【NEXT CONTRADICTION】 作:インプレッサWRX STI
ウ「…っし、こんなもんかな」
ル「みんな準備出来たー?」
リ「もちろんです完璧です不足ありません!」
あれから三日、僕らは禁忌の塔に向かう準備を整え、いよいよ出発することになった。
ル「はーい、じゃあ改めて…」
今回向かうのはグリューネシルトD地区にある禁忌の塔。何故かその周りには豊かな湧水、珍しい動植物、安定した気候が観測されたりと、まるで昔のグリューネシルトを彷彿とさせる様々な条件が揃っている。
統合軍はこの事象の原因が塔の内部にあると考え調査隊を派遣し、調査を進めていた。
しかし、調査は白の世界に一任しているため、実権は握れていないのが事実。
これが調査が進んでいない理由だった。
ル「…っていうのが建前だね」
ウ「建前?」
ル「中佐も言ってたけど、例のアンドロイド…確か…シーラムって名前だったと思うんだけど、その人が統合軍が派遣した人達を追い返しちゃうみたいなんだよねー、だから調査はまだ全然進んでないんだってさ」
ウ「なるほど…つまり事前情報はほぼ無いって事か…」
リ「まあ大丈夫でしょう!私とルルーナがいればどんな困難も乗り越えられます!」
ウ「……」
リ「あっ、も、もちろんあなたも居てくれないとダメです!ええ本当ですよ!」
ル「ふふっ、楽しそう♪」
……………………………………………………………
グリューネシルトは一つの大きな大陸から成り立っている。
それらはAからZまで区分されており、一つの地区は一辺1000kmと非常に大きい。
禁忌の塔も以前から存在こそ知られていたが、統合軍の管轄下に無かったこともあり何も触れられてこなかった。
近年の異常事態を受け、ようやく統合軍が管轄下に置いたのだった。
ウ「う〜〜…やっと着いた…」
リ「な…長すぎますよ…」
グリューネシルトには高速の移動手段が元々ない、馬車でも使おうものならD地区まで数ヶ月はかかってしまう。正規の調査隊は白の世界の乗り物を使える為移動自体に難は無い、しかし今回は極秘任務、その手は使えない。
ル「それにしてもさー、この自動車?ってやつ、最初は走れるか不安だったけど、馬車より全然早くて驚いたよー」
グリューネシルトは他の世界から援助を受けなんとか情勢を保っている、その支援品の中には青の世界の車があったのだ。
ウ「いくらオフロード用とは言ってもこの距離は…腰が痛い…」
ル「まあまあ、一週間で着けたんだから良い方だよー」
リ「そうですね…さてと」
僕らの目の前にそびえる大きく傾いた建物、これが禁忌の塔だ。
まるで廃墟のように草だらけ、サビだらけの外観だが、その堂々とした佇まいは余所者を拒む威圧感を発している。
リ「ルルーナ、この塔の入口はどこにあるんですか?早速侵入しましょう!」
ル「まあ落ち着いてー、まだこの塔のこと全然分かってないんだから」
今回の調査の目的は主に三つ。
・内部構造の把握
・外壁の損傷具合の確認
・塔が及ぼす外界への影響
何についてもいえるが、まずは周辺の状況の確認と安全を確かめるのが鉄則だ。
ウ「うん、まずはどんな植物が自生してるか見てみようか」
噂通り、塔の周りはまさに自然の宝庫と言えるほどに沢山の動植物が溢れている。
地球で例えるならジャングルのような環境だが、広葉樹が大半を占めていて、森林と言うよりは森と草原が共存している状況。
平均気温がどんどん上がっているグリューネシルト、この日も汗ばむような暑さだったが、何故かこの塔の周辺だけはとても涼しく感じた。
ウ「天気は晴れ、外気温31℃に対して、塔周辺は24℃…外壁の損傷はほとんど無いが、岩石に亀裂や風化柄部分的に見られる。今日発見した植物は35種類、動物は23種類…後は…えーと…」
ル「南緯55度40分28.658秒、西経28度38分46.442秒にて源水を発見、大きさは約直径10m程、深さは5m。水質は不明、透明度良好。他に水源は観測出来ず。この水源を中心に樹木が放射状に自生している。標高は23.547m、周辺では最も高い位置にあり、塔外壁との距離はおよそ600m。斜塔の南側にあるため影の影響は無し。」
ウ「…………」
ル「南から毎秒1mの風が不規則に発生。動物の中に毒を持つ個体は確認出来ず。食物連鎖は発生しているが、最上位の生物は未発見。地質は粘土質が目立つが、表面は黒い土壌が30cm程を占めている。また5km程先に活火山があることから、火山灰も混ざった肥沃な土壌と判断でき…あれ?どうしたの?」
ウ「…なんか凄いね」
ル「そ、そうかな?」
リ「ルルーナの専攻は地理学ですからね…正直何を言ってるか私には分かりません」
ウ「と、とりあえず建物周辺は大体確認取れたね、今日はもう遅いから車に戻って寝よう」
もう一度周辺を探索した後、次はいよいよ塔の内部の調査となる、このまま順調に進めばいいのだが…