あーあ、この動画のどこがおもしろいんだよ。訳が分からん。絶対俺が配信したほうがおもしろいだろうなあ。
動画配信サービスMETUBEこの名を聞いたことのない人の人口は後どのくらいいるのだろうか?と考えることがたまにある。誰もが一度は夢見る動画配信だが成功する人はそのうちの1パーセントもいないだろう。ここにも夢見る少年が一人。
「よし、Cメールアドレスを作ってと。」
新里 歩も配信者に憧れついに今日配信者デビューした。
「投稿成功!これで明日結果を確認しよう、今日は遅いしな」
そして次の日の朝、歩は現実を知る。恐らくこれは動画投稿者なら誰もが一度は経験したことがおるのではないだろうか?
「わくわくするなあ、確認するか、ん?視聴回数0回。」
何かの間違いに違いない、そう思っていた。でも時間がたつにつれてそれは現実なのだという実感がわいてきた。そしていつものように高校に行く。途中で親友の和希に詳細を伝えた。
「まじかよ、お前、やるなあ」
「でも全然見てくれてないんだよな。」
「まあ、最初はだれだってそうだって」
「でも、同じクラスの佐々木は三日で500人いったらしいぜ。」
佐々木は同じクラスの金持ちだ。性格は最低だが常に周りには取り巻きがいた。
「それは比べる相手が悪すぎるよ」
「それなー、流石に敵にすらならないだろうな。」
その日の昼休み。俺たちは佐々木に喧嘩をしていた。その直後親友の和希が情報を漏らした。
「今に見てろよ、歩がお前よりも有名になったら仕返ししてやるからな」
小学生かよとその時俺は思った。しかし、触れずにいた。
「小学生乙。」
あ、言いやがった。
「何だと、このクソ配信者が。」
「配信者?歩の有名とか言ってたやつ動画配信でってことか?」
「ああそうだよ。」
いや、それ俺のセリフなんだが、まあいいや、でもまあ、これはまずいな。
「何て名前?教えてくれよ!」
あ、やはりそうなるよな。俺が無名配信者だとばれちゃうな。まあ今日始めたばかりだし。
「今日始めたばかりなんだよね。だから登録者いないよ。」
「無名配信者の分際で俺に話しかけてくるな。」
うわー、この人無名だと分かった瞬間にこれだよ。てか、まあまあそっちも無名じゃねーかとも思った。
その時はそれだけしか思わなかったが、後から悔しさも出てきたのも事実、圧倒的に負けた瞬間でもあった。
放課後、それは起きた。
「やあ、君!そこの君だよ。」
脳内に直接語り掛けられているような感覚だった。
「あなたはだれ?」
「君の願いをかなえるものさ。」
動画のネタになるとその時はそのことしか思いつかなかった。
「願いを叶えるといいましたよね?」
「ああ、言ったさ。」
「じゃあ言いますよ、僕の願い」
自分はその神様の様な物に自分の願いを伝えた。
内容は次のように、まず異空間にゲームスタジオを作ること、そのスタジオの中に今の人類の技術では作れないほどのスーパーコンピューターを設置すること、そしてこれからが本命の願い。
異世界転生もののVRゲームプログラムを作ってもらうこと。そして、それを動画配信出来る状態にすること。
「そんな事でいいのかい?。」
「これで十分だよ。本当にそんなことができるの?」
神様らしきものは既に姿を消していた。不思議なことにスタジオへの行き方はあたまの中に既にあったかのように理解出来た。場所は自分の部屋のクローゼットの中。そこにゲートがあり自分だけ入れる仕様のようだ。他の人からは見えてない様子だった。その中は夢のような空間だった。それはさておきグズグズしてはいられない。その時は異世界転生の事しか考えていなかった。
「これか、どんな世界なんだろうかワクワクするな。」
動画配信については編集してアップするのではなくプレイを生で配信する生放送にすることにした。METUBEとワラワラ生放送の2つのサイトで同時配信する。画質については自分は人間の目よりもいい画質で自分はプレイできるがそんな画質どこのサイトでも配信できないので8K画質での配信となった。
「よしゲーム開始。配信開始。」
このゲームば独立ストーリー構築システムにより様々な展開を自動で作り上げます。あなたの可能性がこのゲームの可能性でもあります。是非この異世界生活をお楽しみください。
「やあ、どうもこんにちは今回はすごい企画なんです。なんと異世界転生できるゲームをプレイできるという事で早速プレイしていきたいとおもいます。」
ー視聴者数127ー
え、こんなに見てるの。あまりの人の数に驚きが隠せなかった。
コメント@なんてゲーム?
こんなゲームあったっけ?
初見です。
「初見さんどうも。このゲームは売られてないですよ。自分のオリジナルですから。」
ー視聴者数3607ー
おいおい、まだメインメニューだぞ、急上昇ランキング1位って本当かよ。
種族を選択してください。
「せっかくなんで人族で行きましょう。」
次の瞬間、自分はいかにも中世の町の中に紛れていた。
「まじで、何これ感覚が、リアルだ、何これ。」
それはまるでタイムスリップでもしたかのようだった。あまりにも綺麗でゲームとは思えないクオリティーに。
ー視聴者数12064ー
生配信では10000人が来ることは有名でないとあり得なかった。開始10分での1万人達成は次の日ヤホーニュースに載った。
「まずはギルドに参加しないとだなー」
@何これすごい!
@これ本当にゲーム?実写じゃないの?
@魔法とか使ってよー
少し歩くとギルドらしき建物があった。
「あそこで冒険者として申請しますか!」
「ようこそ、カルマナダールギルドへ。冒険者の申請でしょうか?」
@優しい日本語設定だねー
@てかリアルスギだろこれ、登録したわー
「ここであなたの潜在能力測定ができます。」
「おお、ベタだなー。ここで無敵ステータスが公開されるわけですね。」
「結果が出ました。体力値B、魔力S、物理攻撃力、総合結果Bとなります。」
@微妙www
@個人的に最強ものは好きじゃないからありですねー
@神設定がよー
「まあ、レベル上げ頑張ればなんとかなるか。魔力値が高いから魔法使いとかですかね?」
「そうなりますね。始まりの魔法使いにクラスを変更しましたので冒険者生活を楽しんで下さいね!」
ー46399人視聴中ー
@魔法使いバンザーイ
@早速魔法使ってみよう!
@主さん登録者数10000人突破おめでとうございます。
「1万人?冗談じゃないよね?」
「10000人?なんのことですか?」
「え、ああ、すみません独り言です。」
ギルドのお姉さんは引き気味だった。
「あ、それと同じタイミングで登録した人がいるのですが、パーティーを組んでみてはいかがですか?」
「パーティー?組めるんですか?」
「はい、パーティー設定をしますと経験値を分けれたり色々な特典があるんでオススメですよ。」
「因みにどんな方ですか?」
後ろから近づいて来る足音。振り返るとそこにはとても可愛い女の子がいた。銀色のショートヘアー白い肌でるところは出ている。
「私とパーティー組みませんか?」
その弱々しい声を聞いた瞬間にこの人を守りたいと言う衝動に駆られた。
@ヒロインキタコレー
@可愛すぎだろ。流石に。ていうかこのゲームなんなんだー俺もやりたいよー
「も、もちろん喜んで。ふつつか者ですがよろしくね。」
「よろしくお願いします。歩様。」
あ、幸せ過ぎるだろー。
「それでは早速クエストを受けてみませんか?」
「是非お願いします。最初なので簡単なやつお願いますね。」
「ではゴブリン3対の討伐なんてどうでしょう。」
「それでお願いします。」
「転送魔法展開。クエストスタートです。」
うぁあなんだここ。てか転送してくれるなんてイージー設定だな。
「ねえ、君の名前は?どんな職業なの?」
「私の名前はティアラです。回復系魔法を使う魔法使いです。」
「魔法使い同時のパーティーだねー。一緒に頑張ろうね。」
@バランスは悪いけど可愛いから許す。
@心も体も回復してもらおう!
@ティアラちゃんのファンになりましたー
マップは一面草原が広がる綺麗なところだ。200メートル先にゴブリンが三体いるのが確認できる。
「棍棒みたいなの持ってるな。あれ当たったら痛そうだね。」
「いざとなりましたら。私が犠牲になりますのであなただけはお逃げください。」
「いや、そんなこと絶対にしないよ。逆に僕が喜んで犠牲になるさ。」
「お優しい方なのですね。歩様は。男の人で優しい人なんていないと思っておりました。」
「そんなことないよ、僕はパーティーメンバーに悲し思いなんて絶対させないかね!安心して!」
@主さんカッコいい
@主人公してるなー
@てか、誰も触れてないけどNPCと会話できてる件について、このゲームなんなの?
「基本的な魔法は、あ、これか。ファイアースピア。」
次の瞬間手から炎の槍らしき物が出て行きゴブリン一体に命中した。ゴブリンは命中箇所から大量の血を、吹き出し、ゲームとは思えないほどリアルで苦しそうな鳴き声を上げながら死んでいった。仲間たちも悲しんでいるような仕草を取っていた。
「こ、これは来るものがあるな。」
「私も、やります。」
その声は震えていた。恐らくはじめての経験なのだろう。
「いや、任せといて。経験値は同じく入るから大丈夫だよ。」
残る二体のゴブリンも仕留めることができた。不思議なことに襲ってこなかったのである。クエスト完了。
@これ、なに?本当にゲーム?
@これは流石にねー
@俺もやりたいよー
今日はこの辺で終わっておきますか。
お疲れ様でした。
最終来客数130064人。登録者数68903人。
僕の生配信は今後どうなっていくのだろう。第1章ー終ー