「こんなのあんまりだ………」
今絶賛、体育祭での具合が悪くなった人の案内や内部で販売されている物の補給等に大忙しである。
酒は学生さんの関係もあり売ってはいないが、外の出店では関係ない。だから酔っぱらって吐いてしまう人もいる。
「おーそっちの調子はどうだ、曲。」
「大忙しですね、やっぱり…………中継があるからと思ってましたけど小型のテレビ持ってくるべきでした。」
「確かになぁお前の弟一位だろ?騎馬戦で注目の的だぞ、イヤー一番は辛いねぇ。」
用務員の比較的勤続年数の長い人だ、普通の一般企業を退職後入っているためかなり年をとっている。出久が俺の弟だと知っているのか、見れなかった間の騎馬戦の様子を教えてくれた。
「でも弟は強いですからね、どーんと目立ってくれると思いますよ。」
「ショートだったか?エンデブァー、の子供らしいが凍らすだけで火使わんがなんでじゃろうなぁ?」
「純粋に受け継がれなかった、とかそういうものじゃないんですかね?たしか奥さんは冷気の力と記憶してますし。」
まぁそこら辺は個人の事情もあるだろう、すこしボケも入っているだろうしこれぐらいで流せばいいか。
「そういうもんかのぉ?なーんかあるように思えるがまぁ気にせんでよいか。
あっそうじゃ、警備として雇われたプロヒーローの待機室の清掃頼んでもよいかの。」
いつのまにか仕事頼まれた、こういうのうまく断る練習とかもした方が良さそうだ………プロヒーローの仕事の時には断るとか無かったからなぁ……
「あっはいわかりました。」
「ありがとうなぁ、少し腰がいたた…」
「くれぐれも無理をならないようにしてくださいね?」
◆
「それじゃ1時間ほど昼休憩はさんでから午後の部だぜ!イレイザーヘッド飯行こうぜ。」
「寝る。」
中継仕事で見られなかったぜ、くそが。
でも仕事事態はお昼前に片付いた、お昼飯を弟と弟の友達と一緒に食べれるぜやった。
その前に弟探さないと………弟学食にいるかなまず学食に向かうか……、そこでいなかったらカツ丼の弁当頼んで自分用に惣菜パンとかも買っておこ。
「えっと弟いない………」
学食の場所もそれなりに広い、学生の人数も多いこの中から一人を見つけ出すのは中々大変だ……弟の友達やクラスメイトを見つけてそこの近くに弟がいないが見ていたが全くいない。
「早くしないとご飯食い損ねるぞ、弟体育祭かなりハードだからご飯食べないと。しょうがないから弁当買うか、容器代で20円増しか……」
カツ丼の弁当を買って、パンとおにぎりいくつかとお茶のペットボトル二つこれだけあれば十分だろう。
「さてどこにいるんだろうなぁ……」
そうやって走り出す、弟の場所わからんだって食堂にいないのだもの。
◆
「僕に話ってなに……?」
あの騎馬戦の後轟くんに呼び出された。
「気圧された。自分の誓約を破っちまう程によ。
飯田も上鳴も八百万も、常闇も麗日も…感じてなかった。最後の場面あの場で俺だけが気圧された。
本気のオールマイトを身近で経験した俺だけ…」
轟くんは左手を見つめた、その左手の熱の力を使えば有利になる事は多くあったはずだ。
騎馬戦の時ももっと早く飯田君のかくし球を使わずとも1000万点を………
「お前に同様の何かを感じたってことだ。緑谷、お前…オールマイトの隠し子か何かか?」
そう考えていると、思いもよらないことをくにちされた。僕は隠し子ではない。
「ち違うよそれは、もし本当に隠し子だったら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけどとにかくそんなんじゃなくて。」
家族は、お母さんとお父さんそしてお兄ちゃんだ。オールマイトは僕の憧れのヒーローであり個性を受け継いだ人……
「そんなんじゃなくて、って言い方は少なくとも何かしら言えない繋がりがあるってことだな。」
轟くんは、僕の失言を見逃さず畳み掛けていく。
「俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ、万年No.2のヒーローだ。おまえがNo.1ヒーローの何かを持ってるなら俺は尚更勝たなきゃいけねえ。自分ではオールマイトを超えられねえ親父は次の策に出た」
そこで口から出るのは、個性婚の事やエンデヴァーの一位への執着。母から受けた傷、そして火父親から受け継いだ個性を使わない理由。
「ざっと話したが俺がおまえにつっかかんのは見返す為だ。クソ親父の個性なんざなくたって…いや、使わず一番になることで奴を完全否定する」
それは父親への当て付け、そして否定。
「おまえがオールマイトの何であろうと俺は右だけでおまえの上を行く。時間とらせたな」
そうやって轟くんは去ろうとする、何かの物語ならば主人公だろう。全てを持って生まれてきたとも言える、僕とは真逆だ。
だけど僕は、回りには恵まれていた。小さい頃から夢を見て、そして諦めかけてオールマイトがまた夢を持たせてくれた。
そしてお母さんもお父さんもお兄ちゃんもずっと出きるかどうかわからない夢を支えてくれた!
「僕は…!僕はずっと助けられてきた。」
家族やオールマイト以外でもそう、騎馬戦を突破できたのは組んでくれた人たちのお陰だ。
「さっきだってそうだ。僕は誰かに救けられてここにる。
笑って人を救ける最高のヒーローオールマイト…彼のようになりたい。その為には一番になるくらい強くなきゃいけない。」
息を一つ吸う、轟くんが僕に勝とうとする訳をここで話してくれた。僕も轟くんに勝ちを譲るわけにはいかない。
何事にも全力で、そうしなければ轟くんにも失礼だ。
「君に比べたら些細な動機かもしれない。でも僕だって負けられない。僕を救けてくれた人たちに応える為にも。」
まっすぐ、轟の目を見つめる。
「さっき受けた宣戦布告改めて僕からも。僕も君に勝つ!」
まずはそのために、勝ち進めなければならない。
「………そうか。」
「あっ弟こんなところにいたのか、お昼休憩そろそろ終わっちゃうぞーお昼飯食い損ねるぞー
あっ轟くんも、何も食べてないならまずいしこれあげるから腹ごしらえしてきなー。後半もかなり詰め込まれてるしねー。
戦っている時にお腹空いたらもったいないよー。」
轟くんが、僕の宣戦布告に返事をしてくれた時に
タイミングもう少しどうにかならなかったのだろうか。轟くんも思わぬ出来事に呆然としてしまっている。
「弟に渡したし、そろそろ次の仕事入ってるし戻るかー。一年に一度の雄英体育祭楽しんでいってね、俺も応援してるよ!」
お兄ちゃんはその状況も気にせず、食べ物の袋を僕に渡すとさっさと帰ってしまう……本当に昼食を渡しに来ただけらしい。
実際昼休みの時間はかなり少なくなっている、昼食を食べているかどうかの心配をするのは分かる。
「轟くんなんかごめんね……うちの馬鹿兄ちゃんが、いつも通り馬鹿やらかして。」
「あぁお前も、なんかいろいろ大変そうだな。」
相変わらず轟くんは鳩が豆鉄砲を食らったような表情を保っている、本当に嵐のように来て嵐のように去っていったのだから。
「轟くんご飯いる?多分食べきれない、お茶のペットボトルも二つあるし。」
中身はお茶のペットボトル二つと、カツ丼の弁当そして菓子パンや惣菜パンやおにぎり………明らかに一人で食べる量ではない。
「すこしもらう。」
とりあえずお兄ちゃんは体育祭終わった後一つ殴ると決めた。
◆
「やー間に合ってよかった……後はアメリカから来たチア達の場所案内と借り物競争の準備しないとなぁ……」
とりあえず弟の昼飯抜きで午後の部突入は回避できたことに安心した。
一応俺は英語はそれなりにはできる、だから案内の仕事が割り振られた。まぁ相手のチアさんも日本語ができるからいまいち俺がやる意味がわからない。
割り振られてない騒ぎ出す人の対応に回されてないからまだいい仕事をもらった方だが。
「借り物競争もいろいろ札あるなぁ………」
背油って誰が書いたのだろうか。とりあえずチアさんを入場口に案内して………うん、なんでA組女子がチア服来てるんだろ服も同じだし。
盗んだって訳じゃなさそうだな……ちゃんとこっちのチアの服も揃ってるし、物作る個性があってそれで作ったりしたのかなでもなんでやろ、まぁいいか。
「札ちゃんと人数分用意してっとこの用意が大変なんだよなぁ流石雄英というか……」
いくつかの箱のなかに紙を多目に入れていく、紙がこぼれて途中で足りなくなったと言われたら大変だし任された自身の責任になってしまう。
「紙も量があると中々思いなっと……借り物競争もしかしたら俺から弟借りるものあるかもしれないなぁ、まぁ中々ないとは思うが。」
「おーい紙入れ終わったら、こっちの用意も手伝ってくれーテーブル一人で運ぶのは無理だ。」
借り物競争の借りたものを見せる台の用意もしなければならないようで、俺は呼ばれる。
力はそれなりにあるしなぁ……
「はいはーいわかりましたよ。」
後で玉転がしとかも準備しないとなぁ、みんなが楽しめるように頑張ろ。
「さぁ昼休憩も終わっていよいよ最終種目発表!とその前に予選落ちのみんなに朗報だ!」
マイクの騒がしい実況が始まる、お昼飯は俺は食べてない後で休憩すこし入ったときに急いでかわないとならない………轟くん用に渡しちゃったからなぁ……でも学生さんがお昼飯すっぽかすよりはまだいいか。
「あくまで体育祭、ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!」
今ちょうど準備が終わった奴である、正直かなり用意するのは大変だった。用務員としても楽しんでもらいたい。
「本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ…ん?」
「どうしたA組!?どんなサービスだそりゃ!」
「峰田さん上鳴さん騙しましたね!」
あっマイクさんも想定外なのか……なにかやることで来ているのかと思ってた、女子陣は騙されて来てたのかちょっと声かけて話した方がよかったかな……?
過ぎたことだから気にしないけど、後は組分けかな……なるべく弟にとっていい相手と戦える組み合わせだといいけど。
弱い相手を望んでも、それは弟のためじゃないなるべく新しい強い相手と……なってほしい、二人ほど辞退し繰り上がったそれも中々の強者だろう。
「さて、後はどうなるか………でもここまで残った以上弟も一筋縄ではいかないぞ対戦相手よ。」
あの後の借り物競争で弟に呼ばれたが……内容は、包帯だった。確かに目につけてるけど首根っこ引っ付かんで持っていくのはちょっと苦しいぞ息と心両方。
いつものブラコンです。