滅びかけの世界で道中記   作:湿気った銃弾

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パタパタパタ――実際はそんな生易しい音では無いが、規則正しいテールロータの激しい羽音が響き続ける。丁度頭上にあるエンジンの轟音とその羽音に支配された狭苦しい兵員室の中に私達は居た。

チラリと窓の外を覗けば、私達の搭乗する輸送ヘリの護衛であるMi-24Mk4(スーパーハインド)が右側に少しずれた横並びで飛んでいる。あの中には迎えに来た仲間達(戦術人形)が乗っていて、こちら(輸送ヘリ)には共に敵地から脱出してきた戦友しか……いや、正確にはグリフィン所属パイロットの二種類の存在しか乗っては居ない。

 

つまり、ここにあの男の姿は存在していなかった。

 

「どこに消えちゃったんだろな」

 

思わず、ポツリと私の口から言葉が飛び出した。

 

結果から言えば、あそこから誰も…ダミーすらも欠ける事無く無事に回収地点まで辿り着く事が出来た。そして、私達は迎えのヘリの中で皆が今こうして機内無線の付いたヘッドセット(イヤーマフ)を付けて、座り心地の良くないチンケな座席に座って居る。

ふと、何かを感じ目線をStGへ向けてみれば……相手もコチラを見つめていた。

 

「彼の事を考えてましたの?」

 

耳元の厚い防音素材に守られたヘッドセットにStGの問いかけが伝わり、私の耳を叩く。

この声は皆に聞こえている筈だけど、ペーペーシャにSPP-1は今は小休憩中だ。言ってしまえば睡眠中、と言った所。

だから、この質問は私にだけ問い掛けられた物と言う事になる。

 

「まーね……てかさ、良く私の考えている事が分かったね」

 

クスリ、StGが少し微笑を浮かべて手で口元を押さえた。……一体、今の何が面白かったと言うのか。

 

「あら、ごめんなさいねスコーピオン?……呟きが漏れてましたわ」

 

丸聞こえでしたの。そう言って、口元へ伸びたヘッドセットのマイクをトントンと指先で叩き――同時にコンコン、音が私の耳の中へ響き渡った。

さっきの呟きが聞こえていたのか、その事に今気が付いた。ボソッとした小さな音量だったし、拾えていないと思っていたのに。

……金があるからってグリフィンは無駄にこう言った小物まで良い物を使いすぎだと思う。

 

「ちぇっ、そうやってからかうの止めてよね」

 

足を組んで、以下にも私不貞腐れてますアピールを行うが…あまり通じはしなかった様だ。

 

「これくらい良いじゃありませんの。円滑なコミュニケーションって奴ですわ。

……それでやっぱり貴女も気になってますの?」

 

「まあ、ね。

…助けてくれたかと思いきや、何時の間にか居なくなってるし。てっきり一緒に離脱するか、せめて見送るなり何なりしてから別れると思ってたからね」

 

「私も、ですわ。集合地点に着いて気が付いたら居なくなってるんですもの。

……せめて最後にお礼位は言いたかったですわね」

 

脇に立てかけたもう一人の自分(StG44)を撫でながらStGが言葉を閉める。それは私も同意出来る事だった。

私も、と言うか……

私達は結局、案内してくれた事に関してお礼言えず仕舞いだったのだから。

彼の案内で回収地点に着いたのは良いが、決められた合流時間までには幾分かの猶予が存在していた。

だから警戒の為に交代しながら待とうって決まったのは良いんだけど…ね?

ふと、気が付けば…メモリーカード共に添えられた『名刺データが入ってるから渡してくれ』と一言書いたメモを残し、私達に一切悟られる事無くその場から消えていた…そんな彼に対して。

 

 

彼とのファーストコンタクトはぶっちゃけて言えば、滅茶苦茶怪しい自称傭兵の犯罪者って認識が正しかっただろう。

実際怪しさ満点だし、やってる事が進入禁止エリアに入り込んでる上に治安維持、統治機構として働いてる準軍事組織たるグリフィン(私達)の通信傍受した上に乱入だからね?間違いなく、グリフィンの支配地域で施行してる法や依託を受けている国の法にに照らし合わせても100%アウトの行為しかしてない。

まあ、それでも彼に助けてもらうと言うか、現地協力者として依頼する形で切り抜ける事にしたのが私達だ。

事前に通信越しに打ち合わせした通り、彼の待つマンション六階の一室へ入ってみれば――そこに居たのは倒したスカウトと見られる鉄血兵(Jaeger)二体を高周波ナイフでサクサク切って解体しながら背中越しに私達へ話しかける男の姿があったんだもん。

いや、軽く引いたよねマジで。特にペーペーシャなんか悲鳴軽く上げてたし。

 

……でもそんな初見の印象と違い、直接話してみれば良い人だったね。通信越しだとちょっとふざけてるのかな、なんて思ってたけど……

実際は真面目な時は真面目だし、場面場面でのON/OFFの切り替えが上手い、と言えば良いのかな?

そんな彼を見る限り、歳は20-30代位。バイザーにフェイスガード越しで見えにくかったが、ここいらでは珍しいアジア系顔つきでーー体の出来や装備からして正に自己申告どおり傭兵って風貌をしていた。

只、その装備はそこらへんのごろつきが持てる物じゃなかったし、キチンと手入れがされていて使い慣れている。そしてそれだけじゃなく……良く居る民兵崩れの傭兵なんかでは無く、彼の体の運び方や諸々の動作一つを見てもプロの訓練を受け、其れに見合う技術を持った人間だとは嫌でも分かった。

……なんでそんな人間がこんな所に居るのか疑問は尽きなかったけど聞かない、無駄な検索はしないのがマナーって物だ。

 

で、そんな彼から提示された敵の画像や動画で情報を見て…信じたのは正しかった、と隊の仲間は皆その時にそう思ったはずだ。

実際、伝えられていた情報とほぼ代わらない敵の様子がそこには映し出されていたし、おまけにあの時アパートで決めてその後通る予定だったルート……正にそれドンピシャの位置に待ち伏せが仕掛けられていたのだから。

無論、こっそりSPP-1に分析してもらって、それらがガセネタでは無いと証明してくれたのもあるけどね?

 

それでその状況に焦ると言うか、改めてルートをどうするのかで揉める私達にーー「私に良い考えがある」

そんな事を言って彼が提示してきたのは、私達が知らない町に走る謎の地下道のマップデータと来たもんだ。てっきり最初は、そのデータは私達も想定していた下水道やガスと言ったインフラ系の通路で考えが被ったかと思いきや……見てみれば、こちら(グリフィン製)のマップには載ってすら居ない。事前に聞いた情報とは一切重ならない謎の通路。

 

詳しく話を聞いてみれば。

少し昔……戦前から戦後の混乱を極めていた時代にこの地域を支配していた武装勢力やらが掘ったりした物や別の麻薬密売組織何かが掘った地下道が諸々ったマップデータ、らしい。

……何でグリフィンすら知らないデータを彼が知っているのか。そんな疑問をぶつけてみても、友情やら企業秘密と言ってのらりくらりと誤魔化される始末。何れにせよ、少し離れた民家まで行ってそこの地下室の壁をふっ飛ばせば地下道へ入れるのだと分かったし、それらの出口の一つが私達の目指す回収地点の極付近まである事が分かって、一つの希望が見えたのは間違いなかった。

その後はなんだか……言ってしまえば、今までで一番楽な道程と言える展開になってしまった。

だって一番緊張したのが、最後の最後である回収地点である立体駐車場に向かう時と迎えを待ってる間だけだったのだから。

 

別のスカウトに見つかる前に急いでマンションを出て、数百メートル先にある民家へかう時も緊張したにはしたけどね。

最後ほどでもなかった、と言うのが感想だ。

 

最初は彼が初対面の私達とキッチリ連携か取れるのか…何て不安もあったりしたけどね?

蓋を開けてみれば、キチンと私達に息を合わせた動きをしてくれるし、その動作もプロその物であり、直ぐにその点に関して一切心配する必要はないと気がついたからね。

 

その後は……間違いなく一番気楽だったかな?

何事もなくたどり着いた民家の地下室の壁を爆破(ブリーチング)するのも、彼が用意してあった爆薬で綺麗に穴を開けてくれたお陰で、問題なくその脇を通る…まるで坑道のような地下道へと入る事が出来たわけで。

 

あ、一つ訂正。全く問題が無かった訳じゃ無かった。

さっき地下道を坑道のような、と言ったけど……よーするにその地下道は壁全面をコンクリートで補強などそんな上等な道などではない。只の固めた土壁に潰れないよう組んだ木や鉄骨で天井と壁を支えてる、正に古き時代の坑道そのものであり……つまりは壁から漏れてきた水で湿気が凄く、むわっとしたカビの匂いが混ざり混んだ土の臭いが充満した空間だった。

そしてそれを感じ、見たStGの顔は真っ白に死んでいたのである。

最初は下水道よりはマシと言っていたStGだったが……只の武装勢力や密売組織にグリフィンの前線基地にあるしっかりとした地下道を構築するなど不可能なのを忘れていた様だ。

もうここまで来ているのに、ジタバタと嫌ですのー!とか騒ぐStGを皆で説得して引きずり込んだり、地下道内に居るせいで外と通信が出来ない為に、指揮官への定時連絡や回収部隊への連絡が遅れてしまう事と言った約二点の問題は発生した。

結局、問題らしい問題はその程度で、ゴール地点まで敵と一度も遭遇することなく、暇潰しに酸素マスク越しの彼と皆で軽く話ながら地下道ピクニックを約一名を除いて、楽しんだ位なのだから。

 

ま、楽しんだと行ってもひたすら二時間前後かけて真っ暗な地下道を歩き続けただけなんだけどね。

だとしても、確実に敵からの弾が飛んでこないと言うだけで十分に気楽で楽しい時間に変わるのは違いない。

道中見つけた、空調が生きている休憩用と見られるちょっとした小部屋で休憩ついでに昼御飯を食べる事が出来たのは大きかったし、とても良い時間になった。

何故なら、彼が好意で持っていた缶詰とか民間の保存食を人数分分けてくれたって言うのがある。

……正直に言って、私達に支給されるレーションは種類はあれど全て味に関しては美味しくないか、ひたすらに不味いか、特に感想なし普通の三種類しか存在しないからありがたい話だ。

特に私達の中で一番長い期間をそんなレーションしか食べられてなかったSPP-1はとても嬉しかった様で、予備のヒートパックを使って加熱が終わった瞬間、目にも止まらぬ早さで蓋をサッと開けてメニューの炒飯や魚の煮物をガツガツかっ込むように満面の笑顔で食べてたね。

 

まぁ、本当にこの程度しかなかったんだよね。

後は最初の通り。

事前に決めていた出口から飛び出し、30分前後進めば、目標である回収地点の立体駐車場まで敵と会うこと無くたどり着くことが出来た。

その後、私達は三方に別れ立体駐車場を確保しながら待ってたのだけど……その時にいつの間にか彼が置き土産を残して居なくなっていたんだよね。

まぁ、慌てて探したりもしたけど結局、見つからる訳もなく……

数十分後に迎えの部隊が来たからその場で合流して、ヘリを無線で呼び、降りてきたヘリ搭乗し――今に至るという訳なのさ。

 

まっ、私としては終わりよければ全て良し。

道中、ダミーは失ったりはしたけど……

彼が待ち伏せを教えてくれたお陰で、誰一人として死ぬ事なく無事に帰ってこれたのだし!

今回は敵地でのSPP-1との合流から回収までで計2日かかるそこそこ長い任務だったから、何事にも全力な私も疲れちゃった。

基地についたら、先ずは風呂に入る事と体から銃も全て隅々まで整備(メンテ)をしてもらって汚れてしまった全身を綺麗にしたいし、何よりも糞不味いレーションなんかじゃなくて、暖かくて美味しいご飯を食べたいのだ。

 

結局、なぜ彼は何も言わずに消えて決まったのかは分からないけれど……基地に帰ってからゆっくり考えれば良い。

本部の人達に今回の顛末とこのメモリーカードを渡せば、彼も希望通りグリフィンとお仕事出来るだろうしね。

そして……そうすれば何時かは何処かで私達も会える時が来るだろう。

だからその時に今回のお礼と勝手に居なくなった事情を問い詰めようと思う。

それに彼自身についてコールサイン以外殆ど語ってはくれなかった。それも合わせて尋問するとしよう。

それで万事解決だよね!

 

さって……今日の出来事を長々と思い出していたけれど、私もペーペーシャやSPP-1の二人みたいにそろそろ休眠モードに入らせて貰おうかな。

StGは最後まで起きているそうだから何かあったら起こしてもらえるっぽいし、基地に着くまでの間休むとしよう。

この任務から戻ったら、私達の基地にいる指揮官にちゃんと報告しないとね。

それじゃ、おやすみなさい…………

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「それで何か分かったか?」

 

執務机に座る男が、目の前のモニターへと話しかける。

草臥れて所々コーヒーの染みがある白衣をシャツの上に羽織る、ボサボサの髪の毛を弄りながらダルそうにコーヒーを飲む女の姿が、そのモニターにはあった。

 

『んー、大体分かったわ。彼、わざとヒントを残してくれてるし……』

 

「そうか。では何故、彼女達の記憶データの書き換えを行えたのかね?」

 

机の上に広がるこの案件の報告書を男が手に取り、目を通しながら問い掛ける。

その内容を纏めると、つまりこうだ。

 

我がグリフィン所属の戦術人形部隊が任務行動中、第εΨ地区の緩衝地帯にて謎の自称傭兵を名乗る人物と遭遇。

その人物を現地協力員として、共に協力し回収地点まで移動。そして無事に戦術人形は無事に脱出することが出来た……が、その人物は回収部隊が来る前に行方をくらましている。

戦術人形達の記憶データから、人物の特定を図ろうとしたら……それらのデータが改竄されていた、と言うものだ。

当該人物の顔の部分には恐らく、日本語と思われる言語を組み合わせ書かれた謎の顔らしき画像が常に表示されており、分析不可能。

音声に関しても、戦術人形個体別に違うスクランブルがかけられており、分析不可能。

しかも、記憶が弄られているにも関わらず彼女達はその件に関して、一切の違和感を持っていない。

……つまり、電脳にたいして何かしらのハッキングが行われたと言うことだ。

戦術人形の電脳は高度に守られており、余程の事が無い限りこの様な事は起こり得ない。

だが、現実はこうして改竄や戦術人形同士の機密通信に乱入されている事実、そしてそれらにグリフィンの権限を悪用されている事などを踏まえ、重大な案件として処理が行われている最中である。

救いがあるとすれば、今回の作戦はグリフィン司令本部主導で行われている物である事から、隠蔽するのは容易であり……

この男が主に動くことで、騒ぎ立てず外部の女に調べて貰う事が出来たと言う訳である。

 

『彼が利用したのは技術部の上級補給管理官、の権限だっけ?

そっちから貰った資料を見る限りだけど、その権限の中にある機密保持権限を悪用したんじゃないの』

 

機密保持権限……技術部の運ぶ物が機密性の品物高い場合に限り、それらに関わる必要権限以下の認証しか持たない戦術人形に対して、所謂記憶処理を行える権利である。

例えば、その品物がアタッシュケースだったとしよう。

その権限に乗っ取り、記憶処理が行われれば……戦術人形達の記憶から物の形状やそもそも作戦に関わった事も消したり、アタッシュケースではない別の物を運んだのだと記憶を変える事が出来る。

だが、そんな事が出来る重大な権限は頑丈なセキュリティに守られている上に、利用する上でも制約や記録に残す事務的手続きを積まなければ実行出来ない筈の物だ。

 

「ふむ……だがそもそもどうやってその権限情報を手に入れられた?

ヤツが我が社から飛び出してから数ヶ月過ぎている。その間に何度かセキュリティや権限そのものの更新が入った筈だ」

 

『彼、そちら……あぁ、ウチ(I.O.P)のもそうだけど技術部連中と仲良かったし、彼等の部署に良く遊びにいってたから……多分、その時に仕込んだんじゃないの?

……あ、今データ送るわよ』

 

画面の中で、女がパチパチとコンソールを弄り男のPCへとデータを送る。

 

「無事に届いたが、これは……」

 

カチリ、と送られてきたデータを開いてみればーー入っていたのは問題の権限に関するパッチやセキュリティ、そのデータが入るサーバーの管理に関わる物だった。

その中の幾つか、赤字に代わり目立つように書かれた物が幾つかある。

 

『彼、有能だけど……凄いサボり魔だったから……

その才能を生かして、誰も彼もがめんどくさいと思える様な物を作るのも得意だったみたいね……』

 

赤字に変わった部分が示す内容や繋がり読み進め、照らし合わせれば……それが意味するのはつまり、バックドアと言うものになる。

これさえあれば、外部から情報は抜けるし直接権限を行使することも可能だ。

 

「これを前に仕込んであったお陰で、今回権限にアクセス出来たと言う事か」

 

『そう言うことね。何も無しに外部から侵入するのはほぼ不可能だもの……

……何度かその領域でチェックなりセキュリティの更新は入っているそうだけど、検査記録も見る限り……全て問題なしになってるわ。

まぁ、無理もないわよ。

赤字になってる部分、殆どが【チェックしなくてもほぼ問題無い筈の場所】だし……』

 

「成る程。百々のつまり、人間の怠惰を利用したと言うわけだ」

 

『えぇ、私だってそこ調べるの面倒だったんだから。無駄に量多くて無駄に手間がかかるし……

最初から問題がある、と確信を持って調べなかったら余程の生真面目でも無い限り、適当な所で切り上げて報告書には【問題なし】と書き込むでしょうね』

 

間違いなどほぼ出てこないと分かるが、それを改めて確認しようとしたら大きな手間と時間がかかる……所謂、とても怠くて面倒な項目にバックドアが仕込まれていたと言う訳だ。

その後、何度もセキュリティのアップデートやチェックがあったとしても……最後の最後に確認するのは人間だ。

その人間が面倒くさがり、何度も放置し続けた結果、ここまでバックドアは生き続けたのだろう。

 

『それと、メモリーカードの中だけど……

パッと見はでっち上げの履歴書に経歴書しか入って無い様に見える……けど、そこに暗号化されたファイルが仕込まれてたわ。中身はバックドアとかそれ以外の工作諸々の場所ね。……多分だけど、彼も申し訳ないとは思ってたんじゃないの?』

 

「すまないな、それ以外は此方で対処しておく」

 

『……それで、彼をどうするの?』

 

今までの怠そうな表情とは一変し、真面目になった目付きで画面越しに男を見つめる。

 

「……何もするつもりは無い。

只、私としてはこのまま外には置いておきたくは無いな。奴は色々と関わりが多すぎる」

 

『ふーん…で、前にM4から聞いたけど……

彼、暗殺されかけたらしいじゃない?』

 

その言葉にピクリ、と男の瞼が動き……指で思わず目頭を揉んだ。

 

「我が社も綺麗な一枚岩では無かったと言うことだ。例の事件で色々と利権や立場が変わったからな。

……その一件に関しては、申し訳ないとは思っている」

 

早く治療して膿を取り除くべきだった、そう言い切って男が口をつぐむ。

その様子を見た女は何か言いたげな表情を浮かべ、口を一瞬開くが直ぐに閉じた。そして、小さな溜め息を吐く。

 

『……そう、分かったわ。…で、今回の仕事はこれでおしまいって事で良いのよね?』

 

「ああ、問題無い。送った資料やデータは事前に照らし合わせた通りに処理をしてくれ」

 

『はい……あ、今回の情報も彼女達に伝えても良いかしら?』

 

「別に構わん。

奴の提出した書類は受け取り拒否しているからな。……脱走者は一度捕まえて、じっくりと話をするのが規則だ」

 

『では、お疲れ様です……』

 

そんな言葉を最後に残して、プツリと通信が切れる。

残るのはモニターに並ぶ多くの報告書に送られてきたそれらのデータの場所だ。

男は机に置いてあった、既に湯気のたっていないコーヒーを口に含み、一瞬顔を歪めてから元に戻す。

 

「お疲れ様、か。……昔から奴には本当に手を焼かされる」

 

すると、男は通信を何処かに繋ぎ出す。

 

「…私だ。今回の一件はもう問題ない。

……今からデータと資料を送る。その通りに処置をしろ。

それと重要な部分は隠したまま、被害にあった彼女達の担当指揮官に情報を流せ…………そうだ、今言った通りだ。

あぁ、作戦地域と結果、少しの細部のみを伝えろ。……では頼んだぞ」

 

再び、プツリと通信が切れーー男はクルリと椅子を回し、机に背を向けると座席から立ち上がる。

カシャリとブラインドを指で開ければ窓の外には沈み行く夕日がぼんやりと浮かび、男の姿を隙間から伸びた光が夕日色へと染めていく。

 

「これで少なくとも情報は流れる。

……関係を中途半端にして逃げ回るからこうなるのだ。

流石に少しは悪いとは思うが……まぁ、精々また追いかけ回されて苦労するが良い」

 

 

 

 

 

 

 

 




~~簡易な説明~~

>>日本語と思われる言語を組み合わせ書かれた謎の顔らしき画像が常に表示されて(ry

へのへのもへじさんが顔の部分に雑コラみたいに浮いてます。元ネタは攻殻機動○の笑○男さんから。


~~~


・遅くなりました()予約投稿で先週の日曜日に投稿する予定だったんですけどね…? 何故か投稿されてない事に気がついたのが火曜日でした。まぁ、理由は何故か日付が来年になってたからなんですけど(間抜け
ただ、丁度良かったので全部書き直してました。
理由は、当初の内容だと次の展開に進むまで後2-3話位かかりそうだったから。
これ以上、ダラダラと進めてもしょうがないと思ったのと、これだと何時までたっても書きたい事書けないから……です。

自分、何も考えずに勢いでばーと書くので途中で関係ない所を削るのが苦手です。
するとドンドン膨らんでいっちゃうんですよね……
後、自分は台詞オンリーSS書きばっかしてきた人間だから、思った以上に地の文交じりの小説だと筆が遅い…
それでも頑張って書きたい所までは書いてゆきたい所存です。

誤字脱字報告や厳しい感想や優しい感想含め、いろんなご意見お待ちしております。
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