滅びかけの世界で道中記   作:湿気った銃弾

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めっちゃ遅い(投稿)……遅くない(投稿)……?

時期が時期だけに死んでました。後少しさえ乗り切ればまた書けるようになります。
取り敢えず、これ以上待たせたくなかったので少し短いけど投稿です。

P.S(1月)遅くてごめんなさい……
今月末から一気に再開したい…したい……
P.SのP.S(2月)
遅すぎ……?僕を死刑にしてください……!


7頁目

「うあー……疲れた。ねぇ、まだ着かないの?」

 

所々倒壊し崩れた家やビルが立ち並ぶ、廃墟とかした町並みの一角で、よろよろのたのた隊列の最後尾をふらりふらりと揺れながら歩くG11が本日何度目かの泣き言を言い出した。

 

「後、大体30分位はかかるかな?」

 

「うぇ……9(ナイン)、私…これ以上歩くの嫌なんだけど……?」

 

「んー、でも今から装甲車()に戻っても寧ろ、倍以上かかるから頑張るしかないよ~」

 

「最悪…ずっと家の布団でぬくぬくしてたい……」

 

後ろから二番目を歩いていたUMP9が振り向き、クスクスと笑いながらG11の疑問に答える。

そんなやり取りを共に先頭を歩くUMP45の横で見ていたHK416は……頭を数回横に降りながらため息を漏らし、G11の元へ。

 

「……そんな事言ってないで黙ってキリキリ歩きなさい」

 

右に左にふらふらしているG11が身に付けるプレートキャリアーの肩紐を左手で掴んで、無理矢理に引っ張る。

これまでも何度となく様々な所で行われてきたやり取りだ。

だから416も慣れたもので、ずりずりと引き摺りながらではあるが、G11を無理矢理にでも歩みを進めさせる。

 

「うぐ…ぐぅ……!ねぇ、416…私もう歩きたくないから背負ってよ……」

 

「ハッ…アンタの背負っている装備と(G11)が併せて何Kgあると思ってるの?

そんな余計な重り抱えるのは御免こうむるわ」

 

「酷い…………絶対416の方が重いもん」

 

ボソリと顔をずらしながら小さな悪態をつく。

しかし、残念ながら効果は出なかったようだ。

「全部丸聞こえよ。(フレーム)は兎も角、アンタの(G11)程私は重くないわ。それにドローンがあるんだから重いに決まってるでしょ?」

 

「分かってるならせめてバックだけでも変わってよ……」

 

相も変わらずズリズリ引っ張られて歩きながら、恨めしそうにG11が背中のバックパックを見つめた。

その中には、404小隊の上空を自動追跡モードにて索敵を行っている雑誌サイズのドローンがもう1機入っている上、バックパックの脇にくっついてニョキッとアンテナを伸ばしている通信モジュールに、簡易型の充電器と運用する為の機材がドッサリ詰まっている。

無論、他にも必要な予備弾薬やら食料と言った物も混載して入っており、G11のバックパックはそこそこの重量物と化していた。

 

うち(404小隊)の後方支援はアンタの仕事よ。それにキッチリ重量計算と配置確認をして入れたんだから、そこまで重くは無いでしょうに」

 

実際416の言う通り、G11の(フレーム)に異常な負荷が掛かるほど無理な重量は入れてはいないし、そしてより楽になる様にと重量物を分散して入れてあった。

歩兵と言う物は、ドンパチ戦闘する時間よりも両手に銃を抱え、その他十何Kgもある装備品を身に着けながらえっちらおっちらと目的地に向かって動く、行軍している時間の方が遥かに長いモノだ。

故に、移動時に負荷のかからない様に装備品と言う名の重りは、無理のない量を計算し効率の良い配置で詰めている。

 

只、もっと言えば…彼女達(404小隊)は皆、外骨格(パワードスーツ)を腰から下半身に装備している。

流石に帰りや戦闘時でのバッテリー残量の事を考え、常にフルパワーでは無いにしても、行軍中でも数十%の低い出力で常にサポートされているし、その出力であっても歩く上でかなりの負荷低減をもたらしてくれる物だ。

 

つまりは――G11がだらけているだけである。

 

「…11、そろそろドローンの交代時間よ。

それと、朝イチで眠いのは分かるけどもう少ししっかりしなさい」

 

先頭を歩いていた45が、何時の間にか後ろを向いて居て…少し冷めた声色でだらけていたG11へ声をかけた。

 

「…あ、うん。今やるよ……」

 

その声色に釣られ、思わず45の方を見たG11は、コチラを見る表情に少し体をビクリと震わす。

 

「…………11、早くやっちゃいなさい」

 

チラリと45の方を確認し、ため息を付いた416がそう言い残してスルリと離れ、傍観していた9の横へ。

支えを失ったG11であったが、直ぐにキチンとした姿勢へと戻る。

 

「え、と……ドローンは交代で降りる様にしておいたよ」

 

直ぐに空中に浮かぶドローンへ降りる命令を送った様だ。

決まってしまえば、行動は早いもの。

皆にカバーしてもらいながら付近の物陰に隠れ、新たなドローンをG11が下に降ろしたバックパックから出し、センサー類のカバー外し、プロペラの展開と各準備を終わらして……代わりとなる様に命令を送ってその場で空へと飛ばす。

すると、入れ替わりで同じタイプのドローンがふよふよと降りてきた。

顔の前に近付いてきたドローンを空中でキャッチしたG11は、素早く先程こなしたのと反対の作業を進める。センサーにカバーをつけ、プロペラを畳みこんでコンパクトに。

後は、充電キットのコードをドローン本体と繋いでバックパックへと閉まった。

 

「早く行くよ。……9、一緒に先頭を宜しく」

 

「あ、待ってよ45姉!」

 

G11が用意が終わったのを確認するやいなや一人早足で出発する45。

呼ばれた9が先に進んでしまった45を慌てて追った。

一瞬、置いてかれてしまった416とG11であったが、即座に警戒できる様に数メートル先を行く二人の動きに合わせて陣形を組んで、後を素早く追う……が、そんならしくないリーダーの様子を見て、置いていかれた二人は足を動かしながら顔を見合わせた。

 

「随分と焦ってるわね」

 

「ねぇ……私、久し振りに怖い顔の45を見たよ?」

 

前、勝手に45のケーキとアイスを食べちゃった時を思い出したよ。

そんな独り言を漏らし、ぶるりと少し体を震わす。

 

「それと今回の件とは意味合いが全く別物よ。

……たく。何時も仮面を被って平気な振りしてるけど、指揮官の事となると何だかんだ45もアレね」

 

「…………そうだね」

 

お前がそれを言うのか、そう言いたげな表情で前を見つめる416を見上げるG11だったが、喉奥まで這い上がってきた思いはキュッと口を強く絞める事で外には出さなかった。

誰だって面倒事になると分かっている上で、目の前に見えている地雷は踏まない物である。

 

「まぁ、根本原因はアンタがダラダラしてるせいよ。45が急いでるのは乗ってきた装甲車()の時点で分かりきった事なんだから少しは気を使いなさいな」

 

訂正。残念ながら別の地雷が無事爆発したようだ。

 

「あー、うん……。今日は帰るまで出来るだけ頑張る様にする……」

 

「《今日は》じゃなくて《何時も》出来る様にならないのかしら?」

 

「えー……無理?」

 

「…………ハァ、本当にアンタは……」

 

再び、本日何度目かのため息を吐き出す416。

やる時は才能を遺憾無く発揮して働くG11であるが、大体はこんな感じでダラダラごろごろしている。そのON/OFFの落差が激しすぎるのが難点であった。

実際、何時もだらけているG11をある意味介護して上手く動かしているのが彼女(416)だ。

 

「ま、良いわ。一先ず、今日は気を付けなさい。……早く行きましょ」

 

「りょーかい」

 

擬似的に数メートルの間隔で二人組に別れてしまった小隊の隙間を潰す。先行していた45、9の元まで駆け足で近寄った。

45はチラリと追い掛けて来た……特にG11を見ると視線を前へと戻す。

各自索敵を続けながら、場にピリッとした空気を漂わせ、小隊は廃墟とかした町を進み続ける。

 

彼女達も決して浅い仲ではないし、戦闘のプロである。ギスギスとした空気は過去に何度もあった。つまり、これくらいで全体の行動に影響など出さない。

そもそもの話、我らがリーダーは焦る感情をキチンと隠しているつもりなのだろうが……三人にはバレバレである。G11への態度もそうであるが、移動速度に周囲の索敵を行う時間が何時もより僅かに早いのだ。

その感情を三人共に分からない訳では無い。寧ろ、肯定を持って受け止められる事であった。

あの日から探し続けていた指揮官の事であり……暫く振りの大きな手掛かりを得る為に私達は今向かっているのだから。

 

とは言え、だ。ここは誰の物でも無い緩衝地帯。居るのはグリフィンや鉄血連中だけでは無い。

瓦礫から財を漁る野良スカベンジャー(浮浪者とも呼ぶ)を筆頭に環境・人権屋・薬物(売人・ジャンキー)・カルト集団と言った各種違法武装集団が居ても可笑しくない地域なのだ。

 

その感情を理解した上で平静を保ち続け、隙を見せない様、45に合わせて動き続ける。

と、言うか……何時も冷静で猫被っている45が珍しく焦りを見せているのだ。

他の三人は心配と言うより微笑ましい、珍しい物を見ているのが正しいだろう。

 

9は45姉のレアな可愛い一面を見れたと笑っている。416は後で弄るネタを手に入れられたとほくそ笑みを浮かべているし、G11は後でちょっとした騒ぎになるのを解った上で傍観に徹していた。

 

そんな小隊が隊列を組ながら三十分前後進み続ければ……広域地図上に浮かぶ旗のマークに私達の位置を示す光点が4つ、重なった。

同時に地図が拡大され、付近をより細かく移した内容へと変わる。

100〜200m先には中層階付近の壁に大穴が空き、弱冠崩れた15階前後のマンションが建っている。

 

「ここね」

 

「ドローンで周囲のサーチ入れるよ」

 

G11がテキパキと手を動かし、腰につけていた小さなラジコンサイズの走行ドローンをぽいっと投げて自動モードにてマンションへ走らせる。

時々ぴょんぴょんと障害物を跳ねながら避けて走りつつ、砕けたオートロックのエントランスの入り口を潜り抜けて走行ドローンがマンション一階へと入っていく。

上空の飛行ドローンは、クルクルとマンションの周囲を外壁に沿って飛ぶことで、ワンフロアずつ索敵を入れていく。

 

小隊は付近の物陰に隠れながら、真面目な顔でドローンから送られてくるデータを処理しているG11の動きを待った。

 

「一階は一先ずクリア。それより上は…無理。安物のドローンって言ってもサーモ(熱感知器)はそこそこ良いの積んでるのに……」

 

G11から送られてきたデータには割れたガラスや砕けた壁の部分は中をしっかり見れている。しかし、それ以外の部分は全く熱のデータを取れていなかった。

昔と違い、一定ランク以上の物であれば今の時代(2060年代)の軍用サーモグラフィー(熱感知器)は建造物越しに中を覗くことが出来る代物だ。

無論、限界はあるし何十層も壁を越えて詳しく覗こうとしたら軍の連中が航空機や衛星に乗っけて運用するレベルの代物になってしまう。

とは言え、これ位普通のマンションなら横から見ればある程度は覗ける筈……なのだが、見る事が出来なかった。

 

その理由は2つ…だがこの場合、実質的には一つしかない。

除けなかったのは搭載されたサーモのスペック不足も勿論だが、そもそもこのマンションが建物内を覗こうとする手段に対しての対策されているからだろう。

そんな糞金も手間も掛かる建物を建てるのは、そういった驚異に晒される政府・公的機関関係、もしくは余程の金持ち専用の建造物位。で、目の前のマンションは明らかに後者が住むような質では無いので……必然的に前者と言う事になる。

 

「って事は45姉、この建物ってフツー(民間向け)のマンションじゃないよね?」

 

「ええ、そうね。はなっから怪しいとは思ってたけど、やっぱり軍関係者専用…しかも佐官クラスに用意されたマンションかな?」

 

手に持ったPDAで世界が壊れる前の地図とドローンのデータを分析しながら45が答えた。

 

「……おもいっきり厄ネタじゃないの」

 

「え。……もしかしてヤバイ?」

 

ここら一体は世界が壊れる前から、ずっと実質的にとある国家の領地である。

既に放置されているとはいえ、その国家が所有する軍隊組織…その軍事機密に一定関われる階級の連中が住んでいた専用のマンションを知らずとはいえ、G11は漁ってしまったのだ。

 

「バレたら間違いなく面倒臭い事になるでしょうね」

 

その返答にG11がガーンとした表情を浮かべ、頭を抱えへたり込む。

 

「さ、最悪……。そもそもなんで指揮官はこんな所に住んでるのさ…!」

 

「余程の馬鹿でもない限り、生きてるかもしれない地雷原に飛び込まないでしょ?

ある程度知ってる奴なら建物を見れば察して近付かない、勿論PMCも。周囲をドローンで空撮しても撮った連中が勝手に誤魔化して隠してくれる。……居るのがバレなきゃ最高の隠れ家ね」

 

「でも、今回は追っかけてた鉄血連中(ターゲット)がこの辺り…マンションに逃げ込んで戦闘になったせいで見つかったって事だよね?」

 

9がデジタル双眼鏡でマンションの方を覗きながら45へと問い掛けた。

 

「そういう事。終わって調べてみたら、グリフィン的に面倒臭い所で派手にドンパチしちゃったし、オマケに誰か住み着いてる形跡あるから……急いでお上にお伺いする為に報告書が上がったって所じゃないかな?」

 

ま、とっくの昔に隠すべき機密は処分されてるだろうけど。そう言い残し、45が準備を始める。

 

「でしょうね。とは言っても、下手に近寄りでもしたら何時難癖つけられるか分かったもんじゃ無いわ……

関わると禄な事にならない臭い建物よ」

 

416は口を動かしつつ、面倒臭いのは嫌だとか呟きながら地面に体育座りしていたG11を引き摺り起こす。

 

「…ったく、直ぐへたりこむんだから。

終わり次第、ドローン壊して端末側も完全にデータ消せばバレやしないっての」

 

「え、本当?……なら良かった。

軍関係の面倒事は御免だね…後で色んな方面から怒られるんだもん」

 

「416の言う通りよ。私達の痕跡さえ残さなきゃ何も問題ないわ。

精々、今回の一件でグリフィンの誰かが軍から小言を言われる位ね。……9、小道具は用意してあるかしら?」

 

小隊各員が狭い建物内に入る為の準備をする中、人早く終わらせた45は9へ顔を向ける。

 

それに答えるかの様に、片手でVサインを浮かべながらポンポンと腰のポーチを叩く9であった。

 

「バッチリ!ちゃんと言われた通りに用意してきたよ」

 

「ありがとう、9。各員、内部は視界不良の可能性大だから警戒しなさい。……じゃ、行くよ」

 




~~簡易な説明~~

・サーモについて
いわゆる熱感知器。
簡単に説明すると熱(赤外線)を探知して、白黒の画面で白もしくは黒色で強調して表示するシステムの事。
軍用ですと、歩兵や車両での夜間の戦闘に利用したり、上空の衛生や航空機から偵察もしくは標準カメラとして見たりしています。(YouTubeの戦闘ヘリガンカメラ動画は大体サーモ処理されたもの)

映画とかだとスパイや米軍が屋外、建物内にいる人物や機械を探知したりしてるシーンがよく流れたりします。

最近、コンピューター処理で熱感知の画像から個人の顔を認識して判別するシステムを米軍が開発してたりしたので、2060年代にはもっとがっつり壁透過して中見れるようになってるやろ!って言う予想で書きました。
尚、大型になると大体の場合サーモ(熱感知器)以外の手段との複合で処理を行って覗いていたり。

ドローン各種について
~飛行タイプ~
・四方にプロペラの着いたオーソドックスなドローン。真ん中の部分にサーモ機能の付いた光学センサーを搭載
~走行タイプ~
・多分レインボー何とか部隊とかで使われてそうな奴。外見はトイレの芯の両端にタイヤがついてるのを想像して下さい。それがぴょんぴょんしたりします。

・人形達の装備について
本文中では特に説明はしていませんが、私のドルフロ世界戦では戦術人形達はキャラ絵の服装の上にプレートキャリアーや防弾ベスト、リグにバックとかを普通に装備している感じです。特に細かい設定はしていないので、皆さんの脳内で浮かぶ装備を着させてあげて下さい。



忙しすぎて死んでた。来月はまだまともなので、何とかなりそう。
と、言うか主人公がここまでろくに出てきていないのをふと気にしに始めました。でも、女の子の方が書いてて楽しいので仕方ない。

遅くなってしまって申し訳ないです。でも、頑張って書いていきます。
誤字脱字報告や厳しい感想や優しい感想含め、いろんなご意見お待ちしております。

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