飛べない少年と飛べる世界   作:紡ぎ手@異人

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受験近いのほんと怖い…


第七話「鷹の王と鴉姫」

カナタがゴエモンと話しているのと時同じくして、ネスト王国の王、鷹神シンヤは剣を携え、一人で皆の反対を押し切ってクロウ帝国に向けて飛び立とうとしていた。

「王!お待ちください!」

「厄鳥など!」

「五月蝿い!カナタはあの英雄、鳶地シロウの息子なのだぞ!?その妻、カナリアに世話になったものも多いであろう!その恩に報いる気は無いのか!?」

シンヤの一喝で臣下達は竦む。

「私は王だ!このネスト王国の!カナタは辺境とはいえ、このネスト王国の民なのだ!私の国の民なのだ!そのカナタがクロウ帝国に攫われたのだ!助ける理由など、それだけで十分だ!」

「し、しかし!」

「王にもしもの事があれば!」

臣下が必死に声を絞り出す。だが、シンヤの決意は揺るがない。

「その時は貴様等が勝手に仕立てあげれば良い!とにかく私は行く!」

そう言って、カナタを取り戻す為、シンヤは夜空へ飛び立った。その、真横に。

「あら、どこまで?」

一羽の鴉が飛んできて、シンヤに話しかけてきた。

「!サクヤ…!」

シンヤは羽弾を飛ばそうとして、止めた。サクヤに訊くべきことがあったからだ。

「…カナタを攫って何がしたい?」

「さぁ?ただのお話かしら。」

「はぐらかすな。私はお前がカナタに厄鳥が封じられていることを知っていることを知っているのだぞ?」

シンヤが目を鋭くすると、鴉の向こうのサクヤは少し呆れたように、

「相変わらずの"千里眼,,ね。まぁそうね。彼──そう、カナタ君。彼の中に不死鳥(フェニックス)がいることは知っていたし、それが彼を我がクロウ帝国に()()した理由の一つよ。」

「招待?誘拐の間違いだろう。…?待て、理由は一つではない、だと?」

その言葉は、シンヤをその場に留まらせた。

「ええ。私は彼に興味があるのよ。ああ、恋愛的な意味ではないわよ?」

サクヤの言葉に、シンヤは食ってかかる。

「あ、当たり前だ!カナタはまだ六歳なのだぞ!?」

「あら、子供なのは知っていたけれど、まだ六歳とはね…ゲンジ物語でも演じてみようかしら。」

「っ…やはり直ぐに取り戻さねば…」

「冗談よ。流石に年齢差がありすぎるもの。」

こういう時程、サクヤを殴りたい時は無いとはシンヤの弁である。そもそも、鴉神サクヤとはこういう女だ。人をおちょくるのが得意な上に好きなのだ。それにふわふわとして掴みどころがない。まるで飛べる彼らでさえ掴めない雲のように。

「彼はさっきも言っていたようにまだ6歳。しかも、生まれの親を知らない。」

「…!?まさか!」

シンヤがハッとすると、サクヤは鴉の奥で笑う。

「そう。ゴエモンに育ててもらうわ。」

と、サクヤは言い放った。

「…お前はカナタを知らない。」

「あら、なんの事かしら?」

「カナタは親がまだ───」

生きていると信じている。そう言おうとした矢先、サクヤが口を挟んだ。

「なんだ。()()()()。」

「!?な…」

「そんなつまらない事はどうでもいいのよ。カナタ君の親…鳶地シロウとカナリア…だっけ?その二人は死んだ。そう伝えればいいだけだもの。」

「…カナタは信じないぞ。余程近しいものでない限り…」

シンヤは再び動き始める。

「そう。例えば…いつもカナタ君の近くにいるあの子とか?」

「ッ!」

サクヤの推理にシンヤは顔が硬直する。

「図星のようね。ふぅん…じゃあゴエモンに頼んで連れてきてもらおうかしら。」

「ふざけるな!カナタだけに飽き足らずキョウカにまで手を出すなど…!」

「へぇ、キョウカちゃんっていうんだ、その子。ちょっと興味、湧いてきちゃった。」

「っ…」

これ以上話しては余計な事まで吐かされてしまう。そう思ったシンヤはギュンッ!とスピードを上げた。

「あら。相変わらず早いのね…さて、上手くやって頂戴ね?ゴエモン…」

鴉はサクラ城に向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

もう日も暮れた。カナタがどうなるのか…それは、誰も知らない。




現在公開可能な情報。
飛崎カナタ(鳶地カナタ)
性別:男 誕生日:8月11日
性質:温厚
所持翼(偽):不死鳥(フェニックス)
所持翼(真):???
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