飛べない少年と飛べる世界   作:紡ぎ手@異人

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なんか白狼君の方より世界観とか出来てる気がする…


第五話「烏の翁と鷹の王」

「…容易い。」

カナタを脇に抱え、ゴエモンは独りごちる。

「童とはいえ…余りに警戒心が無さすぎるのではないか…?」

ともかく任務はこれで完了だと、翼をはためかせる。

「待て。」

「!」

その一言で、ゴエモンは動きを止めた。

「おや。ネスト王国の王ともあろう御方が、供も連れず何の用ですかな?」

ゴエモンはカナタを抱えたままとぼけてみせる。

「巫山戯るなよ八咫烏(ヤタガラス)。カナタは私の養子とするのだ。」

「…そちらこそ、戯れはよして頂きたい。」

二人の間に、火花が散る。

「カナタを返してもらうぞ…」

シンヤの翼が大きく広がり、

「…押し通る…」

ゴエモンの腕が名刀・(かける)に伸びる。一触即発の空気。しかし、それは直ぐに中断されることになる。ゴエモンはふと、カナタの背に熱が集まっていることに気がつく。

「む!?」

「!?不味い!八咫烏(ヤタガラス)!死にたくなければカナタを離せ!」

言うが早いか、ゴエモンはカナタを空へ向かって投げた。

瞬間。炎が広がった。

「アレが…」

「おいおい。大事なカナタの身体だぜ?丁重に扱えよ。」

いつものカナタらしからぬ口調。燃え盛る翼を広げ、腕を組み、二人を見下ろすカナタの中の鳥。

「厄鳥・不死鳥(フェニックス)!」

「ああ、久しぶりだなぁ、鷹神…六年ぶりくらいかぁ?」

不死鳥(フェニックス)はケラケラと笑う。

「カナタに戻れ!」

「おいおい無茶言うなよ。八咫烏(ヤタガラス)にカナタを気絶させられたんだ。カナタが自分で起きるまで戻れねぇよ。」

シンヤはゴエモンを睨む。

「…儂は任を遂行したまで。不死鳥よ、一緒に来てもらおう。」

ゴエモンは取り合わず、カナタを見上げる。

「ハ。人を誘うにしては乱暴にすぎるな。落第点だ。出直せよ、八咫烏(ヤタガラス)。」

カナタは手に炎を灯し、臨戦態勢をとる。

「…傷付けたくはなかったが…仕方ない。」

ゴエモンは刀を抜き、構える。

「っ…カナタを傷つけさせはせんぞ!」

シンヤは二人の間に割って入る。

「…退かねば斬る。」

ゴエモンの目は揺るがない。

「退くものか!カナタは私の─────」

セリフを最後まで言うことは出来ずに、閃光が走る。

「ッ!?」

直後に、鮮血が舞った。

「………!?カナタ!?」

「ったく。容赦ねぇな。六歳児の腕飛ばすか?普通。」

そこには、自分の腕でシンヤを守った不死鳥(フェニックス)の姿があった。

「カナタお前…!」

「勘違いすんな。アンタにはカナタが世話になってる。俺はカナタに生きさせられてる。だから俺はあんたを守る。死なねぇ命賭けてな。」

ニィッ…と不死鳥(フェニックス)が笑うと、炎が腕を包み、燃やしていく。炎が消えると、そこには子供特有の小さな腕があった。

「面妖な…」

ゴエモンは毒づく。

「ハ。不死鳥(フェニックス)ってのは死なねぇから不死鳥(フェニックス)って呼ばれんだよ。俺が表に出てる間は死なねぇよ。」

不死鳥(フェニックス)は嗤う。

「…ならばもう一度少年に起きて貰うまで。」

ゴエモンは刀を退く気は無いようで、かなり殺気立っている。カナタは笑いつつも、内心焦っていた。

(まずい…圧倒的なまでの実力差ってのは不死性だけじゃどうしようもねぇ…かといって、逃がしてくれそうもない…)

「…参る!」

ゴエモンが迫ってくる。

「チッ!」

カナタは翼を使って体を覆い、身を守ろうとする。がらゴエモンはクロウ帝国最強の侍。炎の翼など───ザンッ!と切り落とす。

「ぐああっ!」

「カナタ!」

シンヤが羽弾を飛ばすも、ゴエモンは一刀を以て全て弾き落とす。

「チ…マジで速ぇな…」

「少年はまだ起きんか…?」

「答える義理はねぇな。」

翼が炎で蘇る。

(…う…)

「!チィッ…嫌なタイミングで…」

カナタが目覚めかけ、翼の炎がだんだんと衰えていく。

「!起きたようだな。」

ゴエモンは刀を収め、落ちていく不死鳥(フェニックス)を抱える。

「っ待て!」

「断る。ではな。」

ゴエモンはカナタを抱えたまま、クロウ帝国へ飛び立ってしまった。

「く…すぐに取り戻しに行かねば…!」

シンヤは装備を整えるため、すぐに王宮へ向かった。




ゴエモン強いぃ…
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