ファイアーエムブレム / 聖杯大戦(Fire Emblem / Holy Grail Grand War) 作:femania
・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。ファイアーエムブレムのキャラを動かすにあたり、素材を最高に生かそうとした結果、原作とは矛盾が生まれることもありますが、この世界独自のルールとして受け取ってください
これでOKという人はお楽しみください!
ファイアーエムブレムのキャラを使って聖杯戦争をします!
「ここが……」
街中での戦いを経て、俺は謎の契約をしてしまった藍色の髪のサーヴァントを召喚してしまった。
俺は元々アレスの近衛騎士で、アレスは聖杯戦争の参加者。故に俺とアレスは敵同士になってしまったわけだが、アレスはそんな俺を今でも味方だと思ってくれているようで、俺をこの教会まで連れてきてくれた。
「アレス、体は?」
「気にするな……魔力を急にたっぷり持ってかれたから、体が悲鳴をあげただけだろう」
「だけって……」
「それより、中に入ろう。教会の中なら、仮に追尾されていても安全だ」
「なんでだ?」
「教会は聖杯戦争の間は不可侵の中立地帯になる。理由はまあ、神父が話してくれるさ」
教会は、城下街の中心から最も離れている高台の上に存在する。
高台は子供が遊ぶ公園と、この教会、そして皇族が生物学を学ぶために用意された人工林である。街から教会へ行く場合は、舗装された道が一本存在し、それ以外は木々に覆われている。
木製の扉を開くことで広がる光景は、木でできた椅子が並び、その先に神父が立ち、儀式を行う台が存在する一般的な教会の内装だ。
「神父、置いてきちゃったけど」
俺がアレスに訊くと、
「あれでも、口も達者だし武器の扱いも魔法も達者なんだ。まあ、死んでここに帰ってくるなんてことはないと思う、たぶん」
と頼もしい答えを返してくれる。
一方アレスもまた俺に尋ねてきた。
「お前のあのサーヴァント、らしき人物は……」
「それ俺に訊くなよ」
何にせよ俺もあの剣士が何者か分かっていない。しかし、嘘をついていなければ彼もサーヴァントなのだ。
「まさかお前がサーヴァントをなぁ。しかし、不思議なものだ」
「いや……俺の方が不思議だっての」
「そうじゃない。サーヴァントを呼ぶには縁が必要だ。お前、何か聖遺物持ってるのか?」
「……ちょっと、身に覚えがないな」
「そうなのか? でもきっと持ってるさ。もしもわかったら教えてくれよ」
「あ、ああ」
そうは言っても本当に何が彼女を読んだのか覚えはない。今考えても仕方ないだろう。
俺とアレスは椅子に腰を下ろして、俺のサーヴァントである藍色の剣士を見る。
「セイバー、か? いや、剣を使うだけでセイバーってのは、安直すぎるか……」
アレスと共に、聖杯戦争で皇族殺しを目指した身として、聖杯戦争については多少知識として学んできたつもりだ。なので、当然サーヴァントが馬鹿みたいに強いことも俺は理解している。
とはいっても、実際はああして喧嘩売ってしまった。頭に血が上って冷静な判断ができず危うく死にかけていた。
もしも先輩近衛騎士のハナムさんに見られていたら、
「あまりに未熟でございますぞ」
という話を筆頭に、俺は一日徹夜の訓練をさせられていたことだろう。ハナムさんは俺を怒ったりしないが、俺が近衛として未熟なところを、徹底的にニコニコしながら矯正してくれる。
その話は今度、ゆっくり思い出すとして、今は俺のサーヴァントに訊いてみることに。
見目、剣技共に鮮やかなる藍色の剣士、俺のような未熟者が話しかけるのはためらわれるが、それでも俺はマスターになったのだ。コミュニケーションをとるのは大切なことだろう。
「なあ君、……なんて呼べばいいんだ?」
よくよく考えてみると、俺はそもそも自分のサーヴァントをどのように呼べばいいか分からない。
早速『君』とか生意気な聞き方をしてしまった。
しかし、心の広い俺のサーヴァントは、それに嫌な顔を晒すことはなかった。
「僕かい? 僕の名前は、マルス」
「マルスって英雄王……!」
まさか伝説中の伝説たる英雄王をおれは呼び当ててしまったというのか。
英雄王と言えば、アルアトールの中でも知らぬものはいない伝承の登場人物である。
『英雄王戦記』。上巻と下巻で分かれていてなお1000ページを超える量をもって、大陸全土を巻き込んだ2度の戦争を勝ち抜き平定した伝説上の人物、英雄王マルスの戦いを書いた話である。
その主人公。アルアトールに残る全ての伝承の中で最優の英雄であるマルス。まさか、その本人だというのか。
「ああ、でも名前が同じだけなんだ。僕は、その……憧れでつけられた名前というか」
少し安心した。さすがに俺のサーヴァントがあの英雄王だったら俺はここで、しばらく頭を真っ白にしなければならないところだった。
しかし、だからと言って、彼を軽んじることはできない。間違いなくその名を名乗るにふさわしい研鑽された剣技を持っている。
「マルス、お前のクラスは?」
「クラスかい? 僕はセイバーだ。そう自覚している」
「まあ、そりゃそうか」
話を始めるとやけに心がバクバク言うのは何故だろうか。まるで綺麗な女性と話をしているかのような、そんな鼓動の高鳴りだ。
コミュニケーションを深めようなどと言った割には次の言葉が出てこない。間が空くのは最悪だと分かっているのだが。
そんな俺を助けてくれたのは親友だった。
「お前は『黒』か、それとも『赤』か?」
もちろん俺を思ってというよりは、彼にとっての大問題だからだろう。ここで赤とか言われたら、皇族の彼にとっては無視できない敵である。
――いや、リュエンを生かすためなら、むしろ黒だとまずいのか?
どちらにしても、アレスにとっては、このセイバーは微妙な立ち位置にいる存在だ。そして俺も、場合によっては――。
「僕にそのような割り振りはない。セイバー、ただのセイバーだ」
「そんなはずはない。あのアサシンは『赤』の陣営と言った。とするならば、今回の聖杯戦争はただの聖杯戦争ではない。帝国と魔族の大戦争、かつて1度だけ行われたサーヴァント同士の戦争である、聖杯大戦のルールが用いられるはずだ」
俺はこの場で行われる戦争はただの聖杯戦争だと思っていたため、聖杯大戦となると、正直勉強してきた知識に自信はない。
聖杯大戦。サーヴァントを召喚するマスター全員が同盟を組んでしまっている場合に適応されるルールに準ずる大規模な聖杯戦争。そのままではそもそも聖杯戦争が成り立たないため、サーヴァントの数を倍程度の偶数に増やし、その同盟の対抗戦力としてもう1つの陣営を聖杯側が用意する。そうすることで戦争を成立させ、サーヴァント同士を殺させ合うというシステムだったはずだ。
陣営は『黒』か『赤』。サーヴァントは必ずどちらかの陣営に属するはずだ。
しかし、これまでの継承戦争では、聖杯大戦が起こったことはない。皇族同士では殺し合いの関係なので、同盟とはみなされなかったのだろう。
これ以上はまた今度考えるべきか。どのみち神父が来たらその辺りの話もしてくれるだろう。
「そうはいっても、僕は特にどちらの味方をしろ、ということは聞いていないんだ」
「……お前」
「怪しいのは分かるけれど、でも、僕はマスターであるレンのサーヴァントとして剣を捧げる覚悟は本物だ。どうか信じてほしい」
アレスはまだ納得いっていない様子だが、敵かも分からなければ味方かもわからない状況なので、これ以上機嫌を損ねることを恐れ、追及はしなかった。
今度は俺がセイバーに何か訊いてみよう。と言っても何を質問するか悩む。
好きな食べ物? いやさすがにガキっぽい。
座右の銘は? そんなことをいきなり尋ねられても困るか。
その剣誰から学んだの? いや、それ今聞く必要ないだろう。
参った。近衛としてそれなりに人と話してきたのに、まだこんな未熟とは思わなかった。
「マスター。君の事はマスターと呼べば?」
向こうから質問を出されてしまった。情けない。
「マスター……か」
「嫌ですか?」
「嫌じゃないけど、俺、未熟者だしな。マスターなんて呼ばれる身じゃないっていうか」
唐突にアレスが笑った。
「ふふっ、お前、マスターだろう? 何恥ずかしがってる?」
「い、いいだろ。気分の問題だ」
別に笑わせるつもりはなかった。
「では、レン、と名前で呼んでも?」
「ああ、それがいいな。その方が気兼ねなく話せそうだ」
「レン。レン。ああ。いいと思う。この方が僕も呼びやすい」
「俺はお前をセイバーって呼べばいいか?」
「ああ。もちろん。僕もマルスと名乗るのは、その……恥ずかしいからね」
目が仮面で隠れていようと、口の動きだけで、笑っているのが分かる。良かった、変に悪いことは言っていないようだ。
話を始めてしばらくたったが、神父は戻ってこない。もうしばらくは教会で待つ必要があるだろう。
「しかし……レン。お前明日からどうするんだ?」
「どうするって……」
ここで、第1皇女ミレーユ様が言っていたことを思い出す。俺はもはや指名手配犯だ。昼夜帝国兵に追われ、首を斬られるまで俺は許されないだろう。
「どうしよう……」
「はぁ。まあ、俺もまさかお前がサーヴァントを呼ぶとは思わなかったからな。なんのプランも考えてないぞ。近衛兵が王族を陰で支援するのは聖杯戦争でも黙認されてるけど、召喚しちゃったらダメだろ」
「いやあ、でも召喚しなかったらしなかったで死んでたからなぁ。なんで召喚できたのかすらわからんけど、どのみち死ぬ運命なら、召喚してよかったと思うよ」
セイバーがそこに嬉しい誓いを立ててくれた。
「これからは僕が守る。レンは安心して、僕に任せてほしい」
「お……おう。ありがと」
こう言ってもらえるとは、会ってすぐの割には、少しは仲良くなれただろうか。
しかし、アレスの言うことももっともである。どのみち俺は戦わなければ生き残れなくなってしまったということ。
「まあ、聖杯戦争の参加者になったからには、指名手配されていても、お前を狙うのは他のマスターか腕に覚えのある近衛やら賞金稼ぎ程度さ。普通の兵士は来ない。お前にはサーヴァントがいるからな、連中も無駄死にはしたくないだろう」
つまり圧倒的な数で潰されるという可能性は低いということか。しかし、あまり嬉しくない。そうなると俺を殺しに来るのはどう考えたって、出会った瞬間死ぬと断言できるような連中ではないか。
こう冷静になって話していると、自分がいかに危機的な状況かがよくわかる。そんな中でアレスが味方になってくれているのは救いだろう。
「レンが戦わなければいけないのはそういう相手が基本になると仮定して、どこから湧いてくるか分からない賞金稼ぎ以外で、お前の相手になりそうな人間を考えてみようぜ。幸いにも、神父はまだ来なさそうだしな」
アレスの提案に俺が同意を示し、今判明している俺を殺しに来そうな人間をリストアップしてみることにした。
なお、赤の陣営については、情報が少なすぎるのでここでは割愛する。
俺が指名手配犯になり、かつ聖杯戦争のマスターであるという条件で、俺を積極的に殺しに来る人間。
それが今後俺が戦うべき敵になるだろう。
しばらくは黒の陣営のキャラクターのおさらいです。