魔剣使いの直感回避《ストライクビジョン》 作:綴るッ!
①
そは、次なる永遠のプロローグ――
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夢を、見ていた。
それは壮絶な戦いの記憶で、しかし確かに暖かいものもあった。
俺を慕ってくれる少女が居た。俺を友と読んでくれる少年が居た。すれ違い、それでも最後には分かり合えた家族が居た。敵として出会い、けれど崇高な思念を持った男が居た。
様々な人たちとの、出会いと別れの記憶。それはとてつもない痛みを伴うものだったが、何よりも大切なものだった。
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「―――禁じられた愛に堕ちてなんか絶対に無いんだからっ!」
幸せで、それでいて悲しくて痛い夢から醒めたとき、最初に武が聞いた言葉はそれだった。寝惚け眼をこすりながら、騒ぐ二人の少年少女――少女の方が一方的に騒いでいる気もするが――を見やる。
その後ももう一人の少女を巻き込んで失言と問題発言と問題行為を連発していたので、さっさと教室へと向かうことにする。
「……きっとまた、会えるよな。……くるみ、六」
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ここ、私立亜鐘学園に入学できるのは特別な人間だけである。
英雄として戦った。
そんな前世を持つ、特別な者たち。
悠久の時を経てもなお滅びなかった強固な魂を持ち、ついには転生を果たした者たち。
それが《救世主
そして、ここに居る彼もまた、その特別な人間なのである。ここ最近見る、夢という前世の記憶に感情を揺さぶられ、喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、自分がどんな人間だったのかを認識する。
そんなこんなでホームルームが始まり、担任の田中太郎の自己紹介、《
(……まあ、さっきのあれは、流石にビビるよな)
それもそのはず、何万トンかも計り知れない巨大な貨物船が一体の怪物に転覆させられているのだ。つまり、その怪物は巨大な貨物船に匹敵する巨体を持ち、それを転覆させる怪力を持つということ。
見た目は、頭の無いタコかイカ。あるいは十本以上の腕を持つヒトデのよう。
そんな化け物が、どんな嵐にも耐えうる甲板を砕き、蹂躙する。触手はうねうねとグロテスクに蠢き、見るものに生理的な恐怖を植え付ける。
だが、そんな化け物に対抗する英雄達の姿もまた、その映像には映し出されていた。全身に紅蓮の闘気を纏い、水上を地上の如く走り、冴え渡る剣技を振るう。空からはまた別の《救世主》が作り出した稲妻が、雨あられと《異端者》に降り注ぐ。
そんな驚異的で衝撃的な物を見せられたらこうもなるだろう。斯く言う武とて、少々怖じけずいて……は、いなかった。
(……まあ、だからと言って勝てないとは思わないが)
それもそのはず。武は二つの系統魔法を操る強魔力者。そして使う魔法もまた強力で、武に対抗し得る魔法使いなど数えるほどしか居なかった。
そして武がまたも前世の記憶を思い返し始めると――
バーン!
と、机を叩く小気味良い音が聞こえた。武がそれを目で追うと、机を叩いて立ち上がったのは先程体育館で問題発言を繰り返していた少女だ。
「――県出身。出席番号三十番。嵐城サツキ……」
全員がポカンとする中、ややあってそれが自己紹介だと気付く。
「学校で二番目に強い《救世主》になるようがんばるわ。皆このあたしについてきなさい!!」
サイドテールをかきあげながら、サツキという少女は堂々と宣言した。
志は立派。澱んだ空気を吹き飛ばし、クラスメイトに渇を入れる。なるほど見事なリーダーシップだ。
だが、ただでさえプライドが高そうな少年少女が集まるこのクラスでその物言いは大丈夫なのだろうか。武がそう考えた頃、やはりというか何というか。当然のように、サツキはクラスの人間に攻められることとなった。
「どこの馬の骨とも知らねえ奴に、なんでついて行かなきゃなんねーんだよ」
「そうよ、生意気だわ!」
急にイキがってサツキを揶揄するもの、それに賛同するもの。本人的には思わぬ反応だったらしく、喉を詰まらせるも直ぐに応戦。即、撃沈。
孤立無援の中、先程兄と呼んでいた少年にすがるような目を向ける。涙目で。泣くくらいなら最初から謝れば良いのにと思わないでも無いが、まあ目を向けられた少年は動くようなので取り合えず何もしないで置く。
先生というこの場の最高権力者を動かした少年を含め、武達『
「出席番号1番――」
その後も恙無く自己紹介は進み、遂に武の番がやって来る。
(と言っても別段言うべき事なんて無いけどな)
「出席番号16番。七瀬武です。目標は、前世での大切な人を見つけ出すことです。よろしくお願いします」
その後サツキがもう一度自己紹介しようとして睨まれていた。そして涙目になっていた。
田中からの細々とした連絡と注意事項の後、武達1年1組の生徒には帰宅が許されることとなる。しかし武が荷物を纏め、立ち上がろうとしたまさにその時。自己紹介のときにさえ眠りこけていた女子。漆原静乃が、諸葉へと仕掛けたのだ。――「今日この後ヒマかしら?」と。体育館での一幕を知る武は、また面倒なことが起こると半ば確信した。そしてそれに巻き込まれないようにとそそくさと逃げ帰るのだった。
その時武の瞳には、ラベンダー色の魔法陣が薄く輝いていた。
続かない