ドSの銀髪美少女が姉になった 作:睡眠欲求者
進撃のCクラス
暑い、六月の下旬。それは、梅雨の真っ最中。気温と湿度の高さが相まって、外に出たくなくなってしまう季節だ。しかしそうもいっていられない。
俺はいつも通り早起きして教室に行き、一限目の準備をしてから机に座ってぼんやりとしている。あまり遅くいくと、有栖に鉢合わせるのだ。朝から遊ばれるなど冗談ではない。そんなことを思っていると、クラスメートたちがやってきた。いつも賑やかなクラス内だが、今日はいつにも増して騒がしくなっていた。その様子はみなが浮き足立っているようであった。
ポイントの支給日はやはり浮足立つ。
そうしてざわついていると、有栖が入ってきた。
「おはようございます」
「おはよう坂柳さん」
「おはよう」
教室に入ってきただけで、どこぞのアイドルのような扱いだ。
「おはようございます、皆さん」
クラスメイトに、挨拶を終えると有栖は俺の隣に歩いて来る。急いで逃げようと、立ったが遅かったようだ。
「最近は、私よりもずいぶん早く来ていますね」
「・・・そうか、気のせいじゃないのか」
「私と一緒に登校するのは嫌・・・ですか?」
上目遣いをしながらわざと俺の体にもたれかかるように話す。一瞬、ふわりと甘い匂いが鼻腔をくすぐる。破壊力抜群の上目遣いに一瞬たじろいき、くらくらとしたが、どうせ演技だろうと有栖の体になるべく負担をかけないように優しく自分の体から離してから、悪ふざけは辞めろという。
すると何がおかしいのかクスクスと笑う有栖、少しでもドキッとしたことが悔しい。
「ルツ、気づきましたか?」
「何が?」
「異常事態にです」
表情をいつものように戻すと、急に話を変えてきた・・・。
「ポイントが振り込まれていないこと?」
「はい、正解です」
「先生から説明があるだろう」
「そうですね」
そんな風に話していると案の定先生が入ってきて、説明を開始している。
「諸君、まず試験ご苦労だった。さて、気づいているとは思うがポイントの話だ。まずは結果報告といこうか」
黒板に点数が張り出される。Aクラスから順に書かれているためまずはAクラスのポイントが見える。そこにはAクラスのポイントが1004ポイントと書かれていた。それだけではなく、BやCクラスのポイントも、先月と比べ100近く数値を上昇していた。早くも、ポイントを増やす方法を見つけたようであった。Dクラスは87ポイント。綾小路たちのクラスもどうやら少しは打開策を見つけたらしい。
「この結果は廊下の電光掲示板、諸君の端末からも確認できる。さて、通常であればポイントは振り込まれるべきなのだが、1年生のポイント支給が遅れている。少し問題が生じてな・・・まあ、このクラスには、ほとんど関係のない話だ。ただ、ポイントの配布は少し遅れるとだけ思っておいてほしい」
そのほかの要点を言うと先生は、ホームルームを終わらせた。
「どう思いますか?ルツ」
「俺たちには関係がないという言葉から、何らかの問題は起こったが俺たちは当事者じゃないってことだと推測できる。まあ、十中八九、Cクラスだろう。あそこのリーダーは好戦的らしいからな」
「あら、どこでそんなこと知ったんですか?ルツに、お友達なんていないと思っていたのですけども」
「友達くらいいる・・・」
「例えば?」
最初に思い浮かんだのは綾小路だ。だが、彼は、有栖を倒すための一つの手段だ。情報をくれてやる必要はない・・・とすると後は・・・
「・・・・・・・・・・姉さんだっていないだろ」
よく考えると、俺って友達いなかったな。
「いますよたくさん」
「友達じゃなくて、
「否定はしません」
俺は席を立つと、教室の外に向かう。
「何処に行くのですか?」
「散歩」
そう言って俺は教室を出る。向かうのは、屋上だ。綾小路に、メールを送る。
『今から、屋上に来れる?』
返信はすぐに帰ってきた。
『ああ、了解した』
「で、何があったの?」
「須藤が、問題を起こした」
「須藤?」
「Dクラスの人間だ。問題児でな、日頃の行いも悪くてな、悪目立ちしまくりだ」
「なるほど何となく見えてきた」
「須藤曰く同じバスケ部の小宮と近藤が須藤を特別棟に呼び出し石崎という男がそこで待っていたらしい。小宮と近藤はそいつらの友達でDクラスの須藤がレギュラーに選ばれそうなのが我慢ならなかったという話だ。痛い目みたくなけりゃバスケ部を辞めろと脅してきた。須藤はそれを断ったら殴り掛かってきたから、やられる前にやったってことらしい」
大体のことは理解できた。Cクラスが須藤をはめるために考えた罠だろう。恐らくこれは、Cクラスのリーダーの考えていた話だろう。罠にはめようとしてきているあたり、大体のことは想定しているだろう。これはなかなか対策が大変そうだ・・・
事実を報告すれば信じてもらえるというそんな単純な話ではない。須藤が話したことはすでに学校側にも話しているはず。それでも、停学になるかもしれないというのは、受け入れられなかったことを示している。証拠も無ければ、日ごろの行いも悪い。これが普段真面目な生徒であれば情状酌量があったのかもしれないが。
「因みに、学校側は今の須藤の話を聞いてなんて言ったんだ?」
「無実の証拠を提出しろっ、とだけ」
十中八句、教師が介入しているだろう。しかも私情でだ。証拠がないのは、向こうも同じはずなのに扱いの差が大きすぎる。Cクラスのリーダーは、教師を買ったのだろうか。それとも、教師は自分のクラスの成績が上がる何かいいことがあるのか?
「何処で起こったの?」
「特別棟だ」
「ああ、なるほど」
確かにあそこには、監視カメラがない。
「何にしても、なかなかやばいな。だけど、聞き出してこういうのもなんだが、俺はこの件に介入できない。一応、立場がある」
「そうか」
「ただ、そうだな。なるべく目立たない形で、協力はしよう」
「何でそこまでしてくれるんだ」
「君に、貸しを作っておくほうが役に立つだろうからさ」
「俺は、Dクラスだぞ」
「それが?俺は、君を買ってるんだよ。まあ、無理にとは言わないさ」
「・・・考えてはおく」
「そう・・・それはどうも」
そう言って、俺と綾小路は別かれた。
おまけ
有栖が、教室で流都にしだれかかったとき・・・
「今、坂柳が抱き着いたように見えたぞ」
「あの二人の距離感ってさ、姉弟の距離感にしては近くない!?」
「姉と弟の禁断の恋・・・ブハァ」
「そ、創作意欲がわいてきた!」
外野が大盛り上がりだった。