ファイアーエムブレム / 聖杯大戦(Fire Emblem / Holy Grail Grand War)   作:femania

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注意事項

・連載小説初心者です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品です。元と性格や行動が違うことがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・この作品オリジナルキャラも人物描写はスキップしている場合があります。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・作品はほぼオリジナル展開であり、オリジナル設定も盛り込んでいます。ファイアーエムブレムのキャラを動かすにあたり、素材を最高に生かそうとした結果、原作とは矛盾が生まれることもありますが、この世界独自のルールとして受け取ってください

これでOKという人はお楽しみください!
ファイアーエムブレムのキャラを使って聖杯戦争をします!



1-6 運命の夜4

バーサーカーは、暴走する可能性があるため、マスターである第一皇子フィラルドは、近くで戦いの様子を監視し、いつでも令呪を使う用意をしていた。

 

赤のアサシンに気取られないように、隠形の術式を多重に使い、そのうえで息を殺しながらバーサーカーの様子を陰から見ている。

 

戦いは優勢。すでにバーサーカーは止めを刺すべく、最大の攻撃を赤のアサシンに打ち出した。

 

まずはサーヴァント1体撃破。本当は最初の夜にそのような戦果は求めていなかったものの、呼び出したサーヴァントの戦力的評価のついでとしてはこれ以上を望めないほどの成果だと、年甲斐もなくフィラルドは興奮している。

 

そしてフィラルドは今までの自分のサーヴァントの戦いぶりを見て、頼もしいという感想と共に,ある感想を抱いていた。

 

――なんて美しいのだろうか。

 

それ故か。赤のアサシンへの注意力が散漫になっていたのかもしれない。しかしそれだけではないだろう。

 

なぜならそれは人間業ではない。どれだけ頑張ってもできないかもしれないという疑念を戦いながら、執念とも言うべき意思で修練を積まなければ得られない技法だ。

 

それをフィラルドは知っている。

 

――縮地だ。それも似た技法ではなく本物の。格は多少低いが、その技法であると見間違いはしない。

 

赤のアサシンはその技法を使い――すでにバーサーカーの近くに存在した。

 

「バーサーカー!」

 

 

 

赤のアサシンは右に特殊な魔力を帯びる剣を、そして左には赤い魔導書を持って、たった一瞬で自分に迫る竜の光弾を躱し黒のバーサーカーの死角へと回り込んでいた。

 

赤のアサシンはサーヴァントに危機を知らせるマスターの声を確かに聴いた。

 

(聞こえた)

 

「er-erife」

 

その呪文を唱えながら、赤のアサシンは右に持つ剣を振り上げる。

 

狙いは間違いなくバーサーカーの体。

 

金にも見える黄色の剣を振り上げる。

 

サーヴァントの危機に叫び声を上げたマスター声は確かにバーサーカーに届いていた。自らに迫る攻撃に気が付いたのは、間違いなくマスターの警告あるが故だ。

 

黄色の刀身を持つ剣。その斬撃を黒のバーサーカーは躱そうとする。

 

しかし遅い。すでに縮地で距離を詰める前にこの行動をすることを赤のアサシンは決定している。故に迷いない行動は、バーサーカーを逃がしはしない。

 

その攻撃は確かに、相手の脚を斬った。それは致命傷にはならないが、赤のアサシンの攻撃が通じた最初の一撃だったのだ。

 

「あ……ああああああがああ!」

 

傷口から煙が出る。

 

肌を、肉を、そして骨すらもその細胞を壊死させる魔力。

 

(当たりだな)

 

バーサーカーは苦悶の叫びをあげる。

 

赤のアサシンが当たりだと言ったのは、目の前のサーヴァントが持つ生体的特性だ。

 

彼女は『竜』だ。マムクート、もしくはそれに連なる、人型の姿と竜の姿を併せ持つ存在。故に今使った剣が確実に効いていると、赤のアサシンは確信する。

 

今赤のアサシンが使ったのは『ドラゴンキラー』である。それは伝説の剣でなくても、人よりも圧倒的な竜を人が殺すための剣である。

 

故に竜の特性を持っているバーサーカーは、ただ一太刀浴びただけで悶絶したのだ。

 

しかし、止めを刺すことはできない。この剣をもってしても、竜を殺すのには深手を最低5は必要になる。

 

このバーサーカー、見た目は屈強とは言えない体形の女性であるが、竜特攻の武器を受けたとしても、サーヴァントである以上、深手を負わない限り死にはしない。

 

痛手は同時に竜の逆鱗に触れることである。攻撃を食らい怒り狂った竜の蹴り上げを受けて、赤のアサシンはまたも吹っ飛んだ。

 

(情けない……これで3回目だぞ)

 

またも吹っ飛ばされたことにこのような感想を持ちつつ、情けなく今度も堅い場所に叩きつけられる。

 

(だがまあ、目的は達した)

 

しかし赤のアサシンの分析はこれで終わった。

 

(あのバーサーカーは狂化をしているが戦い方は合理的だ。技量は多少格落ちしているが、それでも十分な剣技と体術を持つ。相手に攻撃ができるのならば、剣だけでなく体の部位のどこでも使う。これは、正面戦闘で殺すには一苦労しそうな相手だ)

 

再び攻撃をしようとするバーサーカーに赤のアサシンはしっかりと聞こえるように、大きな声で宣言する。

 

「いいのか?」

 

その瞬間、黒のバーサーカーがいる箇所とは別の場所で爆発が起こった。家の影、その場所を焼き尽くす爆撃だった。

 

バーサーカーはその方向を見る。否、見ざるを得ない。

 

なぜならそこが、彼女のマスターがこの戦いの戦闘を見守る場所だったからだ。

 

「noisulli」

 

アサシンはまたも別の魔導書を使い魔法を使うための詠唱を唱える。

 

一方でバーサーカーは爆発が起こった方向に走っていく。

 

しかし、その爆発の中から第1皇子は何の傷もなく、その爆発から出て来た。

 

本当に直撃だった。先ほどのアサシンの魔法は明らかに不意打ちだっただろう。特にフィラルドからは、赤のアサシンが持っていた魔法書は見えない。そのように、赤のアサシンが動いたからだ。

 

先ほどの反撃は、バーサーカーではなくそのマスターを殺すための一手だった。

 

それをあのフィラルドは凌いだ。仮にもサーヴァントの攻撃を。

 

「……ぁ……ま……」

 

「安心しろ、バーサーカー。私は無傷だ」

 

赤のアサシンは驚きで一瞬驚きのあまり阿呆な顔を晒していたことを後悔する。

 

しかし、サーヴァントであるバーサーカーですら、驚きの顔とともに体を硬直させていたのだから、アサシンの無理もないことだった。

 

フィラルドは堂々と赤のアサシンの前方に姿を晒す。

 

「驚いたな」

 

赤のアサシンはフィラルドに話しかける。

 

「すでに場所が分かっている。こうして姿を晒しても、晒さなくても変わらないと思うが?」

 

「そうじゃない。仮にもサーヴァントの攻撃だ。並みの人間には耐えられない火力だと思うのだがね」

 

「確かに素晴らしい腕だった。これほどまでに肝を冷やした攻撃は初めてだったかもしれない。威力、使いどころ、共に十分だった。……だが、私を殺すことだけが、この攻撃の目的ではなかったのだろう?」

 

赤のアサシンは苦笑する。

 

「ノーコメントだ。だがお褒めの言葉は素直に受け取っておくことにしよう」

 

フィラルドは今にも襲い掛かろうとするバーサーカーを制止し、

 

「もう少し話をしたい」

 

と、赤のアサシンへさらに言葉をかける。

 

「まだ話があるのか?」

 

アサシンの問いに、フィラルドは言葉を重ねる。

 

「実に不思議なサーヴァントだ。先ほどから多彩な武具や魔法を使っているが、隠し持つにしてはあまりにも種類が多すぎる。それは宝具だな?」

 

「言うと思ったか?」

 

「まさか。これは私の予想だ。貴殿の力の一端として、クラスに制限されず、あらゆる武器や魔導書をその場で使用できるようだ。しかも高い練度で。さらに、使う武器はその場で作っているか、それともどこか別の場所から取り出しているか。どちらにせよ、貴殿の持ち物に限度もなさそうだ」

 

赤のアサシンは目の前の男の観察結果に何も言わない。言う必要がないからだ。

 

フィラルドは腰に帯同していた剣を鞘から抜いた。

 

赤のアサシンはその剣を見て、ようやく口を開いた。

 

「恐ろしいな。聖杯から与えられた知識が間違いなければ、お前は皇子ではずだが、まさか本気でサーヴァントと戦う気だと言っているように見える。……その剣、ただの剣ではないようだ」

 

「その通り。本来であればこのように彼女を戦場に出すのは不本意でね。通常は俺が戦う予定だ」

 

「おいおい、バーサーカーを連れてまでそのような世迷言を吐くのか?」

 

「酔狂と言うならば、アサシンのくせにこのように姿を晒している貴殿もまた同じだろう」

 

「そうだな。……漆黒の騎士、まあ明らかに伝承上の本物ではないが、その異名までつけられた皇子がご乱心と見える。その王子から見て、私の戦いぶりはいかがだったかな」

 

「無論、斬るにふさわしい戦士だ。だが解せないことが1つ。先ほどの者が貴殿の宝具ならば、私は、そのような伝承を持つ英雄を知らない」

 

「勉強不足だと嘆く必要はない。なぜなら、俺は語るに及ばないただの殺し屋だ」

 

「しかし、この世界の聖杯戦争は英霊であっても、ある程度の実力を有さない英霊は呼べない。そしてそれほどの実力を持つ英霊ならば、伝承のどこかに一行でも記載があるはずだ」

 

「まるで、あらゆる伝承すべてを頭の中に叩き込んでいると見える」

 

「その通り。故に不可解だ。戦いぶりを見て、真名が分からないということはないと思っていたのだが」

 

「言ったろう、俺は語るに及ばない暗殺者。ただ偶然に英霊になってしまった、英雄たちの面汚しだ」

 

「……貴殿とはもう一度立ち合いところだ」

 

「今からでも構わないが?」

 

「それはない。なぜなら、今ここに貴殿はいないのだから」

 

「ほう?」

 

「イリュージョン。今そこにいるのは幻影。ただし音声はその幻影によって拾っているし、幻影を通じて問いの答えを返すこともできる。だが、その体は既にここにはない。どうやらしてやられた、と言ったところか」

 

フィラルドは剣を振り上げ、そして振り下ろす。

 

風が吹いた。何かが通り過ぎた。

 

次の瞬間には、赤のアサシンの姿は、フィラルドの前から消えていた。

 

「撤退だ。バーサーカー。今日はいささか疲れただろう。入浴の準備を城の者にさせよう。夜用のドレスは既に用意してある。今宵のみは申し訳ないが、寝る時だけは安い寝間着だけで許してくれ」

 

「……?」

 

「いい。追う必要はない。もとより令呪は不要だ。今日は、もう休むことにしよう。何より、貴女の傷が心配だ。念のため、傷を確認したい」

 

フィラルドとそのサーヴァントは、王城へと歩き出した。これ以上の欲は出さず、彼らの初日の戦いはここで終わった。

 




よく考えたら、サーヴァントだけでなく、それ以外の登場人物の紹介をするべきではないか、と今になって思い至りました。次の話と一緒に暫定的な登場人物一覧を出したいと思います。

今回は赤のアサシンと黒のバーサーカーの戦いを書きました。バーサーカー、まだ真名は伏せますが、あの戦いの描写がきついです。最初書こうと思ってパソコンの前に座ったのはいいものの、どのように書けばいいか、正直迷い、想定の2倍くらい時間をかけて、このような形で今回の戦闘は落ち着きました。でも、もっとうまくかけたかなぁ、と不安になります。

この前から話の進展があまりないと思われますが、聖杯戦争最初の夜をしっかり書けるがどうかが、話全体をうまく書けるかどうかの鍵になりそうな予感があるので、お付き合いいただければ幸いです。
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