飛べない少年と飛べる世界   作:紡ぎ手@異人

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知ってるかも?って思うキャラがいたら…それは紛れも無くーヤツさー!


第十話 不死鳥と無垢なる赤子

それは、突然だった。それは、燃やし尽くした。眼前に立ち塞がる者を。自らを傷つける者を。

「キュオオオンッ!」

不死鳥(フェニックス)が鳴き、羽弾をかき消す。

不死鳥(フェニックス)が降り立ち、家が潰れる。

不死鳥(フェニックス)が羽ばたき、木々が悲鳴をあげ、人が吹き飛び、何かに刺さって泣き叫ぶ。

曰く、それは厄災だと。

曰く、それは天災だと。

人への憎しみを薪に燃え上がる体、憎悪に満ちた眼。絶えず光を放ち、炎の羽を飛ばし、火炎を吐き、ネスト王国を火の海とした炎翼の厄鳥・不死鳥(フェニックス)。彼に言葉は通じない。彼に想いは伝わらない。しかし、彼の言葉も、人には届かない。彼の想いも、人に伝わることは無い。何度目かの蘇りで、彼は諦めた。人に言葉は通じない。嘘に謀略、戦い、争いに満ちている。…しかし、声がした。

その生まれて間もない子は、叫んでいた。ほかの人間達には泣き声にしか聞こえぬその喉で、確かに、「飛びたい」と。赤子はそう言ったのだ。

「誰も見た事のない高みまで飛んでみたい。遥か彼方まで。」と。

不死鳥(フェニックス)は変わったガキだと、戦いの最中に思った。

動きが止まり、視線が赤子に釘付けになる。

「───なんて綺麗な翼してやがる…」

()()()()、大きな翼。それはまるで、天使のような──

不死鳥(フェニックス)!!」

人間の声に、意識が現実に引き戻される。月のように白い銀髪に、鳶の翼。名は確か──

「鳶地を援護しろ!」

矢が何本も飛んでくる。火炎を吐き、矢をほとんど焼き尽くす。そう。男の名は鳶地。鳶地シロウ。不死鳥(フェニックス)は舌打ちして飛び上がる。だが、一条の矢がそれを許さなかった。

「ッ!?」

翼を射られ、地に堕ちる不死鳥(フェニックス)。畳み掛けるように大きな耐熱ネットが被せられ、動きを封じられる。不死鳥(フェニックス)は何とか首を動かして矢の飛んできた方向を見る。そこには、一人の女が弓を手に佇んでいた。その傍らには、先程の赤子と、鳶地シロウがいた。

「…不死鳥(フェニックス)。お前をカナタと俺、二つに分けて封印する…!」

「!?」

不死鳥(フェニックス)は目を剥いた。何を考えているのだ、と。人間に気があるとは言わない。むしろ嫌いだ。だが、あの翼は。あの綺麗な翼だけは失わせてはならない。そう思った不死鳥(フェニックス)は抵抗した。絶対に封印されるわけにはいかない。しかし、ネットは焼き切れない。

全て乖離す約束の剣(ディバイダー・オール)!災厄の鳥を分て!」

シロウは赤黒く輝く剣で不死鳥(フェニックス)を斬る。存在が、分かれる。瞬間、地が凍りついた。しかし、誰一人氷漬けになることはなかった。

「キュオオオンッ!」

不死鳥(フェニックス)が鳴き、翼でカナタ達を包み込む。

─???─

地に、空が写し出されている。どこまでも広がる、青い空。

「ここは…?」

「何故だ…」

突然変わった景色に驚くシロウ達の上空から声が響き、2人は空を見る。

「カナリア、カナタを頼む。」

「ええ…でもここは…」

「何故だッ!」

空から不死鳥(フェニックス)が降り立ち、シロウは2人をかばうようにして立つ。

「っ…不死鳥(フェニックス)…!」

「鳶地シロウ…テメェ本気か?そのガキに俺を封印するってのは…」

「…ああ。」

「何故だ!?カナタはてめぇらの子供じゃねぇのか!?」

「そうよ…」

「なら何故!?」

不死鳥(フェニックス)は怒った。それが親のすることか、と。子の翼を失わせるのか、と。

「簡単さ。カナタなら、お前と友達になれるかもしれないって…な。」

「!?な…」

「私たちは、鳥籠に狙われている。けれど、カナタだけは守り抜きたい…」

不死鳥(フェニックス)。お前の力を、カナタの為に使ってはくれないか?代償はなんだって払う。」

「……」

別に、不死鳥(フェニックス)はシロウやカナリアの言葉に心打たれた訳では無い。ただ、身勝手な人間達の都合であの綺麗な翼が失われるのが気に食わなかったのだ。だから───

「いいぜ。」

「!!」

「ただし、代償はいただく。」

「!ああ、言ってくれ。」

どうやら、2人の意思は固いようだった。

「お前らがカナタの成長を共に見る時間、十数年分だ。」

代償は限りなく辛いものにしようとした。けれど。

「…なんだ。それなら。」

「ええ。構いません。」

この言葉には、負けたと思った。




カナタが産まれたばかりの時のお話。
こらそこ、とある黄色い閃光みたいな感じだとか言わない。
書いててここまで似るかぁ…って俺も思ったから。
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