ドSの銀髪美少女が姉になった 作:睡眠欲求者
太陽が傾き夕日が差し込む廊下を抜け、俺は職員室に来ていた。
「こんな時間に来るとはな………それで?何が聞きたい?坂柳」
俺は今、職員室ではなく、生徒指導室の中で真島先生と対峙している。
「答え合わせに来たんです」
「答え合わせ?」
「はい、この学校のルール………いや、システムについて」
「ほう、聞かせてみろ…」
「まず、ポイントについて。月初めに配布されるポイント。先生は実力で判断するといいました。それに加え、毎月十万ポイント入るとは言ってない。つまり、ポイントは何らかの評価方法によって俺らを審査しその評価ごとに与えられるんじゃないんですか?」
先生は、目を細める。
「続けろ」
「さっき先輩が、Dクラスの生徒にお前らは不良品だから地獄を見ると言ってました。これは単なる勘なんですが………この学校のクラス分けは実力順なんじゃないんですか?」
「クハハハハハハ」
先生は笑い出した。
「優秀だ、実に優秀だ。歴代のAクラスの連中もここまで初日で見抜いたやつはいなかった。正解だ、坂柳。システムについては、そうだな80点だな。それで?他には?」
「分かったのはここまでです………ただ、これは質問なんですが。先生は先ほどポイントで買えないものはないといいました。つまり、そういうことが必要になるということですよね」
「さあな、ただ、普通の学校生活とは違うだろう」
「どの辺がですか?」
「そこまでは言えんな。だだ、この学校の試験は特殊だ」
特殊な試験………ポイントが必要になる………分からないな。俺の頭では理解不能だ。有栖ならまた違ったのかもしれないが…
「分かりました…質問はこれだけです」
「そうか、ではこれで終わりにするか…もう時間も遅い。早く寮に戻れ」
「はい」
あらかたの疑問は解決した。今日はこれで帰るとしよう。俺は扉に手を掛け、外に出る。
「あ、先生。最後に一ついいですか?」
「何だ?」
「人一人を購入するには何ポイントいります?」
「ッ!………」
先生は、度肝を抜かれたように体を硬直させ、目を見開く、そし笑った。
「お前は実にユニークな男だ。そうだな、少なくとも2000万ポイントは固いな」
「なるほど、では今度こそ失礼しました」
俺はそう言って、指導室を後にして携帯を取り出す。そこには、20分18秒と数字が記録されている。
「録音完了と」
寮の部屋に帰ると、有栖から着信が来た。
「部屋に今すぐ来てください」
それだけ言い残して、着信が切れた。残されたのは静寂だけだった。あの姉は、自分を女王だとでも思っているんだろうか。
しかし、従わないわけにもいかず、諦めて部屋を後にする………
「来ましたか」
部屋に行くと、寝間着姿の有栖がいた。シンプルな寝巻の上に、白いカーディガン。シンプルが故に、有栖の愛らしさが際立っている。セットされていた髪はストレートに、いつもの杖は別途の端に立てかけられている。
「何の用だよ、お姉ちゃん」
「お姉ちゃんではなく、有栖お姉ちゃんです」
「………………………有栖お姉ちゃん」
自分のほほが熱を持っているのを感じる。
「フフ、よくできました。ルツ」
嗜虐心むき出しの笑みを浮かべながら笑う有栖。どこまでドS何だこの女。
「それで何の用?」
「いえ、特には・・あえて言うなら、学校のシステムについてはどのくらい理解できましたか?ポイントについてですか?クラスの基準についてですか?就職率、進学率の謎についてですか?」
「………」
分かっていたことだ。この姉なら、俺よりも早くからくりに気づくだろうと。悔しくないといえばうそになる。だが、それぐらいでなくては意味がない。最後に勝つのは俺だ。在学中に何としてでも俺はこの姉を超える。
「あらかたのことは理解できた。それで、有栖お姉ちゃんは何をしていたんだよ?」
やけくそ気味に答える。
「恐らくですが、先生がポイントを与えるために審査しているのは、授業態度や成績、素行でしょう。それぐらいしか、今のところ判断するものがないですからね。まあ、そこはAクラス。私が忠告しなくても問題ないと判断しました。それよりも私は、自分のために簡単に動かせる駒を作ることが先決と思い、候補の何人かと接触しました」
「駒………ねぇ」
「分かっているとは思いますが、この先もAクラスがAクラスのままで居れる保証はありません。問題行動を起こせば、評価は下がり他のクラスに逆転されるかもしれない」
か、考えてなかった~。そうか、何もポイントが減らされて困ることは生活費だけではないのか。生徒の実力を判断するということは、それが逆転すればクラスも変わるということ。
「その様子ではわかっていなかったのですか」
「………………………」
「本当に不出来な弟ですね」
「ッッッ!」
『不出来な子だな。お前は失敗作だ。本当に愚かな息子だ』
昔のことがフラッシュバックする。耳にこびりついて離れないあの
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、フゥ~」
苦しくなった呼吸を整えて、有栖に向き直る。そこには、心なしか顔を上気させた有栖の顔があった。
「このドSめ」
「フフ、トラウマを穿り返されてもすぐに立ち直るんですね。少し意外です。まあ、根は深いようですが」
「なめんな、この程度はもう卒業してるんだよ!」
「ええ、それにさっきのは嘘ですよ。初日でそこまでたどり着いたのには称賛に値します。全くあなたといると退屈しません」
「クソッ!人を玩具だと思いやがってッ」
「知らないのですか?弟は姉の玩具なのですよ?」
「そんなジャイアニズムは知らない」
とんでもないジャイアニズムだ。世界中の弟に謝ってほしい。
「ウフフフ、まあいいです。少し話を戻しましょうか。明日から私はさらに手足となる駒を増やしていきます。あなたはどうするのですか?」
「Aクラスで、リーダーとなりえるのは有栖と葛城だろ?考え方は今日見た限りっだけだが、有栖と同じく好戦的な性格には見えない。間違いなく対立するな。つまり、どちらかのグループに属さないといけないわけだ。答えは決まり切ってるな」
「ほー。聞かせてください」
「有栖のグループだな」
「………理由を聞かせてもらっても?」
「簡単だ、葛城では有栖には勝てないからだ」
葛城がどの程度優秀かはわからない。でも、俺は天才というものをよく知っている。故に何となくわかるのだ。そいつが天才なのかそうじゃないのか。葛城は間違いなく秀才だ。付け加えるなら天才よりの秀才だろう。天才じゃあない。それじゃあ、勝てない。ましてや、相手は坂柳有栖だ。たかが
「悪くない答えです」
「俺は俺でしばらくは好きにさせてもらうよ」
「ええ構いません、ですが、その前にやってもらいたいことがあります」
「?何を?」
「さっき、有栖と私を呼びましたね」
「あ………」
ブワァッと汗が全身から出てくる。やらかした、そうとしか言えない。
「罰が必要ですね」
「………………すみません」
「フフ、謝っても無駄ですよ」
ああ、死んだな。
「そうですね、まず、私のこの寝巻の感想、大きな声で言ってください」
処刑が始まった。
なお次の日の朝、俺は死にそうな顔をしていたらしいと後に友人となる綾小路清隆から聞いた。