兄は弟を守りたい。   作:夢食いバグ

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ある意味、曲にとって家族回が本編みたいなところがある。


一人だからこそ。

一緒に訓練を一回したその後、電車で帰宅してお互い泥に落ちるように眠った。

 

明日は俺も弟も特に用事はない、だからこそこんなに練習を詰め込んだのだが。義母さんはちょっと呆れていたなぁ………

 

思ったよりも遅すぎたって事はあるけど………

 

だけど、義母さんも前より明るくなっている気がする。弟の個性が無い(夢を壊してしまう)事に、責任を感じて居たから。

 

次の義母さんの誕生日には、食洗機でもプレゼントしようかな……俺も大分支えてもらってるし親孝行しないと。

 

いつも家事大変だもんね。ありがとう。

 

 

「ふぁぁぁ……うるさい。」

 

いつも通り不愉快な電子音で叩き起こされる。起きる時間は休日でも代わらない、変化をつけようとすると平日の仕事のときに大変なことになる。

 

部屋を出て階段を降りて、歯を磨く。今日は特に予定はない、あるとするなら警察からの連絡が来たらすぐに動く位だ。

 

用務員としての仕事もあり、こういうフリーの日は貴重だが何していいかわからない。

 

近所の図書館にでもお昼代を持って行き。一日中籠るぐらいしか思い付かない。又は神社に5000円を貢ぎに行くか。

 

あっそうだ、俺は一つ思いつきスマホのメール画面を開いてポチポチと用件をうっていく。

 

「………友人にでも会いに行くか、忙しかったら連絡しなくていいって書くか。

 

俺と違ってちゃんとしている、プロヒーローだからなぁ。

 

もし話せたとしても少しだけ、話す内容に仕事混じっちゃうかもなやっぱり。」

 

書いた内容は、いたって簡素。今日暇だったら少し話をしないか?位。

 

ダメ元だ、別に返答が無くても大変なことにはならない。簡素なメール内容をいちべつし送信してから、台所に向かう。

 

今日の朝食の用意をしようと考えた。

 

簡素な物だが………正直に言えば何かをしてないと落ち着かない。

 

「味噌汁と菜っ葉のおひたしとだし巻き卵大根おろしもそえるかな………味噌汁は豆腐とワカメでいいか。」

 

冷蔵庫の中身を物色しながら、メニューを考える。案外このメニューを決める時間が料理に使う労力の大半を占めているかもしれない。

 

「……あるかな?あぁ少なくなってるか……今日の夜にでも仕込もうかな……」

 

そうやって見ているとだし巻きや味噌汁に使う、ワカメと鰹節と煮干しの出汁のストックが大分減っていた。

 

義母さんも結構気に入って使っているからなぁ。実際和食作るのに、出汁のストックは便利。作るときに煮干しのはらわた取るのものすごく面倒だけど。

 

そう適当な事を考えながら、二つの鍋で水を沸かす。味噌汁用とおひたし用だ。

 

「まぁ、今使える分はあるか。」

 

「おはよう曲早いね?」

 

「おはよう、義母さん今朝食作っているんだテレビでも見て待ってて。」

 

義母さんが今起きてきた、少しまだ眠いようで目を擦っている。もしかしたら調理の音で起こしてしまったのかもしれない。

 

「ありがとう曲、でも火傷しないようにね。」

 

「義母さん大丈夫だって、一応成人済みの大人だよ。ちゃんと働けてもいるし。」

 

卵をほぐして、出汁と混ぜる。お湯が沸騰してきて音を立ててきたので一旦止めて葉の方から菜っ葉を湯がいていく。

 

テレビの音が聞こえる、朝のニュース番組を見ていた。いつも通り逮捕されたヴィランの凶行の数々や、日が近くなった雄英の体育祭の反応等が流されている。

 

物騒だが、毎日なものでいつもの日常だ。

 

ゆで上がった菜っ葉を絞って切ったり、木綿の豆腐や乾燥ワカメを取り出したりなど、結構せわしなく動いていく。

 

「そういえば、曲高校の頃寮暮しだったものね………高校遠かったから。」

 

「そのお陰で、サイドキッカーとして働いていた頃の転勤にもなれたから……」

 

味噌を溶かして、少し平らな皿にのせて冷ます。味を見た、少し薄目だが朝にはちょうどいいだろう。

 

味噌汁の火を止めて、コンロから外し卵焼き用フライパンを乗せた。

 

「……おはよう…?

 

あれ、味噌汁出来てるのお母さん。」

 

弟も目を覚ましたようだ、休日だから普段より少し遅い起床となるが俺みたいに休日も平日も起きる時間が代わらないやつの方が珍しいだろう。

 

そろそろ卵液いれるか。

 

「おはよう弟、今日は俺だ。」

 

「そうなんだ。」

 

「ちょっと楽させて貰ってるのよ、あら今日は曇り見たいね。」

 

そんな感じで、軽く話ながら卵をくるくる回していく……初めてこういうの作ったときは何回か膜が破れて大変な状態になったけな。

 

作っただし巻き卵を三人分に分けて皿に盛る、脇に大根おろしを添えて醤油を少し垂らした。

 

「はーいできたよー。ご飯も炊き上がった、ばっかりだし熱いよー。」

 

 

朝食を食べ終え、少ししたのち弟は外に走りに出かけ。義母さんは買い物に、俺はお留守番をしている。

 

なんかおじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に……となりそうだが、全裸の赤子入りの桃は持ってこないので安心してほしい。

 

「おっとメールの返信……」

 

友人は忙しいのでもっと遅くなる、又は返信すらないとも思っていたが……

 

「えーとなんだ、まじかー夕方なら時間が取れるて事かで待ち合わせ場所は仕事場の近くの喫茶店か。」

 

急に連絡したのに時間を取ってくれるとは思わなかった、本当にダメ元だったからな。

 

久々に話してもしようかー位の感覚だったから。

 

「少しサイドキック含めた人に差し入れ的なものでもいくときに買っていくか………チョコとかそういうやつのでいいだろう。

 

動くしだいぶ。」

 

こっちはヒーロー活動する際にサイドキックは、雇ってないから事情は詳しくはわからない。

 

だけど給料や雇った人の士気等、雇うならでわの悩みも多いだろう。

 

お留守番といっても、鍵や電気を消せば出ていいし今から行くか……ちょっと長い散歩だ。

 

思い立ったら行動に移さねばと思い、財布や鍵など必要なものだけ持って外に出ていく。

 

防犯は鍵をかけることもあるが、防犯システムもきちんと契約つけてあるし大丈夫だろう。火災になっても保険降りるようにしてあるし。

 

「お昼はあっちの方面で食べようか、差し入れも買おうっとコレは大丈夫か……」

 

と通報されないように、花の布袋に入れたバールを見た。一応ヒーローとして動くかもしれないし武器は持ってないと……

 

用務員の時は、中々持ち歩くのはアレだからね。銃とかスピーカーとか持っている人いるけど先生とは権限かなり違うし。

 

それでヴィラン連合襲撃の際に大変なことになったけど……

 

あの真っ黒くろすけに刺したドライバーは、自費で買い換えて謝罪することになったし。ヴィラン本当に許さない。

 

最寄りの駅に向かい、スイカに適当にお金を入れて電車に揺られる。電車の中の広告を暇潰しに見ながら、目的地までの時間を潰し。

 

降りて、回りを見渡す。

 

「やっぱり昼だと明るいな。」

 

いつも仕事として来たりする場所であるが、その時は大体夜。時間が違うため歩く人の年齢も服装も様子も全く違うように感じる。

 

見えるのは、家族か学生同士での遊び。皆楽しげに見える。

 

俺は一つ背伸びをしてから歩いていく、家族へのお土産は帰りでいいとしてまずは差し入れ用の品を買いにいかないと。

 

「さて、詰め合わせとかそういうやつを複数買っておけば大丈夫だろう。」

 

ちょっと高めのチョコの詰め合わせを2箱と煎餅を1箱購入した。それから喫茶店に向かう、時間まで結構あるので歩いて行ってもいいだろう。

 

全て片腕で持っているため、結構辛さがあるが………重い。

 

歩いている間にも、ヴィランと戦っているヒーローの姿がいくつか見えた。苦戦はしてない。

 

見ている人の中に妙な感化を受けている人がいなければいいな。

 

「ふぅ重かった、すいません席空いてますか?テーブルあると嬉しいです。」

 

「テーブル席ですね、こちらになります。注文お決まりでしたらお知らせください。」

 

「わかりましたー」

 

店員のマニュアル全開な、対応を聞きながら窓側のテーブル席をとる。

 

お手拭きで拭いてから、メニューを眺めていく。ナポリタンとかよさそうだ。

 

「すいません注文いいですか?」

 

「はい!」

 

「えーと昔ながらのナポリタンとアイスココアホイップ山盛りと具だくさんミネストローネお願いします。」

 

そういうとアルバイトらしき定員は、慣れた手つきで注文内容のメモを取り。

 

「昔ながらのナポリタンとアイスココアホイップ山盛りと具だくさんミネストローネ以上でよろしいでしょうか?」

 

「はい大丈夫です。」

 

「それでは、ごゆっくり。」

 

内容を確認のために復唱したあと、去っていく。お冷やを口に含み、氷を噛み砕く。

 

料理がくるまで暇なので、スマホを弄っている。犯罪のニュースの速報がよく来るので、暇にはならない。いやそれで暇潰しするのは不謹慎極まりないだろうが。

 

ココアがきたので、ストローをさしてホイップと混ぜる。

 

ホイップの上にスライスアーモンドとチョコレートシロップが乗っかっていた、どっしりしている。

 

「甘いな、やっぱり。」

 

そろそろ時間かな?と思いつつ、スマホの時計を見た。待ち合わせの時まで15分前。

 

遅れても特に気にしないが、ヒーローという職業上どうしても時間の不安定さは残る。

 

ヴィランの相手なんかは特にそうだ、時間や場所関係なく発生するからなぁ。

 

あっ今度はパスタとスープ同時に来た。

 

「へーここベーコンか。」

 

パスタとスープにそれぞれ入っているベーコンが結構分厚い。ピーマンと玉ねぎもどっさり入っている。

 

パスタは結構柔らかくふやけている。ナポリタンの麺だからやっぱりそれがいいのだろうか?

 

とりあえず、タバスコを少しかけてから。粉チーズ………っと。

 

「すいません!友人と待ち合わせしていて……」

 

あっきた、一瞬粉チーズドバーっとしそうになったがなんとか押さえおいて。店員に案内された友人に少し手をふった。

 

「先に少し頂いてたよ、飯田くん。」

 

「結構頼んでるね、緑谷くん。店員さん俺はアイスコーヒーとアイスクリーム一つお願いします。」

 

そうやってインゲニウムこと、飯田天哉の兄の飯田天晴が笑いながら席に座った。

 

仕事の助太刀から連絡先に交換して、お互い弟がいるという共通点から仲良くなったヒーローになってからの友人では初めての人だ。

 

「お昼ご飯も兼ねてますから。あっコレ差し入れです、事務所の方とどうぞ。」

 

「結構一杯食べるからね、ありがとうありがたく貰っておくよ。そういえばヴィラン襲撃は大丈夫だったかい、少し話で聞いてね。」

 

そうやって飯田くんは、差し入れを貰って前の件の話をしてきた。

 

雄英高校にいる話はしていたから、そこから連想したのだろう。

 

「特に怪我など問題なし、君の弟が学校内にいるヒーローの増援を呼んでくれたお陰で収まったよ。

 

警察から話は聞いていると思うけど、ヤバイものは3つそれ以外はそこら辺のチンピラの寄せ集めだってさ。

 

特にヤバイのが、作られたヴィランある意味量産が可能。十分警戒した方がいいよ。」

 

警察に口止めされてない程度の情報をぼかして伝える。作れるって事は、生産コストなどの問題もあるがそれを抜きにすれば戦力の拡大が簡単にすんでしまう。

 

コストが掛かりそうなことだけが救いだ、あのチンピラを全て材料として消費してアレ並の物を全て向かわせられたら大惨事じゃ済まなかっただろう。

 

「そうか……うん、警戒は怠らないようにしておくよ。ヴィラン連合の影響は今のところは少ないけど、十分力を持っているって事は分かった。

 

君がそういうぐらいだしね。」

 

「所で、最近のチームの調子はどうです?」

 

「あぁ!ヒーロー免許に受かった人がいてね、まだサイドキックとして経験積んでるけど……そろそろ独立する予定なんだ。」

 

飯田くんは嬉しそうに話していた、本当に俺とは違うな……尊敬もあるがこうは慣れない自信がある。

 

自信と言ってはいけないのだろうが、本当にヒーローとしてヒーローをやっている。

 

「独立か……最初は大変だけど、応援したいね。ヒーロー事務所多くなっているけど、犯罪への対応はまだ間に合ってない部分もあるし。

 

特に地方の方はね。」

 

「都市にヒーロー事務所は集中しているけど、その子は生まれ育った地元で事務所を開きたいって言ってるね。

 

そうだ、次はきちんと時間を取って一緒に飲みに行かないか?」

 

「あー居酒屋ですか?バーですか?」

 

「居酒屋で、もっと話したいし。」

 

俺もそれはいいと思った、お酒自体特別な時……友人とかに誘われたとき位しか飲まないし。

 

「ですねー、じゃあ体育祭終わった後お互い時間会わせて行きましょうか!」

 

そうやってお互いまた、話す。

 

仕事の事やら、家族の事やら、体育祭の事やら、弟の事やら、学生時代の記憶やら。

 

沢山時間一杯話して、お互い帰った。




次は体育祭いきます! えっ不穏なフラグたっている?なんの事かなぁ……?

食事シーンばっかりの癖を減らしたい。一杯食べて一杯動く。

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