉ!!はっ!せい!」

 

一撃で確実に屠れるように剣を振りながら、一体一体倒して行く。勿論バーテックスも追撃してくる為容易ではない。

 

「ぐっ!痛てぇなぁ!!はぁ!」

 

右脇腹を噛み付かれたが慌てること無く剣を逆手に握り突き刺す。そして今一度距離を取り体制を整える。

 

「ちょっと、出血が気になる所ではあるけど…何とかなるはずだ…しかし、見つからねぇな」

 

近距離戦闘に変えれば、攻撃してくるものとばかり思っていたが見つからない。恐らくは、もう少し後ろにいるのではないだろうか?司令官が指示を出す場合本隊の後ろにいることが多いと戦闘資料で読んだ記憶がある。

 

「って事は…突っ込むしかねぇんじゃねぇか!その前に本隊に殺されそうな勢いなんだが…。でも、やらないと始まらねぇし…」

 

優柔不断になりながらも気合いで突っ込むことを決意した俺は、弓を先に使って前方を殲滅した後うまい事剣を投げて倒していく。

 

「はぁ!ぐっ…おらぁぁぁ!!」

 

半分程、決死の思いで殲滅した所でイレギュラーなことが起きた。バーテックスが自爆攻撃を行ってきたのだ。爆散させる前に攻撃を行うが爆風で吹き飛ぶ。無傷というわけにはいかず、当然ダメージを受ける。

 

「ぐっ!だがなぁ!逆にチャンスなんだよ!」

 

弓を拡散させて撃つことで爆発寸前のヤツらを誘爆させた。そのおかげで、大多数のバーテックスを吹き飛ばすことに成功する。数が減り後ろに居るはずの司令官が出しゃばってくる。

 

「やっと…お出ましか、大きさ的には丁度2倍くらい か?」

 

出てきた途端に攻撃をしてくるが躱して、剣でぶっ刺してみるも効果は薄いみたいだった。それならばと近くにいた生き残りの自爆攻撃の奴を誘爆させてみると呆気なく倒すことが出来た。司令官が倒された事によりバーテックスは、統率が取れなくなり殲滅する事が出来た。

 

「鎮火の議が始まった…」

 

またも、視界が変動して元に戻る。噛まれた箇所や切り傷から出血が見える。

 

「思ったよりも痛てぇな…確か鬼島さんが怪我したら保健室に行けって言ってたっけな…母ちゃんに心配かけたくねぇし行くか。てか今何時だ?」

 

時間を見るためスマホを見ると14時を回っていた。

 

「最後の授業は、間に合いそうにないか…」

 

傷だらけの体を庇いながら保健室へと向かうと道中に鬼島さんがいた。

 

「お疲れさん…その怪我…」

 

俺を労わるように見つめてくる鬼島さん。

 

「ははっ、まぁ…ちょっとやらかしまして…。これだけで済んだならマシな方でしょ?いやぁ、恥ずかしながら手強かったですよ…!バーテックスの中でも弱いと言われる星屑にこのザマとは…」

 

「とにかく保健室へ向かってくれ、授業に関してはコチラで対処するから」

 

「ありがとうございます、では」

 

鬼島さんと別れて、保健室へと向かう。着いた途端に治療が始まり滅茶苦茶にされた。(医療的な意味で)正直傷口に消毒液掛けられた時は死ぬかと思った。いや、マジで!

 

~鬼島目線~

 

ホームルーム前にいつも通り準備を始めていると、大赦からメールが来た。内容は、勇者である冴嶋友太がバーテックスとの戦闘に入ったという事だった。神託によって時期的に考えてそろそろだとは思っていたが。

 

(唐突すぎる…これが普通なのか…。)

 

疑問に思いながらも無事に役目を終えてくれることを祈りながら、色々と準備を行う。学校側に授業の公欠届けの提出及び雑務、保健室に手当ての準備等やれる事をできるだけ済ませておく。すると、14時30分を回る頃冴嶋友太は戻ってきた、全身に傷を負って…。

 

「お疲れさん…その怪我…」

 

彼を見た瞬間俺は、自分が恥ずかしくなった。大人である自分は、本来なら彼を…子どもを守らなければいけない立場なのに、彼と共に戦うことも同じ苦しみを背負うことも出来ないのだ。情けない、大人として一人の人間として彼にしてあげられることがあまりにも少なすぎる。

 

「ははっ、まぁ…ちょっとやらかしまして…。これだけで済んだならマシな方でしょ?いやぁ、恥ずかしながら手強かったですよ…!バーテックスの中でも弱いと言われる星屑にこのザマとは…」

 

「とにかく保健室へ向かってくれ、授業に関してはコチラで対処するから」

 

彼の背中を見送り俺は壁に拳をぶつけた。

 

「あの怪我は、俺の訓練内容に抜かりがあったからだ!もっと効率良く出来たはずだ、俺に出来ることは精々…訓練内容を考察することだけだ!すまない…」

 

~冴嶋友太~

 

「痛てぇけど、マシになったか…。そう言えばさっきメールで鬼島さんから今日は訓練休みだって言われてた…。放課後は…近くのショッピングモールでも行くか」

 

保健室から出て、教室へと戻る。途中、数名の先生方や生徒に怪我のことを聞かれたが、お役目でこうなったとだけ伝えて通り過ぎた。

 

「にしても…ちょっと今回はヤバかったな。敵の誘爆がなければ今頃…。やっぱりもうちょっと手数増やさないとだめか?」

 

教室に戻った俺は、ノートに今回のバーテックスとの戦闘による反省点を書いていく。手数が少ないこと、圧倒的に勇者服での戦闘経験の少なさが目に見えてわかったこと等。

 

「俺の長所を生かすには、多種多様な武器の扱い方に慣れるしかない。ある程度使えるレベルになった後は、武器を切り替えて使ってみて最終的に自分に合う武器を使っていくか…。訓練内容については、鬼島さんと相談か」

 

帰り支度をした後、訓練内容について鬼島さんにメールを送り教室を出る。傷口はまだ痛いけど、今日は授業が潰れたので俺的にはラッキーだった。

 

「先ずは、本屋で武器の資料集めをして大赦に欲しい装備を作ってもらうかぁ。この前確認した時もOK出たし」

 

鬼島さんに、良かったら武器とか作ってもらえないかと聞いたところOKが出た。武器の威力はバーテックス侵攻前の物だから期待はしないでくれと言われたが、俺が自ら使用してコピーした代物だと多分強くなると思う。神樹様の加護を受けている俺が手にする武器は基本的に人の域を超える代物になっているらしいからな。

 

「相変わらずの盛況っぷりですなぁ、何階だろ…」

 

この町で1つしかないショッピングモールなので、当然人も多い。最近では、店内のフードコートでジェラート屋さんが出来てより一層人気を誇っているこのショッピングモール。そんな中久しぶりに来た俺はエレベーター横のマップを見ていた。

 

「何か困り事ですか?」

「うぉっ!」

 

急に神樹館の制服を着た女の子に横から話しかけられた俺はビックリして変な声を上げてしまった。

 

「あ〜、驚かせてすいません。何か困ってそうでしたので…」

「…実は久しぶりにここに来たんだけど、本屋さんの場所が分かんなくてさ」

「私知ってますから、良かったら案内しましょうか?」

 

女の子は、そう言うと手招きしながら案内してくれる。

あっという間に本屋さんの前に着く。

 

「本当にありがとう…俺は冴嶋友太。神樹館の6年生だ、良かったら今度何かお礼をさせて欲しいな」

「お礼なんて別に…私は三ノ輪銀です。神樹館小学校で5年生やってます!それでは、私はこれで…」

「うん、また会おう 」

 

案内をしてくれた女生徒にお礼を言って、武器となる資料を探してみる。だが、参考になりそうな物はあまり無く帰ってからインターネットで調べた。




銀が、小学校5年生の時神樹館に居たかどうかは分からなかったので自己解釈でこれくらい良いよね?(にっこり)と思いながら書いておりました。この時点でいる理由も一応考えてはいるので、後々投稿していきます。
投稿頻度遅めです…、ご了承下さいませ。
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