駆逐艦『響』として戦う者   作:緒兎

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 書くのは凄く時間が掛かるのに読むのは一瞬。そう考えると小説書いてる人って凄いんだなって思います。

 やっはろー皆さん。思いついた事をその場その場で書いている計画性のないマリオンさんです。そんな書き方をしてるから余計に時間が掛かるのに、小説の構成とか考えるのが面倒なのでこういう書き方を止められないのです。

 ちょっと内容変更しました。(ちょっとどころではない)


覚悟

 1935年6月。

 

 響は無事大日本帝国海軍に引き渡され、第六駆逐隊に編入、横須賀鎮守府へと停泊していた。あれから、沢山海に出た響だが、その日常は刺激がなく退屈な毎日だった。ここに来てからも哨戒任務と称して何も起こらないただの航海。そんな退屈な日々に嫌気を差し、その小さくなった体を甲板に投げ出していた。

 

 哨戒任務は大きな作戦の無い現状、敵艦を早期発見するための重要な任務なのだが、その実暇なのである。200人余りの人間を乗せて、人間は演習にもなる哨戒任務で日々学習の毎日。そして艦を運用するに当たってとても忙しいのに対して当の本人(本艦?)は、日向ぼっこの如く甲板で寝そべっているのだった。

 

 「平和だ」

 

 平和なのはいい。けど何もないただ海を航行するのは正直飽きた。初めの内は洋上で航海しているという事実にちょっと興奮したりしていたが、如何せん話し相手も居なければゲームをすることもできない。携帯も無いし食べることもできない。寝ることも出来なければ艦から出ることも出来ない。一体何を楽しみに生きているのかと哲学的な思考をするようになるのも頷ける程この身体は退屈なのだ。

 あ~戦争でも起きねぇかなぁと不謹慎ながらも思ってしまうのは少し、いやかなりきていると自分でも思ってしまう。

 

 それに。

 

 「定時報告」

 

 「定時報告!」

 

 「海上異常なし!」

 

 「海中音無し!」

 

 人間観察をしようにもこいつら同じことを毎日繰り返すから楽しくないんだよなぁ。まるでロボットみたいだ。

 毎日なにもすることもなくロボットのような人間たちを眺めているだけ、そんな毎日を送っていれば嫌でもおかしくなるというもの。

 「はぁ」と溜め息が出るが自分が何も出来ない無機物である事が分かっているため、それも虚しいままだ。

 

 速力凡そ10ノット。敵もいないため海中の音が聴こえやすくするために速力を落として航行中。

 俺は愉快な仲間達(無機物)が付いてきているのか後ろを振り返る。

 

 「問題ないな」

 

 後続を駆逐艦『雷』と『電』が付いてきているのを確認した俺は特に興味を示すことなく正面を向いて水平線を眺める。彼女達、とでも言えばいいのか。無機物である彼女達は無機物らしく喋ることもなく静かに航海をしている。当たり前だが俺のように人の身体を持っているわけでもない。人の魂が入っている『響』がおかしいだけでこれが普通なのだ。

 

 あぁ暇だ。

 

 と、ひたすら変化の無い水平線を眺めながらそう愚痴を溢す俺なのであった。

 

 

 

 

 

 ◇

 あれから5年と5ヶ月ちょっと。新しく駆逐艦暁を加えた俺達駆逐艦四姉妹は今日も今日とて哨戒任務へと躍りで……ることはなく、どうやら俺は第一水雷戦隊に配属されて直ぐに、特定修理の為一時艦隊を離れることになった。

 別に寂しくはないのだが、まさか海から離れることがあるとは思わなかった為、少し驚いていた。まぁ、船だって人が作ったものなんだから、老朽化もするよな。と思っていたらどうやら外で何かあった様子。直ぐに新しい装備、九三式探信儀と九一式方位磐を装備して日本を離れることになったが、特に何をすることもなく帰還した。

 

 しかしいよいよ大規模な戦争が始まったようで、第二次世界大戦が勃発した。

 

 1941年11月29日に山口県にある柱島泊地を出撃し、馬公、三亜を経て12月11日にカムラン湾に入港。この間、開戦前日の12月7日夕方に駆逐艦『響』の乗員が中国人で占められたイギリス船を拿捕し、カムラン湾に後送した。

 カムラン湾では何時も通り哨戒任務へと従事した。

 

 しかし大戦が始まった今、ただ哨戒任務だけをするのが駆逐艦ではない。

 12月22日、フィリピン攻略作戦へと駆り出された響はリンガエン湾上陸作戦支援へと従事することとなった。

 

 

 

 

 ◇

 なんか最近慌ただしいな。第二次世界大戦が始まっちゃったから仕方がないとはいえ人間達の焦り様は凄まじいもので、艦内での雰囲気が以前とは一変していた。余りの変わりように何処か自分だけ取り残されたような気がして気まずい。

 

 そもそも俺に戦争に参加するという事に対する自覚というものが存在しないため、緊張するにも出来ないのだ。身体とも言える艦を自分が動かしているわけではないので、必然的に自覚するということが出来ないのだ。

 

 「ばつびょ~う!」

 

 だからこうして人生、いや艦生初の大作戦への参加なのだが、艦長の号令の真似をして遊んでたりするのだった。

 

 

 

 

 艦は順調にフィリピンへ向けて航海しており、後小一時間で到着といったところだ。陸軍の上陸艦を護衛しながらの進行なので速力は遅いが、対潜哨戒には丁度いい速度だった。

 速すぎてもノイズが酷いこの時代の装備は、速力を10ノット近くまで落とす必要があり、駆逐艦の速力をなかなか生かせないのだ。

 

 「ま~もるもせむるもく~ろがねの~」

 

 そんなこと知らないとばかりに乗員が時々歌っている軍歌を口ずさみながら近付く島を眺めている響。実際響には軍事知識など無く、駆逐艦に生まれ変わった今でも乗員の専門的な言葉などには疑問符を浮かべているばかりだった。

 艦生に楽しみを見いだせない響にとって歌というのは唯一の娯楽といっていい。声を聞いてくれる人は居ないけれど、歌を唄うことは出来る。誰に聴かせるわけでもない自分の歌声に自分で満足し、勝手に余韻に浸る行為は暇をもて余した響ならではの暇潰しと言えた。

 

 と、曲のタイトルは知らないけれど取り敢えず覚えているフレーズを歌いきると、景色はもう飽きたと陸軍が乗る上陸艦を興味津々と見詰め始める。

 

 「陸軍の人達は海軍と違って動きがキビキビしてて面白い」とは響の言葉なのだが、海軍の人間に見飽きていた響にとって陸軍の人間は新鮮に映ったのだろう。海軍と陸軍は仲が悪いと聞くが、そんなもの上層部のいがみ合いに過ぎない為、下級兵には関係の無いことだ。時々仲良く話している光景をよく目撃していた。

 

 話している内容は家族の話ばかりだが、専門用語など飛び出るはずもなく、響に理解できる会話だった為近くで話している人を見ると直ぐに飛び付いていた。話している本人達は響に気が付く筈もなく、もちろんまさか聞かれているなどと思ってもいない。まるで盗み聞きだ。

 

 家族……か。この世界じゃ俺に家族なんて居ない様なもんだよな。誰も俺のこと知ってる人も居なければ、誰も俺がいるという事に気づいてくれる人も居ない……。寂しいのかもしれない。この世界に来てまだ誰とも会話をしたことがない。人は一人で生きていけないとはよく言うが、コミュニケーションを取ることが出来ない俺は正しくそうなのだろう。誰にも気付かれずに生きて、誰とも話をすること無く生きて、そんな人生に一体なんの価値があるのか。

 ……いや、価値はある。俺は探さなければいけないんだ。俺と同じくこの世界に生まれ変わってるかも知れない親友を。

 

 動けない身体だから探せない?艦長や乗組員が連れていってくれるだろう。

 

 探し相手を伝えることが出来ない?そんなの知るか。俺は俺の目で探すんだ。

 

 見つかっても気付いてもらえないのでは?そんときはそんときだ。これは俺がもう一度アイツに、守に会いたいって気持ちから来る願望なんだから。

 

 忘れてはいけない。俺は探さなければいけない。例えどれだけ厳しい状況でもどれだけ不可能な事でも乗り越えて、守に久し振りって言ってやるんだ!

 

 「よーし!がんばるぞー!」

 

 この世界でいきる覚悟を決めると、心なしか艦と魂の繋がりが強くなった気がした。




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