兄は弟を守りたい。   作:夢食いバグ

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訓練回、すこしぽい戦闘シーン入るかも?


案外最後はあっけないものである。

訓練場に来てしばらくすると、やっぱり人が増えてきた……いつもやっている人もいるが体育祭への調整の人もいて結構多い。

 

腕につけた時計を見ると待ち合わせ時間まで後10分……弟は丁度か5分前ぐらいにはちゃんと来るだろうから。

 

遅刻なら、電話かラインしてくる。

 

「………暇、まぁいいか。」

 

やるべく事をやった後の時間は、いつでも辛いものだ。すこし回りを見た、主にやっているのは個性の強化……

 

普段は中々個性を思いっきり使えないのだから、訓練としては中々の選択だろう。

 

「来たよ、お兄ちゃん。」

 

おっ時間ぴったり、聞きなれた声の方向に顔を向けるとそこに雄英高校のジャージをきちんと来た弟がいた。

 

「丁度、時間ぴったりだな。じゃあまずは柔軟体操から入るぞ、アキレス腱とかしっかり伸ばせ。

 

時間としては10から20分、始める時は金なり。時間は有限だ。」

 

そうやって準備にはいる、これから多く体を動かすのにアキレス腱が切れて病院送りとか洒落にならない。柔軟体操が終わった後は……

 

30分ほどのジョギングをするつもりだ、これは訓練というよりは本人の成長をみることが中心。

 

それでどれだけ体力が削れているか……体育祭はいわゆる連戦だ、休憩もあるが本来のカリキュラムとは全く違う環境に晒される。

 

「背中押すよ。はい1.2…」

 

「イテテ……ちょっとまっ弟、ゆっぐぁぁぁ。」

 

「うるさい。」

 

俺も柔軟体操しているが……押しすぎだと思う、明らかに曲がりすぎている。一応人体としては可能な範囲だ、よくテレビとかで見るだろう……

 

パフォーマンス的な、柔軟さのアレだ。

 

一応プロヒーローとして体を多く使うため、柔軟性はある程度のあるはずだ。

 

痛い。

 

「はい!柔軟終わりかな?終わりだよね!?」

 

「それはお兄ちゃんが決めることだから、だけどさ……辛いからやめるの?そんなんじゃないと思ってたのに……

 

……すこし残念だなぁ……」

 

……ちょっと楽しんでませんか?弟よ。俺が追い詰められているのを見て楽しんでませんか?

 

試されてるの?試されているの俺は?

 

……くそったれぇ!あぁいいさやってやるよ、兄の意地を見せてやるよ!

 

「……まだこれが限界だと思っているのか?」

 

「はい、1.2……」

 

「うぇぇぃ!」

 

そうやって長い柔軟体操を終える。30分間のランニングを行う、弟は息切れ等はしていない……

 

体力的にはそれなりに入学してから上昇しているようで問題は無さそうだ。

 

これならば、メインの訓練時間を減らしたりなどの考慮は必要ないかな………間の休憩やお昼の時間はきちんといれるけど。

 

手の感覚を掴むように、握ったり離したりを何度か行ってから木製のナイフを持つ。

 

そしてその切っ先を、相手()に向けた。手加減はしない……それこそが弟の為になるのだから。

 

「じゃあ、今から本番行くから。俺からの攻撃を避けるかいなす事に集中してくれ。

 

弟は個性を使ってくれても構わない、俺はコレ一本でいく。」

 

「お願いしますっ!」

 

弟も気合十分のようだな、さてじゃあ軽く。

 

足に力をいれて進む、いつものようにナイフを振りかぶる。狙うのは、大動脈が通る足か首か頭。

 

即死が一番怖い弟の身に起きては一番いけないこと、それ以外なら現代の医学でまだなんとかなる。

 

ならここでは俺は弟の最悪の敵(仮想敵)として、動く。

 

弟はどうやら、ナイフを持っている右手に注意を向けている。目線と進もうとしている足の方向から分かる。

 

「……………」

 

俺はそのまま接近して、注意が足からそれていたので腹を蹴った。

 

「がっ……」

 

そのまま倒れた(転んだ)ので相手の足を踏んで動けなくしてから、首にナイフを当てた。

 

本物だったら力をいれれば、首がずんばらりんで終わりになってしまう。

 

「1回目、相手を警戒するのはいいが一部にのみ意識を集中させない。他の部分から仕掛けられる、目や足の無意識の動きにも注意が必要……

 

むしろそれを理解して利用する考えで動いた方が俺はいいと思う。

 

次大丈夫か?」

 

そう足をどかして、倒れている弟にしゃがんで話しかけた。一応加減はして腹を蹴った、内臓とか色々と傷つくと大変だし……

 

「大丈夫、次をやろう。」

 

……すこし腹抱えてたけど、まだやれるみたいだ。一応怪我は無さそうだし。

 

「じゃあこっちから決めるから、その間体の構えとかそういうの決めておいて。」

 

本当ならば、離れた後すぐに仕掛けにいくが……それでは訓練にならない(弟が学べない)

 

つまり前の失敗から考えどういう行動を取ろうとするかが、次の相手の見るべき部分。襲う際には仮想敵、話す際には助言者として動かないとならない……

 

中々こっちも頭を使う。優秀な選手が優秀なコーチに必ずしもならないとよく言われるが……その理由がわかりそうだ。

 

ちらりと弟の様子を見ると……考えてはいるがきちんと此方に注意を向けている。俺が勝手に仕掛けるタイミングを決めると言ったことが、効いているみたいだ。

 

だけどさ……ぶつぶついう声大きいよ、結構俺も人のこと言えないような気がするけど。

 

考えがある程度纏まってきた様子だし……やるか、木製のナイフを隠す……あちゃ袖の短い服着てたまぁいいか。

 

そのまま普通に挨拶するように、相手に近づく。そしてまたナイフを振りかぶるが……

 

「……そこは見えてるよ!お兄ちゃん。」

 

脳天への向かう軌跡は腕により弾かれた、予告はしていたとはいえ反応は中々かなだけどもまだ初段を防いだに過ぎない。

 

すぐさまナイフを引き、コントロールを戻し切り替える。相手は足を引いて、距離を取るようだまぁ逃げるやいなすことの練習なのだから……その判断は間違いじゃない。

 

だけど……

 

「……遅い。」

 

体格差等もあるが、一歩で足りてしまう。相手の左胸に切っ先が食い込む、それは心臓を取ったという擬似的な決着。

 

俺はナイフ降ろして、気になったところを淡々と連ねる。

 

「2回目、足やちゃんと俺の行動などを見て動いていたのはよかったが。

 

引くという作業に手間取っていた、ならそのままの位置で追撃に備えていた方がまだ防げる可能性はある。

 

まぁそれは個性を使ってないときの話だが……弟次もいくか?」

 

そうやって告げると弟は、拳を握っていた。そしてそれを俺の方へ向けて。

 

「何度も、確認しなくてもいい。僕はまだまだいける、お兄ちゃんこそ何度も確認なんかして、疲れているの?」

 

そう顔についたすこしの汗を服の裾で拭いながら、好戦的な笑みを浮かべていた。

 

「そういうと思ってたよ、弟。」

 

俺は、その事が嬉しい(楽しい)と感じた。

 

今度は先程とは違い、間をいれずに再び向かう。あぁ本当に嬉しい(楽しい)、お互い話せるこの時間が。

 

相手の後ろへ回った後、足を横に回す。すると飛んで地面に手をついて、離れる。

 

光の線が所々に見えた気がした、個性だとしても一瞬だけの加速。それぐらいならばまだ追い付けるし、予測で対処は可能。

 

さぁちょっと、やってみようか。

 

また向かうそしてナイフを振りかぶるそれだけだと、単調以外の何者でもない。

 

弟は、少し気が張りすぎているようだ。ある程度の体は力を緩めなければ、本来の能力は発揮しずらくなる。

 

「………」

 

相手に向かって、上着を放り投げる。対処にどれだけ時間がかかるか、又は視野が狭くなっているうちに対処できるかの勝負。

 

相手は手を払って上着を吹き飛ばした。その時の手を見た左手だ……

 

なら……左は確実に空いている(此方の攻撃を防げない)

 

右でもできるだが、それは油断だ、そして怠慢でもある。全てに全力で向かわなくては、この訓練のなんの意味がある?

 

相手の喉元に切っ先が触れた。

 

「………油断した。」

 

弟は少し喉元に突き立てられた木製のナイフを一瞥して残念そうに口にした。

 

「3回目、これは弟の動きが悪いというよりは俺が大人げない方法を取ったという方が正しいな。

 

目潰しとかの相手の視覚の妨害は、戦闘においてかなり自らを優位にする。

 

車の運転の奴と同じって事だ。

 

後は、少し緊張している感じだな………もう少し肩の力を抜いた方が疲れにくいし、動きやすくなる。」

 

「肩の力を抜く、妨害……

 

後もう一回、いややれるだけお願いします!」

 

「……あぁ、勿論そのつもり今日は一日中だ。弟疲れすぎて倒れるんじゃないぞ。」

 

まだ俺がやれることは山ほどある(教えるべき事は山ほどある)

 

それをどれだけ今日で詰められるか、とりあえず進めるだけは進んでみよう。

 

後の事はまたゆっくり考えていけばいい。

 

 

計30回を越えた辺りから、何度か防がれるようになってきた。俺のパターンをきちんと読めてきたということだろうか?

 

「……うーん、そろそろお昼にでもいくか?もう午後2時だし。俺も訓練に集中してて気がつかなかったが。

 

弟が訓練継続したいなら、俺も当然付き合うが弟の判断に任せる。」

 

回りを見渡せば、人はかなり少なくなっていた。水分補給として使っていた粉を溶かして作ったスポーツドリンクも4Lあったのにもう少なくなっている。

 

「僕も気がつかなかった、確かに行った方がいいかも知れない。少し長い休憩も兼ねてでもいいかも?」

 

そう弟は首を少し疲れでなのか傾げながら答えた……しばらく動いてないと汗でひんやりしてくる。

 

俺も弟も汗が服に染みている。

 

「所で弟、体操服の替えってきちんと用意しているか?店行くとしてもそのままじゃ少し失礼になるかも………」

 

「そこら辺は大丈夫、お兄ちゃんの心配には及ばないよ。きちんともう一着体操服は用意してあるから。」

 

弟はそういうと少し離れてビニール袋から、もう一式の体操服を出した。

 

「なら良かった。じゃあ弟は着替えてから校門で待っててくれ、俺は少し片付けとか同じく着替えで時間使うから。」

 

「わかった、先に待ってるね。」

 

さて……弟は校門に行ったがお店はどうしようか?訓練時間が昼食に食い込むだろうから迷惑になる予約はしてないし……

 

ここら辺でカツ丼が美味しいお店って聞いたことないし……更にランチラッシュさんのお陰で、ハードルも上がるなぁ……

 

もう、マックでいいかな?昼食……もしくはモスバーガー後で弟の食べたい料理でも聞くかぁ。

 

弟の意見は最優先食べ物だからあまり無理難題は出ないだろうしね。

 

着替えをしてペットボトル捨てて……弟の元に向かおう、待たせちゃ悪いしね。




弟といっても容赦はしない(訓練)、だってすこしの油断が終わってしまう原因になるんだもの(訓練)。大人げない方法もある?それは様々なパターンやんないと危ないし( ̄▽ ̄;)ヴィラン怖い怖い

愛故の厳しさですよ、愛故の。

身体能力的には、相澤先生以下です(確定)その分技術(先読や誘導等)や体力面(持久戦)は強い。

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