兄は弟を守りたい。   作:夢食いバグ

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しばらく更新なくてすいません。


変化と呼ぶなら、コツを掴んだとき

「ご馳走さまでした、じゃあ戻ろうか。」

 

皿が沢山並んでいる……見た目的には二人で来たと言うよりは、三人か四人で来たよう感じるだろう。

 

俺も結構食べる方だと自覚しているが、店員さんちょっと驚いてしまうかも知れない。

 

「そうだね、ご馳走さまでした。」

 

お互い立ち上がり、店を出る。お金はカードで支払った、特に金額は見ていない。

 

貯金ばっかりしているから金欠の心配は必要ないし……

 

「さて……せっかくだし、歩いている人に迷惑にならない程度に走って戻る?道わかっていると思うし、俺の方が迷うかもしれないけど。」

 

「お兄ちゃんが道に迷うかどうかはどうでもいいとして……そうだね、もっと頑張りたい。

 

体育祭の事もあるけど、ヒーローになるこれからのためにも全部必要なことだから。」

 

弟の前の言葉は聞かなかったことにして、やる気があることは良いことだ。

 

体育祭は重要な事に変わりはないが、あくまでなるための通過点でしかない。

 

通過点とゴールを履き違えて、腐っていく人なんて山ほど見てきた。

 

「じゃあ、走るか。」

 

 

「じゃあまた、準備運動からやるぞー。てっ本当にここの学校の生徒はやる気あるなぁ……」

 

4時過ぎ辺りなのに、生徒の練習で人が一杯だ……もう少し空いているかと予想していたけど、外れてしまった。

 

「体育祭直前な事もあると思うよ?多分近く無かったらもう少し人は少ないと思う。」

 

「そう言うものか……」

 

そうお互い言い合いながら、準備体操を念入りに行う。準備体操を軽視する人達も多くいるが、アキレス腱切れたりとかしたら大変なことになる。

 

体育祭も近いし、ここの練習で負傷をおったら笑い話にもなりはしない。

 

さて次は、何をやろうかなー

 

「何か弟したいことある?」

 

「今度は、斬り込み方を教えてほしい。防ぐ方法もまだまだだけど……

 

守ってばかりじゃ、戦えない。」

 

俺としては、攻撃への対応をもっと詰めていきたかったが弟がそう言うならばそうしよう。

 

木製のナイフを床に置いて、構えもとらず話す。ここから先は俺は攻撃しない、只相手の攻撃をいなすだけ。

 

「じゃあ、弟。さっきとは逆だ、

 

遠慮は要らない、全力で掛かってこい。」

 

「遠慮なんてするつもりもないよっ!」

 

真っ直ぐ弟は、右の拳を握り殴りかかってくる。……だけどこれは恐らくフェイント、本命は力を溜めている左。

 

本当に真っ直ぐな、戦い方だな俺とは違って。

 

右の拳をしゃがんで避け、足を回して足払いをする。弟はそれに気がつき、後ろに引いた。

 

そのままいたら、転けちゃうからね。

 

俺は今は攻撃をしないで守っているだけ、攻撃へ繋げる隙を考えずに相手からきたものに対処をひたすらに重ねるだけ。

 

弟は俺を見ている、多分次の手を考えているのだろう。腕が一本無い不備を狙ってでも来るかな?

 

でもそれはヴィランも同じだから、普段の仕事で逆に慣れきってしまっているから俺から見れば悪手でもあるんだよな……

 

「おっと!?」

 

少しボーとしてしまったようで、反射的に向かってきていた弟の手を強く掴んだ。

 

もしかして、足の方に個性使った?そう考えながら、掴んだ腕を右に放り投げるように放し。

 

そのまま攻撃に移行するのであれば、行動を制限するようにする。

 

俺は全ての可能性に対処をとれるほどの実力はない、なるべく選択肢は減らしたい。

 

「……スマッシュ!!」

 

右の拳を使い空いている腹に向かって、殴ろうとしてくる。

 

あれ?この場合は蹴りがこちらから見て避けにくいと思うのに、何で弟は殴り使っているの?空いている部分に攻撃の対応は正しいが。

 

早さ的に個性使っているみたいだけど……攻撃手段としてはまだ慣れていないのかな?

 

それか、一種の固定概念が入ってしまっているか。

 

オールマイトに似ている個性だしなぁ……弟オールマイト好きだし、それに倣うようになっちゃってるのかもしれない。

 

それはそれで、先人の技術を盗むという意味では良い所もあるけど……

 

自身としての、適切な動き方が阻害される可能性が高い。俺最初からほぼ独学だから、弟にアレコレ言えたことじゃないけど……

 

体を回して、腹ではなく自らの腕に当たるようにする。

 

相手から攻撃を受けてしまっているが、内臓が入っている腹に直接受けるよりは良いだろう。

 

俺は完璧じゃないから、取捨選択は必要になる。全てを守るとか器用なことは出来ないし。

 

「アテテ……結構思いっきりいくねー弟。防げなかったよー。」

 

少し笑いながら片方の押さえる腕が無いので、少しだらんと下げる。ちょっと痛い、骨は折れてないけどじんじんする。

 

もうちょっといい防ぎ方もあったかもなぁ……俺もまだまだって事かな?

 

「場所を逸らして腕にさせたのに、そう言われたくはないよ。お兄ちゃん。」

 

「そりゃ、誰だって腹パンは痛いよ?痛いのは普通に嫌だからね、弟からくるとしても嫌だからね?

 

俺はマゾヒスト(被虐趣向)じゃないからね。」

 

誉めたのに弟が悔しそうにしていた、何故だ。腹パンはいい選択だしそのまま受けるの嫌だから腕を犠牲にしたわけだし。

 

相手に選択を迫られた、本来ならば俺自身が相手に選択をさせなければならないから戦いの主導権を握っていたと言ったのに。

 

「わかった、もっと力を入れるよ。」

 

弟は少し死んだ目でこちらを見た。これは俺でも分かる……これから大変なことになると。

 

「どうしてそうなった。」

 

 

ぶっ続けで、一時間やり続けている。

 

だけれどもお兄ちゃんに決定的な痛打は与えられていない、防御が硬いと感じる訳ではないが只ひたすらにやりづらい。

 

やりたいことを防がれる言うよりかは、やりたいことをやる前に潰されるような感覚を覚える。

 

只一つだけ確実に分かるのが、僕の行動をお兄ちゃんに無意識に誘導されている。

 

「弟そろそろ水分取った方がいいぞ、俺も取りたいしこれ以上続けるとミイラになるわっ!」

 

「うるさい。」

 

お兄ちゃんの声が、疲れた頭に反響する。もう少し静かに出来ないものかと思った。

 

それが僕が動きすぎて、体が少し可笑しくなっているのかもしれない。

 

「あっはい、でも水分取った方がいいのは事実だからはいコレ。急に一気飲みしてもあんまり補給としては意味無いから、ゆっくりな。

 

大分動いたみたいだから、補給の間に体休めておけ。本当に辛いなら保健室行くからな。

 

倒れておんぶされて、保健室に向かいたくなければきっちり言えよ。」

 

お兄ちゃんは、2Lペットボトルのスポーツドリンクをコップに汲んで僕に渡した。

 

冷たくはない、というかぬるい持った水が無くなって学校の水道水でも使ったのだろうか?

 

「ありがとう、後きちんと気を付けるよ。おんぶはとてもされたくない、多分されたら何日か話しかけないと思うよ?」

 

「………俺嫌われすぎてない?」

 

お兄ちゃんは僕の言葉を聞いて、疲れがどっと出たかのように首をだらんと下げた。

 

嫌いではないのだ……強いて言えば……

 

「もう少し、ちゃんとしてれば僕だって。

 

ヴィランの腕や脚すぐに折ったり、お母さんや僕が目を離すと何かに巻き込まれてたり。

 

知名度が低すぎて、私服でヴィラン退治したときに警察に逮捕されかけたり。

 

僕が取っておいたプリン気がつかずに食べたり。

 

突然気絶して何度も病院送りになって、病院関係者に常連扱いされたり………後は…」

 

色々とお兄ちゃんがやらかしすぎているだけで、簡単に数えてコレである。

 

特に知名度が低すぎて、私服でヴィラン退治したときに警察に逮捕されかけた事はもはや軽いコントの域だ。

 

確実に、笑い事ではないが。

 

「俺の現在進行形の数々を抉らないで、やめて俺のメンタルはもうボロボロよ!?」

 

今度は頭を抱え出した、僕としては毎回しっかりと反省してもらいたい。

 

毎回なにかをやらかしても、お兄ちゃん自身はあっけらかんとしていることが多い。

 

「僕だって色々と大変だから、主にお兄ちゃんがやらかしたことの尻拭いとか尻拭いとか尻拭いとか。

 

警察への弁解どれだけ大変だったか、お兄ちゃんにはわかる?」

 

本当に警察への話しは、今でも思い出すと胃がキュッと絞まるような錯覚に襲われる。

 

ヴィランの倒し方が毎回アレなのも合わさって、下手したらヴィラン同士の喧嘩又はヴィランと被害者が逆転しているようにも見える。

 

最後はヒーロー免許を見せてなんとかなったが……正直深く思い出したくない。

 

「尻拭いしかないっ!」

 

お兄ちゃんの叫びを聞き流しながら、他の人の訓練の様子を見た。

 

友達と一緒にやったり、また一人で個性を扱えるように頑張っている人達もいる。

 

今の訓練を振り替えると、結構珍しい事をしている相手が一応プロヒーロー(お兄ちゃん)とはいえ個性ほぼ無しでやっているのだから。

 

個性により、オリンピックが廃れてしまったように。実はあまりされていない軽視されてしまっている事をやっている。

 

一言で言うなら、技術。

 

向かっているときに感じた、誘導されている感覚もそれだろう。

 

相澤先生やかっちゃん……そしてオールマイトとも違う戦い方。

 

狙っているのは、相手の自滅。

 

正確に言えば自らの倒す事に固執していないんだ、結果的に相手が倒れてくれればそれでもいい。

 

そう感じる。

 

「……弟?はいスポーツドリンク。」

 

「コレ飲んだら、次行く。」

 

「はいよー!俺も頑張りますかねッ。」

 

やっぱり、スポーツドリンクはぬるかった。

 

 

あの後、もう一時間やってそろそろ帰らないと不味い時間になってきていた。

 

他の訓練所にいた人達もほとんど帰宅準備がもう帰ってしまっている。

 

結局僕は、お兄ちゃんに何回か殴る事はできたが痛打は与えられていない。

 

それに体力の消耗も、雲泥の差がついてしまっている。

 

「……………」

 

呼吸はできるが、喋る気力がない。体の間接に鉛を仕込んだように重い。

 

「弟は休んでで、俺が準備一通りにしておくから………はい保冷剤。少しは体冷えると思うよ。」

 

お兄ちゃんは、せっせと帰宅の準備をしている。体力が可笑しいと思う。

 

プロヒーローと用務員の仕事を普通に兼任して平気な時点でもう、普通の人と比較してはいけないが。

 

とりあえず、この間に十分体を休ませて。おんぶとかは防がないといけないと感じた帰りの時間だった。




個性ほぼ無しの訓練だから描写が少し地味かな?でも仕方がないよね……

だってこの二人個性全開で使ったり個性使ったりしたら訓練所大変なことになるもん。あとお互い怪我の可能性がヤバイ。強力な個性の弊害。

もう一度言います、こんなんでも兄弟仲自体は良いのです。

(訓練所倒壊の可能性大)
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