Re:Spirit-encore-   作:藺草影志(OVERBLOOD)

10 / 15
千夜とリゼが登場するエピソードを再編。5話収録


Ourside 5.「[Restructuring] chiya×rise」

I.

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「待たせたな」ガチャッ

 

 

千夜「おかえりなさいリゼちゃん」

 

 

リゼ「千夜は抹茶ラテで良かったか?」

 

 

千夜「わざわざありがとう」

 

 

リゼ「そんなにかしこまらなくていいんだぞ。ほら、足くずせよ」

 

 

千夜「えっ?でも……」

 

 

リゼ「わたしたち以外誰もいないんだし気にするな」

 

 

千夜「そうよね……それじゃあ」スッ

 

 

リゼ「よし」

 

 

千夜「くるしゅうない、なーんて♪」クスッ

 

 

 

リゼ「ふぅ……お風呂上がりの一杯は格別だな」

 

 

千夜「ようやく夏が来たって感じね」

 

 

リゼ「できればみんなで味わいたかったな、まさかココアが熱でダウンとは……」

 

 

千夜「自分のせいでドタキャンになっちゃったこと気にしてたわ、治ったらみんなに謝らなきゃって」

 

 

リゼ「ははっ、あいつらしいな。……それにしても」

 

 

千夜「?」

 

 

リゼ「まさか千夜からこんな提案してくるなんて驚いたよ」

 

 

 

千夜「せっかくだからリゼちゃんと二人きりでお話したいと思って」

 

 

リゼ「二人でこっそりお泊り会か……意外と悪くないな」

 

 

千夜「なんだか背徳的な優越感があると思わない?」

 

 

リゼ「わかる気がするよ、なんかいけないことしてるみたいな」

 

 

千夜「今夜……二人でほんとにいけないことしちゃいましょうか?」

 

 

リゼ「なっ……そ、それって……!?//」

 

 

千夜「冗談よ、ふふっ♪赤くなっちゃってリゼちゃんたら」

 

 

リゼ「っ~~!千夜ぁ!」

 

 

千夜「ごめんなさい」クスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「ゲームって意外と難しいわね、えいっえいっ」ピコピコ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「ああっ!……負けちゃったわ」

 

 

リゼ「……なぁ千夜?」

 

 

千夜「んっ、どうしたの?」

 

 

リゼ「ゲームはいいんだが……どうしてわたしの膝の上で?」

 

 

千夜「……迷惑?」

 

 

リゼ「いや、別に構わないが」

 

 

千夜「ならあと少しだけ」ポスッ

 

 

リゼ「おっと」

 

 

千夜「ふぅ……」

 

 

リゼ「……千夜?」

 

 

千夜「甘える側ってこんな気持ちなのかしら……」ボソッ

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

千夜「ごめんねリゼちゃん、もう少しだけ……」

 

 

千夜「こんな新鮮な気持ち、なかなか味わえないから」ニコッ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「はい次、リゼちゃんの番よ」

 

 

リゼ「あっ、ああ」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

――IN ベッド――

 

 

千夜「誰かと一緒に寝るのって中学生のころ以来かしら」

 

 

リゼ「シャロの家に泊まったりしないのか?」

 

 

千夜「高校生になってからは全然。シャロちゃんもお年頃だから」

 

 

リゼ「いや、千夜と同い年だろ」

 

 

千夜「敵襲てきしゅう!部屋の明かりを落とせ~!」カチッ

 

 

リゼ「おいおい」

 

 

千夜「さて、そろそろ寝ましょうか」

 

 

リゼ「12時前か、いい時間だな」

 

 

千夜「こんなに夜更かししたの久しぶり」

 

 

リゼ「わたしはいつもこのくらいの時間になるかな、早く眠れて羨ましいよ」

 

 

千夜「リゼちゃん……ぎゅーっ♪」ダキッ

 

 

リゼ「わっ!千夜……」

 

 

千夜「今夜はだれもいないから、リゼちゃんに甘え放題ね」モフモフ

 

 

リゼ「お、おい……今日のお前、なにか変だぞ?//」

 

 

千夜「だって、こんな機会滅多にないじゃない」スリスリ

 

 

リゼ「……?」

 

 

千夜「年上で思う存分甘えられる相手って、おばあちゃんかリゼちゃんしかいないもの」

 

 

リゼ「……千夜」

 

 

千夜「でもほら、みんなの前でリゼちゃんに甘えるのはさすがに恥ずかしい気がして……」

 

 

千夜「だから、だれも見ていない今のうちに思う存分甘えておくの」

 

 

千夜「リゼちゃんもふもふ、もふもふ♪」

 

 

リゼ「……なぁ千夜?」

 

 

千夜「?」

 

 

リゼ「みんなの前でも甘えてきていいんじゃないか?」

 

 

千夜「えっ」

 

 

リゼ「何もお前ひとりが甘えられる側にならなくてもいいってことだ」

 

 

リゼ「お前もココアやシャロと同じ年なんだ、わたしよりも年下なんだし」ナデナデ

 

 

千夜「あ……」

 

 

リゼ「だからその……なんだ」

 

 

リゼ「大したことはできないけど、甘えたい時は甘えてきていいんだぞ?」

 

 

リゼ「特にお前はいつもわたしやみんなからも頼られてるんだしな」

 

 

リゼ「こんなので済むなら、お安い御用だよ」

 

 

千夜「……!」

 

 

千夜「……もう、リゼちゃんたらダメね」

 

 

リゼ「?」

 

 

千夜「そんなこと言われたら、わたしがシャロちゃんに嫌われちゃうわ」

 

 

リゼ「シャロ?」

 

 

千夜「何でもない、ありがとうリゼちゃん……シャロちゃんに嫌われない程度でなら、これからは素直に甘えさせてもらうわね」

 

 

リゼ「ああ……?」

 

 

千夜「ふふっ、リゼちゃん♪」スリスリ

 

 

リゼ(よく分からないが、普段と違う千夜の一面が見られただけでも良しとしよう)

 

 

リゼ(甘えんぼうな千夜……悪くない)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 ラビットハウス――

 

 

ココア「ごめんねチノちゃんもリゼちゃんも、わたしのせいで」

 

 

チノ「気にしないでください、軽い風邪で良かったです」

 

 

リゼ「まだ夏休みだし、来週にでもまた開催すればいい」

 

 

ココア「今度は大丈夫だから、前日は冷房も扇風機も付けないで寝るから」フンス

 

 

リゼ「いや、せめて扇風機はつけろよ」

 

 

チノ「脱水症状で倒れるのが目に見えます」

 

 

ガチャッ

 

 

千夜「こんにちは♪」

 

 

シャロ「おじゃまします」

 

 

ココア「千夜ちゃんシャロちゃん!」

 

 

チノ「いらっしゃいませ」

 

 

リゼ「おお、二人も来たか」

 

 

千夜「ふふっ、リーゼちゃん」ダキッ

 

 

リゼ「!?」

 

 

シャロ「ち、千夜!?」

 

 

ココア「あ、二人ともずるーい!わたしももふもふする~!」

 

 

リゼ「お、おい千夜……!//」

 

 

千夜「いつでも甘えていいんでしょ?リゼちゃんもふもふ」

 

 

リゼ「た、確かにそう言ったが……うぅ//」

 

 

シャロ「ちち、千夜!リゼ先輩が困ってるじゃない!早く離れなさいよ!」グイッ

 

 

ココア「わたしもリゼちゃんもふもふ!」ギュッ

 

 

千夜「リゼちゃん助けて~シャロちゃんが意地悪するわ~!」ギュッ

 

 

リゼ「うぁぁ……だ、誰かぁー!わたしを甘えさせてくれー!」

 

 

チノ「…………」ウズウズ←混ざりたい

 

 

――おしまい?

 

 

 

――深夜 ラビットハウス――

 

 

タカヒロ「……………………」

 

 

リゼ父「……………………」

 

 

タカヒロ「……静かだな」

 

 

リゼ父「ああ」

 

 

タカヒロ「………………」

 

 

リゼ父「なぁタカヒロ?」

 

 

タカヒロ「んっ?」

 

 

リゼ父「小さい頃みたいに娘から甘えられたい、頼りにされたい、何かいい方法はないか?」

 

 

タカヒロ「こっちが聞きたい」

 

 

タカヒロ&リゼ父「……………………」

 

 

リゼ父「……静かだな」

 

 

タカヒロ「ああ」

 

 

 

II.

 

――甘兎庵――

 

 

リゼ「千夜、おはよう」ガラッ

 

 

千夜「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「夏休みの宿題か?」

 

 

千夜「ええ」

 

 

リゼ「早く終わらせておいた方がゆっくり遊べるもんな」

 

 

千夜「……うん」

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「なぁ、千夜」

 

 

リゼ「それが終わったら、一緒にお店出てみないか?」

 

 

千夜「…………」ウツムキ

 

 

リゼ「あっ、嫌だったらいいんだぞ!……そっか……そうだよな」

 

 

千夜「……ごめんなさい」

 

 

リゼ「いいんだ、わたしのほうこそすまない」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「千夜……?」

 

 

千夜「ふふっ……おかしいわよね、あんなに甘兎庵を全国進出させるって張り切ってたのに」

 

 

リゼ「………………」

 

 

 

千夜「あんなことくらい、接客業なら日常茶飯事なのに……ダメね、わたしってメンタル弱いわ」

 

 

千夜「ほんとにダメ……」

 

 

リゼ「……嫌なことがあったら誰だって悲しいし、落ち込んだりするさ」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「ましてやお前はあんまり人の悪意なんて知らなかっただろうから、余計にショックが大きかったのも分かる」

 

 

千夜「…………」グスッ

 

 

リゼ「人に平気で嫌な思いをさせる人間って、世の中にはたくさんいるんだよ」

 

 

千夜「…………」ポロポロ

 

 

リゼ「……千夜、しばらく何も考えないでゆっくり休んでみろよ」

 

 

リゼ「そうしたらまた、なにか見えてくるさ」

 

 

千夜「……そう…かしら」

 

 

リゼ「ああ、だから今はなにも気にしなくていいんだぞ」

 

 

千夜「……ごめんなさい」

 

 

リゼ「いいさ、誰だってそんな時があるんだよ……お前だけじゃない」

 

 

千夜「っく……ぐすっ……ひっく……!」ジワッ

 

 

リゼ「また明日も、会いに来るよ」

 

 

 

――1週間後 公園――

 

 

リゼ「どうだ、久しぶりの外の空気は?」

 

 

千夜「そうね……なんだか新鮮な気分だわ」

 

 

リゼ「あとでラビットハウスやシャロの家にも寄ろう、みんな心配してたぞ?」

 

 

千夜「うん、たくさんメールが来たから」

 

 

リゼ「みんな、お前が元に戻るのを心待ちにしてるんだ」

 

 

千夜「……優しいのね、みんな」

 

 

リゼ「ああ、世の中には色んな人間がいるんだよ」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「千夜……?」

 

 

千夜「この町に住んでるのは、良い人たちばかりじゃないのよね」

 

 

千夜「こうして見てると、そんな風には見えないのに……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「なぁ千夜、一緒にこの原っぱに寝ころんでみないか?」

 

 

千夜「えっ?」

 

 

リゼ「服なんか後で洗えばいいんだよ、ほら」グイッ

 

 

千夜「きゃっ……」ポスッ

 

 

リゼ「ふぅ……」

 

 

リゼ「どうだ、いい景色だろ?」

 

 

千夜「もう、リゼちゃんたら強引ね」

 

 

リゼ「悩んでるときは思い切って行動した方が解決するんだよ」

 

 

千夜「……そうよね」

 

 

リゼ「………………」

 

 

 

リゼ「お店に出るの、まだ怖いか?」

 

 

千夜「……ううん」

 

 

リゼ「そうだよな、千夜はこんなことをいつまでも引きずるような器じゃない」

 

 

リゼ「だからきっと、他のことで悩んで立ち止まっているんだって思ってたよ」

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「リゼちゃん……くだらない話、聞いてもらってもいいかしら?」

 

 

リゼ「ああ、なんでも話してみろ」

 

 

 

千夜「……なんだかね……疲れちゃったの」

 

 

リゼ「疲れた、か」

 

 

千夜「あっ、別に甘兎庵が面倒になったとかじゃなくて……」

 

 

千夜「……以前まで持ってた情熱とかやる気とか、自分の中から嘘みたいに無くなっちゃってて」

 

 

千夜「なんだか……本当に自分が空っぽになったみたいな気がして」

 

 

千夜「こんな中途半端な気持ちで接客しても、きっと甘兎庵にもお客さんにも迷惑をかけるだけだと思うの」

 

 

リゼ「……なるほどな」

 

 

千夜「あんなことで甘兎庵進出の野望も、きれいさっぱり無くなっちゃうなんて……」

 

 

リゼ「ほんの些細なきっかけひとつで、人の性格や人生って良くも悪くも変わってしまうもんなんだよ」

 

 

リゼ「千夜の場合、たまたまそれがこんな出来事だったってだけだ」

 

 

千夜「……甘兎庵は、本当にわたしの叶えたい夢じゃなかったのかしら」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「ダメね……おばあちゃんにもアンコにも、合わせる顔が無いわ」

 

 

リゼ「……お前にとって甘兎庵がどんな存在だったのか、それはわたしにも分からないけど」

 

 

 

リゼ「でもな――意外と簡単には無くならないんだぞ、叶えたい夢とか、好きなことに対する情熱って」

 

 

 

千夜「え……」

 

 

リゼ「ほら、わたしってミリタリーとか好きだろ?モデルガンとかナイフとか」

 

 

リゼ「でもやっぱり女子でそういうのが好きだと周りから変な目で見られてしまうみたいでな、お前たちと会うまでろくに友達もできなかったよ」

 

 

 

リゼ「だから中学生くらいの頃かな、一度だけミリタリー趣味をやめようとしたことがあるんだ」

 

 

千夜「リゼちゃんが?……でも」

 

 

リゼ「ああ、結局やめられなかった」

 

 

リゼ「とはいっても、最初の頃は上手くいってたんだ。天体観測とかゲームとか、他に気を移すものもたくさんあったし」

 

 

リゼ「5か月もすれば、もうミリタリー趣味なんて情熱の欠片も無くなってたよ」

 

 

リゼ「でもな……ある日懐かしくなって裏庭の射撃場をふと覗いてみたんだ」

 

 

リゼ「そしたらさ、なんだか久しぶりに的を撃ってみたい衝動に駆られて」

 

 

千夜「ふふっ……撃っちゃった?」

 

 

リゼ「ああ、でもさすがにスランプだったのか、百発百中だったはずの射撃が一発も当たらなくなっててな」

 

 

リゼ「やっと一発当たったとき……ほんとにうれしかったよ」

 

 

リゼ「なんて言えばいいのかな、初めてミリタリーにハマったときの情熱とかが一気に蘇ってきたみたいでさ」

 

 

リゼ「初めてできた頃のすごく嬉しかった気持ち、思い出したんだ」

 

 

千夜「……!」

 

 

リゼ「その時気付いたんだよ、ああ、そういえば忘れてたなぁって。どうしてミリタリーを好きになったのか」

 

 

リゼ「いつのまにか当たり前になってたことが初めてできた時はすごく嬉しかったから、だからあんなに好きになったんだって」

 

 

リゼ「あの初めてできたときの感激が、今ではもう忘れられなくてな」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「いまは空っぽでもさ、千夜にもまたいつかそんな時が来ると思う」

 

 

リゼ「わたしにはあの頃のお前の情熱が嘘だったとは、到底思えないんだ」

 

 

千夜「リゼちゃん……」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「……少し脱線したな、すまない」

 

 

リゼ「さて、そろそろラビットハウスにでも行くか」

 

 

千夜「あの、リゼちゃん……わたし……」

 

 

――ポン ナデナデ

 

 

千夜「あ……」

 

 

リゼ「行きしなに、シャロの家にも寄るか」ニコッ

 

 

千夜「……うん♪」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――IN ベッド――

 

 

千夜(初めてできた時の感激……か)

 

 

千夜(そういえば、わたしも初めてお客さんにありがとうって言ってもらえた時、嬉しくてしょうがなかったっけ……)

 

 

千夜(おばあちゃんに全ての接客を任されたときは、甘兎庵を一人で引っ張っていくくらいのつもりで……)

 

 

千夜(でも、それがいつのまにか当たり前になってて……感動も実感も忘れて、嫌なことだけに目がいって……)

 

 

千夜(甘兎庵を大きくしたいと思ったあの時の気持ち、すっかり忘れてたわ)

 

 

千夜「……ふふっ、リゼちゃんの言うとおりね」

 

 

千夜「……アンコ?わたし、また明日から頑張れるかな?」

 

 

アンコ「」フンス

 

 

千夜「ありがとうアンコ……また二人で、初心に返ってやり直しましょう」

 

 

アンコ「」フムフム

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 甘兎庵――

 

 

リゼ「…………」ガチャッ

 

 

千夜「いらっしゃい♪」

 

 

リゼ「!……千夜」

 

 

千夜「今日のおススメは原点に戻って、甘兎庵名物の千夜月よ」

 

 

リゼ「そうか……また、頑張るんだな」

 

 

千夜「だってわたしには、甘兎庵の世界進出っていう大きな野望があるわ」

 

 

千夜「今日はその野望に近づくための、大事な一歩だから」ニコッ

 

 

千夜「昨日よりも前に進むの、いつかの明日のために」グッ

 

 

リゼ「千夜……」

 

 

千夜「リゼちゃん、長い間ごめんね……わたし、もう大丈夫よ」

 

 

千夜「これが、本当にわたしの好きなこと……叶えたい目標……」

 

 

千夜「だから、続けるわ♪」

 

 

リゼ「ああ……ああ!それでこそ千夜だよ」

 

 

千夜「ふふっ、リゼちゃんぎゅー」ギュッ

 

 

リゼ「おいおい」クスッ

 

 

千夜「ありがとうリゼちゃん……大好きよ」ボソッ

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

千夜「ううん、なんでも♪」

 

 

リゼ「?」

 

 

 

III.

 

――お昼 リゼの部屋――

 

 

千夜「ココアちゃんたちまだかしら……」

 

 

リゼ「いや、千夜が早すぎただけだと思うぞ」

 

 

千夜「待ち合わせには10分前に行かなきゃいけないって、おばあちゃんが言ってたわ」

 

 

リゼ「時間間違えて1時間前に来ちゃっただけだろお前の場合」

 

 

千夜「ねぇリゼちゃん、時間はお金よりも貴重だと思わない?」

 

 

リゼ「どうしたんだいきなり……」

 

 

千夜「だから、絶対に無駄にしちゃいけないと思うの」

 

 

リゼ「まぁ、そうだろうな」

 

 

千夜「だから残りの時間で普段できないようなことをするわ」

 

 

リゼ「できないこと?」

 

 

千夜「――えいっ」ゴロン

 

 

リゼ「!」

 

 

リゼ「……膝枕?」

 

 

千夜「一度されてみたかったの」ニコッ

 

 

千夜「リゼちゃん、お膝借りてもいいかしら?」

 

 

リゼ「ああ、別に構わないが」

 

 

 

千夜「ありがとう、くるしゅうないわ♪」

 

 

千夜「ふぅ~…………」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「ふふっ……いい気分」

 

 

リゼ「こんなのでよければいつでもいいぞ」

 

 

千夜「ううん、こういうのは毎日やると魅力が薄れちゃうから」

 

 

千夜「こうしてリゼちゃんと二人きりになった時だけにしておくわ」

 

 

リゼ「そっか、そんなものか」

 

 

千夜「でもいいわこれ……リゼちゃんの膝枕ってどこかに売ってないかしら」

 

 

リゼ「さっきと言ってることが逆だぞ」ナデナデ

 

 

千夜「んっ……♪」

 

 

リゼ「髪の毛サラサラだな」ナデナデ

 

 

千夜「しあわせぇ~……」ニヘラ

 

 

リゼ(可愛い……)

 

 

 

千夜「……眠たくなってきたわ」ウトウト

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

千夜「リゼちゃんの手あったかい……ポカポカね」

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「このまま、ココアちゃんたちが来るまで寝ちゃおうかしら……」

 

 

リゼ「……なぁ、千夜?」

 

 

千夜「……?」

 

 

リゼ「その、すごく言い辛いんだが……」

 

 

千夜「どうしたの?」

 

 

リゼ「――ココアとチノが、もう来てるんだけど」

 

 

千夜「」

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「」チラッ

 

 

ココア「千夜ちゃんの意外な一面……!」キラキラ

 

 

チノ「千夜さんおはようございます、気持ちよかったですか?」クスッ

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「~~//」プシュー

 

 

リゼ(あの千夜が照れた……)

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「はいリゼちゃん、おまちどうさま」コトン

 

 

リゼ「ありがとう、閉店時間ギリギリにすまないな」

 

 

千夜「ううん、来てくれて嬉しいわ。店番の時はほとんどシャロちゃんにしか会えないから」

 

 

リゼ「千夜とシャロは毎日ひとりだもんな」

 

 

千夜「この前みたいにリゼちゃんが一緒に働いてくれればいいんだけど」

 

 

リゼ「あれは短期のバイトで……まぁ、今日みたいに時々掃除くらいなら手伝いに来るよ」

 

 

千夜「ふふっ、ありがとう♪」

 

 

 

千夜「向かいの席、お邪魔するわ」コトン

 

 

リゼ「んっ……それ、栗羊羹か?」

 

 

千夜「ええ、友達想いの優しいリゼちゃんにサービスよ」

 

 

リゼ「気持ちは嬉しいけど、でも、これ以上食べたら後が怖いし……」

 

 

千夜「そうね、だから一口だけあげちゃう」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

千夜「はいリゼちゃん、あーん」ニコッ

 

 

リゼ「い、いや、自分で食べられるから……//」

 

 

千夜「早くしないと落ちちゃうわ~」

 

 

リゼ「おい千夜……くっ……//」

 

 

――パクッ

 

 

千夜「一度やってみたかったの、これ」

 

 

リゼ「……千夜って時々暴走するよな、誰かと二人きりだと特に」モグモグ

 

 

千夜「そうね、みんなといる時よりも素が出せるからかしら」

 

 

千夜「リゼちゃんはなんでも受け入れてくれるから特に……ね」

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

千夜「ううん、なんでもないわ」クスッ

 

 

 

リゼ「そろそろ夏も終わりだな」

 

 

千夜「名残惜しいわ、やり残したことはまた来年ね」

 

 

リゼ「やり残したこと?」

 

 

千夜「ええ、ほんとはリゼちゃんと一緒にやりたいことがあったんだけど」

 

 

リゼ「みずくさいな、言ってくれれば一緒にやるぞ?」

 

 

千夜「でも、わたしのわがままだし……」

 

 

リゼ「千夜はいつも我慢してるんだし遠慮するな、わたしにできる範囲なら応えるから」

 

 

千夜「……いいの?」

 

 

リゼ「もちろん、何がしたいんだ?」

 

 

千夜「えっとね……リゼちゃんと一緒に――」

 

 

 

――山奥 別荘――

 

 

千夜「」ニコニコ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「♪~♪♪」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「あっ、飛び跳ねたわ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「ふふっ、なかなか釣れないわね」

 

 

リゼ「……驚いたよ、まさか千夜の口から釣りがしたいだなんて」

 

 

千夜「去年みんなと来た時はメグちゃんと一緒に山菜探しに行ってたから」

 

 

千夜「わたしも一度やってみたいと思ってたの」ニコッ

 

 

リゼ「……すまないな、いつも損な役回りばかりさせて」

 

 

千夜「そんなことないわ、むしろみんなにはわがままを聞いてもらってばかりよ」

 

 

千夜「ココアちゃんにもチノちゃんにも、シャロちゃんにも……こうしてリゼちゃんにも」

 

 

リゼ「こんなのはわがままって言わないよ」

 

 

千夜「……リゼちゃん、人に甘えたこととかないでしょ」

 

 

リゼ「どうしたんだいきなり?」

 

 

千夜「ううん、リゼちゃんはいつになったら私たちにわがまま言ってくれるのかなって」

 

 

リゼ「……そうだな、わがままが思いついたら……かな」

 

 

千夜「待ってるわ、ずっと」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

千夜「♪~♪♪~」

 

 

リゼ「いい天気だな、今日は」

 

 

千夜「ええ、釣り日和よね」

 

 

 

千夜「ああっ……また逃げられちゃった」

 

 

リゼ「針が上手くかかってないんだろうな」

 

 

千夜「まだ諦めないわ、えいっ」ビュッ

 

 

リゼ「うーん、1時間経つのにわたしの方はまるっきりだな」

 

 

千夜「釣りって意外と釣れないものね」

 

 

リゼ「どうだ、思っていたよりずっと地味な作業だろ」

 

 

千夜「そうね、でもなんだか楽しい」クスッ

 

 

リゼ「……そうか、良かった。がっかりしてるかと思ってたよ」

 

 

千夜「そんなことない、むしろ想像していたよりずっと楽しいわ」

 

 

千夜「連れてきてもらって、ほんとに良かった」

 

 

リゼ「わたしも、千夜と一緒にまた来れて良かったよ」

 

 

千夜「……ほんとはみんなで、来たかった?」

 

 

リゼ「そうだな……でも今は偶然とはいえ、二人きりで良かったと思ってる」

 

 

千夜「ふふっ、わたしも」ニコッ

 

 

千夜「……ねぇ、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

千夜「また時々、こうして二人でデートしましょうね」

 

 

リゼ「デートって……まぁ、千夜がわたしなんかでいいなら」

 

 

千夜「あっ、くれぐれもシャロちゃんには秘密でお願いするわ」

 

 

リゼ「シャロに……?良く分からんが、了解だ」

 

 

千夜「ありがとう、リゼちゃんだーいすき♪」ギュッ

 

 

リゼ「おいおい」クスッ

 

 

千夜「無理やりにでもラビットハウスさんから頂いちゃおうかしら」スリスリ

 

 

リゼ「いや、さすがにそれは――って!おい千夜、竿ひいてるぞ!」

 

 

千夜「えっ!?あっ……!これは大物ね!」

 

 

ヤマメカシラ? ソレトモニジマス? イイカラハヤクマケ!

 

 

 

――キノカゲ

 

 

リゼ父(あの女……まさか、娘とそういう関係なのか!?)←運転手に頼んでこっそりトランクに入ってた人

 

 

 

千夜「やった!釣れたわ!リゼちゃん、わたしやったわ!」キャッキャッ

 

 

リゼ「すごいぞ千夜!大物じゃないか!」

 

 

 

リゼ父(ハグだと!?挙句にリゼのあの笑顔……!)

 

 

リゼ父「ああ……あ…………」ガクガク

 

 

――おしまい?

 

 

 

――翌日 夕方――

 

 

リゼ父「甘兎庵……ここか!」

 

 

リゼ父(俺の娘をたぶらかしたんだ、きっちり落とし前はつけてもらうぞ……!)

 

 

リゼ「久しぶりの、戦争だ」ゴキゴキ

 

 

リゼ父「……邪魔するぞ」ガチャッ

 

 

お婆「いらっしゃい」ムスッ

 

 

リゼ父「おい婆さん、あんたのところにロングヘアの女が――」

 

 

お婆「初対面で目上に向かって婆さんとはなんだい!!」

 

 

リゼ父「!?」ビクッ

 

 

お婆「ここは甘兎庵、甘味処だよ!和菓子を食べないなら出ていく、食べるならお客として礼儀正しく振舞う!どっちだい!?」

 

 

リゼ父「えっと……!」アセアセ

 

 

お婆「ご注文は!?」

 

 

リゼ父「ひっ!?よ、羊羹でももらおうかな」

 

 

お婆「千夜月かい?全く、血圧を上げさせんじゃないよ」

 

 

リゼ父(なんだあの軍人よりおっかない婆さんは……!?タカヒロの言う通りやめとけばよかった……)

 

 

リゼ父(リゼ、すまない……弱い俺を許してくれ)グスッ

 

 

リゼ「――親父?」

 

 

リゼ父「えっ……?」

 

 

リゼ「こんなところで何やってるんだ?甘いもの苦手じゃなかったっけ?」

 

 

リゼ父「リゼ……?」

 

 

千夜「まぁ、リゼちゃんのお父さん?いらっしゃいませ」ニコッ

 

 

リゼ父「リゼ、どうしてお前がここに……?」

 

 

リゼ「い、いや……その……」

 

 

リゼ父「まさか……同棲か!?」

 

 

リゼ「違う!……えっと」ゴニョゴニョ

 

 

千夜「リゼちゃん、お父さんのお誕生日に高級なワインオープナーを贈るためにここでバイト中なんです」

 

 

リゼ「千夜っ!?」

 

 

リゼ父「……!!」

 

 

リゼ「~~~っ//」

 

 

リゼ父「リゼ……本当なのか?」

 

 

リゼ「……ほら、注文の千夜月だ。糖尿病には気を付けてくれよ//」

 

 

リゼ父「……っ!リゼ!リゼぇ~~!!」ギュッ

 

 

リゼ「なっ!?ばかっ、やめろセクハラ親父!//」

 

 

リゼ父「大好きだ!愛してるぞぉ~!」スリスリ

 

 

リゼ「わかったから離れろ!」

 

 

千夜(ほほえまぁ~♪)ニコニコ

 

 

お婆「………………」

 

 

お婆「」モクトウ ブンッ!

 

 

 

――深夜 ラビットハウス――

 

 

リゼ父「今日は気分がいい、一番高い酒を開けてくれ」フッ

 

 

タカヒロ「どうでもいいが、どうしてそんなに傷だらけなんだ?」

 

 

 

IV.

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(最近千夜が可愛い……どうしようもなく可愛い)

 

 

リゼ(千夜の新たな可愛さをもっと世に知らしめるべきだと思う)

 

 

リゼ(そこで、可愛いの鉄板といえばそう、『笑顔』と『涙目』だ)

 

 

リゼ(笑った千夜は可愛いが、涙目になっている千夜はもっともっと可愛いはず!)

 

 

リゼ「ということで、明日からいざ決行だ」

 

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

ココア「千夜ちゃんまだかな?」

 

 

チノ「もうすぐだと思います、シャロさんはアルバイトで夕方になるそうですが」

 

 

ココア「千夜ちゃんが来たら夕飯までみんなで遊ぼうね!」

 

 

チノ「仕事してください」

 

 

ココア「リゼちゃんの手料理楽しみだなぁ」

 

 

リゼ「期待しててくれ、今回のは自信作だ」

 

 

リゼ(今夜はみんなに手料理をごちそうすると提案してみた……あとは――)

 

 

リゼ「あっ……すまない、ココア、チノ、ちょっといいか?」

 

 

ココア「ん?」

 

 

チノ「どうかしましたか?」

 

 

 

リゼ「ネギと豆腐を買い忘れたみたいだ。お金渡すから買ってきてくれないか?わたしは今から下ごしらえがあるから」

 

 

ココア「おつかいだね!いいよ」

 

 

チノ「でしたらココアさん一人でお願いします、わたしはお店番がありますので」

 

 

リゼ「いや、できればチノも付いて行ってほしい。お店番にせよおつかいにせよココア一人だと不安だからな」

 

 

チノ「確かにそうですね……」

 

 

ココア「どういう意味!?」

 

 

リゼ「わたしがいるから心配ないぞ、二人でのんびり行ってきてくれ」

 

 

チノ「分かりました、すぐに戻りますので。ココアさん行きますよ」

 

 

ココア「あっ、チノちゃん待って~!」タタタ

 

 

ガチャッ バタン

 

 

リゼ(……よし、完璧だ)

 

 

リゼ(あとは千夜が来るのを窓から確認して……)

 

 

 

……5分後。

 

 

 

リゼ(……――来た!)

 

 

リゼ(ドアにもたれ掛かってと……)

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

千夜(今日はみんなで夕食……楽しみね)

 

 

千夜(料理もできてお裁縫もできて勉強も運動もできて……リゼちゃんってほんとすごいわ)

 

 

千夜(わたしも見習わないと)ガチャッ

 

 

千夜「……?開かない……」

 

 

リゼ『友達?はは、冗談言うなよ』

 

 

千夜(リゼちゃんの声……お取込み中かしら?)

 

 

リゼ『そりゃココアやチノの前では言わないけど』

 

 

千夜(ココアちゃんとチノちゃんじゃない……ということは電話?)

 

 

千夜(シャロちゃんとかしら?)スッ

 

 

リゼ『千夜は友達なんかじゃないぞ』

 

 

千夜「――え」

 

 

リゼ『ああ、そろそろ来ると思うから切る』

 

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

 

リゼ『ふぅ……』

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜(さっきの、間違いなくリゼちゃんの声……)

 

 

千夜(千夜は……友達じゃない……)

 

 

千夜(……嘘)

 

 

千夜(わたし……リゼちゃんに――)

 

 

リゼ「――千夜?」ガチャッ

 

 

千夜「ひゃっ!?」

 

 

リゼ「どうしたんだ、こんなところで突っ立って?」

 

 

千夜「ええと……」アセアセ

 

 

リゼ「……まさか、さっきからずっとここにいたとかじゃないよな?」

 

 

千夜「っ!ううん、いま来たところ」

 

 

リゼ「そうか、良かった」ニコッ

 

 

千夜「……」ビクビク

 

 

リゼ「寒いだろう、入れよ。ホットミルクでも飲むか?」

 

 

千夜「うん……」

 

 

千夜「………………」シュン

 

 

リゼ(どうやら成功したようだ、かなりショックを受けてるな)

 

 

千夜「…………」トボトボ

 

 

リゼ(しょんぼりしている千夜可愛い……)

 

 

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「千夜」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「千夜、おい千夜」

 

 

千夜「!な、なにかしら?」

 

 

リゼ「ホットミルク、早く飲まないと冷えちゃうぞ」

 

 

千夜「あ……ごめんなさい……」

 

 

千夜「…………」ズズッ

 

 

リゼ「……千夜、なにかあったのか?」

 

 

千夜「!ううん、なにも」

 

 

リゼ「そうか?なにかあったらすぐに言えよ。わたしなんかじゃ頼りないかもしれないけどさ、出来る限り力になるから」

 

 

千夜「……うん」

 

 

リゼ「千夜は大事な友達だからな」

 

 

千夜「……」ウルッ

 

 

リゼ「千夜?」

 

 

千夜「なんでもないの……ちょっとあくびが出て」グスッ

 

 

リゼ「温かいものとか飲むとつい眠くなるよな」

 

 

千夜「そうね………ぐすっ…ぇぐ……」ウルウル

 

 

リゼ(必死に涙を堪える千夜可愛い……可愛すぎるぞ!)

 

 

 

 

――夕方 キッチン――

 

 

リゼ「♪~♪♪」ジュー

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「んっ、千夜か。どうしたんだ?」

 

 

千夜「わたしもなにかお手伝いしたいと思って……」

 

 

リゼ(さっきのことを気にして……千夜らしいな)

 

 

リゼ(……聞こえるように舌打ちしてみよう)

 

 

リゼ「……」チッ

 

 

千夜「あ……ご、ごめんなさいリゼちゃん、迷惑なら部屋に戻って――」

 

 

リゼ「いや助かるよ、なら冷蔵庫の絹ごし豆腐を半分に切ってくれないか?崩れやすいから気を付けてな」

 

 

千夜「え……でもいま……」

 

 

リゼ「ん、手伝ってくれないのか?」

 

 

千夜「!ううん、分かった……」

 

 

千夜「…………」ビクビク

 

 

リゼ(あの千夜がビクビクしてる……かわいそうだけど可愛い)

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ(さすがに慣れてるな……ふむ)

 

 

リゼ「…………」

 

 

――ドカン!

 

 

千夜「ひゃっ!?あ……」ベシャッ

 

 

リゼ「すまない、大根を切ってたら固い部分が一気に切れて……――!豆腐が……」

 

 

千夜「ごめんなさい!すぐに近くのスーパーで買って――」

 

 

リゼ「いや、いいよ。わざわざ買いに行かなくても」

 

 

千夜「あ……」

 

 

リゼ「しょうがない、冷奴はやめて味噌汁にするか」

 

 

千夜「……ごめんなさいリゼちゃん、わたしのせいで」

 

 

リゼ「気にしなくていい、わたしも悪かったんだ。もう大丈夫だから部屋に戻っていいぞ」

 

 

千夜「でも……」

 

 

リゼ「はぁ…………」

 

 

千夜「……!」

 

 

千夜「…………」シュン

 

 

リゼ(天使をいじめたりして……わたしは最低だ)←賢者モード

 

 

リゼ(……あと一日だけ。すまない千夜)

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

――甘兎庵 浴室――

 

 

千夜「…………」チャポン

 

 

千夜(わたし、リゼちゃんに嫌われるようなこと、何かしちゃったのかな……)

 

 

千夜(冗談ばかり言ってたから……?いつも乗ってくれるからすっかり安心してた……)

 

 

千夜「……」シュン

 

 

千夜(リゼちゃんにとってわたしは、友達じゃなくてただの知り合い……?)

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜(一緒にパンを作ったり、アルバイトしたり、マラソンしたり……仲良しになれてるって思ってたのに……)

 

 

千夜「……」ウルッ

 

 

千夜「全部……わたしの、ひとりよがりで……」グスッ

 

 

 

リゼ『千夜は友達なんかじゃないぞ』

 

 

 

千夜「リゼちゃん……」ポロポロ

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

千夜「アンコ……?」スッ

 

 

千夜「明日からわたし、リゼちゃんにどう接したらいいと思う?」

 

 

千夜「友達でもない人が馴れ馴れしくしたら、迷惑よね……」

 

 

アンコ「……」

 

 

千夜「これ以上、リゼちゃんに嫌われたくないし……」

 

 

アンコ「……」

 

 

千夜「…………」ウツムキ

 

 

千夜「ごめんなさいって謝れば、好きになってくれるかしら……」

 

 

シャロ「千夜?」トントン

 

 

千夜「!……シャロちゃん?」

 

 

シャロ「入ってもいい?」

 

 

千夜「うん」

 

 

ガラッ

 

 

シャロ「おばあちゃんから聞いたわ、今日はいつもより元気が無さそうだって」

 

 

千夜「そんなことないわ、気のせいよ」

 

 

シャロ「ふぅん?」ジー

 

 

千夜「…………」

 

 

千夜(もしあの電話の相手がシャロちゃんだとしたら、シャロちゃんは知ってるのよね……わたしがリゼちゃんに嫌われてるって)

 

 

シャロ「なにか悩んでるなら相談くらい乗るわよ?」

 

 

千夜「ありがとう。……ねぇ、シャロちゃん?」

 

 

千夜「……リゼちゃんって、わたしのこと嫌いなのかしら……」

 

 

シャロ「はぁ?リゼ先輩が?そんなはずないでしょ」

 

 

千夜「ほんとう……?」

 

 

シャロ「当たり前じゃない、千夜だってリゼ先輩のこと好きでしょう?」

 

 

千夜(この反応だとシャロちゃんじゃない……だとしたら誰?)

 

 

シャロ「どうしたのよ急に、まさか先輩と喧嘩でもしたの?」

 

 

千夜「……ううん」

 

 

シャロ「……ねぇ千夜?言いにくいなら無理には聞かないけど、もしリゼ先輩と何かあったなら先に謝ってみたら?絶対オウム返しが返って来るはずだから」

 

 

シャロ「もし言いにくいんだったらわたしも手伝うから。千夜にもリゼ先輩にも悩んでほしくないし……」

 

 

千夜「シャロちゃん……」

 

 

千夜「……そうよね、早く解決しないといけないわ」

 

 

千夜(リゼちゃん本人から直接聞けば、すべて解決することばかりだものね)

 

 

千夜「ありがとうシャロちゃん、わたし頑張ってみる」

 

 

シャロ「んっ、一緒に行かなくて大丈夫?」

 

 

千夜「ええ、大丈夫よ」

 

 

シャロ「……そう」プイッ

 

 

千夜「くすっ、ありがとうシャロちゃん。またシャロちゃんに助けてもらって……わたしって本当に臆病ね」

 

 

シャロ「それはお互い様、わたしも千夜に助けてもらったこと何度もあるし」

 

 

千夜「シャロちゃん……ふふっ、ぎゅーっ♪」

 

 

シャロ「抱き付くなぁ!//」

 

 

千夜(明日は土曜日……朝早く行けば、リゼちゃんと二人きりになれるかしら)

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

――翌日 早朝 ラビットハウス――

 

 

リゼ(昨日は最高だったな……やっぱりしょんぼりしている千夜は可愛い)

 

 

リゼ(でもあんまりやり過ぎると嫌われるよな……今日は少し自重するか、ドッキリなのも打ち明けないと……)

 

 

――トントン

 

 

リゼ(んっ、お客さんか?まだ看板も出してないのに)

 

 

千夜「おじゃまします……」ガチャッ

 

 

リゼ「!千夜……」

 

 

千夜「リゼちゃんだけ?チノちゃんとココアちゃんは?」

 

 

リゼ「チノは朝食を食べてるよ、ココアはいつも通りの寝坊だ」

 

 

千夜「そう……」

 

 

リゼ「あの二人になにか用か?」

 

 

千夜「ううん……今日は、リゼちゃんに用があって来たの」

 

 

リゼ「わたしに?」

 

 

千夜「…………」コクリ

 

 

リゼ「何か相談ごとか?」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「言いにくいのか?」

 

 

千夜「…………」コクリ

 

 

リゼ(たぶん昨日のことだろうな……仕方ない、さすがに可哀そうだしそろそろドッキリだとばらしてあげるか)

 

 

リゼ「千夜、あのな、昨日の電話は――」

 

 

千夜「」ジワッ

 

 

リゼ「!?」

 

 

千夜「っく……ぇぅ……」ポロポロ

 

 

リゼ「ち、千夜っ!?すまない、昨日の件はだな――」

 

 

千夜「リゼちゃん!」ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「ごめんなさい……ごめんね……もう冗談言ったりしないから」

 

 

千夜「だから、わたしの友達でいて……友達でいてくれなきゃいや……」ガシッ

 

 

リゼ「……!」

 

 

千夜「こんなにリゼちゃんのこと大切に想ってるのに……好きなのに……ぐすっ、リゼちゃんにとってわたしは友達じゃないなんて……そんなのいやぁ……」ポロポロ

 

 

リゼ「千夜……」

 

 

千夜「リゼちゃん……うぅっぇえ……」ポロポロ

 

 

リゼ「……千夜」

 

 

千夜「…………?」

 

 

リゼ「千夜は、わたしの友達なんかじゃない」

 

 

千夜「……!」

 

 

千夜「いやっ……嫌いにならないでリゼちゃん……!」ポロポロ

 

 

リゼ「千夜は……千夜は――」

 

 

リゼ「千夜はわたしの女神だぁああ!!」ギュッ

 

 

千夜「!?」

 

 

リゼ「すまない!もう二度とこんなことしない!だから許してくれっ!」スリスリ

 

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

 

リゼ「全部ドッキリなんだ!ごめんな千夜!ごめんなぁ!!」

 

 

千夜「ドッキリ……」

 

 

リゼ「わたしは最低だ!こんなに優しい千夜をいじめるなんて!千夜ぁ……」ギュッ

 

 

千夜「そうだったの……あの電話も、嘘だったのね」

 

 

リゼ「ああ、わたしと千夜はずっとずっと友達だぞ、いや親友だ、千夜さえよければこれからもずっと一緒にいよう」

 

 

千夜「……」グスッ

 

 

リゼ「千夜!もう泣かないでくれ!ごめんな!」ナデナデ

 

 

千夜「ううん、違うの。安心したら涙が出てきて……良かった、ほんとうに良かった……」ポロポロ

 

 

リゼ「すまない……わたしのこと、許してくれるか?」

 

 

千夜「うん……だってわたしたち、ずっと親友なんでしょ?ねっ、リゼちゃん?」ニコッ

 

 

リゼ「……!千夜……千夜ぁあああ!!」スリスリ

 

 

千夜「リゼちゃん……ふふっ♪」

 

 

――モノカゲ

 

 

チノ(千夜さんとリゼさん……まさか、そういう関係ですか……!?//)

 

 

ココア「ふぁあ……ふぉえ?チノちゃん、こんなところで何してるの?」

 

 

チノ「ココアさんっ!しーっ……」

 

 

ココア「?」

 

 

 

リゼ「千夜っ!可愛いなぁもう!」

 

 

千夜「リゼちゃん、少し痛いわ……!」

 

 

結論:千夜は天使、女神。

 

 

 

V.

 

――リゼの部屋――

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「すぅ……すぅ……」Zzz

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「ん…………」Zzz

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「」

 

 

 

リゼ(どうしよう、帰ってきたらなぜか千夜がわたしのベッドで寝てる……)

 

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(いくら考えても埒が明かないか)

 

 

リゼ「おい、千夜」ポンッ

 

 

千夜「むにゃ…………」Zzz

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「千夜、起きろ」ツンッ

 

 

千夜「ん……にぅ……」Zzz

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

 

千夜「ふぁ……ぇへへ……」Zzz

 

 

 

リゼ(かわいい……)

 

 

リゼ(しょうがない、起きるまでそっとしておいてやるか)

 

 

リゼ(ベッドにダイブできなかったのがある意味幸いだ、今のうちに課題を終わらそう)

 

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

 

千夜「ふぇ…………」Zzz

 

 

リゼ(無防備だな……)クスッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「…んっ………」パチッ

 

 

千夜「……あれ、ここは……?」ポワポワ

 

 

リゼ「おっ、千夜、起きたか」

 

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

 

リゼ「おはよう、もう7時だけど」

 

 

千夜「どうしてリゼちゃんがウチに……?」

 

 

リゼ「寝ぼけてるのか?ここはわたしの部屋だぞ」

 

 

千夜「リゼちゃんの部屋……?」ポワポワ

 

 

リゼ「まずは顔でも洗うか?」

 

 

千夜「ん……」コクリ

 

 

リゼ「ほら、立てるか?」

 

 

千夜「リゼちゃん、おんぶして……」

 

 

リゼ「おんぶ?しょうがないな、ほら」

 

 

千夜「えへへ、やったわぁ……」ポスッ

 

 

リゼ(寝ぼけてココアみたいになってる……)

 

 

千夜「リゼちゃん、ゴ~……」

 

 

リゼ「すぐに着くから寝るなよー」

 

 

千夜「はーい……」Zzz

 

 

リゼ(言ってるそばから……やれやれ)

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「ごめんなさいね、寝ぼけちゃってつい」

 

 

リゼ「かまわないぞ別に。ところでどうしたんだ?」

 

 

千夜「?」キョトン

 

 

リゼ「いや、なにか用があって来たんだろ」

 

 

千夜「用……うーん、なんだったかしら」

 

 

リゼ「おいおい、まだ寝ぼけてるのか」

 

 

千夜「リゼちゃんのお部屋のベッドで寝たくなっちゃったのか、それとも急にリゼちゃんに会いたくなっちゃったのか」

 

 

リゼ「ははっ、ずいぶんぶっ飛んだ理由だな」

 

 

千夜「なんて、半分は冗談よ」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

千夜「リゼちゃんに会いたくなっちゃったのは、ほんと」

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「ベッドで寝たふりをして待っているつもりが、いつの間にか寝ちゃったみたい」クスッ

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

千夜「ごめんなさい、断りもなくいきなり」

 

 

リゼ「いや、いいんだぞ。千夜と会えて嬉しいし」

 

 

千夜「迷惑じゃない?」

 

 

リゼ「ないよ、むしろ疲れが楽になった」

 

 

千夜「……そう」ホッ

 

 

リゼ「?」

 

 

千夜「良かった、リゼちゃんは嘘つかないから」

 

 

リゼ「こっちこそ悪かったな、せっかく待ってくれてたのに」

 

 

千夜「ううん、勝手に来たのはわたしのほうだから。それにここに着いたの、確か5時半くらいだったし」

 

 

リゼ「わたしが帰ってくる30分前くらいか」

 

 

千夜「ベッドで横になって、すぐに寝ちゃったみたいね」

 

 

リゼ「これからは事前に連絡してくれれば早めに帰ってくるぞ」

 

 

千夜「……うん」

 

 

千夜「……だから、黙って来たんだけど」ボソッ

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

千夜「でも、こうして何も言わないで来るのはもっと不躾よね……」

 

 

リゼ「どうしたんだ?」

 

 

千夜「ううん……リゼちゃんって、本当に意地悪だと思って」ニコッ

 

 

リゼ「意地悪……?すまない、わたしなにかしたか?」

 

 

千夜「何もしてないわ。ただ、リゼちゃんがあまりに優しいだけ」クスッ

 

 

リゼ「……?」

 

 

千夜「もう少し、そばに寄ってもいい?」

 

 

リゼ「あっ、ああ」

 

 

千夜「…………」ススッ

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「……えい」ポスッ

 

 

リゼ「おっと……」

 

 

千夜「ふふっ」ニコッ

 

 

リゼ「……千夜って、子供っぽいのか大人なのかわからないよな」

 

 

千夜「そうかしら?」

 

 

リゼ「時々、どう接してあげたらいいか分からなくなる」

 

 

千夜「普段通りでいいわ、その方が嬉しい」

 

 

リゼ「そうか……千夜がそれでいいなら」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「なんだか、こうしてると安心するわ」

 

 

リゼ「……学校で、なにかあったのか?」

 

 

千夜「ううん、なにも」

 

 

リゼ「そうか……何かあったら言えよ。千夜はすぐに一人で抱え込むから」

 

 

千夜「それを言うならリゼちゃんもね」

 

 

リゼ「わたしは――……わたしのことはいいんだ」ワシャワシャ

 

 

千夜「きゃっ……」

 

 

リゼ「あ、すまない、ココアにやるノリでつい……」

 

 

千夜「ううん……いいわこれ、なんだか新鮮」

 

 

千夜「リゼちゃん、もう一回やって?」

 

 

リゼ「んっ、こうか?」ワシャワシャ

 

 

千夜「ひゃっ……♪」

 

 

千夜「リゼちゃん……もっと」

 

 

リゼ「あんまりやって髪が痛んだりしたら大変だ、あと1回だけな」

 

 

千夜「」ウズウズ

 

 

リゼ「よっと」ワシャワシャ

 

 

千夜「きゃっ……ふふっ//」ニコッ

 

 

リゼ(かわいい……)

 

 

千夜「満足したわ、ありがとうリゼちゃん」

 

 

リゼ「もっとやってもいいけど、千夜の綺麗な髪が痛みそうだしな」

 

 

千夜「それなら、代わりにもうひとつだけ、いいかしら」

 

 

リゼ「ああ、なんだ?」

 

 

千夜「えっと――あったわ、これ」スッ

 

 

リゼ「……耳かき?」

 

 

千夜「♪」ニコッ

 

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「リゼちゃんの耳綺麗ね、何もないわ」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「最後は梵天で……」コチョコチョ

 

 

リゼ「ん………」

 

 

千夜「仕上げは……」

 

 

千夜「」フッ!

 

 

リゼ「ひゃっ……!」

 

 

千夜「はい、次は反対側しましょうね」

 

 

リゼ「……なぁ、千夜?//」

 

 

千夜「ん?」

 

 

リゼ「どう考えても逆じゃないか……どうしてお前がする方なんだよ//」

 

 

千夜「あら、ダメ?」

 

 

リゼ「いや……ただその……//」

 

 

千夜「わがまま聞いてくれるんでしょ?」

 

 

リゼ「あれはわたしがする方だとばかり……!」

 

 

千夜「ほらリゼちゃん、おいで♪」ポンポン

 

 

リゼ「うっ……っ~~!//」ポスッ

 

 

千夜「よしよし、良い子ね」ナデナデ

 

 

リゼ「撫でるな!いいから早くやってくれ//」

 

 

千夜「反対の耳は敏感になってるから、痛かったらすぐに言ってね」

 

 

リゼ「……ああ//」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「っ……」ビクッ

 

 

千夜「あっ……大丈夫?痛かった?」

 

 

リゼ「いや……平気だ」

 

 

千夜「そう、強い子ねリゼちゃんは」

 

 

千夜「もう少しで終わるから、頑張りましょう」ナデナデ

 

 

リゼ「……千夜、わたしのこと子ども扱いしてないか?」

 

 

千夜「ごめんなさい、こうしてるとつい」クスッ

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「イヤだった?あと少しだから我慢してね」

 

 

リゼ「……嫌じゃ、ない」

 

 

千夜「え……」

 

 

リゼ「たまには、いいかもしれない……//」プイッ

 

 

千夜「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「そ、その代わり!二人きりの時だけだぞ!あとココアたちには内緒だからな!//」

 

 

千夜「……ええ」クスッ

 

 

千夜「リゼちゃんとわたし、二人だけの秘密」

 

 

リゼ「…………//」

 

 

千夜「よし……――フッ!」

 

 

リゼ「ひゃあ!//」

 

 

千夜「おしまいよ。よく頑張ったわね」ナデナデ

 

 

リゼ「……っ//」

 

 

千夜「リゼちゃん、良い子良い子♪」ナデナデ

 

 

リゼ「……千夜」

 

 

――グイッ

 

 

千夜「きゃっ……」

 

 

――ポスッ

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「次はわたしの番だ。ほら、右側向け」

 

 

千夜「お返ししてくれるの?」

 

 

リゼ「ああ、やられっぱなしは癪だからな」

 

 

千夜「……そう」

 

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

 

千夜「ううん。やっぱり、リゼちゃん優しいと思って」

 

 

リゼ「これは復讐だ、勘違いするな//」

 

 

千夜「……また、二人きりの時はしてくれる?」

 

 

リゼ「……ああ、千夜がしてほしいなら」

 

 

千夜「……逆は?」

 

 

リゼ「……千夜がしたいなら、考える//」プイッ

 

 

千夜「嬉しいわ、ありがとうリゼちゃん」ニコッ

 

 

リゼ「ほら、じっとしてろ」

 

 

千夜「んっ……」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「いいのか?明日は土曜日だし、泊って行ってもいいんだぞ?」

 

 

千夜「ううん、着替えもないし。それに」

 

 

リゼ「メール……シャロからか」

 

 

千夜「アルバイトから帰ったらいないから、心配してくれたみたい」

 

 

リゼ「やっぱり幼馴染だな。なら早く帰ってあげないと」

 

 

千夜「うん……」

 

 

千夜「ありがとうリゼちゃん、今日は楽しかった」

 

 

リゼ「せっかく会いに来てくれたのに、大したおもてなしもできなくて悪かったな」

 

 

千夜「そんなことないわ、会いに来てよかった」

 

 

リゼ「千夜さえよければ、またいつでも来てくれ」

 

 

千夜「これからは事前に連絡、入れたほうがいい?」

 

 

リゼ「……どうだろう。確かにその方が予定は合わせやすいけど」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「でも――こうしてサプライズで千夜に会うのも、悪くない」

 

 

千夜「……!」

 

 

リゼ「お前なりに、なんだか色々と複雑みたいだし」ポンッ

 

 

リゼ「好きなようにしてくれていいぞ」ナデナデ

 

 

千夜「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「どんなカタチであれ、千夜と会えるのは嬉しいしな」

 

 

リゼ「二人きりの時なら、少しのワガママくらい聞いてあげられるし」

 

 

千夜「っ……」キュッ

 

 

リゼ「また遊びにこい、待ってる」ナデナデ

 

 

千夜「…………」

 

 

千夜「ねぇ、リゼちゃん」

 

 

リゼ「ん……?」

 

 

千夜「最後に、わがまま……聞いてもらっていいかしら?」

 

 

リゼ「……なんだ?」

 

 

千夜「……ギュって、してほしい」

 

 

リゼ「……お安い御用だ」ギュッ

 

 

千夜「!」

 

 

千夜「…………//」

 

 

リゼ「千夜は、あったかいな……」

 

 

千夜「……ふふっ、リゼちゃん//」ギュッ

 

 

千夜「本当に優しいのね……誰だって勘違いしちゃうわ」

 

 

リゼ「勘違い?」

 

 

千夜「他人のわがままを迷惑だなんて、思ったことないでしょ」

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「リゼちゃんに特別扱いしてもらえる子は、どんなに幸せなのかしら」

 

 

リゼ「……千夜」

 

 

千夜「また、二人で遊びましょうね」スッ

 

 

リゼ「あ……」

 

 

千夜「ありがとう、さようなら」フリフリ

 

 

リゼ「っ……千夜、待ってくれ」

 

 

千夜「?」

 

 

リゼ「……今日、どうして会いに来てくれたんだ?」

 

 

千夜「さっき言った通りよ、急にリゼちゃんに会いたくなったから」

 

 

リゼ「でも……」

 

 

千夜「あとは……そうね」

 

 

千夜「――リゼちゃんのこと、困らせたかったのかも」ニコッ

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「ふふっ、ごめんなさい」

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「またね、リゼちゃん」

 

 

リゼ「……千夜!」

 

 

千夜「!」

 

 

リゼ「ごめん……お前の気持ち、何も分かってあげられないけど……」

 

 

リゼ「でも、わたしなんかで良かったら、これからも好きなだけワガママ言ってくれ」

 

 

リゼ「千夜のワガママ、迷惑だなんて思わないから」

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「……違うわ、リゼちゃん」

 

 

千夜「反対。リゼちゃんだから、わがまま言うのよ」

 

 

リゼ「……!」

 

 

千夜「♪」フリフリ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「……」

 

 

リゼ「…………ふぅ」

 

 

リゼ「涼しいな……今夜は」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「あら……?」

 

 

シャロ「……」ムスッ

 

 

千夜「シャロちゃん、ただいま。こんなところにいたら風邪ひくわよ」

 

 

シャロ「こんな遅くまでどこに行ってたのよ?」

 

 

千夜「んー……そうね」

 

 

千夜「――悪い子になれる場所に、ちょっと」クスッ

 

 

シャロ「はぁ?意味わからないんだけど……」

 

 

千夜「後でゆっくり話すわ、まずはお風呂入りましょう」

 

 

シャロ「ったく、しょうがないわね……無事に帰ってきたからいいけど」

 

 

千夜「ありがとうシャロちゃん、いつも迷惑かけっぱなしね」

 

 

シャロ「んっ、別にそんなことないし……」

 

 

千夜「行きましょう」スッ

 

 

シャロ「うん」

 

 

千夜「♪~♪♪」

 

 

シャロ(嬉しそう……なにか良いことでもあったのかしら)

 

 

シャロ(ほんと、色んなことで心配性なのよね……千夜って)

−−−−−−−−−−−−−−−−

end.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。