ドSの銀髪美少女が姉になった   作:睡眠欲求者

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結構急いで書いたので、完成度は・・・お察しです。


葛城君潰し後編

「で?俺は何をすればいいので?」

 

「そうかしこまらないでよ。別にタメ口でいいよ」

 

「何をすればいいんだ?坂柳」

 

「フランクでよろしい」

 

少し、不満げというか警戒して動けないといった感じだが、橋本は俺の話を聞く気のようだ。

 

「君には弥彦君に圧力をかけて、坂柳派を出し抜きたくなるようなことをしてほしいんだ」

 

「っというと?」

 

「彼は、うかつな行動をとるだろう。スポットの占有でポイントを稼ぐなら少し不利な状況だと勝手に自滅してくれると思う」

 

「・・・・・・」

 

橋本は、俺の意図を測ろうと考えこんでいる。

 

 

「そしたら、こっちのものさ。必然的に葛城は、リーダーを当ててポイントをゲットする作戦に切り替えるだろう。何せ、彼とて今回の特別試験勝ちたいだろうからね」

 

弥彦も葛城も、坂柳派と葛城派の勢いが拮抗しているのを感じているだろう。そんなところでの有栖の不在。葛城派にしてみれば最大のチャンスだ。それと同時にこれはリスキーでもある。しくじれば、一気に坂柳派が勢いを増す。それ相応のプレッシャーがかかっているはずだ。

 

 

「確かに今の状況なら、慎重な葛城もあせって攻めに転じてもおかしくない」

 

 

「葛城がしくじらない可能性もあるって顔だな?確かに彼は優秀だよ。うまくやるかもしれない。だからもう一つ君にやってもらいたいことがある」

 

「やってもらいたいことか」

 

「そう、今後の展開次第だけどAクラスの情報を売ってほしい」

 

「マジですか・・・」

 

「そんな顔をするなよ。得意だろ?っていうか、必要に駆られれば坂柳派の情報も売りかねないだろ君?」

 

「ッ・・・」

 

一瞬だけ息をのんだが、彼はほとんどポーカーフェイスのまま了承した。

 

「作戦は分かった。取り合えずの仕事は弥彦に圧力をかけることだな?」

 

「そうそう、他の坂柳派にも伝達しておいてね」

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、弥彦はやはり先走り葛城の忠告を無視して、スポットを占有した。場所は洞窟だった。立地は悪くはないし、水場も近かったが、やはりうかつとしか言えない行動だっただろう。

これにより、葛城は思惑通りに他のクラスを出し抜きリーダーを当てる作戦に切り替えた。少し予想外だったのは、二日後に彼が協力者として選んだのが龍園だったということだ。

 

「葛城君、ちょっといいかな?」

 

 

「何だ坂柳?」

 

「龍園との契約、本気なのかい?はっきり言って正気の沙汰じゃない」

 

「龍園とはじっくり交渉をした末に契約しても問題ないと判断した。不満があるかもしれないが任せてほしい」

 

確かに、現段階でこのまま順調に進めば多大な損害は表面上でないように思われる。

 

「俺は、反対だ。絶対にやめたほうがいい」

 

坂柳派の中の一人が俺に追随する。そう、恐らくこの提案は通らない。仕方がないとはいえ、有栖の欠席のせいで30ポイントも失っているのだ。坂柳派はあまり強く葛城派に噛みつけないのだ。だからなるべく、みじめに、焦っているかのように演技する。

 

このままでは、葛城派が手柄を持っていく、それはダメだと。葛城派に手柄を持っていかれるのを止めたそうに振る舞うのだ。

 

 

「いい加減にしろ!葛城さんは、出来るといっているんだ」

 

ここでやはり、弥彦が出てきた。

 

「君に話はしていない」

 

「いい加減にしろ坂柳、見っともねえんだよ!!!」

 

弥彦は、優勢であるこの状況に酔い俺を軽く突き飛ばした。本当であれば、倒れることもないふらつく程度レベルだが俺はあえて派手に転んだ。

 

 

「坂柳!?」

 

「大丈夫か」

 

「やりすぎだろ」

 

坂柳派の人間から心配する声が上がる。加えて、葛城派の人間からも少し同情的な視線が飛んできた。俺は、男子にしては小柄な方なので体の大きい弥彦に突き飛ばされるとやはり被害者のような雰囲気が醸し出される。

 

「弥彦辞めろ!!!みっともないのはお前だ」

 

「す、すみません」

 

すぐさま、葛城から叱責が飛び弥彦がうなだれた・・・哀れ弥彦。

 

「坂柳すまないが、理解はしてほしい」

 

申し訳なさそうにしながらも、その目には自信によって裏打ちされた確信の光が秘められていた。

 

「・・・分かったよ」

 

表面的には、納得していないという風に取り繕うと同時に、ここまで想定通りに動きすぎて俺は貌がにやけるのを隠せているかどうか不安だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまくいったな」

 

「弥彦が扱いやすい人間で助かったぜ」

 

「・・・・・・」

 

 

Aクラスのキャンプから五分ほど離れた茂みの中で、橋本と神室さんと俺は集まった。

嬉しそうな顔の橋本、浮かない顔の神室さん。この二人の今の表情は、対照的だ。

 

「神室さんは、やっぱりこの試験きつい?」

 

「・・・何でそう思うのよ?」

 

「そもそも、女の子にはきつい試験じゃない?これ。神室さん浮かない顔してるし」

 

 

「・・・否定はしないけど」

 

「まあ、神室さんがきつい分、仕事は橋本にやってもらうから」

 

「え?」

 

さっきまでの、うれしそうな顔を引っ込め面倒くさそうに顔色が変わる橋本。いつもへらへらしている奴がたまに見せるこういう表情はたまらないと思う。

 

 

「ここ数日、俺らの人為的な行動で弥彦がミスをしたと思わせないこと、坂柳派には抵抗できる力が残っていないことを印象づけられたと思う」

 

「俺が龍園に情報を流せば、葛城を失脚させられるほどの失態を作れる。葛城派の勢いは削れるな」

 

 

「・・・でも、この作戦じゃあ私達のクラスポイントは低めになるんじゃないの?」

 

少し不満そうに、神室さんはこぼした。確かに、このままでいくと下手をすればBクラスや他のクラスにも大きな差をつけられるかもしれない。

 

「坂柳さんがいないんだし、そこまで望むのは高望みってやつだろ」

 

橋本は、こちらを向いてそう言ってきた。神室さんに向けた言葉ではなく俺に対しての挑発だろう。つまり、『おまえじゃあ、これ以上は不可能だろう』っと。ハハハハハハ、不愉快だ。この間の仕返しのつもりか?有栖に俺が劣っているだと?

 

 

「そこは任せてほしい、少なくともBクラスあたりと大差がつくなんてことにはならないからさ」

 

俺は自信満々で言う。すると、神室さんは胡散臭そうに俺を見た後、ハァ~っと溜息をつき了承した。

 

「分かったわよ」

 

少しだけ信頼が垣間見えたのと思わず強がってうかつにも挑発に乗ってしまったので、実は何も考えていませんでしたなんて言う気にはなれなかった。

 

数日後、橋本にはAクラスのリーダーの情報を流しに行ってもらい俺は本格的にこの試験でなるべくポイントを失わない方法を考え始めた。結構後悔したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験終了まで残り三日

 

 

 

 

目が覚めた時すぐ隣に他人がいるというのは中々に不快なものだ。無人島試験四日目でこの島にはプライベートな空間がないのだと、改めてそう思い知らされる。

 

他人が自分のテリトリーの近くにいるのは耐えられないタイプなのでこの試験は苦痛だった。というか、みんなよく平気だなと思う。自分以外の人間が近くにいるなんて気が休まらないにもほどがある。

 

そんな最悪のテンションで朝を迎えた俺を出迎えたのはポイントで購入した栄養食だ。口の中の水分が根こそぎ奪われるタイプだった。

 

ポイントで購入した飲料水は、昨日飲み干してしまい今日も分をまだ購入していないので、口の中がかなり不快なことになっている。

 

気分を変えるために、洞窟から外に出る。天気は悪くないし、Dクラスのテントに行き、綾小路を訪ねようと決め、歩き出した。

 

 

 

あらかじめ、神室さんに場所を聞いていたので結構早くDクラスのテントにたどり着いた。一応CクラスもBクラスのテントも見に行ったのだが、Bクラスはこの無人島試験の模範解答のような感じでCクラスは案の定豪遊状態だった。Cクラスのところに言ったら、龍園に何を企んでやがるって警戒されたけど気にしないでおこう。

 

話を戻して、Dクラスのテントなのだがこれはまさに模範的な不正解とでも言うべきひどい光景が広がっていた。

 

雰囲気は悪いし、男子と女子の空気が険悪すぎる。もう少し、何か悪化する要素があれば、爆発しそうだな。

 

そんなことを思いながら、綾小路を探す。すると、結構簡単に見つかった。あまり騒ぎになってほしくはないので、俺はなるべくばれないよう手を振る。綾小路なら気づいてくれるだろう。案の定、綾小路はこちらを見た後少し迂回しながらこちらに向かってきた。俺も、Dクラスのテントから離れ森の中に姿を隠す。綾小路と一定の距離を保ったまま森を歩き、しばらくしてから、周りに誰もいないことを確認して振り向いた。しばらくすると、綾小路も追いついてきた。

 

 

「久しぶりだね、綾小路君」

 

「ああ、久しぶりだ。それで何の用だ?」

 

相変わらず、無機質な目をしている。いっそ、機械だといわれたほうが納得できる。全く持って、出来のいい仮面だ。果たして、この仮面は生まれつきのものか、人工的なものか。

 

「・・・単刀直入にいこう、俺らは今回の試験勝つつもりはない」

 

「どういう意味だ、それ?」

 

「俺らの最優先事項は派閥争いにけりをつけることだ。そのための手は打った。だけど、流石にこのままだとポイントがよろしくない。新たな手を打ちたいのだけれども、君と敵対することも避けたい」

 

「つまり、こっちがどう動くか知りたいっと?」

 

「その通り、まずどこまでわかってるか聞きたいんだけど?」

 

「・・・納得するとでも?」

 

そう簡単にはいかないらしい。まあ、予想は出来ていたこと。対抗策は講じてきた。

 

「君が協力してくれるのなら、Dクラスのリーダーは当てないと確約しよう。現在のリーダー以外を立てる気なんだろ?」

 

「・・・足りないな」

 

「だろうね。ではもう一つ追加だ。君は俺に貸しを作れる。これでどうかな?無理のないレベルで協力しよう」

 

「・・・いいだろう」

 

「龍園のことは?」

 

「ああ、あの男が島に残っていることも知っている。他のクラスのリーダーもある程度目星がついている」

 

流石だ、期待通り過ぎる。俺は、色々な人間を使ってある程度の推測ができたが、彼は使えるコマなどいないはず。単独で、たどり着いたのか。思わず、笑ってしまいそうだ。確実に、この男をうまく使えば有栖を突き崩せる。

 

「なるほど?お互い考えていることは同じだと思うか?」

 

「ああ、恐らく今回のリーダーの指定の抜け道は・・・」

 

「期待通りの男だよ、綾小路君。君は聡明だから、このやり取りだけでわかっただろ?何が言いたいのか」

 

「もう用は済んだな、帰っていいか?あまり、勝手な行動をするわけにはいかない」

 

「ああ、健闘を祈るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、なんやかんやあり三日が経ち試験最終日となった。

 

「只今をもちまして特別試験を終了します。生徒の皆さんは試験開始時に配布された腕時計と鞄を返却してください。担任の先生方は支給品の回収と並行して、各クラスの点呼を行ってください」

 

砂浜に響いたそのアナウンスに、俺は大きく息を吐いた。かなり疲れた。

 

 

燦々と陽光が降り注ぐ砂浜の一画には、運動会や体育祭などでよく見る6本足の白いテントが並んでいた。日陰と椅子とドリンクを求め、多くの生徒が休憩所に殺到する。まるでゾンビのようだ。しかし、それだけ今回の試験は生徒に負担を掛けたのだ。

 

俺も飲み物をもらいに行こうとすると、突然砂浜にどよめきが起こった。

 

「おい、あれ見ろよ・・・」

 

「なんかヤバくない?」

 

「ひどいな・・・」

 

そんな会話がどこからか聞こえてきた。何となく龍園が来たのだと感じた

視線を向けると案の定、飢えた肉食獣のごとき獰猛な光があった。龍園は全身傷だらけだけれど、今すぐ医務室に行った方が良さそうな有り様だが、彼の双眸には、勝利を確信した光がともっていた。学年一の要注意人物の、その思わぬ姿での登場に、砂浜にいた生徒たちは騒めきを抑えられない。それでも誰一人として彼に近付こうとはしなかった。

 

全生徒に聞き取れる音量で拡声器は高くキィンと鳴った。

 

「そのまま、リラックスした状態で構わない」

 

生徒の注目が集まったことを確認し、真嶋先生は話を始めた。

 

「これより特別試験の結果を発表する。結果に関しての質問は一切受け付けない。自分たちで受け止め、分析し、次の試験へと活かしてもらいたい」

 

左手に持った白い紙に記されているのであろう特別試験の結果を、真嶋先生が読み上げる。

 

 

 

「まず最下位は――0ポイントでCクラスだ」

 

「・・・は?」

 

告げられた結果に龍園の表情は一瞬固まり、見る見るうちに険しいものに変化していく。どこからか、須藤君の「ぶははは!」といういかにも楽しげな笑い声が聞こえて来た。

 

現実が受け止めきれていない様子の龍園。しかし、生徒個々人の心中など気にすることなく、結果発表は淡々と続く。

 

「BクラスとAクラスは同率の2位、140ポイント」

 

 砂浜がどよめいた。読み上げられた結果から予測される結果に。誰も、誰もが予想していなかった展開なのだろう。

 

「そして――」

 

真嶋先生はここで一呼吸おいて、これが真実であることを強調するような口調で、その紙に記された最後の一行を拡声器に通す。

 

 

「1位は175ポイントでDクラスだ。以上で結果発表を終わる」

 

そう言って、生徒のリアクションになんか見向きもしないで、真嶋先生は職員用のテントに帰って行った。

 

 

「よっしゃああああああ!」

 

「はっはっは! ざまあみろ!」

 

「クソォォォォォォォォォ」

 

「まあ、こんなものだよね」

 

 

 

綾小路は、ダメもとでこちらのリーダーをあてに来たのか。案外無駄なことをするんだな。それとも他に意図があるのか?・・・まあ、今はいいや。正直、結構限界なのだ。俺の何度もスイッチを入れたのに、休息があまりとれていなくて、疲労はたまる一方だった。早く帰って寝たい。そう思い、取り合えず、周りもグルっと見渡しAクラスを探す。

 

 

 

あっちにもこっちにも騒いでいる生徒ばかりだが、中でも特に荒れているのはやはりAクラスだった。

 

「どういうことだよ葛城!」

 

「なんで俺たちが3位なんだよ!」

 

「話が違うじゃねえか!」

 

「坂柳派の奴が信用できないから、葛城さんはうまく動けなかったんだ!」

 

クラスメイトに詰め寄られている葛城君。葛城君をかばう怪我が痛々しい(・・・・・・・)弥彦君。

 

「坂柳流都何をした?」

 

「何で俺が何かをした前提なのさ」

 

「お前らが何かしたからこうなっているんだろ!」

 

「あれ弥彦君、傷はもういいのかい?心配したんだよ?偶々、俺の目の前で転んで頭を打つなんて」

 

「ふざけんな、あれが偶然なもんか!!!お前らが何かしたんだろ!!!」

 

「でも君は何も覚えてないんだろ?」

 

俺は、果たして今にやけないで居れているだろうか?

 

「葛城君、俺は龍園との交渉は止めたんだよ?でも、君は強行した。その結果がこれだった。それだけのことだろう?」

 

実際に、葛城君の自滅と言えば自滅だ。俺は、葛城君の怪我に塩を塗っただけに過ぎない。

 

俺がやったことは少ない。葛城君を龍園と交渉テーブルにつかせ、そのうえで情報を流す。これだけだと、AクラスはBやCに負けかねないから、終了の直前でリーダーの弥彦君を事故に見せかけ、蹴り飛ばし怪我を負わせリタイアさせる。やったのはたったこれだけだ。

 

ね?ただの自滅だろう?

 

 

用はもう済んだので、船に戻ろうとして大事なことを思い出す。

 

「橋本、これで満足かな?」

 

それはもう、人生で一番じゃないのかというぐらいいい笑顔で聞いていたと思う。見事にひきつった顔で橋本は

 

「あ、ああ」

 

掠れた声で、そう返してきた。

 

余談だが、マジで俺の笑顔は有栖に似てきて不愉快だからやめろと謎の罵倒を神室さんにされてしまった。




後編は終わりです。もう一話書いて、三巻は無人島編は終了となります。やっと、有栖を書ける。

後何気に、ブックマークが減っていてダメージが入りました(グフゥ)
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