【NEXT CONTRADICTION】 作:インプレッサWRX STI
ワールドコネクトによって繋がった5つの世界。
青蘭島、テラ・ルビリ・アウロラ、ホワイトシステムエグマ、ダークネスエンブレイス。
そしてグリューネ・シルト、僕が今いる世界だ。
グリューネ・シルトを実質的に治めているのが軍事組織、統合軍。
やはりどの世界も敵対勢力というのは存在するもので、統合軍の改革や優遇政策をよく思わない者が現れ手を組んだ。それがレジスタンスと呼ばれる反統合軍組織。
本来なら話し合いでの解決が最善策ではあるが、反乱軍の部員は犯罪者や蛮族、闇商人、更には元軍人や統合軍関係の内通者がいるという噂も絶えない。結果として全面戦争となってしまっているのが現状だ。
ではその最前線で戦っているのは屈強で腕っ節の強い大男だろうか。
否。
爆発魔法のような高度な魔法を操る魔道士を雇っているのか。
否。
鋼の身体を持った最先端技術の塊、アンドロイドを投入しているのか。
否。
血が交じる戦場の最前線、そこで戦っているのは、たった数百名の少女達なのだ。
「レジスタンスを発見追撃突撃します!!!」
紅い軍服を纏った赤髪の少女は敵軍の包囲網を信じられないスピードで突き抜けた。
崩れた敵陣に緑色の軍隊が流れ込む、通常なら共通の武装をするところだが、彼女たちが持っている武器はまさに千差万別と言ったところ。一斉に敵を蹴散らしていく。
単身敵陣に突っ込むのは余りにも無謀であり、自殺行為そのもの。
背後から無数の弾丸を打ち込まれるのがオチ、本来ならば…
「まったくもー、1人で突っ込まないでよー!」
一点に向けられた銃口の先に蒼い軍服を着た青髪の少女が立ち塞がった。
「とりゃー!」
青く分厚い盾が大きく天を仰ぐと一瞬で数十発の弾丸を弾き返した。
「退避!総員退避!」
本隊を崩されたレジスタンスは進軍するまもなく撤退を強いられた。とりあえずは統合軍の勝利である。
「さすがですね完璧ですねやりますねルルーナ!私の作戦通りレジスタンスを蹴散らしました!」
「あのねリーリヤ、ただ突撃するのを作戦とは言わないと思うんだけどー。」
「細かいことは気にしません!我々の勝利です!」
「まあ、誰も怪我してないみたいだし…いっか」
薄緑色の空の元、2人を含むグリューネ・シルト統合軍は何度目かの勝ち星を上げたのだった。
…………………………………………………………
「うん、こんなもんだろ」
ある家の一室、怪しい薬品が並べられたテーブルの横で1人、天秤とにらめっこしている影がいた。
「あとはこいつとこいつ…あっ、これも良いかも…」
どうやら薬品を配合する準備をしているらしい、何度となく秤で分量を整える。
とても繊細な作業だ。
「よし…あとは順番通りに混ぜ…」
((⊂(。`・ω・´。)⊃))バーン
「ウィッチさーーーーーん!!!!!」
「どうわあ!!」
ガシャーン
「アアアァァ( °∀°)ァァアアア」
………………………………………………………
「リーリヤ」
「はい」
「いつも言ってるよね?」
「はい」
「人の部屋に入る時は?」
「ノックしてから入っていいか確認する」
「そうだね、じゃあ何でそうしなかったの?4日分の苦労水の泡なんだけど」
「……(´>ω∂`)☆」
「(´>ω∂`)☆じゃないよ!」
彼の名はウィッチ、魔法使いの家系出身の魔道士見習いだ。
本来ならとっくに青の世界に帰っている時期だが、先日の活躍を見込まれて回復薬を統合軍に提供する仕事を頼まれた。
今はルルーナの家に住み込みで薬を作りながら学校に通っている。
「大体ポーションひとつ作るのに4日もかける方が悪いんですよ!そのうちお尻からキノコ生えてきますよ!」
「なにおう!これは成功すればどんな傷でも治せる最強の薬になるんだぞ!」
「そもそも私は怪我なんてしません!」
「別にリーリヤ専用に作ってる訳じゃない!」
(;`皿´)グヌヌ(`‐ω‐´)
「はいはい、そこまでー」
呆れた口調でルルーナが割って入る。
「ウィッチ君怒らないであげてー、リーリヤはウィッチ君と一緒にお昼食べるのが楽しみではしゃいでただけなんだー」
「ルルーナ!事実無根な発言は許しませんよ!」
「あれだけウキウキしててそりゃないっしょー」
「あはは…確かにもうお昼すぎだ、ご飯にしよう」
………………………………………………
麗らかな昼下がり、3人でテーブルを囲んで食事をとる。
見た目がかなりリアルなジビエ料理、初めて見た時は驚いたけど、ここに来て早くも半年、いい加減慣れた。
「ところでルルーナ、明日フィーリア中佐の所に行くって話聞いてる?」
「うん、知ってるよ?」
「そっか…」
「やっぱり初めての作戦は不安?」
「まあ…多少はね…」
実は明日から3人だけでしばらく遠征に行かなければならない、内容はまだ知らされておらず、明日中佐直々に発表されるとの事だった。
ル「遠征なんて私達も初めてだからさー、正直ちょっと緊張してるんだよねー」
ウ「キャンプした事すら無いんだけど…」
リ「大丈夫です!サバイバルは私が最も得意とする分野の1つ!泥船に乗ったつもりでいてください!」
ル「それを言うなら大船…いや泥船かも」
ウ「やだ怖いこの人達」
この時はまだ知る由もなかった。
僕ら3人がこの世界の禁忌に触れることになるなんて、分かるはずもなかった。