ドSの銀髪美少女が姉になった   作:睡眠欲求者

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嘘つき探し
何でお前は美少女じゃないんだ!


無人島における特別試験が終了し、数日が経過した。

大半の生徒は贅沢すぎる豪華客船の上でバカンスを満喫していた。そんな中俺は———

 

「きもぢわるい~」

 

無人島生活での疲労と船旅での疲れ、そして酔い止めを飲み損ねたことによる船酔いの気持ち悪さが爆発し、俺は現在進行形でベットとお友達になっていた。どうやら俺の三半規管は他の人間よりもデリケートらしい。

 

「だ、大丈夫かよ」

 

同室の橋本が心配そうに声をかけてくれるが、そんなものに意味はない。せめて美少女の膝枕とかじゃないと、何の足しにもならない。

 

「これが大丈夫に見えるのかよ~くそ、何故お前は美少女じゃないんだ~」

 

「俺が美少女だったら美少女だったできもいだろ?」

 

「否定はしない」

 

「そんなに美少女に看病してもらいたいんなら、お姫様に頼んだらどうだ?」

 

「ぞっとすること言うな!姉さんに看病なんて頼んでみろ!!!何されるかわからないだろ」

 

「過去に何されたんだよ…」

 

「あ~あ~あ゛…何で船は動くんだろうな」

 

薬を飲み忘れてグロッキーになるなんてマジで不覚だ。薬は飲みなれているから、いつもなら絶対に忘れないのに…。

 

そんなことを考えていると、いきなりアナウンスが流れた。

 

『ただいま、全生徒に一斉メールを送信しました。記載されている内容の指示に従ってください。受信できていない生徒は、近くのスタッフに申し出てください。重要事項ですので、確認漏れのないようお願いします。繰り返します……』

 

メールを見た限りでは、特別試験を始めるから指定された部屋にこい、遅刻したら…どうなるかわかるよな?ってことらしい。

 

「橋本君、お呼び出しがかかったみたいだから行ってくる」

 

「え?体調はいいのか?」

 

「よくないから、戦力としては数えないように。って言っても姉さんの話だと今回も葛城君任せにするらしいけどね」

 

そう言い残して渋々重い腰を上げて部屋を出る。指定された時間に部屋に向かい、ノックして返事をもらってから入る。

 

するとそこには、我らが担任の真嶋先生が椅子に腰掛けていた。

 

「お前で最後だ。席に着け」

 

俺が部屋に入るやいなやそう声をかけてくる。おかしい…5分前なのになんで俺が最後なんだ?

 

いったいどんな奴がいるのかと思い周囲を見渡すとそこには見知った顔が並んでいた。

 

町田と森重だ。たしか、町田君は葛城派だったかな?

 

「……随分と顔色が悪いが大丈夫か?」

 

真島先生が心配そうに声をかけてきた。割とガチトーンで町田君も心配してきたので、かなり具合が悪そうに見えるのだろう。まあ、実際よくはない。だが、体調が悪いのは慣れっこだ。

 

「問題ありません」

 

「そうか……わかった。それでは今から、第二回特別試験の説明を行う。質問は許可するまで受け付かないのでそのつもりで。逆に、こちらが質問したら、答えられる範囲で答えるように」

 

「「はい」」

 

「それではまず質問だが、きみたちは十二支を知っているか?」

 

脈絡もない質問に、俺は面食らった。面食らったのは俺だけではなく、町田君と森重君も戸惑た表情を見せている。

 

「子、牛、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥のことを総称したものですよね?」

 

「その通りだ。今回の特別試験では、一年生全員を十二のグループ、つまり、干支に分けて行う。そして試験の目的はシンキング能力を問うものとなっている」

 

「社会人に求められるのは多くあるが、しかし、基本的には大きく三つに分けられる。行動力、思考力、そして協調性だ。この前の無人島生活では、協調性に比重が置かれていた。それはきみたちが一週間で身をもって痛感しただろう。だが、今回は思考力だ」

 

思考力ね…。有栖の得意分野だな。

 

「察しているとは思うが、ここに居る四人は同じグループとなる。そして今この瞬間、別の部屋でもきみたちと同じグループとなる生徒たちに同じ説明がされている」

 

…なるほど、他のクラスのやつと同じグループになるってわけか。一グループ12人~16人ってとこか。

 

「今回、きみたちが配属されるのは『卯』のグループ。そしてここにメンバーリストがある。必要を感じるのであれば、メモをとってくれても構わない。退室時には返却してもらうので、そのつもりで」

 

真島先生からB5サイズの紙が渡される。そこにはグループ名である『卯』の文字と──『兎』とかっこで書かれていた。

 

 

A森重卓郎 町田浩二 坂柳流津

B一之瀬帆波 浜口哲也 別府良太

C伊吹澪 真鍋志保 藪菜々美 山下沙希

D綾小路清隆 軽井沢恵 外村秀雄 幸村輝彦 

 

あ、綾小路がいる…。それに一ノ瀬かぁ…。まあ、今回は葛城君任せで、勝つ必要はないわけだしいいか。ざっと目を通してから、真嶋先生の話を再開させるためすぐに聞く姿勢をとった。

 

「各グループは一つのクラスで構成されることなく、各クラスから三から五人ほどを集めて行われる。そして、この試験はAクラスからDクラスまでの関係性を無視することがクリアの近道だと言っておこう」

 

クラスの垣根を越えて協力しろってことか?前の試験とは明らかに毛並みが違うな…。

 

「特別試験の各グループに於ける結果は四通りしかない。例外は存在せず、必ずどれかに当て嵌る。これはそういった試験だ。このプリントに分かりやすくまとめてある。持ち出し、複写は厳禁だ。今理解するように」

 

そう言いながら、一人ひとりに次の資料が配布される。

 

─夏季グループ別特別試験説明─

 

本試験では各グループに割り当てられた『優待者』を基点とした課題となる。定められた方法で学校に答えを提出することで、四つの結果のうち一つを必ず得ることになる。

基本的なルールは以下の通りである。

〇試験開始当日、午前八時に学校から一学年全生徒に向けてメールを送る。『優待者』に選ばれた者には同時にその旨を伝える。

〇試験の日程は明日から四日後の午後九時までとする。なお、一日の完全自由日を挟むとする。

〇一日に二度、グループだけで所定の時間及び部屋に集まり、一時間の話し合いを行うこと。

〇一時間の過ごし方は各グループの自由とする。話し合いが望ましいが、最悪、部屋から出なければそれで良い。

〇試験の解答は試験終了後、午後九時三十分から午後十時までの三十分とする。

〇解答は、一人につき一回までとする。二回以上行った場合、学校側は受け付けない。

〇解答は自分の携帯端末を使い、貼られたメールアドレスに送信すること。それ以外は一切受け付けない。

〇『優待者』にはメールにて答えを送る権利が無い。

〇自分たちが所属する干支のグループ以外への解答は意味がない

〇試験の結果は最終日にメールで伝えられる

 

─試験結果─

 

〇結果1──グループ内で優待者及び優待者の所属するクラスメイトを除く全員の解答が正解していた場合。グループ全員に50万prを支給する。さらに、優待者にはその功績を称え、50万prが追加で支給される。

 

〇結果2──優待者及び所属するクラスメイトを除く全員の答えで、一人でも未回答や不正解があった場合、優待者には50万prを支給する。

 

プリントにはそう記載されている。俺はこのプリントに裏面があることに気付き顔を引きつらせた…この量の情報を複写せずに理解しろってなかなか鬼畜だな。

 

正直俺も完璧に理解する自信はない。それを知ってか知らずか補足説明を先生は始めた。

 

「この試験の肝は一つだけだ。それを理解していれば問題はないだろう。この試験の肝は何だと思う?」

 

「優待者の存在でしょうか?」

 

町田君が自信なさそうに答える。しかし、答えとしては問題なかったようで真島先生は満足げにうなずいた。

 

「そうだ。この試験の肝は優待者の存在だ。例えばの話をしよう。そうだな……森重。君が優待者と仮定しよう。その場合、『兎』グループの全員が解答に『森重』とすれば、おめでとう、きみたち全員に漏れなく50万prが入る。森重はさらに50万prが追加される。逆に誰か一人でも解答を間違えた場合、その時は彼だけが50万pr獲得出来る」

 

「な、なるほど。では優待者になれれば優位に立てるということですか?」

 

彼の質問に真島先生は首を振った。そして、呆れたように俺を見て続ける。

 

「坂柳は先に見ていたようだが、裏面を見てみてくれ。その二つがこの試験を複雑なものにしている」

 

おー、ばれてたか~。まあ、別にそんなに問題はないだろう。裏面に文字が書いてあるのだから仕方がない………それに複写できないということはある程度分担して理解しておいた方が良いということだ。お互い違うところを理解しておけば、後ですり合わせて完璧な理解を得られる可能性がある。

 

はい、言い訳終了。気を取り直して、裏面に視線を落とす。そこにはこう書かれていた。

 

〇結果3 優待者以外の者が、試験終了を待たず答えを学校に告げ正解していた場合。答えた生徒の所属クラスは50clを得ると同時に、正解者に50万prを支給する。また、優待者を見抜かれたクラスは逆に50clのマイナスを罰として課す。及び、この時点でグループの試験は終了となる。なお、優待者と同じクラスメイトが正解していた場合、答えを無効とし、試験は続行する。

 

〇結果4 優待者以外の者が、試験終了を待たず答えを学校に告げ不正解だった場合。答えを間違えた生徒が所属するクラスは50clを失うペナルティ。優待者は50万prを得ると同時に、優待者の所属クラスは50clを獲得するものとする。答えを間違えた時点でグループの試験は終了となる。なお、優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、答えを無効とし受け付けない。

 

 

有栖なら間違いなく結果3を狙いに行くだろう。葛城なら結果1をよしとするだろう。各リーダーの気質によって取る戦略に差が出てくるだろう。個人的には、結果3が好みではあるが俺がリーダーであればクラスの方針としては結果1を取るだろう。

 

「きみたちは明日から、午後一時、午後八時の時間に、指定された部屋に向かって貰う。試験中は扉にグループの名前が印刷されたプリントが貼られている。間違った部屋に入ることはこれでないだろう。そして初日だけは、初顔合わせなので、自己紹介を必ずやって貰う。それさえ終われば、あとは好きにしてくれて構わない。何か質問はあるか?」

 

「一ついいですか?」

 

「何だ?」

 

「先生がおっしゃる思考力の定義とは何でしょうか?」

 

意味のある質問ではない。ただ、この試験を攻略する上で生徒に何を求めているのかを明確にしたかった。

俺の質問が少し予想外だったのか真島先生は少し目を見開き、そして答える。

 

「そうだな、ここでいう思考力とは……考え抜く力とは現状を分析、課題を明らかにする力だ。問題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力。想像力を働かせ、新しい価値を生み出す力。それが今回は必要になってくる」

 

なるほど、俺の考えとほぼほぼ同じだ。

 

「ほかに質問はないか?ないのであればこれで特別試験の説明を終了する。解散!」

 

そう言い残し、先生が退出した。さっき飲んだ酔い止めが効いてきたのかだいぶ楽にはなってきたものの、前回の試験の疲れは抜けない。

 

マジで癒しが必要だ。癒してくれる美少女を求める旅にでも出ようかな?

 

 

 

 

 

 

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